流通情報工学課程 渡辺一真 指導教官 鶴田三郎 教授 黒川久幸 助教授

Slides:



Advertisements
Similar presentations
模型を用いたジェットコターの 力学的原理の検討 06522 住友美香 06534 秦野夏希. 平成22年度 卒業研究発表 山田研究室 研究目的 ジェットコースターのコースは、どのような計算に 基づいて作られているのか、研究を通じて理解し、 計算を用いた模型製作を行う。
Advertisements

貨物管理支援における VRを用いた情報提示 に 関する研究 流通情報工学課程 4 学年 94720 久保田 聡 94753 村上 聡.
SNS によるストレスの研 究 鴫原 康太. 本研究の目的 今回私がこの研究を行おうと思ったきっかけは、 SNS によるストレスを自分も少なからず感じるこ とがしばしばあったということが今回の研究を 行ったきっかけである。 「既読無視」「バカッター」など SNS のあり方、 使い方を誤って使ったり、
特別支援での 情報機器活用 鵜川研究室 情報・ものづくりコース E1226 佐竹 史 鵜川研究室所属 E1226佐竹史
企画書作成ソフトウェアの開発 佐々木研究室 05k1134 吉村祥平.
2009年度 卒業論文 マーケットプレイス構築によるBtoBの流通改善の検証
高年齢者における雇用開発の分析 国際経済学部 国際経済学科 4年 大貫 宣弥 2004/10/23.
3次元nクイーン問題の 解に関する研究 論理工学研究室 伊藤精一
みかけの相関関係 1:時系列 2つの変数に本来関係がないのに,データだけから相関係数を計算すると相関係数がかなり大きくなることがある.
マルチジャンプテスター の使い方.
神戸大学大学院国際文化学研究科 外国語教育論講座外国語教育コンテンツ論コース 神戸 花子
~様々な意見を取り入れるシステムとその結果~
より多くの人に糖尿病予防の生活指導ができるように
      特別支援学校 高等部学習指導要領 聴覚障害教育について.
来客者数に与える気温と降水量の影響に関する研究
卒業論文のタイトルをここに (発表時間は5分です。 PPTスライドは10枚程度にまとめる事)
対面販売型生保VSネット生保 -対面販売型生保派-
学習院大学経済学部巽ゼミ3年 細川・戸村・中嶋・北村
商品陳列の売り場への影響 めぐ.
流れ(3時間分) 1 ちらばりは必要か? 2 分散・標準偏差の意味 3 計算演習(例題と問題) 4 実験1(きれいな山型の性質を知ろう)
競合店対策 MR1178 渡部圭一郎 .
配送センターにおける必要棚床面積の算出と保管設備の選定に関する研究
脳性まひをもつ 子どもの発達 肢体不自由児の動作改善を目指して 障害児病理・保健学演習 プレゼンテーション資料 2000年2月24日
アンケート③ 療養環境.
物流現場において重さの判断に及ぼす色彩の影響に関する研究
 Combinations(2)        古川 勇輔.
フットサルシューズの最適化 ~コンジョイント分析を用いて~
大きな数と小さな数の 感覚的理解 北村 正直.
情報へのアクセシビリティを 向上させるためのデザインと評価 日本電気㈱ 北風 晴司 日本ファジィ学会 第17回評価問題研究会
物理網構成を考慮したハイブリッド型 P2P 動画像ストリーミング配信機構の評価
棚差しPOPの諸項目が 書籍探索時間に与える影響に関する研究
統計リテラシー育成のための数学の指導方法に関する実践的研究
在宅医療における 対話型自動健康診断システム
Kintone 新デザインコンセプト サイボウズ株式会社 2016/10/28 更新.
物流への興味向上のためのVRを用いた近未来流通センターの構築
小売店舗における陳列改善策の検討とVRの活用に関する研究
高年齢者における雇用開発の分析 国際経済学部 国際経済学科 4年 大貫 宣弥 2004/10/23.
第9回(第12回) 女性・中高年・障害者とスポーツ
第9回(第12回) 女性・中高年・障害者とスポーツ
フィールドセンシング Field Sensing Technologies
MPIを用いた最適な分散処理 情報論理工学研究室 角 仁志
情報工学部 情報工学科 石原研究室 11A1021 重永 実沙希
~ 「スポーツにおけるゲーム分析」について ~
環境リスクマネジメントに関する 検索システム
4人版リバーシYoninの解析 情報論理研究室 藤本 侑花
魚釣り寸法計測支援 アンドロイドアプリ の構築
B-TACEのための肝癌結節の分類.
仮想コンテナターミナル構築による 荷役作業を考慮したレイアウト計画支援
AIを用いたドローンの 新たな姿勢制御方法に関する研究
体力測定会 平成27年 11月21日(土) 9:30~16:00 測定所要時間 約1時間 中部大学55号館 5階 5552・5553実習室
CAVEを用いた仮想空間での ヒトの移動認知に関する研究 福岡工業大学 情報工学部 情報工学科 石原研究室 4年 14A1003 石原義大
経過のまとめ 家族歴、基礎疾患のない14歳女性 筋力低下、嚥下障害を主訴としてDM発症 DMは、皮膚症状と筋生検にて確定診断
40歳未満にも メタボリックシンドローム基準の適用を
ミリ波帯キャパシティブクロスカップリング差動増幅器のための対称交差レイアウトの提案
「アルゴリズムとプログラム」 結果を統計的に正しく判断 三学期 第7回 袖高の生徒ってどうよ調査(3)
(C)Hiroshi Tanaka/Yoshihiro Sato
6.特別支援教育における ICT活用授業 3 教科指導におけるICT活用 ここでは、特別支援教育における ICT 活用授業について学びます。
構造的類似性を持つ半構造化文書における頻度分析
第3日目第4時限の学習目標 第1日目第3時限のスライドによる、名義尺度2変数間の連関のカイ2乗統計量についての復習
設計情報の再利用を目的とした UML図の自動推薦ツール
教科 学年 備考 3年生 総合 三山木小学校校区内にあるバリアフリー関連の設備を 校外学習で調べに行ったときのもの 指導の流れ
課題演習の説明 ビジュアル技法を使い、聞き手の目を引き付ける資料デザインを表現します。
あいち健康プラザ 健康度評価システムのコンセプト
Pb添加された[Ca2CoO3]0.62CoO2の結晶構造と熱電特性
プログラミング論 相関
スケールモデルサイトにおける 「風の道」の野外実験
タウンモビリティを通じて.
テクニカル・ライティング 第4回 ~文章の設計法「KJ法」について~.
映像を用いた 「からだ気づき」実習教材の開発
Presentation transcript:

流通情報工学課程 2000754 渡辺一真 指導教官 鶴田三郎 教授 黒川久幸 助教授 高齢者特性を考慮した 陳列に関する検討 流通情報工学課程 2000754 渡辺一真 指導教官  鶴田三郎 教授          黒川久幸 助教授 流通情報工学課程の渡辺 一真です。研究の発表をはじめます。タイトルは「高齢者特性を考慮した陳列に関する検討」です。 15秒

研究背景 高齢者の不自由な点を考慮した改善策増加 高齢者における陳列の考慮が必要 「表示が見にくい」 「高い場所の商品が取れない」    「表示が見にくい」   「高い場所の商品が取れない」 高齢者における陳列の考慮が必要  現在、高齢化は急速に進み、高齢者が増加の一途をたどる中、生活のいたるところで高齢者の不自由な点を考慮した施設や設備などにおける改善策が増加しており、商品購買に欠くことのできない小売店舗において注目すると階段やトイレに手すりをつけるなどの改善がなされています。しかし販売については店員と客とが対面しない販売方法が主となり、そのことから高齢者にとっては陳列における「表示が見にくい」、「高い場所の商品が取れない」といった問題から不自由な点が多いことが報告されており、高齢者の不自由な点を考慮した表示の大きさ等を改善した陳列が行われていないのが現状です。  そこで本研究では陳列が高齢者にとって改善されていないことから高齢者の肉体的・精神的に不自由な特性を考慮した陳列が必要であると考え、次の二つの点について検討を行います。 1分15秒

研究目的 第1の目的 陳列において高齢者特性を 考慮すべき項目の検討 第2の目的 考慮すべき項目における高齢者 特性を考慮した基準設定値の検討  高齢者の特性を考慮すべき項目を明確にすることを研究の第1の目的とします。  次に、その項目において、高齢者特性を考慮した基準設定値を定めることを研究の第2の目的とします。 20秒

高齢者特性 特性部分 項目 高齢者特性 形態 身体寸法 身長・体重変化 体型 骨の萎縮,硬直, 動態 姿勢 関節屈曲能力低下 可動域 上肢の可動幅縮小 身体機能 生理 腎機能消化機能,低下 運動 筋力 握力,脚力の低下 体力 持久力の低下 神経 平衡性の低下 感覚 五感(視覚,聴覚,味覚,嗅覚,触覚) 各五感の能力の低下 行動・認知 行動 情緒の不安定 認知 痴呆障害の出現   高齢者とは一般に65歳以上を指し、高齢者特性とは高齢者特有の性質で一般的には加齢に伴い、若年層、すなわち20歳前後と比較して肉体的・精神的における不自由な点のことです。高齢者特性をまとめた表がこれです。  高齢者特性を5つの部分別に分類し、どの特性部分の加齢に伴う変化が特性になっているかなどをまとめました。高齢者は個人差があるのでここで列挙した特性は一般的なものに限定しました。  例えば(ここで表をさす)動態の部分における姿勢では関節屈曲能力が低下する特性があり、背が丸まったりする原因となります。  この表を用いて、どんな高齢者特性をどのように考慮していくか明確に出来ると考えました。 1分

店舗に商品を並べることに関する提案・展示 陳列 店舗に商品を並べることに関する提案・展示 陳列は幅広い範囲の内容を含む 陳列項目グループ 概要 店舗レイアウト 店舗内における通路,照明,商品展示の基本に関する陳列項目 棚割 陳列棚における商品,棚,表示に関する陳列項目 陳列方法 棚や商品に関わらず具体的な陳列の方法に関する陳列項目  次に陳列について述べていきます。陳列とは店舗に商品を並べることに関する提案・展示のことです。陳列は幅広い範囲の内容を含み、陳列項目は大きく店舗レイアウトと棚割と陳列方法に関する項目があります。 店舗レイアウトとは店舗内における通路、照明、商品展示の基本に関する陳列項目、棚割とは商品、棚、表示に関する陳列項目、陳列方法は具体的な陳列の方法に関する陳列項目です。 時間がなければ赤枠は省く 陳列項目におけるグループの概要はこのようになっています。(表をさす) 35秒

設定項目 出所:「販売士検定講座3級コース 」より作成  また陳列項目のそれぞれの内容の中には具体的な数値などを定めるべき項目があり、基準値が定められています。例えば「通路幅」という陳列項目には具体的に「棚通路の幅の広さ」を180cm以上と定めています。その「棚通路の幅の広さ」のことを設定項目といいます。  陳列項目における設定項目を整理したものがこの表です。表示の大きさに関しては生活での平均視距離3m以内での基準です。本研究ではこの設定項目に注目し、高齢者向けの基準設定値を定める事が今後の高齢化と共に重要となると考え、高齢者特性を考慮した設定項目の検討を行いました。 35秒 出所:「販売士検定講座3級コース 」より作成

高齢者特性と陳列の関係 設定項目の検討 高齢者特性と陳列(設定項目)の関係 高齢者特性 身長・体重変化 骨の萎縮,硬直, 関節屈曲能力低下 設定項目の検討   高齢者特性と陳列(設定項目)の関係 高齢者特性 身長・体重変化 骨の萎縮,硬直, 関節屈曲能力低下 上肢の可動幅縮小 腎機能消化機能,低下 握力,脚力の低下 持久力の低下 平衡性の低下 各五感の能力の低下 情緒の不安定 痴呆障害の出現 設定項目 棚通路の幅の広さ 照度(の明るさ) 触れにくい高さ 手の届く高さ 最も見やすい高さ ゴールデンライン 手に取りやすい高さ 陳列有効範囲 触れにくい低さ 表示の大きさ 表示の背景と文字の色  検討の内容として高齢者特性それぞれからで考慮すべき設定項目はどれに該当するのかを考えました。 例えば高齢者特性の各五感の能力の低下における視力の低下から見易さに関する設定項目照度(の明るさ)、表示の大きさ、表示の背景と文字の色、の設定項目が考慮できます。 検討により、設定項目全てが高齢者特性を考慮できるとわかり、これらの関係を基に高齢者特性を考慮した設定値の設計を行いました。  設計の進め方として、基本的には人間工学の考えに基づいて設定項目について高齢者特性を考慮した自分なりの提案による設計を行っていきました。高齢者に個人差があることから条件によっては上限値と下限値を求めて適正な設定値を決める場合がありました。 45秒

設計例1 通路幅における「棚通路の幅の広さ」 肩峰点間 指極 肩峰高~指先端高 指極+肩峰点間×2+肩峰高~指先端高(右)×2  「棚通路の幅の広さ」の設計では高齢者の肉体的に体を多く動かすのが不自由なことから無理に人を避けたりするのに体を動かさないために「両側の棚で立ち止まっている客がいても通れる幅の広さを作る」事を提案しました。ここでは上限値として高齢者男子95パーセンタイルと下限値高齢者女子5%タイルを用いて身体の部位のデータから求めました。 身体の部位は (ボディランゲージ)肩峰点間・・・左肩峰点から右肩峰点の幅の長さ             指極・・・両腕を体の真横に水平に広げた幅             肩峰高~指先端高(右)・・・右の肩峰点から指先までの長さ 以上を用いました。 両側の棚で立ち止まっている2人の幅は・・肩峰点間×2+肩峰高~指先端高(右)×2 通る人の幅は・・・指極 それらを合計して設定値を求めました。 1分 指極+肩峰点間×2+肩峰高~指先端高(右)×2

設計例2 照度における「照度(の明るさ)」  照度の設計に関して、人間工学では「視力が2.0から1.5に下がっても、照度を1.5倍にすれば視力は2.0と同程度になる」と考えられています。従って 「視力を高めるほどの明るさが必要」と提案し、調べた年齢別の平均視力から同一視力を得るための照度と年齢の関係の分布を作りました。これ(図)です。加齢に伴う照度比から65歳以上の照度比は約2.25倍以上必要であるとわかったので基準の照度を2.25倍するのが高齢者を考慮した照度になると考えました。 45秒

一般値との比較 設計例1・設計例2などの設計により設定項目11項目の設定値を求めました。通路幅、照度、表示に関しては主に基準よりも大きな設定値にする事、高さに関しては低めに設定することが高齢者特性の考慮になると考えました。  ここで設計により定めた値が本当に高齢者特性を考慮していて高齢者用として使えるものなのかどうかを比較検討します。  まず求めた各高齢者用設定値を一般値と比較し、両者の値が異なる場合は高齢者特性を考慮されていない設定項目と考えました。 比較の結果、設定項目5項目(赤丸をクリック)に関しては一般値とは値が異なっていることがわかりました。 1分

計測風景1 設定値346㎝ 棚通路の幅の広さの計測風景 <高齢者層> <若年層> 240㎝ 330㎝ 60㎝ 設定値の妥当性を確認するために現状店舗の計測値と比較しました。 現状店舗は最も妥当性が確認出来ると思われる高齢者を対象としている東京都巣鴨商店街の店舗とそれに相対する若年層が集中する店舗を選択し、計測値の比較検討を行いました。 これは通路幅における棚通路の幅の広さの計測風景です。高齢者層集中店舗では下限値240㎝から上限値330cmまで計測し、若年層集中店舗では60㎝が計測されました。高齢者層集中店舗で計測された上限値330㎝が本研究で定めた346㎝に非常に近く、妥当であるといえます。 45秒 設定値346㎝ 棚通路の幅の広さの計測風景

計測風景2 設定値1125lx 照度(の明るさ)の計測風景 <若年層> <高齢者層> 1080lx 520lx これは照度における照度(の明るさ)の計測風景です。高齢者層集中店舗では1080lxを計測し、若年層集中店舗では520lxが計測されました。高齢者層集中店舗で計測された1080lxが本研究で定めた1125lxと同程度の値であり、妥当であるといえます。 35秒 設定値1125lx 照度(の明るさ)の計測風景

計測結果と比較検討  これは計測結果をまとめたものです。計測風景1、2から棚通路の幅の広さ、照度(の明るさ)については同程度、もしくは近い値をとり、妥当性が確認されましたがほかの項目について見ると、触れにくい高さは計測した店舗においての棚が160㎝以下であり、設定値の下限との値165cmに近く、表示の大きさは同程度の値、表示の背景と文字の色は同じ色の組み合わせとなり、設計により示した5項目の設定値全てが妥当であるといえました。 また、表示の大きさに関して若年層集中店舗の計測値が一番大きく、客層に関わらず現状店舗における表示は大きい傾向になっていることもわかりました。 (ここは値を指す)45秒

結論 高齢者特性を考慮した陳列に関して検討 研究成果 ①陳列において高齢者特性を考慮すべき陳列項目4項目を明確にした。「通路幅、照度、棚の高さ、表示」である。   またその陳列項目の中で、高齢者用基準設定値が必要である設定項目は「棚通路の幅の広さ、照度(の明るさ)、触れにくい高さ、表示の大きさ、表示の背景と文字の色」の5項目であり、それらの高齢者用基準設定値を示した。 ②その5項目の設定値について高齢者層集中店舗などにおいて検証を行った結果、妥当性を確認した。  本研究では、高齢者特性を考慮した小売店舗における陳列について、検討を行いました。  今回の研究の成果を報告します。 ①まず目的に対応した成果として・・・・・・ ②また・・・・ 最後に、高齢者にとって良い陳列を考えるには本研究のような工学的な研究法も有効だということがわかりました。  以上で発表終わります。ご清聴ありがとうございました。 1分