平成25年度むし歯予防対策事業 学齢期歯科保健講演会 フッ化物洗口による歯の健康づくり ~プクプクうがいでむし歯予防~ 熊本県歯科医師会
まず皆さんに認識していただきたいこと 熊本県は12歳児のむし歯数(DMFT)が2.6本 で全国ワースト2位になりました。 平成21年度文部科学省学校保健統計調査において 熊本県は12歳児のむし歯数(DMFT)が2.6本 で全国ワースト2位になりました。 *DMFTとは 未処置歯+そう失歯+処置歯の総和
新潟県では 歯科保健条例の制定は全国初 現在はほとんどの保育園・小中学校が実施 1970年 フッ化物洗口開始 1970年 フッ化物洗口開始 1974年 県議会に請願、県は検討会を設置しフッ化物利用によるむし歯予防の推進を推奨 平成22年度のフッ化物洗口の実績 保育園 864園中529園(61%) 小学校 529校中324校(61%) 中学校 247校中72校(29%) 歯科保健条例の制定は全国初 現在はほとんどの保育園・小中学校が実施
九州でもっともフッ化物洗口を 行っているのは佐賀県 平成になって、 佐賀県の3歳児のう蝕が、 全国ワースト1を長年続けている というマスコミ報道 そこから、県主体でのフッ化物塗布、 フッ化物洗口事業などが開始 今や九州ではダントツに!
12歳児の一人平均むし歯数の都道府県順位(文部科学省 学校保健統計調査) 12歳児の一人平均むし歯数の都道府県順位(文部科学省 学校保健統計調査) 新潟 熊本県 歯・および口腔の健康推進条例 を平成22年11月に発令! 全国平均 佐賀 熊本
新潟1位 佐賀同率4位 熊本ワースト5!
新潟相変わらず1位 佐賀同率3位 (23年は1.0 ⇒ 0.8 ) 熊本ワースト5! 九州は4県入っている! 全国平均1.1本 熊本 1.6本 新潟相変わらず1位 佐賀同率3位 (23年は1.0 ⇒ 0.8 ) 熊本ワースト5! 九州は4県入っている!
熊本県の児童生徒のむし歯の現状 むし歯のある者の割合は 年々減少していますが、依然として 小学校、中学校の時期を通して むし歯のある者の割合は 年々減少していますが、依然として 小学校、中学校の時期を通して 70%程度の児童生徒にむし歯が あります。 また、むし歯になるのは、そのほ とんどが小学校の時期です。 (平成21年度調査)
自然界に広く存在しています! フッ素はビタミン、ミネラルなどと同じ 必須栄養素です! 人間が生活していく上で 必要不可欠な元素です。 フッ素について・・・・ フッ素とはなんでしょう? 自然界に広く存在しています! フッ素はビタミン、ミネラルなどと同じ 必須栄養素です! 人間が生活していく上で 必要不可欠な元素です。
フッ素は自然界に広く存在しています 海 水・・・・・・・・1.3 ppm 地 中・・・・・・・280 ppm
フッ素の役割 ① 歯質の強化 ② 再石灰化の促進 ③ 抗菌作用
フッ素による再石灰化の促進 唾液による緩衝作用 カルシウム 脱灰 再石灰化 初期のむし歯の表面では、脱灰と再石灰化が繰り返されている フッ素は再石灰化を促進する
フッ素を利用したむし歯予防 ホーム・ケア プロフェッショナル・ケア パブリック・ケア 家庭でフッ素入り 歯磨き剤による歯磨き ホーム・ケア プロフェッショナル・ケア パブリック・ケア 家庭でフッ素入り 歯磨き剤による歯磨き 歯科医院でのフッ化物塗 布(2〜3ヶ月おき) 保育所、小中学校での 集団でのフッ化物洗口 (週1回または週5回)
フッ化物洗口の実際 フッ化物洗口液10mlを用い、1分間洗口する。 保育所・幼稚園児は、7ml 対象 洗口回数 フッ化ナトリウムの濃度 対象 洗口回数 フッ化ナトリウムの濃度 その中の フッ素濃度 10ml中に含まれるフッ素量 小・中学校 週一回 0.2% 0.09% (900ppm) 9mg 保育所・幼稚園 週五回 0.05% 0.0225% (225ppm) 2.25mg
フッ化物洗口の利点 方法が簡単で、むし歯の予防効果が大きい 4歳から14歳までの期間に行うことがむし歯予防 に最も効果的 方法が簡単で、むし歯の予防効果が大きい 4歳から14歳までの期間に行うことがむし歯予防 に最も効果的 費用対効果に優れている(比較的安価) 集団で行うことで教育的効果がある 歯ブラシの届かない奥歯の溝や歯と歯の間にも 効果を発揮する。
フッ化物洗口をなぜ集団で実施すると有効か?? う蝕は生活習慣病の一種。または社会的な疾患であること、社会全体として歯科疾患の予防を図っていくこと、歯科疾患を健康問題の一環として考えることが必要であることから、社会システムとして予防を図っていくことが重要です。 う蝕予防の社会的システムとして、効果的なむし歯予防方法を継続的に実施できる“集団によるフッ化物洗口”が推奨されており保育・教育施設でこれを導入することにより、地域全体の子ども達に平等な効果がもたらされることが期待できます。 また、科学的知識に基づき、自分の健康を守るために主体的に行動を起こすという教育的効果もあります。
フッ化物洗口は、保護者の責任において個人レベルで 実施すべきだ!あえて集団でする必要性はあるのか? 保護者の責任で個別実施で十分な成果が上がれば理想的。現実には各個人任せでは保護者の差によって同じ未来のある健全な子どもたちの歯の健康に差がでてくることをどう考えるかだと思います。 永久歯のう蝕予防にもっとも効果のある学童期に、できるだけ全ての子どもたちに対して予防する機会を平等に設けることが必要なのではないでしょうか? そのためには、教育的・組織的・環境的・経済的支援を有し、科学的にも証明されたう蝕予防である“集団でのフッ化物洗口”を実施するのは当然のことだと思います。
フッ化物洗口の安全性 (1) 適応年齢が適切であるか? 慢性中毒(歯のフッ素症*):歯の形成期(永久歯の歯 胚は出生後から3歳前後までの顎の骨にある)に、長 期間にわたって飲料水などからフッ素を摂取した場合 にみられる。したがって、適切に歯に直接作用させる フッ化物洗口(フッ化物配合歯磨剤、フッ化物歯面塗布 も同様)では起こりえない。なお、洗口可能な年齢のお 子さんは、既にエナメル質表面が完成しているので、 発生のリスクはない。 * いわゆる班状歯:特発性白斑、熱性疾患、薬物の長 期投与、エナメル質の脱灰、 歯のフッ素症など 60種類 以上の原因によってみられる紋様の総称をいう。 ⇒ 歯の審美的副作用
フッ化物洗口の安全性 (2) 洗口液量と使用法(濃度と回数)が適切であるか? 洗口液が間違っていないか? (確認を要する。) 洗口液が間違っていないか? (確認を要する。) 急性中毒(2 mg/kg):体重 20 kg の児童であれば、40 mg 以上を一度に摂取した場合に現れる急性症状。 週一回法 900 ppmの洗口液10 ml には 9 mgのフッ化物量。 約 4.4人分(44 ml 以上)の洗口液を一度に摂取すると急 性症状が現れる可能性がある。 吐き出した後に口に残るフッ化物量は、就学前の児童 で概ね10~12%。上記のケースでは 0.9~1.08 mgの フッ化物量。緑茶や紅茶の2~4杯に、自然に含まれる フッ化物量である。 (1,000 ppmフッ化物配合歯磨剤 1gの使用で 1 mgF)
年齢(ライフステージ)と場面に応じたフッ化物利用 フッ化物洗口は4歳から14歳が最も効果あり! (6歳臼歯が萌出する時が最も大切) * * * フッ化物応用:フッ化物溶液(100ppm)歯磨き、泡状歯磨剤、フッ化物スプレーなど 注:フッ化物洗口は集団応用か家庭応用かのいずれか一方を選択、その他のフッ化 物応用は複合応用が可能
フッ化物応用によるむし歯予防 全身応用 血液を介して,および歯の表面に作用して, 歯質を強化する。 ・水道水フロリデーション (水道水フッ化物濃度調整) ・食塩フロリデーション (フッ化物添加食塩) ・ミルクフロリデーション ・フッ化物錠剤・フッ化物液剤、フッ化物食品添加 局所応用 歯の表面に作用して歯質を強化する。 ・フッ化物歯面塗布 9,000 ppmF ・フッ化物洗口 (100)225 ~ 900 ppmF ・フッ化物配合歯磨剤 1,000 ppmF 以下
ミラノールやオラブリスの医薬品が使用可能となりました! う蝕予防フッ化物洗口剤 ミラノール顆粒11% う蝕予防フッ化物洗口剤 オラブリス洗口用顆粒11% ORA-BLISS Gargle Gran. 11
製品の治療学的・製剤学的特性 (1)溶解性が良好で、簡単に所定濃度のフッ化物洗口液が調製できる。 週1回法の用法及び用量の追加に関し、2004年11月に日本口腔衛生学会から「フッ化物洗口における薬物適応外使用に関する是正要望書」が厚生労働省に提出された。昭和薬品化工株式会社(他1社)は、用法及び用量に週1回法を追加することについて検討を行った結果、公表論文、診療指針及び総説等を取り纏め、平成11(1999)年2月1日付 研第4号、医薬審第104号 厚生労働省健康政策局研究開発振興課長・厚生労働省医薬安全局審査管理課長通知「適応外使用に関わる医療用医薬品の取扱いについて」の適用条件に該当すると判断し、臨床試験を新たに実施することなく、2012年9月に医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請し、2013年8月20日に承認され、週1回法(フッ化物イオン濃度としての900ppm)の用法及び用量が追加された。 製品の治療学的・製剤学的特性 (1)溶解性が良好で、簡単に所定濃度のフッ化物洗口液が調製できる。 (2) 分包量は1.5gとなっており、水の量を変えることで毎日法及び週1回 法 の洗口液が調製できる。 (3) 毎日法の場合、300mLに溶解すればフッ化ナトリウム濃度0.055% (フッ化物イオン濃度約250ppm)の洗口液に、また、167mLに溶解 すればフッ化ナトリウム濃度0.099%(フッ化物イオン濃度約450ppm) の洗口液が調製できるようになっている。 (4) 週1回法の場合83mLに溶解すれば、フッ化ナトリウム濃度0.199% (フッ化物イオン濃度約900ppm)の洗口液が調製できるようになって いる。
オラブリスもミラノールも・・・ ※ 使用上の注意を良くお読み下さい
図 九州・沖縄地区におけるフッ化物洗口実施 施設数と実施人数の推移(1992~2010年) 実施施設数 実施人数 九州・沖縄8 県合計1,623 施設 九州・沖縄8 県合計109,113 人 佐賀県 佐賀県 熊本県 熊本県 ‘92 ‘94 ‘96 ‘98 ‘00 ‘02 ‘04 ’06 ‘08 ‘10 ‘92 ‘94 ‘96 ‘98 ‘00 ‘02 ‘04 ’06 ‘08 ‘10 図 九州・沖縄地区におけるフッ化物洗口実施 施設数と実施人数の推移(1992~2010年) 1992年~2002年 : 日本むし歯予防フッ素推進会議調査 2004年, 2006年 : NPO法人日本むし歯予防フッ素推進会議調査 2008年, 2010年 : NPO法人日本むし歯予防フッ素推進会議 ・ WHO口腔保健協力センター ・ 財団法人8020推進財団共同調査
フッ化物洗口の実際 ① 保護者(PTA)、学校関係者等へ説明 ② 必要物品の購入 フッ化物洗口剤、ディスペンサー付ボトル等 ② 必要物品の購入 フッ化物洗口剤、ディスペンサー付ボトル等 ③ 保護者に実施希望の確認を行う ④ フッ化物洗口液の作成 ⑤ 実際の洗口を行う
①保護者、学校関係者への説明 今回のフッ化物洗口事業の主体は、市町村です。 これを、我々学校歯科医や学校薬剤師、先生方やPTAの皆様 と協力して進めていくことになります。 一部に負担をかけないために、周囲の協力が重要です。
②アンケートなどで 保護者に希望の 確認をする。
③フッ化物洗口液を作成する。 これは、学校歯科医、学校薬剤師の指示のもとで行います。 例:水道水で所定の線(適量)まで 入れ、次に、フッ化物洗口剤を ボトルの中へ入れ、ボトルを数 回振る! ここまで水を入れる!
フッ化物洗口の実施方法 洗口液の作成 1人1人に分注 洗口 後片付け 洗口後 歯科医師または薬剤師の指示のもと、実施担当者がフッ化物洗口剤を適量の水道水を入れたディスペンサーボトルに加え、数回振って溶かし、全員分の洗口液を作ります。 クラス担任等がコップに1人分ずつ分注します。(園児7ml、小・中学生10ml) 担任等の合図で一斉に洗口を開始します。洗口は少し下を向いて唇を閉じ、全歯面に行き渡るように強くブクブクうがいを1分間実施します。 後片付け 洗口後 保健委員等が、各教室で残った洗口液や器具の後片付けをします。 洗口が終了したら、洗口液を手洗いの流しに吐き出すか、コップに吐き出し、ポリバケツに集めて保健委員等やクラス担任が下水へ捨てます。
④実施にあたって(例) 保管場所から各教室へ 歯磨き終了後、流し台付近にて時間を計って1分間 洗口(放送で音楽を流す) 終了したら液廃棄 ボトル、コップなどを回収、保管場所へ 管理記録を付ける(必要あれば補充) (細かな廃棄法などは、地域によって違ってOKです)
管理方法について 常温保存可能 ただし、液交換の際は中は1回洗って乾燥。 紛失しない場所で保管(保健室など) ・人数(1回7ml、10ml)から消費量を予想して管理 ・管理ノートはつけて、連携機関(液配布または作成機関)へ 発注または 追加を行う。
廃棄処理について フッ化物洗口を実施している 小・中学校の排水中のフッ素濃度を測定しても、最高で0.2ppm
フッ化物洗口に関してのポイント 安全性の問題⇒洗口時は劇薬ではない。 決められた濃度で使用する限り問題ない。 管理方法の問題⇒安全管理上、事務室、職員室等の鍵の かかるキャビネット等に保管する。 手間(負担)の問題⇒先生だけでなく学校歯科医師も含め て、みんなで手分けして行うことが大 事。
反対意見も有ります!
ちゃんとした歯科医師の意見です!
主婦連合会から日本弁護士 連合会への意見書!
口腔衛生学会からの 答申書です・・読まれましたか?
平成25年9月21日(土) 熊日新聞より~
県議団の先生方も必死! 玉東小学校への視察・・・
お手間を取らせますが、 忙しさや利益のためではなく、 皆さんと一緒に子供の健康を第一に 考えて支援していきましょう! 今、大きく変わる世の中で、我々が出来ることは それほどありません。 だからこそ、なんとか少しの時間を割いて、 大きくこの町に貢献できることはないだろうか? これでこの町が良くなれば・・・・・、我々も頑張ります。
Thank you for hearing quietly