<地域生活(知的精神)(生活訓練・GH・CH)> サービス管理責任者研修テキスト 分野別演習 「サービス提供プロセス の管理に関する演習」 <地域生活(知的精神)(生活訓練・GH・CH)> 平成22年9月9日・10日
サービス提供プロセスの管理の実際(分野別演習) (目 次) 1.演習のねらい、内容、実施方法 2.演習講師一覧 3.演習1:サービス提供プロセスの管理の実際(アセスメントと個別支援計画の作成) (1)アセスメントの実施と課題の整理 (2)時間軸に配慮した到達目標を含む個別支援計画の作成 4.演習2:サービス提供プロセスの管理の実際(中間評価と計画修正) (1)中間評価と計画修正の演習のガイダンス (2)演習事例の情報提供、変更要因の検討(モニタリング) (3)個別支援会議のロールプレイ演習 (4)個別支援計画の修正 5.演習3:マネジメントの実際(サービス管理責任者の役割と業務の検討) (1)サービス提供者への指導助言(サービス提供プロセス全般の評価) (2)サービス管理責任者の業務整理 (3)関係機関との連携 (4)サービス管理責任者の役割と業務の総括 6.参考資料
1.演習のねらい、内容、実施方法
分野別演習のねらい ・サービス提供プロセス全般の流れ(手順)について、事例を活用しながら検証す る。 ・アセスメント、目標設定、個別支援計画の作成、モニタリングや評価による支援 方針の変更などに関する具体的な技術を習得する。 ・サービス提供職員への助言や指導のあり方を理解し、指導・助言の方法を学ぶ。 (1) 研修受講者全員が主体的に参加する。 (2) 多様な職種の受講者間での意見交換により幅広い視点を持つ。 (3) グループごとの結論を導くための協働作業を展開する。 (4) 司会進行、記録、発表等の役割を分担して担う。 (5) 効果的なプレゼンテーション技術を学ぶ。 (6) 他者への助言をする者としての配慮や深い洞察力を養う。
分野別演習の内容 ○「サービス提供プロセスの管理の実際 :事例研究①」 ※ 標準的なサービス提供のプロセスに沿って支援が実施された分野別の事例に基づき、支援方針 の基本的な方向性やサービス内容を左右する利用者像の把握や目標設定などの事項に重点を置 いて演習を展開する。 ・正確な利用者像の把握のために必要となるアセスメントの実際について検討 ・時間軸の設定(標準的な支援モデルを参考に達成に要する期間を設定) ・短期目標や到達すべき目標(ゴール)などの段階的な目標設定の必要性 ○「サービス提供プロセスの管理の実際 :事例研究②」 ※ 事例研究①と同様に、障害内容等の異なるより困難な事例を用いて、アセスメント結果がすでに 明らかとなっている状況から正確な個別支援計画を作成、修正出来るかといった観点から演習を展 開する。 ・アセスメント結果に基づき、正確な個別支援計画書を作成 ・サービス開始後のモニタリング結果を踏まえ、個別支援計画書を適切に修正 ・次のステージへの移行も想定した終了時評価の実施 ○「サービス内容のチェックとマネジメントの実際」 ※ 個別支援計画の作成に係る会議をシミュレーションし、サービス管理責任者としてサービス提供者 が展開する様々なサービス内容をチェックし、支援チームに対するマネジメントの方法について演 習する。
個別支援計画作成のアセスメントや到達目標の設定などに重点 演 習 の 展 開 イ メ ー ジ ・各演習では、事例を用いながらサービス提供プロセス全般を扱う。 ・各演習では、プロセスのどこにウェイトを置くか、演習課題の難易度の設定、事例を検証する際の視点など、事例を取り扱うことをとおして知識や技術を学ぶ。 一連のサービス提供プロセス 2日目午後 演習1 演習用事例1 個別支援計画作成のアセスメントや到達目標の設定などに重点 4時間 重点部分 難易度アップ 3日目午前 演習2 アセスメント後の個別支援計画の策定や計画の変更・修正に重点 重点部分 演習用事例2 3時間 3日目午後 演習3 事例1と2を通じ、サービス提供者が展開する様々なサービス内容のチェックとサービス管理責任者の役割の確認 3時間
演 習 の 実 施 方 法 (1)グループに分かれて実施 研修者を6人程度のグループに分けて実施。 演 習 の 実 施 方 法 (1)グループに分かれて実施 研修者を6人程度のグループに分けて実施。 メンバー構成は、出身地、職種などにより偏りがでないように事前に組み分けする(幅広い視点を養う観点から演習ごとにメンバーを組み直して良い)。 また、各グループでは、演習ごとに司会進行、記録、発表の担当者を決める。 (2)演習方式 研修参加者全員が参加意識をもち、相互の意見交換により効率的に研修効果を挙げるよう小グループで検討するバズセッション方式を基本とする。 展開に応じて個別支援会議のロールプレイを取り入れる。 (3)演習スタッフ 講師となる演習スタッフは、全体進行と助言を担当する統括する演習リーダー1名、サブリーダー1名、会場内で各グループに対する助言などサポートを担当する者(ファシリテーター)を配置する。 (4)プレゼンターションと全体総括 各演習とも、途中で1~2回の全体発表(プレゼンテーション)を実施し、グループ間での意見交換と演習リーダーからの助言に基づいて総括を行う。
分野別(知的・精神)の研修のポイント (アセスメント等) ○ 病院や施設からの地域生活移行に伴う不安を理解し、漠然とした本人の目指す暮らしを具体 化し、実現可能なニーズとして確定する必要がある。 → 地域で暮らしたい(GH・CHで暮らしたい、一人暮らししたい)希望を全体像の中から聴き 取り受け止めるアセスメント方法を理解する演習内容とする。 (地域生活移行後を意識した取組) ○ 本人が地域生活を営むため、基礎的な暮らしの力(体力、マナー、生活習慣など)を獲得し、 地域の社会資源(人や組織)と社会的関係を結ぶことができるよう支援することが重要である。 地域生活への移行を最終ゴールとするのではなく、地域社会の中で本人が社会的関係を構築 し、エンパワメントがはかれるような支援計画を作成する必要がある。 → 自立訓練の支援プロセスを踏まえ、GH・CHでの暮らしや一人暮らしに向けた支援計画 において、地域生活移行後を意識した内容となるような演習内容とする。 (権利擁護の視点) ○ 地域での暮らしでは権利侵害を受けないための継続したモニタリングが必要である。 → 地域生活支援における権利侵害事例を通して、GH・CHや自立訓練の場におけるモニタ リング、相談支援専門員との連携、関係機関との連携の重要性について理解を深める。
分野別(知的・精神)の演習プログラム ○「サービス提供プロセスの管理の実際 :事例研究①」 ※事例①に基づき、計画を作成するための支援課題の整理について重点をおいて演習を展開する。 (1)アセスメントの実施と課題の整理 (2)時間軸に配慮した到達目標を含む個別支援計画の作成 ○「サービス提供プロセスの管理の実際 :事例研究②」 ※事例②に変更要因を再アセスメントし、以下の項目に重点を置いて演習を展開。モニタリングにより、個別支 援会議のロールプレイ演習を行い、個別支援計画の修正を行う。 (1)中間評価と計画修正の演習のガイダンス (2)演習事例の情報提供、変更要因の検討(モニタリング) (3)個別支援会議のロールプレイ演習 (4)個別支援計画の修正 ○「サービス内容のチェックとマネジメントの実際」 ※事例①、事例②を通して、サービス提供プロセス全般におけるサービス提供者への指導助言などのマネジ メント方法について演習する。更に、関係機関との連携(地域自立支援協議会への参画)等、サービス管理 責任者の業務、役割について再確認し、演習を総括する。 (1)サービス提供者への指導助言(サービス提供プロセス全般の評価) (2)サービス管理責任者の業務整理 (3)関係機関との連携 (4)サービス管理責任者の役割と業務の総括
2.演習講師一覧
演習講師一覧 氏 名 所 属 役 職 演習の役割 山田 優 長野県社会福祉事業団 ほっとワークスGHCHセンター アドバイザー 氏 名 所 属 役 職 演習の役割 山田 優 長野県社会福祉事業団 ほっとワークスGHCHセンター アドバイザー リーダー(統括) ファシリテーター 荒井 隆一 社会福祉法人ロザリオの聖母会 グループホーム支援セ ンター 所長 伊藤 未知代 横浜市総合保健医療センター 地域精神保健課生活訓練係 生活訓練係長 サービス管理責任者 岩上 洋一 特定非営利活動法人じりつ 埼葛北障がい者生活支援センターふれんだむ 管理者 遠藤 紫乃 特定非営利活動法人ほっとハート サービス管理責任者 山崎 千恵美 社会福祉法人札幌この実会 センター24 施設長 仁田坂 和夫 社会福祉法人東京都知的障害者育成会 すだちの里 工藤 一恵 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課 地域移行支援専門官 サポーター 高原 伸幸 厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 障害福祉課 障害福祉専門官
3.演習1:サービス提供プロセスの管理の実際(アセスメントと個別支援計画の作成)
演習1:サービス提供プロセスの管理の実際 事例研究①(アセスメント編) 〔4h〕 《獲得目標》 アセスメントや個別支援計画の作成に関する知識と技術を習得する。 《内 容》 受講者には、事前課題として、事例①の概要を読み込んだ上で、「支援のための課題整理」を課す(指定様式)。グループ内でその共有を図るとともに、個別支援計画の作成のための演習を行う。 《研修企画運営のポイント》 □ 事前課題の事例選定等、十分な準備を行い実施する。 □ 演習1の目的・手順を明確にして演習に入る。 □ 本人の状態やニーズの把握というアセスメントと支援の課題整理に演習の力点を 置く。 □ 個別支援計画の作成には、十分なアセスメントと支援の課題整理が必要であるこ とを明確にする。 □ 演習がスムースに進行出来るよう、アイスブレイクも疎かにしない。
演習1 「サービス提供プロセスの管理の実際 :事例研究①」 (アセスメント編) 演習1 「サービス提供プロセスの管理の実際 :事例研究①」 (アセスメント編) 4 時 間 13:10 13:25 14:30 15:05 16:30 17:00 17:30 (1) (2) (3) (4) (5) (6) 休憩(10分) 休憩(10分) ガイダンス 演習① ガイダンス 演習② 個別支援計画の作成 全体発表と 意見交換、 演習1の総括 事例把握と 変更要因の確定 課題の整理の 共有化 ○企画運営のオリエンテーション ○分野別演習の説明 ○支援上の課題をグループ内で共有 ○事前課題の発表 ○役割分担 ○アイスブレイク ○到達目標の検討 ○支援内容の検討 ○支援目標の検討 ○グループ内で個別支援計画を作成 ○スーパーバイズ ○意見交換 ○全体発表 ○演習事例②の概要説明 ○演習②の説明 ○ロールプレイの配役確認 ○変更要因の検討
演習事例① 課題の整理 皆さんは、自立訓練(生活訓練)事業所のサービス管理責任者です。来週、B相談支援事業所によるサービス担当者会議(個別支援会議)に参加するにあたり、事例概要及びアセスメント表をもとに、課題の整理を行ってください。
課題の整理表 № 記入様式 1 グループ 利用者名 さん 意向等ニーズの把握 初期状態の評価 (利用者の状況 ・環境の状況) 記入様式 1 課題の整理表 グループ 利用者名 さん № 意向等ニーズの把握 初期状態の評価 (利用者の状況 ・環境の状況) 支援者の気になること ・推測できること (事例の強み・可能性) 解決すべき課題
課題整理の目的 具体的指導のポイント 課題整理のポイント 利用者の意向に沿っているか 人生の一部分としてとらえているか 全体像をとらえているか 多面的にとらえているか 複数の立場、職種の意見が反映されているか 課題は検証可能か
課題整理の記入についての工夫 事例研究①では、(1)アセスメントの実施と課題の整理 (2)時間軸に配慮した到達目標を含む個別支援計画の作成が目的である。 都道府県の研修では、ケアマネジメントのアセスメント、課題整理、ご本人の希望に即した個別支援計画の作成について、再確認する機会となる。 全体像の把握(要約)は記入様式に示していないが、全体像の把握、要約の有効性を確認するため、以下の要領を参考にして記入すると、その差異が確認出来る。 アセスメントでは、できることとできないことをチェックしているうちに、ご本人の全体像がぼやけてしまうことがある。⇒アセスメントを100字程度で要約してみる。 ご本人の意向等のニーズを、一つひとつ整理しながらも、支援課題を全体的に整理する。⇒全体像の把握のために、課題整理表のニーズごとの横線を省いた。 ご本人の能力、家族、インフォーマルな支援等の状況等は、利用者の状況、環境の状況に整理する。 支援者の気になることや推測できることには、ご本人の強さ、可能性、揺れ具合も含めた見立てとして整理する。 支援者の見立てのうえで、ご本人の希望に即した支援を行うためには、もう一度、ご本人の全体像を確認する。⇒「○○さんって、どんな人」ということを、100字程度でまとめてみる(箇条書きでも可)。 ご本人の全体像をふまえて、ご本人の希望に即した支援を行うための解決すべき課題を整理する。
個別支援計画 利用者名 作成年月日: 年 月 日 グループ 総合的な支援方針 記入様式 ○到達目標 長期(内容、期間等) 記入様式 個別支援計画 グループ 利用者名 作成年月日: 年 月 日 ○到達目標 長期(内容、期間等) 短期(内容、期間等) ○具体的な到達目標及び支援計画等 項 目 具体的な 到達目標 支援内容 (内容・留意点等) 支援期間 (頻度・時間・期間等) サービス提供機関 (提供者・担当者等) 優先順位 総合的な支援方針 平成 年 月 日 利用者氏名 印 サービス管理責任者 印
計画作成のポイント サービス利用計画に基づき個別支援計画を作る 本人のニーズがきちんと反映されているか?支援者側の押し付けになっていないか? 本人を中心とした計画を、本人と一緒に作っていく過程こそが大切 →自分の支援計画をラフスケッチする力をつける →自分の人生に責任を持つという視点 本人が分かりやすい言葉で書く 支援内容を抽象的な言葉でごまかさない(安定した生活、楽しい暮らし、薬がちゃんと飲めるように・・・etc) 具体的な目標、期間を設定する。数量化出来るように努める。 →定期的に評価を行う 小さなステップを踏むような計画になっているか 本人が出来ることは、やらない 分野別講義テキスト(サービスの提供のポイント・サービス管理プロセスの実際)を参照
演習事例② 個別支援計画の変更修正 計画変更の要因を各グループで設定して支援計画修正変更会議を開催します。 演習事例② 個別支援計画の変更修正 計画変更の要因を各グループで設定して支援計画修正変更会議を開催します。 ① 本人を取り巻く様々な事業所を招集してサービス利用計画修正変更の支援会議が開催されます。それぞれの役割でロールプレイを行ってください ② 支援会議の結果をGHに持ち帰り、サービス管理責任者として個別支援計画の変更修正にむけた検討を行うロールプレイを行ってください。
サービス提供機関 (提供者・担当者・摘要等) 私のくらしサービス利用計画表 利用者氏名: 記入年月日 / / 到達目標 (1)長期(内容及び期間等) (2)短期(内容及び期間等) ご本人の希望(ニーズ)及び支援計画等 ニーズ 支援内容 (内容・留意点等) 支援期間 (頻度・時間・期間等) サービス提供機関 (提供者・担当者・摘要等) 優先 順位
4.演習2:サービス提供プロセスの管理の実際 (中間評価と計画修正)
演習2:サービス提供プロセスの管理の実際 事例研究②(個別支援計画編) 〔3h〕 《獲得目標》 個別支援計画の中間評価(モニタリング)を行い、個別支援会議の運営、個別支援計画の修正 に関する知識と技術を習得する。 《内 容》 事例2を使用して、グループ毎に変更要因を検討し、演習3で行うはずの模擬会議をロールプ レイ方式で行い、本人や環境の変化等に対応した個別支援計画の修正のポイントを明確にす る。あわせて、サービス提供職員への指導助言のポイントを明示する。 《研修企画運営のポイント》 □ 事例選定、必要な参考資料等、十分な準備を行い実施する。 □ 演習2の目的・手順を明確にして演習に入る。 □ 新たな事例②を使用して各グループで検討する変更要因の例を予め想定して、必 要な指導ポイントを確認しておく。 □ 個別支援会議のロールプレイ方式による演習方法、手順を別添資料として用意し、 必要な時間配分と時間管理を行う。 ※ カリキュラムでは模擬会議は演習3で行うこととなっているが、演習2を効果的に実施 するため、模擬会議のロールプレイ後の支援計画修正の演習とした。
演習2 「サービス提供プロセスの管理の実際 :事例研究②」 (個別支援計画編) 演習2 「サービス提供プロセスの管理の実際 :事例研究②」 (個別支援計画編) 3(2)時 間 8:30 8:40 10:00 10:30 11:35 (1) (2) (3) (4) ロールプレイ講義 演習3 (サービス管理責任者の業務整理) ロールプレイ 演習①② 個別支援計画の変更修正 ○ロールプレイ演習の目的、方法に関する講義 ○変更要因の確認(情報整理) ○個別支援会議のロールプレイ ○サービス管理責任者の役割確認 ○サービス担当者会議のロールプレイ ○到達目標の検討 ○支援内容の検討 ○支援目標の検討 ○グループ内で個別支援計画の修正 ○関係機関との連携 ○サービス管理責任者の業務整理 ○演習3ガイダンス
サービス管理責任者による個別支援計画(生活プラン) ロールプレイの基礎資料 サービス管理責任者のつながる支援と深める支援を学ぶ つながる支援 ・サービス管理責任者は、相談支援専門員等と連携して、個別支援の課題を解決するためのチームをつくり、地域でサポートするためのネットワークを組織する。相談支援専門員によるサービス担当者会議に参加する。 サービス担当者会議 市町村 サビ管(GH) 親戚 精神科病院 ピアサポート サビ管 (生活訓練) 本人 相談支援 専門員 生活訓練職員 相談支援専門員によるサービス利用計画は、トータルプラン 個別支援会議 深める支援 ・サービス管理責任者は、サービス利用計画をもとに、事業所内でケア会議を開き、個別支援計画(生活プラン)の見直しを行う。 親戚 サビ管 (GH) 本人 世話人 世話人 世話人 相談支援 専門員 サービス管理責任者による個別支援計画(生活プラン)
ロールプレイについて(概 要) 1.ロールプレイとは 2.ロールプレイのメリット 3.ロールプレイの方法 ロールプレイについて(概 要) 1.ロールプレイとは ○現実に起こる場面を想定して、複数の人がそれぞれ役を演じ、疑似体験を通じて、ある 事柄が実際に起こったときに適切に対応できるようにする学習方法の一つである。 ○学習者は、役割を演じなければならないが、演じ方はたいてい演者の自由である。 ○対人関係や態度・行動を通して行われる学習に用いられる。 2.ロールプレイのメリット ○意志決定過程にみられるような物事のプロセスについて学ぶ可能性が高くなる。 3.ロールプレイの方法 1)事前準備 ○シナリオ:準備の段階でシナリオを作成するか、役割だけを決めて自由に行うか、目的 によって決定する。 ○時間:決まっているわけではない ○オリエンテーション:実施する前に学習者にその目的を十分に説明する。 2)実施 ○実施中にロールプレイをビデオに録画しておけば、後で見直すことができる。 3)フィードバック ○ロールプレイ終了後、気づきや学びを話し合うことで、学習を深め、広げることが大切 参考:ウィキペディアフリー百科事典
ロールプレイ(ロールプレイイング)の目的 ロールプレイ(ロールプレイイング)の目的 日常生活の中で、人は必ず様々な役割を背負って暮らしていることを考えますと、人生はまさにドラマと言えます。その中で、常に同じような役割ばかりをこなしていますと、新たな人間関係を作り出すことは大変難しくなります。 ロールプレイとは、参加者が自由な雰囲気の中で、あるテーマについて即興的に役割を演じ、 協同して、役割行動の変容を図るもので、日常生活におけるそれぞれの役割を見直し、新しい状況に応じられるようになることを目的としています。 (1) 日常生活における自分の役割を見直し、日常生活での課題を解決する手がかりを得ます。 (2) 参加者全員が、感情の解放をします。 (3) 新しい、突発的な状況に応ずることができます。 したがって、ロールプレイは日常生活のリハーサルとも言えるでしょう。参加者はうまく演ずる 必要はありません。大切なのは、いかに自分なりに自発性を発揮して演ずるかです。 自発性が回復されれば、ロールプレイでの新鮮な役割体験は、新しい役割を日常生活に取り入れる原動力となります。 自発性とは、新しい状況においても、周囲と自分自身にとって、より適切な、望ましい対応ができるということです。一般に、人は、新しい状況に対しては、他人の意見や自分の既有の体験をよりどころとして対応してしまいがちです。自発性は、そのような自分の外側から規制してしまうのではなく、自然に自分の中から自分を動かしていくことです。 自発性は、まず役割をとること(役割取得)から、自発的に個性的に演ずること(役割演技)、 さらに、新しい役割を創造すること(役割創造)へと段階的に高まっていきます。 参考:ウィキペディアフリー百科事典
ロールプレイを行う上での注意 1)ロールプレイを理解しているファシリテーターをグループごとに配置すること ロールプレイを行う上での注意 1)ロールプレイを理解しているファシリテーターをグループごとに配置すること 2)事前準備(オリエンテーション):参加者が主体的に関われるように情報や知識の整理 3)役割別の準備:各役割ごとに自分たちの役作りを行い,場面設定を話し合う 4)役割演技・討議:役になりきって演ずる。時間内で場面を変えて複数回実施しても良い 5)誰か一人が時間を占領しないこと 6)振り返り(フィードバック):必ず自分の役やほかの役について感じたこと、考えたこと を振り返る時間をとり、ロールプレイの後,他の人へ感情・しこりが残らないよう配慮 時間配分 (80分) ロールプレイ①(30分) 1回目の演技(25分):相談支援専門員によるサービス担当者会議 に出席して、サービス利用計画を見直します。つながる支援のロールプレイ 振り返り(5 分) サービス管理責任者の役割確認(20分) ロールプレイ①をふまえて、サービス利用計画の 変更内容を確認をします。それをふまえて、当該事業所の役割を確認し、事業所内の個別支 援会議で検討すべき課題を整理します。 ロールプレイ②(30分) 2回目の演技(25分):サービス利用計画をふまえて、サービス管理 責任者による事業所内での会議(個別支援会議)を行います。 深める支援のロールプレイ 振り返り(5分) 参考:ウィキペディアフリー百科事典
ロールプレイ(役割演技)演習の手順 1 変更要因の決定(前日の作業) 2 役割(会議参加者)の選定 3 配役(キャスティング) 4 配置・席順の決定 5 ロールプレイ(役割演技)の実施 6 振り返り(フィードバック) 今回の演習では、以上のプロセスを2回繰り返します。 2段階の(2つの)会議をロールプレイで経験することで、2つの会議の違いを理解します。
サービス管理責任者が参加する2段階の会議を体験 (参考イメージ) サービス管理責任者が参加する2段階の会議を体験 ①事業所外部と連携・協力・役割分担! 1回目:サービス担当者会議 市町村職員 サビ管(GH) 親戚 精神科病院 ピアサポート 本人 相談支援 専門員 サビ管 (生活訓練) サービス利用計画 生活訓練職員 2回目:個別支援会議 「サービス利用計画表(外部の支援も含めたトータルプラン)」を元に… ②事業所としての 「個別支援計画」を作成! GHCHでの 個別支援計画 親戚 サビ管 (GH) 本人 世話人 世話人 相談支援 専門員 地域支援員 必要に応じて、関係機関の参加を求めることもあります 管理者
「サービス利用計画」と「個別支援計画」 1 2 (参考イメージ) ①サビ管も出席したサービス担当者会議で、総合的な支援計画と(フォーマル・インフォーマル両方の)サービス利用計画が作成される。それに基づき… 2 ②サビ管は事業所で個別支援会議を開き、支援計画をより具体化して共有し、事業所独自の支援計画を加え「個別支援計画」を作成する。 モニタリングを通して、①と②は相互に影響しあう関係となる。
ロールプレイ演習に入るための変更要因の検討-支援計画の中間評価や変更時の修正のポイント- 3か月ごとの見直しはもちろんだが、支援をしていく中で計画を見直す必要が出てくる場合がある。そのような時には、どのような形で計画の修正・見直しを行うのかを、ここではロールプレイの演習を通して行っていきたい。 その際に、計画は事前に作成し提示しておくが、変更要因に関しては、参加者に自分達で検討してもらうようにすると、様々な意見も出やすく、ロールプレイに入っていく上で、よりリアリティーのある演習が行えるようになる。 例えば今回の場合・・・・ ・本人に合った仕事が急に見つかったが、現在のホームから通う事は難しい ・自立訓練の期間が終了となる ・隣人との関係が悪化した ・家賃の安いアパートが見つかった。 等が考えられる。
第1回ロールプレイ 名称:サービス担当者会議 目的:サービス利用計画の変更・修正 演習では会議の一部分を体験する。(実際の支援 演習では会議の一部分を体験する。(実際の支援 では成果物として「サービス利用計画」を作成) 【前説】 事例の○○さんに、(~各グループで決めた支援計画の変更要因~)と言う事情が起こりました。それで、サービス利用計画の見直しが必要になり、相談支援専門員の声掛けで、サービス担当者会議が開かれることになりました。 受講生の皆さんは、御自分の配役の立場や気持ちになりきって、本気で会議に参加して下さい。
演習事例②第1回ロールプレイ(サービス担当者会議) 配役検討資料(参考例) 役 柄 配役(氏名を記入)
第1回ロールプレイ サービス担当者会議の想定資料(参考)
サービス担当者会議(再モニタリング・再アセスメント) (参考イメージ) サービス担当者会議(再モニタリング・再アセスメント) エンパワメント出来てる? どうやって 権利を 守る? 相談できる人はいる? 生活支援員 サービス 管理責任者 就労は? 日中活動は? プレゼンテーション この方にとって大切なことは何? GH・CHサービス 管理責任者 相談支援専門員 (サービス担当者会議運営) 自分でできる ことは何? 近所とのトラブルは? SOSは誰に発信する? 何が変わった? 何が変わらなかった? これも、ケア会議の議論を模したものです。 初期の議論に比べ、少しづつ、施設を出て実際の街中で暮らすことを前提にした、より具体的に想定した議論が増えていると思います。 自分のペースで暮らせてる? 39
振り返り(フィードバック)① 役割を演じて体験したこと考えたことを全員が言葉にして分かち合う。 …例えば ・ ○○役として、自分自身が感じたこと… ・ ○○役として、他者の役について、いつもの自分とは感じ方、見方、考え方が違ったところ… ・ ○○役として、△△役に言動に抱いた感情……等 ⇒演技であっても、思ったより内面が動かされることを経験する。その内面のざわつき、揺れ、感情的な反応を表現し共有することでロールプレイによる気付きは深くなる。 ⇒分かち合うことで、役から離れられる(終わることが出来る)効果もある。
第2回ロールプレイ 名称:個別支援会議(事業所内会議)等 目的:個別支援計画の変更・修正 演習では会議の一部を体験する。(実際の支援では成果物として「個別支援計画」を作成) 【前説】 「サービス利用計画」が見直されたので、それを受けて「個別支援計画」を見直す為に、GH・CHのサービス管理責任者は個別支援会議を招集します。 2回目のロールプレイでは、また新たな役柄に挑み、それぞれの配役の立場と気持ちになりきって、会議に参加して下さい。
演習事例②個別支援会議のロールプレイ 配役検討資料(参考例) 役名 役柄 配役(氏名を記入)
第2回ロールプレイの配役 ここでも、個別支援会議が参加者全員、特に利用者本人にもたらす大きな効果を体験します。 個別支援会議の質は、その事業所の支援の質向上に必ず寄与します。 さあ、始めましょう! サービス管理責任者 世話人 生活支援員 世話人 管理者 ○○○ 叔母 Tさん本人
振り返り(フィードバック)② 役割を演じて体験したこと考えたことを全員が言葉にして分かち合う。 …例えば ・ ○○役として、自分自身が感じたこと… ・ ○○役として、他者の役について、いつもの自分とは感じ方、見方、考え方が違ったところ… ・ ○○役として、△△役に言動に抱いた感情……等 ⇒演技であっても、思ったより内面が動かされることを経験する。その内面のざわつき、揺れ、感情的な反応を表現し共有することでロールプレイによる気付きは深くなる。その気付きが会議の機能を上げていく。 ⇒分かち合うことで、役から離れられる(終わることが出来る)効果もあるので時間がなくても必ず最後に行いましょう。
(参考様式) 個別支援計画の中間評価
中間評価のための確認表 (参考様式) 中間時の評価等 (1)当初目標の達成状況とそれに要した期間 中間時の評価等 (1)当初目標の達成状況とそれに要した期間 (2)次のステップとして利用者が希望する生活とその後の実際 ① 本人の希望 ② 評価時の実際の生活状況 (3)サービス提供事業者との連携状況
(サービス管理責任者の役割と業務の検討) 5.演習3:マネジメントの実際 (サービス管理責任者の役割と業務の検討)
演習3:サービス内容のチェックとマネジメントの実際 〔3h〕 《獲得目標》 演習1と演習2を通して、サービス提供プロセス全般におけるサービス提供者の指導助言などマネジメント方法に関する知識と技術を習得する。更に関係機関との連携(地域自立支援協議会への参画)等、サービス管理責任者の業務と役割について再確認する。 《内 容》 演習で使用した2つの事例から、サービス管理責任者が行うべき業務と役割について、建設的・発展的に検証する。その際、(1)支援プロセスの管理、(2)サービス提供職員への指導助言、 (3)関係機関との連携の3つのポイントにより行う。 《研修企画運営のポイント》 □ 演習に必要な参考資料等、十分な準備を行い実施する。 □ 演習3の目的・手順を明確にして演習に入る。 □ 業務と役割の検証に際して、「実施出来た業務や役割」、「課題となった業務や役 割」といった視点から実施出来るよう、例示資料を明示する。 □ 本来は演習3で行うべき模擬会議の演習を演習2で実施した意味づけ(時間軸とス トーリーの確認)を明確にし、支援者へのマネジメントのポイントも確認する。
演習3 「サービス内容のチェックとマネジメントの実際」 3時 間 10:40 10:50 11:05 11:35 12:35 12:55 14:00 14:40 (1) (2) (3) (4) (5) (6) ガイダンス演習③ 個人作業 検討結果の発表 グループ内で検討 演習の総括 意見交換 ○演習③のガイダンス ○サービス管理責任者の業務整理 ○関係機関との連携 ○サービス管理責任者の業務整理の発表 ○修正した計画の発表 ○意見交換 ○受講者コメント ○アンケート記入 ○演習の総括 ○スーパーバイズ ○演習講師コメント
(参考例)サービス管理責任者の業務整理表① 記入様式8-1 (参考例)サービス管理責任者の業務整理表① 業務内容 実施した業務 課題となった業務 備考 (1)支援プロセスの管理 直接支援の視点 事業所見学対応 アセスメント 家族との面談 支援計画の作成(修正) 利用者・家族への支援計画の説明 モニタリング 支援の進行管理 苦情受付責任者 業務管理の視点 管理者との関係 利用者数の増加 平均利用期間の短縮 第三者評価の導入
(参考例)サービス管理責任者の業務整理表② 記入様式8-2 (参考例)サービス管理責任者の業務整理表② 業務内容 実施した業務 課題となった業務 備考 (2)サービス提供職員への指導助言 利用者面接への同席 家族面接への同席 アセスメントへの指導と助言(スーパーバイズ) 課題の整理 支援計画への指導と助言(スーパーバイズ) モニタリング 支援の進行管理 苦情受付責任者 研修の企画 (3)関係機関との連携 個別支援会議への出席 次ステージへの引継支援 地域自立支援協議会への参画 連携事業への協力 施設見学・実習の受入れ 地域への事業PR 地域住民への普及啓発 社会資源の創出
支援プロセスの管理 サービス提供者への指導助言 関係機関との連携 サービス管理責任者業務の整理のポイント 事業所内 外部の関係機関 地域社会 (地域自立支援協議会) 支援プロセスの管理 ・進行管理・課題の整理・計画の修正 事業管理 ・実績(利用者数、稼働数、平均利用期間)の適正化 ・第三者評価の導入 職員への指導助言 ・指導と助言・人材育成・質の向上 関係機関との連携 ・連携の要 ・地域社会への発信・社会資源の創出 支援プロセスの管理 サービス提供者への指導助言 関係機関との連携 分野別講義テキスト(サービスの提供のポイント・サービス管理プロセスの実際)を参照
関係機関との連携についての指導ポイント サービス管理責任者は、自立訓練・共同生活援助・共同生活介護の事業だけで、本人を支えるのではなく、様々な資源の中の1つであることを自覚しておこう。 →自分達だけで、本人を支えようとしない事が大事!! より豊かな本人の暮らしを支援していくためには、いろいろな社会資源を知っておこう。 → 自分達の地域の地域診断をしてみよう!! サービス管理責任者は、本人と周囲とを繋いでいくコーディネータの役割がある。その時には、地域にある自立支援協議会をうまく活用しよう。 →資源が足りない時には作っていく事がコーディネーターの役割。このような場合には自立支援協議会と連携していく事が重要!! 何かあったら個別支援会議を開こう。 →誰が声をかけても良い会議。問題に気付いた人が声をかけよう。サービス管理責任者はその一人。スムーズに会議が行えるように、日頃から関係機関との良好な関係を築いておくことも大事な仕事!! 分野別講義テキスト(サービスの提供のポイント・サービス管理プロセスの実際)を参照
6.参考資料
-都道府県研修を実施するための事前の準備- 都道府県研修の企画運営にあたって -都道府県研修を実施するための事前の準備- 分野別講義と演習の重点ポイントを明確に示す 事前学習会などの実施 講師は教示すべき内容を理解する ロールプレイの事前学習を行う ファシリテーターの役割を確認する 演習事例は自前で準備する 演習の流れを意識したスケジュール(進行表)を作成 受講者が主体的に参加出来る工夫を検討する
ファシリテーターを担っていただく皆さんへ・・・ (参考資料) ファシリテーターを担っていただく皆さんへ・・・ 参加者の心の動きや状況を見ながら、実際にプログラムを進行して行く人のことをファシリテーター(促進者)と呼びます。ファシリテーターの媒介によって、参加者の本来的な学びが促進され、体験したことを次のステップへと、結びつけることが容易になります。 ファシリテーターとして求められること その人の力、グループの力を引き出すために、ファシリテーターとしては、以下のような視点を持つことが望まれます。 参加者の主体性を引き出すこと 知識と体験を統合できるような素材の提供をすること 体験をより大きな気づきへと導くこと 参加者自らが主体的に考えられるような援助をすること 状況を見ながら適切な“介入”を行うこと ファシリテーターは指導者ではないので、全ての解答を用意している必要はありません。「葛藤を誘う場面を用意すること」と、「主体的な発言を促すこと」ができる促進者の役割です。 ・参考:千葉県環境学習ガイドブック ・H21年度サービス管理責任者指導者研修資料を一部改編
ファシリテーターが介入するということ ファシリテーターの基本姿勢 介入とは、何等かの意図をもって相手にかかわっていくプロセスのこと。たとえば、ロールプレイが円滑に進行していない時、実施のルールが守られていない時、グループでの課題達成が難しいと判断された時、ふりかえり・わかちあいが進んでいない時、参加者から質問を受けた時、などが考えられます。 介入はあくまでもその立場でおこなわれるものであって、主体的な学びのプロセスを妨げないように配慮してください。ファシリテーターとしては、何らかの目的や意図をもってかかわっているので、つい自分の思いを達成したいあまりに、気づきを押し付けるような、ある種の“操作”をしがちです。その意味では、介入とは「しなくてはならないこと」ではなくて、「必要があった時にあえて行なうもの」と考えていいかもしれません。進行が自然であれば「何もしない介入」もあるという認識が大切です。 ファシリテーターの基本姿勢 参加者の主体性を尊重し、操作的な言動はつつしむこと。 どのような過程を経て現在の討議があるのか・・・・・・といったプロセスが見えていること、または理解しようと努めること。 開放的な雰囲気作りを心がけること。 問題の解答を教えるのではなく、解決は参加者自身にまかせること。 良き促進者とは、何でも教えてくれる人ではなくて、迷った時に解決までの道筋を、さりげなく示してくれる人のこと。参加者自身の成長の姿に、陰ながら満足できる人のこと・・・・・・と言うことができます。 ・参考:千葉県環境学習ガイドブック ・H21年度サービス管理責任者指導者研修資料を一部改編