講習資料 九州大学大学院 システム情報科学研究院 志堂寺 和則
2014年度講習資料 概 略 認知と注意 リスクテイキング 運転適性 http://cog.inf.kyushu-u.ac.jp/~shidoji/japanese/ accident_prevention/index.html
1.認知と注意
視力 自動車 第一種 大特・普通 普通仮免・二輪 両眼で0.7以上、片眼でそれぞれ0.3以上 (片眼だけ:視力0.7以上で視野150゜以上) 大型・けん引 第二種 大型・普通 大特・けん引 両眼で0.8以上、片眼でそれぞれ0.5以上 深視力検査3回の平均誤差2cm以内 原動機付き自転車 小型特殊自動車 小特・原付 両眼で0.5以上
動体視野 速度 動体視野 40km/h 100° 70km/h 75° 100km/h 40° 130km/h 30° (OECD,2006他)
夜間の視認距離 衣服の色 末永 一男 (末永, 1970) ※ 誘目性としては、夜は赤色は目立たない
蒸発現象 末永 一男 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 m (末永, 1970)
ミューラー・リヤー錯視
ツエルナー錯視
クレータ錯視
2014年度講習資料
形の恒常性
明度対比
明度同化
情報処理形式 制御的処理と自動的処理 トップダウン処理とボトムアップ処理 直列処理と並列処理
緑 赤 青 黄 青
注意の容量モデル(カーネマン, 1973) さまざまな決定要素 さまざまな あらわれ 覚醒 (使用可能な容量) 持続的な 傾向 容量に 対する 要求の 評価 配分方針 一時的な 意図 可能な活動 反応
多重リソースフレームワーク(ウィッキンズ, 1984) 情報処理段階 知覚 中枢処理 反応 手 反応手段 視覚 口頭 モダリティ 聴覚 空間 言語 処理コード
サブタスクの危険性 サブタスク オッズ比 95%信頼区間 下 上 動いている対象をつかむ 8.82 2.50 31.16 外への脇見 3.70 1.13 12.18 読書 3.38 1.74 6.54 お化粧 3.13 1.25 7.87 携帯電話を操作 2.79 1.60 4.87 CDを挿入/取り出し 2.25 0.30 16.97 食事 1.57 0.92 2.67 動いていない対象をつかむ 1.38 0.75 2.56 携帯電話で会話 1.29 0.93 1.80 口が開いている容器から飲む 1.03 0.33 3.28 (The Impact of Driver Inattention on Near-Crash/Crash Riskより)
ディストラクションの内訳 列1:行為をおこなったドライバーの割合 列2:全運転時間に対する当該行為の割合 列1 列2 携帯電話で会話 2014年度講習資料 ディストラクションの内訳 列1:行為をおこなったドライバーの割合 列2:全運転時間に対する当該行為の割合 列1 列2 携帯電話で会話 30.0 1.30 受信 15.7 発信 27.1 飲食 71.4 1.45 飲食準備 58.6 3.16 オーディオ装置の操作 91.4 1.35 喫煙 7.1 1.55 読書あるいは筆記 40.0 0.67 お化粧、グルーミング 45.7 0.28 列1 列2 幼児の世話 8.6 0.38 子供の世話 12.9 0.29 大人の相手 22.9 0.27 会話 77.1 15.32 手を伸ばす、もたれる等 97.1 3.78 コントールの操作 100 車内へのディストラクション 67.1 車外へのディストラクション 85.7 1.62 (Distranctions in Everyday Drivingより)
2.リスクテイキング
蓮花 一己 リスク促進要因 (2000) パーソナリティ 交通状況 態度 運転課題 ハザード知覚 自己技能の評価 リスク知覚 リスク効用評価 2014年度講習資料 蓮花 一己 (2000) リスク促進要因 パーソナリティ 態度 交通状況 運転課題 ハザード知覚 自己技能の評価 リスク知覚 リスク効用評価 リスクテイキング 行為の実行 新たなリスク知覚過程へ
ハザードの種類 蓮花 (1996) 直接的 危険 存在発見 顕在的 危険 交通状況の 危険 間接的 危険 行動予測 潜在的 危険 存在発見 安全確認 死角的 危険
危険感受性テスト 自動車事故対策機構 深澤 伸幸 (1983)
2014年度講習資料 危険感受性訓練の効果 (深沢, 2005を元に作成)
リスク・ホメオスタシス説(ワイルド、1982) 知覚されたリスク水準がリスクの目標水準に近くなるように運転する
リスクの目標水準 知覚された リスク水準 情報摂取 状況の予測 意思決定 交通状況 車両の反応 車両操縦操作 背景的変数 長期(文化、年齢、性別…) 特定状況(体調、運転目的…) 短期(ストレスとイライラに対する耐性の変動…) 認知的状態 長期(技能…) 特定状況(注意容量の余裕…) 短期(注意の妨害…) 動機的状態 長期(刺激要求…) 特定状況(急用…) 短期(遅刻しそうだ…) リスクの目標水準 + - 知覚された リスク水準 情報摂取 状況の予測 意思決定 交通状況 車両の反応 車両操縦操作
3.運転適性
ハインリッヒの法則 重大事故 Accident 1 軽い事故 Incident 29 ヒヤリハット・不安全行動 300
スイスチーズモデル(リーソン)
確率荷重関数
情報処理モデル 認知 判断 操作 人間 入力 出力 認知エラー 判断エラー 操作エラー
事故傾性 個人が持つ事故を起こしやすいとされる比較的永続的な安定した特質
事故傾向 1970年代頃から 一時的要因(体調、疲労、飲酒) (中間的要因)(態度、動機、 長期的要因(年齢、経験、技能) 2014年度講習資料 事故傾向 1970年代頃から 諸々の人間要因 一時的要因(体調、疲労、飲酒) (中間的要因)(態度、動機、 ライフスタイル) 長期的要因(年齢、経験、技能) 永続的要因(パーソナリティ、知的能力、 精神運動機能) 社会的要因(職場、家庭、仲間) 事故傾性 + (蓮花・向井, 2012)
丸山欣也 「事故親和特性」 動作優先の傾向(ドレイクの仮説) 軽率 軽信 かっとなる 自分本位
松永勝也 ばらつき 先急ぎ
吉田信彌 『事故と心理』 中公新書 安全への動機づけが低い 注意がうまく機能しない 隠れた刺激を見つけない 自己認知が的確でない 反応(の一部)が突出する ← 動作優先
小林 實 『なぜ起こす交通事故』 中災防新書 自己中心性が強い 気分の変化が激しい 自己顕示性が強い 協調性に欠ける 攻撃的である 自己抑制ができない 神経質傾向が強い