在宅医療における 対話型自動健康診断システム

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在宅医療における 対話型自動健康診断システム 在宅医療における対話型自動健康診断システムについて、福岡大学の重田が発表します。 福岡大学大学院 ○重田義和 鶴田直之 前田佐嘉志

はじめに 背景 目的 高齢化社会 ・・・ 高齢者の一人暮らし、夫婦が増加 ↓ 在宅医療環境が必要 対話型自動健康診断システムを提案 高齢化社会 ・・・ 高齢者の一人暮らし、夫婦が増加              ↓          在宅医療環境が必要      対話型自動健康診断システムを提案 目的 ・システムを実装する ・自然で効率的な対話を実現する  背景ですが、高齢化社会に伴い高齢者の一人暮らしや高齢者夫婦といったケースが増えているため、安心して在宅医療を受けることができる環境が必要とされています。そこで、私たちは対話型の自動健康診断システムを提案しています。  今回は、このシステムにおける自然な対話の実現方法について述べます。

システムの構成 自動健康診断システム 診断 知識 ケア エージェント エージェント エージェント 高齢者  まずこのシステムの構成についてです。  このシステムは、診断、知識、ケアの3つのプログラムから構成されています。この3つのプログラムと高齢者間で情報のやり取りをすることにより、健康診断を行います。  次は各エージェントの機能について説明します。

ケアエージェント システム ケア 入力: 数値項目(体温,血圧 等) ・・・ 生態モニタ その他の項目 ・・・ 文字・音声・画像 数値項目(体温,血圧 等) ・・・ 生態モニタ その他の項目 ・・・ 文字・音声・画像 システム ケア エージェント 高齢者  ケアエージェントは、高齢者とコミュニケーションをとるエージェントです。  通常、入出力には文字や音声、画像を用います。ただし、体温や血圧のような数値項目には生態モニタを用いています。 出力: 文字・音声・画像

システムの構成 自動健康診断システム 診断 知識 ケア エージェント エージェント エージェント 高齢者  まずこのシステムの構成についてです。  このシステムは、診断、知識、ケアの3つのプログラムから構成されています。この3つのプログラムと高齢者間で情報のやり取りをすることにより、健康診断を行います。  次は各エージェントの機能について説明します。

診断エージェント ‐入力情報‐ 熱 = 36.1 ケア エージェント 熱 胸の痛み-息 SpO2 胸の痛み ・・・ 病名 >=37.0 - なし 感冒発熱 >=90 <90 あり 心筋梗塞疑い <37.0 健康 胸膜炎疑い 頻脈 ‐入力情報‐ 熱 = 36.1  診断エージェントは、診断データベースを用いて健康診断を行うエージェントです。  まず、出力側です。  この診断データベースですが、1行目に診断項目、その下に症状の有無、そして最後の列に病名となっています。  診断エージェントは、このデータベース内の診断項目を左から順番に読み、問診手順を作成します。このデータベースから作成される問診手順はこのようになります。  ここで問診手順を見ると、“息を深く吸うときに胸が痛む”を尋ねた後に、“胸の痛み”を質問することが起こり、明らかに不自然な対話になっていることがわかります。これが、出力側の課題です。 ケア エージェント

診断エージェント ‐入力情報‐ = あり ケア 胸の痛み-息 エージェント 熱 胸の痛み-息 SpO2 胸の痛み ・・・ 病名 >=37.0 - なし 感冒発熱 >=90 <90 あり 心筋梗塞疑い <37.0 健康 胸膜炎疑い 頻脈 ‐入力情報‐ 胸の痛み-息 = あり  診断エージェントは、診断データベースを用いて健康診断を行うエージェントです。  まず、出力側です。  この診断データベースですが、1行目に診断項目、その下に症状の有無、そして最後の列に病名となっています。  診断エージェントは、このデータベース内の診断項目を左から順番に読み、問診手順を作成します。このデータベースから作成される問診手順はこのようになります。  ここで問診手順を見ると、“息を深く吸うときに胸が痛む”を尋ねた後に、“胸の痛み”を質問することが起こり、明らかに不自然な対話になっていることがわかります。これが、出力側の課題です。 ケア エージェント

診断エージェント ‐入力情報‐ = あり ケア 胸の痛み エージェント 熱 胸の痛み-息 SpO2 胸の痛み ・・・ 病名 >=37.0 - なし 感冒発熱 >=90 <90 あり 心筋梗塞疑い <37.0 健康 胸膜炎疑い 頻脈 ‐入力情報‐ 胸の痛み = あり  診断エージェントは、診断データベースを用いて健康診断を行うエージェントです。  まず、出力側です。  この診断データベースですが、1行目に診断項目、その下に症状の有無、そして最後の列に病名となっています。  診断エージェントは、このデータベース内の診断項目を左から順番に読み、問診手順を作成します。このデータベースから作成される問診手順はこのようになります。  ここで問診手順を見ると、“息を深く吸うときに胸が痛む”を尋ねた後に、“胸の痛み”を質問することが起こり、明らかに不自然な対話になっていることがわかります。これが、出力側の課題です。 ケア エージェント

診断エージェント ケア エージェント 熱 胸の痛み-息 SpO2 胸の痛み ・・・ 病名 >=37.0 - なし 感冒発熱 >=90 <90 あり 心筋梗塞疑い <37.0 健康 胸膜炎疑い 頻脈  診断エージェントは、診断データベースを用いて健康診断を行うエージェントです。  まず、出力側です。  この診断データベースですが、1行目に診断項目、その下に症状の有無、そして最後の列に病名となっています。  診断エージェントは、このデータベース内の診断項目を左から順番に読み、問診手順を作成します。このデータベースから作成される問診手順はこのようになります。  ここで問診手順を見ると、“息を深く吸うときに胸が痛む”を尋ねた後に、“胸の痛み”を質問することが起こり、明らかに不自然な対話になっていることがわかります。これが、出力側の課題です。 ケア エージェント

熱→胸の痛み-息を深く吸う→SpO2→胸の痛み・・・ 問題点 “胸の痛み” ↓ “胸の痛み-息” -自然な対話- ‐問診手順‐ 熱→胸の痛み-息を深く吸う→SpO2→胸の痛み・・・ 熱 胸の痛み-息 SpO2 胸の痛み ・・・ 病名 >=37.0 - なし 感冒発熱 >=90 <90 あり 心筋梗塞疑い <37.0 健康 胸膜炎疑い 頻脈 “胸の痛み=なし” ↓ “胸の痛み-息” を質問する必要がない -効率的な対話-

システムの構成 自動健康診断システム 診断 知識 ケア エージェント エージェント エージェント 高齢者  まずこのシステムの構成についてです。  このシステムは、診断、知識、ケアの3つのプログラムから構成されています。この3つのプログラムと高齢者間で情報のやり取りをすることにより、健康診断を行います。  次は各エージェントの機能について説明します。

知識エージェント 一方向関係 ・・・ 包含関係にある診断項目 双方向関係 ・・・ 強い相関関係にある診断項目 痰 → 痰の色、痰に血液 ---高齢者とのコミュニケーションを自然に行うための情報--- 一方向関係 ・・・ 包含関係にある診断項目   痰    → 痰の色、痰に血液 胸の痛み → 胸の痛み-咳、胸の痛み-息を深く吸う *“痰=なし” の場合、“痰の色=なし” “痰に血液=なし” を追加 双方向関係 ・・・ 強い相関関係にある診断項目 吐き気 ⇔ 胸の痛み 咳 ⇔  痰  診断エージェントでの課題を解決するために、知識エージェントが必要になります。  このエージェントは、高齢者とのコミュニケーションを自然に行うための情報をもっています。その情報が、一方向関係と双方向関係です。  まず一方向関係についてです。この関係は、明らかに関係があり優先順位をつけることができる項目間の情報です。この情報により、優先順位の高いほうを先に問診したり、“痰=なし” という入力がきたときのように、問診しなくても情報が得られている項目について、情報を付加することができます。  次に双方向関係についてです。この関係は、データベースにより関係が深い項目間の情報です。この情報により、関係が深い項目を続けて問診でき、より自然な対話が行えます。  また一方向関係と双方向関係が同時におこる場合は、一方向関係を優先します。

対話実験 自然な対話を実現 知識エージェントなし 知識エージェントあり 『胸の痛み-息を深く吸う』をいきなり問診している  システムを実装したときの対話例です。  知識エージェントを用いないときの問診手順を見ると、“胸の痛み” を問診する前に “胸の痛み-息を深く吸う” を問診していることがわかります。  これが知識エージェントを用いることによって、“胸の痛み”→“胸の痛み-息を深く吸う”という一方向関係で問診し、さらに“胸の痛み”→“吐き気”という双方向関係で問診していることがわかります。  この二つの対話例を比べると、明らかに知識エージェントを用いたほうが自然な対話になっていることがわかります。 『胸の痛み』→『胸の痛み-息を深く吸う』、 『胸の痛み』→『吐き気』と問診している 自然な対話を実現

効率実験 質問回数の比較(質問項目数:34個) 効率も良くなった 例1 例2 例3 知識エージェントなし 14回 18回 19回    *例1~3:ある病名を想定し、その症状を入力 例1 例2 例3 知識エージェントなし 14回 18回 19回 知識エージェントあり 13回 15回 16回 また知識エージェントを用いることによって、質問回数に変化がでました。例1~3は、それぞれ同じ入力で行っています。  ”知識エージェントなし”のときと”知識エージェントあり”のときの質問回数を比べると、”あり”のほうの回数が少なくなっています。  よって、効率も良くなっていることがわかります。 効率も良くなった

おわりに 結果 今後の課題 ・ システムを実装した ・ 自然で効率的な対話を実現した ・ システムを高齢者に使ってもらい、評価をもらう ・ システムを実装した ・ 自然で効率的な対話を実現した 今後の課題 ・ システムを高齢者に使ってもらい、評価をもらう ・ その評価より、システムの改良を行う  結果として、対話型自動健康診断システムにおける自然な対話の実現方式について述べました。  今後の課題として、このシステムを実際高齢者に使ってもらい、有効性の検証を行います。また、高齢者からの評価より、さらなるシステムの改良を行います。