-L型菌微小細胞が粒子状アジュバント様の作用を持つ可能性について-

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-L型菌微小細胞が粒子状アジュバント様の作用を持つ可能性について- 川崎病病原体としての 化膿レンサ球菌 L型菌の検討 -L型菌微小細胞が粒子状アジュバント様の作用を持つ可能性について- L型菌が 粒子状アジュバントとして作用する 可能性があるのではないか、 ということを ご報告いたします。 1

川崎病の病原体としてL型菌は検討されたか? 川崎病は何らかの感染症が関与している 候補に上がった微生物やその成分 化膿レンサ球菌 (1974) アクネ菌 (1983)  EBウイルス (1984)   アデノウイルス( 1985 )  ダニ ( 1985 )  ストレプトコッカス サンギウス ( 1985 ) レトロウイルス( 1986 )  ヒトヘルペスウイルス ( 1990 )  スーパー抗原 ( 1992 ) ブドウ球菌( 1993 )  腸内細菌( 1993 ) ヒトパルボウイルス( 1995 ) エルシニア( 1997 ) コリネバクテリウム( 1999 )  クラミジア( 1999 ) 麻疹ウイルス(2000 ) マイコプラズマ( 2001 ) コロナウイルス ( 2005 ) リケッチア  カンジダ  クラミジア   リステリア ナイセリア  ストレプトコッカス ビリダンス  水痘ウイルス  RNAウイルス( 2006 )  複数細菌 ( 2009 )  川崎病の病原体として 色々な、微生物が検討されれましたが、 調べた限りでは、 L型菌は まだ 検討されていない  と 思われます。 L型菌は検討されていない

これまでの検討結果 ① L型菌ではHSP60は細胞表面、または外界に分泌される可能性がある(2008, 細菌学会) ②  ③  L型菌ではHSP60は細胞表面、または外界に分泌される可能性がある(2008, 細菌学会) 川崎病のBCG接種部位発赤と関連する可能性がある。 化膿レンサ球菌のL型菌にはストレプトリジンO、ストレプトキナーゼを産生しない株が出現する(2010 細菌学会)  川崎病患者にASLO、ASKが検出されない理由 化膿レンサ球菌のL型菌には親株より多くの ヒアルロニダーゼを産生する株がある (2010 感染症学会)  川崎病患者の病態と関連する可能性がある これまで、我々は、 溶連菌のL型菌を 調べて HSP60の局在、 SLO、SK産生 ヒアルロニダーゼの産生能 について、川崎病との関連を 報告してきました。 、

L 型菌の増殖過程では大小の細胞が できる特殊性に注目する 大型の細胞 小型の細胞 L型菌 コロニー の光顕像 今回は、この、 L型菌の特殊性の一つ、 増殖過程で生じる 大きな細胞、小さな細胞のサイズが 何か、病原因子になるのでは、無いか、ということ を検討しました。 100μm Staphylococcus aureus L 型菌   Takahashi,T ら、1981より

Staphylococcus aureus L 型菌 Eda,T. ら、1977より 電顕で見ますと 極端に 大小の細胞がみられます。 1μm Staphylococcus aureus L 型菌   Eda,T. ら、1977より

Streptococcus pyogenes L 型菌 Eda,T. ら、1979より 1μm 溶連菌のL型菌です。 Streptococcus pyogenes L 型菌   Eda,T. ら、1979より

Escherichia coli L 型菌 Eda, T. ら、1976より 1μm 大腸菌のL型菌です、 グラム陽性でも、陰性でも 大小の細胞ができます Escherichia coli L 型菌   Eda, T. ら、1976より

Streptococcus faecium L 型菌 Bibel,D. J. ら、1975より 大きな細胞の中に ちいさい、細胞ができるのも L型菌ではよく見られます Streptococcus faecium L 型菌   Bibel,D. J. ら、1975より

Proteus mirabilis L型菌 Eda, T. ら、1978 より 100 ナノメーター以下の 微小な細胞も 観察されます。 100 nm Proteus mirabilis L型菌   Eda, T. ら、1978 より

L型菌のサイズ 16 ナノメートル ~ 100 ミクロンメートル 菌種 大型細胞( mm ) 微小細胞( nm ) Proteus mirabilis 4    16 (TOHRE EDA et al. 1978) Brucella suis 0.7    47 (J.SCHMITT SLOMSKA et al.1982) Proteus mirabilis 2.5    83 (HEIN-PETER KROLL et al. 1980) Escherichia coli 1.7    111 (TOHRE EDA et al. 1976) Pseudomonas aeruginosa 0.9    125 (EARL G.HUBERT et al. 1971) Streptomyces hygroscopicus 5    20 (J. GUMPERT 1983) Bacillus licheniformis 2    55 (PRISCILLA B.WYRICK et al. 1973) group B Streptococcus 3.6    66 ( N.C. CHURLOVA et al. 1986) Streptococcus pyogenes 6.2    71 (TOHRE EDA et al. 1979) Streptococcus faecalis 9    80 (MARY T.GREEN et al. 1974) Staphylococcus aureus 5    83 (TOHRE EDA et al. 1977) Staphylococcus aureus 80    - (TOYOZOH TAKAHASHI et al. 1981) Streptococcus faecium 100    500 ( DAVID J BIBEL et al. 1975) 文献で、 調べて見てみますと この菌では、4ミクロンから、16ナノメートルの細胞が、 この菌では、 0.7ミクロンから、47ナノメートルの細胞が 見られる訳ですが、 大きな細胞は 100 ミクロンの大きさから 微小細胞は  16 ナノメートルまで できる、ことが分かりました。 16 ナノメートル ~ 100 ミクロンメートル

L型菌のサイズ L型菌のサイズは粒子状アジュバントになりうる ウイルス 20~300nm 細 菌(野生型) 0.5~10μm 細 菌(野生型) 0.5~10μm アジュバント粒子 20~500nm 原 虫 1~60μm L 型 菌 16 nm~100μm そうしますと この、L型菌のサイズは ウイルス サイズ から 原虫のサイズ、まであり、 粒子状アジュバントとして用いられている粒子も この中に入ります。 従って L型菌は、サイズの上では 十分に、粒子状アジュバントになりうる、ということが示唆されます L型菌のサイズは粒子状アジュバントになりうる

L型菌細胞への蛋白等の吸着について ウシ胎児血清100%での化膿レンサ球菌124L株の培養 L-C株 124L株 次に、 アジュバントになるには 抗原を結合する性質が必要ですが L型菌細胞に蛋白等が吸着するか、 ということを、調べてみました。 これは、血清100%にL型菌を増殖させて、遠沈した沈査です なかなか、血清だけでは、増殖しないのですが、 増殖した場合には、このように、 野生型に比べて L型菌には赤っぽい色が付いてきました。 これは、何か培地成分が菌体表面についてきた のでは、と考えまして、、、 化膿レンサ球菌124 L 株のみ菌体沈査に色の変化が見られた

培地成分のアルブミンはL型菌に吸着するか 菌株 化膿レンサ球菌 L 型菌: 124 L 株、            野生型: 124 P 株(親株)K6169 株 培地 L型菌用液体培地     brain heart infusion broth    0.5% yeast extract    4% NaCl    10% FBS      培養 37℃ 好気 静置培養 アルブミン吸着の確認    全菌体成分に対して heep anti-bovine albumin antibody (Bethyl Lab. Inc.,A10-113A)を用いて ウエスタンブロッティングを行った。 まず、アルブミンの結合、を調べて見ました。 血清加培地で培養したL型菌と 野生型を 市販の抗 アルブミン ポリクローナル抗体を用いた ウエスタンブロッティングで 調べてみました。

L 型菌株には、 野生型株より多くのアルブミンが検出された Sheep anti-bovine albumin antibody によるウエスタンブロッティング 94- 67- 43- 1 2 3 kDa 4 1. アルブミン 2.K6169 株 (野生型) 3.124 P 株 (野生型) 4.124 L 株 ( L 型) 1 は アルブミン蛋白です。 2 は 野生型 3 も 野生型 4 が L型菌です。 こちらが一回目、こちらが 2回目の観察です。 この用に、 野生型にはバンドが見えず L型菌にバンドが見られました、 L型菌は微小細胞が多いので 表面積が大きくなるためではないか、 という、問題はありますが、 とりあえずは、 L型菌にアルブミンが多く吸着していることが示唆されるのではないか、 と 考えられます。 L 型菌株には、 野生型株より多くのアルブミンが検出された

マイコプラズマでも、培地血清蛋白が吸着することが報告されている L型菌に似た マイコプラズマでも、 細胞表面に培地成分のアルブミンや他の蛋白が結合して、 洗浄したぐらいでは、落ちない、 ということが報告されています。ので、L型菌でもその可能性が高いと考えられます。、 L型菌が、粒子サイズの点と、 蛋白吸着の可能性がある、という、2点から 体内で、粒子状アジュバントとして、作用する可能性がある のではないか、と考えられます。 それを検証した、実験は、調べた限りでは、見当たりませんが、 動物に接種した実験はかなり、成されています。、 L 型菌細胞のサイズと蛋白の吸着性から、 L型菌が粒子状アジュバントとして作用する可能性 が考えられた。 ---- (検討実験報告は無し)

L型菌の動物感染実験 1 黄色ブドウ球菌、化膿レンサ球菌のL型菌をラットの肺、 腹腔に接種、30日間観察 Lilia Michailovaら、2000、2006 の実験 黄色ブドウ球菌、化膿レンサ球菌のL型菌をラットの肺、 腹腔に接種、30日間観察  L型菌のみ30日まで検出 (親株は15日まで)  L型菌はマクロファージ内外で生存・増殖  野生型より強い炎症反応を引き起こした G. Kaganら、1976 の実験 化膿レンサ球菌 L型菌をマウスの腹腔に接種し1年間観察  L 型菌の抗原は一年間検出。  L 型菌はマクロファージの細胞内外に見られる   L 型菌の抗原は、肝臓、腎臓、心臓、脾臓の全てに出現。  全ての組織の血管で反応が見られ、壊死や出血性病変が見られた。  心臓では、心内膜、心外膜、間質組織、心筋繊維、特に血管周辺部に  見られ、強い血管炎を示し、fibrinoid swelling を形成した 2 1は ブ菌と溶連菌のL型菌をラットに接種して、一ヶ月観察したもので、 2は、溶連菌を接種して一年間、観察したものです。 親株は15日で、回収されなくなりますが、 L型菌は 観察日最後まで回収されます。 L型菌はマクロファージ内で生存し、持続感染します。 この結果は、2 でも同じで、  一年間、持続感染し、 マクロファージ内でも増殖像が見られます この持続感染はL型菌の特殊性の一つで、多くの菌種で報告があります。 そして、強い炎症反応を引き起こしています。 この報告でも、 L型菌が多くの臓器で検出され、全ての血管で、病変を起こしています。 心臓でも、強い血管炎を起こし、 血管壁でフィブリノイドの膨化が見られています。 この辺は、川崎病の病態とかなり類似しているのではないか、と思われます。 他にも、L型菌は心臓細胞や関節を障害するという報告がありますが、 逆に、L型菌は生体内ではすぐに排除され、全く病気を起こさなかった、という報告もあります。、

川崎病・膠原病機序解明に関する報告 ●遷延感作実験 (岡林ら、1959 塩沢ら、2009) ●遷延感作実験 (岡林ら、1959 塩沢ら、2009)  異種蛋白の長期遷延感作の末期にジスガンマ‐グロブリン血症、他の膠原病病態が出現する(実験的膠原病)。 自己臨界点説 ●シリコンによるヒトアジュバント病 (三好ら、1964)  体内で漏出したシリコンのアジュバント作用により、種々の膠原病病態が出現 ●川崎病モデルマウス (秋山ら、1983) 出生早期に細胞外増殖型溶連菌(ペニシリン処理)を感染させ、4週後に細胞内増殖型溶連菌を感染させる ●プリスタンによる RA、SLE モデル (Potterら、1981 Satohら、1994) プリスタンオイル(粒子状アジュバント)のみ、一回の腹腔接種をする ●川崎病モデルマウス (藤本ら、2010) レンチナン(β‐グルカン)(粒子状アジュバント)を腹腔接種する 川崎病、膠原病の機序解明に関する報告を見ますと、 ●岡林、塩沢先生らの、遷延感作実験、 ●シリコンによるヒトアジュバント病、 ●異なるタイプの溶連菌接種による 川崎病モデルマウス、 ●プリスタンオイルアジュバント接種による、膠原病のマウスモデル ●レンチナン、粒子状アジュバントの一つですが、腹腔接種による川崎病モデルマウス などの報告があります。 この秋山先生らの報告では、 まず、細胞外増殖性の溶連菌を感染させ、4週間後に、細胞内増殖性溶連菌を感染させる、、というものですが、この細胞内増殖性溶連菌というのは、L型菌に変化し易い株で、L型菌が細胞内増殖をしているのでは、ないかと思われます 全体を見ますと、膠原病は、遷延感作とアジュバント作用が強く、関連していると思われますが、 L型菌は、この両方の作用をもっている可能性がある、と考えられます、 遷延感作 アジュバント作用

川崎病が L型菌(アジュバント作用)によって起こると仮定     なぜ抗生物質が効かないのか なぜ昭和30年ごろから増加したか なぜ3~4年毎の流行をしたか     なぜ原因候補の細菌が多種類なのか なぜ洗剤も原因候補に上がるのか(カーペット洗剤説) なぜL型菌、リケッチア様微生物が患部から見つかったのか なぜ特に心臓がやられるのか なぜBCG部位が発赤するのか なぜ再発が起こるのか なぜ親も川崎病が多いのか なぜ同朋感染があるのか なぜTNF-α値が上がるのか なぜIgE値が上がるのか なぜモノサイト・マクロファージが多くなるのか なぜ炎症性物質値が上昇するのか なぜ免疫複合体値が上がるのか なぜ抗SPE-C抗体が検出されるのか なぜモデルマウスが出来たのか そこで、川崎病がL型菌の特性と、 アジュバント作用によって起こる、 と仮定して、考察しますと、 川崎病のこれらの、多くの疑問点が、 説明できるのでは、ないか とかんがえています。

1. L 型菌細胞のサイズと吸着性からは粒子状アジュバントとして作用する可能性が示唆された。 ま と め 1. L 型菌細胞のサイズと吸着性からは粒子状アジュバントとして作用する可能性が示唆された。 2.L型菌の粒子状アジュバント作用と持続感染による遷延感作によって、川崎病等、膠原病の複雑な免疫反応を生じている可能性がある。   まとめますと、 L型菌細胞は、 粒子状アジュバントとして 作用する可能性がある、のではないか、 ということと、  L型菌の持続感染 という、特殊性から、 長期に、遷延感作を起こす可能性もあり、 これらの機序によって、 川崎病や他の膠原病を起こす、可能性があるのでは ないか、と考えられました。                   以上です。

L型菌が粒子状アジュバントとして作用する可能性 感染性のアジュバント そこで、 L型菌の アジュバントサイズの表面に 抗原を吸着する性質があれば、 (生体内で) この辺が問題ですが アジュバントとして作用するのではないか、 と 考える訳ですが、 では、アジュバントサイズである ウイルスでも その表面に抗原を吸着する性質があれば 、 アジュバントとして作用するのか、 という疑問が わいてくるのですが、 これを 調べて見ますと、、、、 ウイルスも 粒子状アジュバントになる可能性があるか?

不活化日本脳炎ウイルス粒子をアジュバントとして使用する方法 2009 これは、化血研の先生がたが 昨年、出されました特許申請ですが 不活化日本脳炎ウイルス粒子をアジュバントとして使用する方法 というタイトルになっています。 拝見いたしましたところ、 ウイルス粒子を抗原液に加えて 接種することで  それらの抗原に対する、より早く 強い免疫が誘導された、  という多くの実験をされていまして、 私の理解するところでは、粒子状アジュバントとして働いたものと 思われます。 課題を解決するための手段[0010][3] 不活化日本脳炎ウイルスが粒子状構造であることを特徴とする (World Intellectual Property Organization/2009/147980 より) ウイルス粒子も (粒子状)アジュバントになる