山崎川の魚類の 生息環境からみる河づくり 都市社会工学科 22117009 加藤顕成.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
生物統計学・第 4 回 比べる準備をする 平均、分散、標準偏差、標準誤差、標準 化 2015 年 10 月 20 日 生命環境科学域 応用生命科学類 尾形 善之.
Advertisements

日本近海におけるホシササノハベラの 遺伝的分化の解析 保全生態学研究室 川瀬 渡 2006 年 2 月 21 日 -日本沿岸域の環境保全のために-
水と命のゆりかごづくり ~十勝川中流部における湿地造成実験 ~ 水と命のゆりかごづくり ~十勝川中流部における湿地造成実験 ~ 発表番号: B- 19 北海道帯広農業高等学校 農業土木工学科3年 林 凌太.
模型を用いたジェットコターの 力学的原理の検討 06522 住友美香 06534 秦野夏希. 平成22年度 卒業研究発表 山田研究室 研究目的 ジェットコースターのコースは、どのような計算に 基づいて作られているのか、研究を通じて理解し、 計算を用いた模型製作を行う。
企画書作成ソフトウェアの開発 佐々木研究室 05k1134 吉村祥平.
3次元nクイーン問題の 解に関する研究 論理工学研究室 伊藤精一
庄内川の水生生物グル-プ 田中 志輝 羽角 菜名子 宮堂 朱里 前田 順一 林 友里香 津田 貴弘
高度情報演習1A “テーマC” 実践 画像処理プログラミング 〜画像認識とCGによる画像生成〜 第四回 演習課題 画像中からの物体抽出処理(背景情報を手がかりとして) 芝浦工業大学 工学部 情報工学科 青木 義満 2006/05/15.
TCPコネクションの分割 によるスループットの向上
配偶者選択による グッピー(Poecilia reticulata)の カラーパターンの進化 :野外集団を用いた研究
GPSを用いた行動分析の在り方 Analysis of park arrangement using GPS.
河川工学 -河川環境- 昼間コース 選択一群 2単位 朝位
ビオトープ造成事業後の 環境評価に関する研究 〜地表性昆虫の多様性を用いて〜
外来種問題の真実 新潟53PickUP実行委員会.
外来植物の侵入・拡大モデル 都市社会工学科 保全生態学研究室  秋江 佳弘.
より多くの人に糖尿病予防の生活指導ができるように
SD法による 公園型ビオトープの景観評価 岩崎祥吾
来客者数に与える気温と降水量の影響に関する研究
経済統計 第三回 5/1 Business Statistics
イシガイ類幼生の魚類への寄生状況 魚類を介した移動に関する研究
群集における撹乱の効果(非平衡理論).
山口市における ヒートアイランド現象の解析
No. 1 外来生物の影響と対策 熊本野生生物研究会・熊本市立千原台高校 坂田拓司.
資源の空間的不均一性がプランクトン群集の共存に与える影響: 格子モデルシミュレーションによる予測
LCAを用いたパレット運用における総合的な環境影響に関する研究
北上川の自然とそのとらえ方  北上川の自然環境を全体的に把握するために、北上川の各場所の植生と、物理的条件のデー タを整理して、北上川の環境を区分しました。  川の形(狭くて深い、広くて浅いなど)によって、冠水頻度(洪水などによって水に浸る頻度)の違う場所ができ、その違いによって、土壌の水分条件も変わり、生育する植物が決まります(図1)。さらに、それらの植物をすみかとして好む生き物も少しずつ変わります。
生産環境整備学講座 灌漑排水学研究室 石井沙智子
ビオトープ水田における プランクトン相の特徴
ビオトープ造成事業後の環境評価に関する研究
オオクチバス・ブルーギルの生息場所に 水の透視度が及ぼす影響
個体識別したオオサンショウウオの 行動の追跡による生態解明
中間発表 アリの王国更新 金華山の写真整理 柏崎 奈々 中間発表を始めます。
地表性昆虫を用いた都市緑化地域の評価 18214020 菱田 啓.
福岡市内の公共用水域におけるLASの調査結果について
徳山ダム建設が タコノアシ個体群に及ぼす影響
ヤマトシジミによる 木曽三川汽水域における生息地評価
IVR 設定例 Ver.8 自動音声(IVR)設定の具体例を記載しています。 IVRの設定の際にお役立て下さい。
生き物・・動物、植物、び生物などを命あるものすべて
グローバル人材に求めること グローバル人材セミナー(京都第1回) (もしくは求められるであろうこと) 2012年3月22日
ビオトープ水田内の環境変化が 淡水魚に与える影響
静岡大学システム工学科 前田研究室4年 50113006 阿部 茂晴
1.田んぼ(棚田)の多面的な役割り 「生態系サービス」
C言語を用いたシューティング ゲームの作成
MPIを用いた最適な分散処理 情報論理工学研究室 角 仁志
絶滅危惧種サギソウの遺伝的分化 保全生態学研究室   鈴木雅之.
色彩土のうによる発芽促進の相違, 及び植生土のう,普通土のうを用いた 緑化の長期経過報告 UC  15119630  宮嶋拓哉.
日本の帰化生物の課題 湖南市立日枝中学校        元   義隆.
イノシシの被害地域と 土地利用との関係について ~島根県中山間地域研究センターを事例に~
環境配慮型水路における   魚類の好適生息環境の検討 水利環境学研究室 塚本敏博.
深層学習を用いた音声認識システム 工学部 電気電子工学科 白井研究室 T213069 林健吉.
ビールゲーム そこにみる、流通のプロセス。 5班.
4人版リバーシYoninの解析 情報論理研究室 藤本 侑花
高度情報演習1A “テーマC” 実践 画像処理プログラミング 第六回 最終課題 画像処理による動物体自動抽出、モーションキャプチャ
リモートセンシングデータによる佐鳴湖汚濁状況の把握
C09010 国枝 周栄 C09011 倉尾 高弘 C09018 寺田 直司 C09026 山本 竜也 C09023 町田憲太郎
シラタマホシクサの地域文化の検証とフェノロジーの年変動
自然・環境ブック 新潟県 良好な水質の確保 <内容> ・水質ってなんだろう? 2ページ ・水質はどうやって確認しているの? 7ページ
4章 開水路における不等流(2) 漸変流 4-1漸変流とは ① 断面形状や底面形状が緩やかに変わる流れ。
DNSクエリーパターンを用いたOSの推定
40歳未満にも メタボリックシンドローム基準の適用を
魚道について.
BASUMO大作戦 D班:斎藤、下村、御簾納、山崎.
C9 石橋を叩いて渡るか? ~システムに対する信頼度評価~
水田地帯における 小型魚類の分布状況と 環境要因について
生物学 第18回 どうして地球上には多様な生物が 生息しているのか 和田 勝.
環境配慮型水田におけるイシガイ類の生息域及び 水管理による成長量の違い
Water Quality Problems in Reservoirs and Rivers
IVR 設定例 Ver.8 自動音声(IVR)設定の具体例を記載しています。 IVRの設定の際にお役立て下さい。
北川源流部・狭山公園「宅部池」のかいぼり
C09010 国枝 周栄 C09011 倉尾 高弘 C09018 寺田 直司 C09026 山本 竜也 C09022 町田憲太郎
Presentation transcript:

山崎川の魚類の 生息環境からみる河づくり 都市社会工学科 22117009 加藤顕成

背景 目的 調査概要 解析方法 結果・考察 まとめ 目次 背景 目的 調査概要 解析方法 結果・考察 まとめ

背景 近年,多自然河川工法が多くの河川づくりで取り入れられてきた.名古屋市を流れる山崎川でも巨石を配置したり,河岸を変化させたりする工法が取り入れられている. 植物の植生から多自然河川を評価する論文は出ているが,魚類の生息から多自然河川を評価しているものは少ない. 多自然河川工法が施されている山崎川の魚類の個体数を調査し,多自然河川工法がどれくらい役割を果たしているかを明らかにする

目的  山崎川の上流域から中流域にかけて魚類の多様性が季節的にどのように変動するのかについて調べ,多自然川づくりとの関係について検討する.

調査概要 対象河川・・・山崎川 調査地点・・・下の写真の9ヶ所 調査期間・・・H25.6/10~11/22 調査頻度・・・各調査地点月一回 多自然河川工法が取り入れられている山崎川

調査概要 捕獲調査 環境調査 流速 水深 遮蔽率 現地調査・・・各区間内で魚類捕獲調査,環境調査 ガサガサ調査 縦5m×横5mに分割 左の写真をご覧ください 区画に分割 今回環境調査の結果は使わず,捕獲調査により得た結果について発表 遮蔽率 対象区画を1としてその水面が隠れている割合. 1区画 5m 約5m

結果 種類/月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 合計 オイカワ 486 6 1318 4085 2406 1202 9503 カダヤシ 152 490 227 516 565 1105 3055 ギンブナ 9 4 2 15 コイ 30 58 71 41 1 201 スミウキゴリ 132 64 35 34 40 320 トウヨシノボリ 5 8 ドジョウ 16 36 17 45 42 46 202 ヌマチチブ 10 3 14 ブルーギル 7 11 メダカ タモロコ ゴクラクマハゼ モツゴ 32 831 683 1699 4752 3064 2377 13406 素早く流す 13種13406匹ポイントアピール

解析方法 D=1- ・種数 ・Simpsonの多様度指数D Sは群集に含まれる種の数 Piは種i の個体数が,群集の全個体数 に占める割合である. 2個体を選んだときに異なる種となる確率 個体数を考慮している 多様性をみるにあたっての解析方法は 各区画ごとに種数と多様度指数Dを算出. 各区画ごとに色分けを行って、分布図を作成する.

結果・考察 始めに上流から中流域にかけてみていきます.

分布図 種数 St.1,2,3 3:大岩 1 6月 7月 8月 9月 10月 11月 上流 下流 2:川岸に草が多い 種数 1 2 3 4 分布図 上に書いてある番号調査地番号 縦に月順に並べた 色が濃いほど種数が多い. 川は画面向かって左から右へ上流から下流 10月 11月 上流 下流 種数 1 2 3 4 5 6

分布図 Simpsonの多様度指数D St.1,2,3 3:大岩 6月 7月 8月 9月 10月 11月 上流 下流 1 2:河岸に草が多い 8月を除いて2は多様性が高い 8月の多様性が低いのは,川岸がコンクリートのため水温が上がり別の場所へ魚類が移動したからだと考えられる. 1 11月 上流 下流 D  (0<D<1)  0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

河岸に草が多く,魚の隠れ場所がある

大岩が多く多自然川づくりが施されているが, 10月,11月の多様性が0 分布図 Simpsonの多様度指数D St.1,2,3 1 2:河岸に草が多い 3:大岩 6月 7月 8月 9月 大岩が多く多自然川づくりが施されているが, 10月,11月の多様性が0 10月 色が濃い方が多様性が高い 3は10月,11月の多様性が0 多様性は季節ごとに変化しているといえる. 11月 上流 下流 D  (0<D<1)  0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

分布図 種数 St.4,5,6 4 5:流れが緩やか 6 6月 7月 8月 9月 10月 11月 上流 下流 種数 1 2 3 4 5 6

分布図 Simpsonの多様度指数D St.4,5,6 6月 7月 8月 9月 10月 11月 上流 下流 4 5:流れが緩やか 6 D D  (0<D<1)  0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

9月に産卵時期を迎える魚類が多い. 流れが緩やかで稚魚が多い. 魚類にとっては緩やかな箇所も必要. 9地点の中でもっとも流れが緩やか 9月はオイカワ,カダヤシ,カラドジョウの産卵時期で,稚魚は流れの早いところでは生息できないため このような流れの緩やかな地点に集まったと考えられる. そして,翌月には上流下流へと散っていった. 9月に産卵時期を迎える魚類が多い. 流れが緩やかで稚魚が多い. 魚類にとっては緩やかな箇所も必要.

分布図 種数 St.7,8,9 9 7:流速速い 8 6月 7月 8月 9月 10月 11月 種数 1 2 3 4 5 6 上流 下流

分布図 Simpsonの多様度指数D St.7,8,9 7:流速速い 8 9 6月 7月 8月 9月 6~8月に比べ9~11月の方が多様性が高い. 秋に流速が速いところに餌を求めて魚類が集まるからだと考えられる. 10月 魚類の多様性を高めるには,流速の速い箇所もひつようである. 11月 上流 下流 D  (0<D<1)  0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

まとめ 多様性を高くするには,生き物が隠れる場所を用意することが大事. 幅広い流速環境の創出が魚類の多様性を高めることにつながる. まとめ  多様性を高くするには,生き物が隠れる場所を用意することが大事. 幅広い流速環境の創出が魚類の多様性を高めることにつながる.   来年度以降も調査を続けることによって,より魚類の多様性の高い多自然川づくりを目指すことができる.

ご清聴ありがとうございました

種類/月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 合計 オイカワ 486 6 1318 4085 2406 1202 9503 カダヤシ 152 490 227 516 565 1105 3055 ギンブナ 9 4 2 15 コイ 30 58 71 41 1 201 スミウキゴリ 132 64 35 34 40 320 トウヨシノボリ 5 8 ドジョウ 16 36 17 45 42 46 202 ヌマチチブ 10 3 14 ブルーギル 7 11 メダカ タモロコ ゴクラクマハゼ モツゴ 32 スジエビ 60 259 303 797 1419 ヌマエビ 90 85 55 235 ミゾレヌマエビ 26 43 74 75 218 テナガエビ 28 50 ザリガニ スッポン 13 ヤゴ 18 22 87 タニシ アカミミガメ イシガメ オタマジャクシ 947 1152 2205 5722 3064 2377 15467 種数 20 24 結果 全24種,15467匹の個体数を捕獲した. そのうち,魚のみの場合13種,13406匹.その他の個体(エビなど魚以外)は11種,2061匹であった. なお,10月11月は魚のみのデータしかとっていない.