筑波研究学園都市での 1987‐90年の研究所平和宣言 元電子技術総合研究所 岡田安正
平和宣言を発した研究所 1987.4 電子技術総合研究所 1987.5 地質調査所 1987.6-7 農水省関係9機関 1987.4 電子技術総合研究所 1987.5 地質調査所 1987.6-7 農水省関係9機関 1987.8 気象研究所・高層気象台・気象測器工場 1987.12 公害資源研究所 1987.12 高エネルギー物理学研究所 1988.7 計量研究所 1990.11 予防衛生研究所
宣言運動の背景 1982 日本原子力研究所 1987.2 名古屋大学平和宣言 SDI開発に研究者を巻き込む意図 研究交流促進法;防衛庁を含む 1982 日本原子力研究所 1987.2 名古屋大学平和宣言 同3月、民社党、井上計参議院議員の敵視質問 SDI開発に研究者を巻き込む意図 研究交流促進法;防衛庁を含む 核兵器の開発と利用への科学者の反省 科学者の倫理観、科学者の権利 戦争への協力は科学者の倫理の最大の蹂躙 憲法9条をよりどころ
SDI (Strategic Defense Initiative) 研究 ソ連の大陸間弾道ミサイルを検知し、宇宙空間で迎撃する。 最先端技術(粒子線加速器、大出力レーザ、)の桁違いな高性能化 高性能検知器、情報処理、超伝導材料などの技術に注目 日本の参加を閣議決定(1986.9); マスコミで、電総研が名指しされる。
前夜 研究交流促進法(防衛庁研究者が加わる):反対署名に通産上層部から圧力 自衛隊の視察:基礎的研究と軍事研究の結合を狙う。 国家機密法制定の動き
電総研平和宣言(1987年4月15日) 電子技術総合研究所に働く我々は、科学技術の健全な発展を通じて世界の平和と人類の幸福に寄与するために、次の宣言を行う。 一、研究の健全な発展を阻害する秘密主義を排し、公開の原則を貫いた研究を行う。 一、内外の軍関係機関からの依頼・予算による研究、同機関に属する研究者との共同研究、研究協力は行わず、それらへの施設の提供を認めない。 一、軍事に利用・活用することを目的とする研究は行わず、研究を通じ恒久平和に寄与する ことを誓う。 (職員署名573名、85%)
電総研平和宣言への激励と攻撃 連帯する宣言運動による反撃 「さらに大きい国民への寄与」「心強く思った」「私たちも行動したい」「同じ技術屋として敬意を表したい」・・ 官邸筋,本省、右翼から圧力 内容には口出しできず。 学研労協の反撃:傘下研究所組合でも平和宣言
研究所が戦争に巻き込まれたことを改めて想起 「科学総力戦」というスローガンで、原爆開発も 戦争では、すべての研究所が動員された。 生物化学兵器、人体実験、原爆被爆者の調査、気象予報の中止、地質図幅調査の廃止、占領地域への派遣、・・・
憲法9条が後ろ盾 民生用技術開発:半導体、精密機械等の発展 公開性、多数の消費者:歩留まりの向上、安全性の向上
古今東西を問わず、その時代の最先端技術は戦争に動員されてきた。 しかしながら、それによって、安定した平和は決して訪れてこなかった。 兵器の近代化に伴って戦争で死ぬ市民の割合は増加の一途をたどっている。 第一次世界大戦(1914-18):5% 第二次世界大戦(1939-45):50% ベトナム戦争(1960-75):70% 本質は、いつも人間性を踏みにじってきた.
今なら、遅くない 軍事研究を押し付けようとする勢力に、“期待”を抱かせなくした。 “機密研究”で縛られた暗い職場にさせない力 まだ、今なら遅くない。科学者の良心の声を上げよう。