シクラメンの 簡易栄養診断
はじめに 健全な作物栽培をするには 適正な施肥管理が必要 高度な技術・器機 簡単で結果がすぐに出る方法 簡易栄養診断
栄養診断の特徴 ・試薬による簡易なテストで診断できる → 生産の安定、品質向上 ・速やかにおこなうことができる → 現場的診断法 ・呈色度の判定は、ある程度の経験 が必要である
例えば… 葉色が薄くなる 病気? 病気による葉色の変化、養分不足による変化のどちらなのかが診断によって分かる。 養分不足?
栄養診断の準備 器具類 試験管(樹液・排出液用) 、 スポイト 、包丁 まな板 、 医療用点滴器 試薬類 など 試験管(樹液・排出液用) 、 スポイト 、包丁 まな板 、 医療用点滴器 試薬類 など 参考書 『野菜の要素欠乏と過剰症』 タキイ種苗(株)出版部 ★排出液 ☆樹液 ○その他の準備
★排出液の準備 事前に…十分かん水し、飽和容水量にする 重力水が鉢底から排出された時点で、用土の表面に点滴方式で静かに水を注ぐ 1秒/1滴 重力水が鉢底から排出された時点で、用土の表面に点滴方式で静かに水を注ぐ 排出液は各2ccを試験管に入れる
☆樹液の準備 ③葉柄を切る ①葉の選択 ④各試験管に取り分ける 使用する葉 ・展開葉 ・古くない葉 ②十分水で洗う 水:2cc 2㎜厚 ①葉の選択 ④各試験管に取り分ける 使用する葉 ・展開葉 ・古くない葉 水:2cc →スポイトで加える 葉柄:0.2g (6~8切れ) ②十分水で洗う
用いる試薬 NH4-N NO3-N P2O5 K2O CaO 試 薬 各 養 分 ネスラー試薬 グリス・ロミイン硝酸用試薬 試 薬 NH4-N ( アンモニア態チッソ ) ネスラー試薬 NO3-N ( 硝酸態チッソ ) グリス・ロミイン硝酸用試薬 P2O5 ( リン ) ①モリブデン酸アンモニウム ②塩化第一スズ K2O ( カリウム ) テトラフェニルホウ酸 ナトリウム CaO ( カルシウム ) シュウ酸アンモニウム
診断手順 それぞれの試験管に試薬を入れ、その呈色反応を見て、診断する。 ① ② ③ 所定の量の試薬を入れる よく攪拌する カラースケール、標準液によって診断する よく攪拌する
N NH4-N NO3-N (チッソ) ネスラー試薬 グリスロミイン試薬 スポイトで2滴(0.1ml)入れ、すぐに比色する (アンモニア態チッソ) ネスラー試薬 耳かき1さじ(25mg)入れ、10分後に比色する NO3-N (硝酸態チッソ) グリスロミイン試薬
N NH4-N NO3-N 1 2 3 4 5 1 2 3 4 5 (チッソ) 液中濃度 1 10 5 30 2.5 ppm 樹液濃度 10 (アンモニア態チッソ) 1 2 3 4 5 液中濃度 1 10 5 30 2.5 ppm 樹液濃度 10 100 50 300 25 排出液濃度 1 2.5 5 10 30 NO3-N (硝酸態チッソ) 1 2 3 4 5 液中濃度 1 20 5 25 2.5 ppm 樹液濃度 10 200 50 250 25 排出液濃度 1 2.5 5 20 35
N (チッソ) チッソの欠乏 葉:葉が巻く 色があせる 類似した病気 トマト:ネコブセンチュウによる被害 ピーマン:疫病 ダイコン:萎黄病
P2O5 A B A B (リン) 50ml 試薬① 試薬② を使用する 試薬①の作成 50ml 濃塩酸 に加える を モリブデン酸アンモニウム 2g 50ml A 純水 50ml 濃塩酸 31.5ml 純水 B A B に加える を
P2O5 B A B (リン) A 試薬①を4滴、試薬②を2滴添加し、すぐに比色する 試薬②の作成 に純水を加え、100mlにする に 塩化第一スズ 5g A に純水を加え、100mlにする A 純水 B に を添加する 粒状スズ 1粒 濃塩酸 10ml
P2O5 (リン) 1 2 3 4 5 葉:紫がかった青緑になる 実:みのりが悪くなる ナス:チャノホコリダニ レタス:炭疽病 液中濃度 1 10 5 50 2.5 100 250 25 ppm 樹液濃度 排出液濃度 1 2.5 5 10 30 リンの欠乏 葉:紫がかった青緑になる 実:みのりが悪くなる 類似した病気 ナス:チャノホコリダニ レタス:炭疽病 トマト:寒さによる葉の赤紫化 ・トマトモザイク病
K2O (カリウム) 2滴添加し、すぐに比色する 試薬の作成 テトラフェニルホウ酸ナトリウム 純水 テトラフェニルホウ酸ナトリウム5%水溶液
K2O (カリウム) 新聞紙を背景に、文字の見え具合で比色する 1 2 3 4 5 葉:下葉の先端や縁が黄化 液中濃度 10 100 50 150 25 1000 500 1500 250 ppm 樹液濃度 排出液濃度 10 25 50 100 150 カリウムの欠乏 葉:下葉の先端や縁が黄化 類似した病気 キュウリ:先細り果、尻太り果、くびれ果、球形果
CaO (カルシウム) 2滴添加し、すぐに比色する 試薬の作成 シュウ酸アンモニウム 4g 1%酢酸溶液 100ml
CaO (カルシウム) 黒い布を背景にすると見やすい 1 2 3 4 5 葉:上葉の先端に近いところが黄白~褐色になる 液中濃度 10 150 100 300 25 1500 500 2250 250 ppm 樹液濃度 排出液濃度 10 25 100 150 225 カルシウムの欠乏 葉:上葉の先端に近いところが黄白~褐色になる 類似した病気 トマト:モザイク病 セロリ:凍傷 など
シクラメンの診断指標 NH4-N 呈色度 1 2 3 4 5 樹液濃度 10 25 50 200 250 判定 呈色度 1 2 3 4 5 (アンモニア態チッソ) 単位:ppm 呈色度 1 2 3 4 5 樹液濃度 10 25 50 200 250 判定 少 適 当 多 過剰 呈色度 1 2 3 4 5 排出液濃度 1 2.5 5 20 35 判定 少 やや少 適当 多 過剰
シクラメンの診断指標 NO3-N 呈色度 1 2 3 4 5 樹液濃度 10 25 50 200 250 判定 呈色度 1 2 3 4 5 (硝酸態チッソ) 単位:ppm 呈色度 1 2 3 4 5 樹液濃度 10 25 50 200 250 判定 やや少 適 当 やや多 多 呈色度 1 2 3 4 5 排出液濃度 1 2.5 5 20 35 判定 不 足 少 適当 やや多
P2O5 シクラメンの診断指標 呈色度 1 2 3 4 5 樹液濃度 10 25 50 100 250 判定 呈色度 1 2 3 4 5 (リン) 単位:ppm 呈色度 1 2 3 4 5 樹液濃度 10 25 50 100 250 判定 不足 少ない 適当 多 過剰 呈色度 1 2 3 4 5 排出液濃度 1 2.5 5 10 30 判定 不足 少 やや少 適当 やや多
K2O シクラメンの診断指標 呈色度 1 2 3 4 5 樹液濃度 100 250 500 1000 1500 判定 欠乏 不足 少 適当 (カリウム) 単位:ppm 呈色度 1 2 3 4 5 樹液濃度 100 250 500 1000 1500 判定 欠乏 不足 少 やや少 適当 排出液濃度 10 25 50 150 やや多
CaO シクラメンの診断指標 呈色度 1 2 3 4 5 樹液濃度 10 25 100 150 225 判定 少 適当 過剰 排出液濃度 多 (カルシウム) 単位:ppm 呈色度 1 2 3 4 5 樹液濃度 10 25 100 150 225 判定 少 適当 やや多 多 過剰 排出液濃度
シクラメンで実践! P2O5 K2O CaO ☆樹液 NH4-N NO3-N (リン) (カリウム) (カルシウム) (アンモニア態チッソ) (硝酸態チッソ) P2O5 (リン) K2O (カリウム) CaO (カルシウム)
シクラメンで実践! P2O5 K2O CaO ★排出液 NH4-N NO3-N (リン) (カリウム) (カルシウム) (アンモニア態チッソ) NO3-N (硝酸態チッソ) P2O5 (リン) K2O (カリウム) CaO (カルシウム)
診断結果 P2O5 P2O5 K2O CaO K2O CaO ☆樹液 4 2 1 4 5 ★排出液 1 1 3 5 4 NH4-N (アンモニア態チッソ) NO3-N (硝酸態チッソ) P2O5 (リン) K2O (カリウム) CaO (カルシウム) 4 2 1 4 5 過剰 適当 不足 やや少 過剰 ★排出液 NH4-N (アンモニア態チッソ) NO3-N (硝酸態チッソ) P2O5 (リン) K2O (カリウム) CaO (カルシウム) 1 1 3 5 4 少 不足 やや少 やや多 過剰
診断結果 P2O5 K2O CaO 排出液はやや不足気味ではあるが、樹液の結果から、適切な範囲である NH4-N (アンモニア態チッソ) 排出液はやや不足気味ではあるが、樹液の結果から、適切な範囲である NO3-N (硝酸態チッソ) P2O5 (リン) 樹液、排出液ともに不足しているので今後多めに施肥をする必要がある K2O (カリウム) 樹液、排出液の結果から、ともに十分である CaO (カルシウム)