マーケットの規定
マーケットの規定とは何か マーケットの規定あるいは市場構造分析とは、市場 に提供されている数多くのブランドを「互いに競合す る」サブマーケットに分類、分割することである。 互いに競合する:消費者から見て代替性が高い
例: Video Disk Case I Case II Home Video Laser Disk DVD Beta VHS
市場構造のタイプ 形状主導型 ブランド主導型 無構造型 小型車 大型車 トヨタ 日産 トヨタ 日産 トヨタ 日産 小型車 大型車 小型車 トヨタ小型車 トヨタ大型車 日産小型車 日産大型車 無構造型
市場構造の重要性 市場の規定 どの市場に参入すべきか? 自社の競合企業は誰か?
市場構造の重要性:ケース1 A, B, C:国産車 D:輸入車 乗用車市場のシェア シェア 台数 除D 含D A B C D 100 30 40 62 19 50 15 20 シェア 台数 除D 含D A B C D 110 30 70 65 17.5 46 12.5 29 (a) 昨年 (b) 今年 乗用車市場のシェア
市場構造の重要性:ケース2 ブランド主導型 形状主導型 BL:ブレンド、 CA:カプチーノ、 CL:カフェラテ ブランドA ブランドB1
市場構造の測定 伝統的な基準 交差価格弾力性 ブランド・スイッチング 強制的ブランド・スイッチング
伝統的な基準 使用状況の類似性 使用目的 知覚されるブランドのイメージ ユーザーの類似性
交差価格弾力性 交差価格弾力性 欠点 1.価格があまり変動しない製品に向いていない。 2.非対称交差価格弾力性の問題 :ブランドiの販売量 :ブランドiの価格 :ブランドjの販売量 :ブランドjの価格 交差価格弾力性 欠点 1.価格があまり変動しない製品に向いていない。 2.非対称交差価格弾力性の問題 3.価格が需要に対して正の効果持っている場合
ブランド・スイッチング 仮定:消費者が代替性の高いブランド間でスイッチング を行う傾向が強い。 使用するデータ:購買履歴データ。 問題点 例:ブランドA, B, Cがあったとする。 AABABBACABAB 使用するデータ:購買履歴データ。 問題点 複数のニーズや用途が存在する場合。 耐久財には向いていない。
強制的スイッチング ケースI: 無構造仮説 ケースII: 市場構造 (2サブマーケット) A (40%) B (20%) C (20%) D (20%) ケースII: 市場構造 (2サブマーケット) A (40%) B (20%) C (20%) D (20%) Aが削除されたとき、今までAを購入していた人はどのブランド を購入するか?
Prodegyモデル 市場がいくつかのサブマーケットに構成されていると いう仮定の下で、ある製品が削除されたとき、その製 品のシェアの大部分が同じサブマーケットの製品に 吸収される. A (40%) B (20%) C (20%) D (20%) Aが削除されたとき、Bのシェアが 13.3% = 40×20/(20+20+20)よりも大きく増加する。
Prodegyモデルの手順 帰無仮説を設定 無構造仮説 対立仮説を設定 市場構造あり 理論値と実現値を比較、検定する。
データ:スイッチング行列 強制的遷移行列 顧客がもっとも好んでいるブランドを特定する。 顧客がもっとも好んでいるブランドが市場から削除されたと いう状況を設定する。 設定した状況の下で顧客がもっとも好んでいるブランドを特 定する。
手順1:無構造仮説のもとでの理論シェア シェア A B P(A,B) C D P(C,D) 0.40 1/3 1/2 1/6 2/3 1/3 1/2 1/6 2/3 0.20 3/8 1/8 0.30 4/7 2/7 6/7 1/7 0.10 4/9 2/9
手順2:強制的遷移行列(実現値データ) 人数 A B P(A,B) C D P(C,D) 40 30 0.75 6 4 0.25 20 12 30 0.75 6 4 0.25 20 12 0.6 0.4 5 7 18 10 1 0.2 8 0.8
強制的遷移行列(実現値データ) シェア A B P(A,B) C D P(C,D) 0.40 3/4 0.75 3/20 1/10 0.25 3/4 0.75 3/20 1/10 0.25 0.20 3/5 0.6 1/5 0.4 0.30 1/6 7/30 0.10 0.2 4/5 0.8
手順3:理論値と実現値の比較 理論値 実現値 人数 A B P(A,B) C D P(C,D) 40 1/3 1/2 1/6 2/3 20 1/3 1/2 1/6 2/3 20 3/8 1/8 30 4/7 2/7 6/7 1/7 10 4/9 2/9 理論値 人数 A B P(A,B) C D P(C,D) 40 3/4 0.75 3/20 1/10 0.25 20 3/5 0.6 1/5 0.4 30 1/6 7/30 10 0.2 4/5 0.8 実現値
ブランドAに関する検定 製品Aを購入していた顧客がサブマーケット(A,B)に残る確 率: P(A,B)=1/3=p 製品Aを購入していた顧客がサブマーケット(C,D)にスイッチ する確率: P(C,D)=2/3=1-p 従って、製品Aを購入していた顧客の内サブマーケット(A,B) に残る人数Xは平均np、分散np(1-p)の二項分布に従う。 X ~ Bin(n,p)
ブランドAに関する検定 中心極限定理により、nが限りなく大きくなれば、 X/n ~ N(p,p(1-p)/n) 製品B,CとDが削除されたときも、同じことが成立する。 仮説 帰無仮説 H0 : p = 1/3 対立仮説 H1 : p > 1/3
市場全体の検定 仮説 帰無仮説 H0 : p = (1/3+1/2+1/7+1/3)=1.31 対立仮説 H1 : p > 1.31 標準偏=0.20 実現値=3/4+3/5+3/5+4/5=2.75