- 賢 い 選 択 - SBT(企業版2℃目標) について 環境省・みずほ情報総研 平成29年9月5日
目 次 SBTとは? いま、なぜSBTなのか? SBTを取入れた環境経営の例 SBTの参加企業 SBTの設立・運営機関 SBTの認定基準 SBTの手続き SBTの設定手法 SBTの設定のサンプル例 SBT認定とCDP質問書との関係 【別冊参考資料①】SBT認定基準詳細 【別冊参考資料②】SBTの認定事例 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 6 44 66 72 76 82 86 98 107 115 133
SBTとは?
SBTとは? SBT(Science Based Targets)とは、産業革命時期比の気温上昇を「2℃未満」に維持するために、企業が気候科学の知見(IPCC)と整合した削減目標を設定するためのスタンダード。
SBTのイメージ 2050年に49~72%削減を目安として、 2025年~30年頃の目標を設定するもの。 2010年比49%削減(必須※) 排 出 量 2010 2025~2030 2050 2010年比49%削減(必須※) =毎年同率とすると年1.7%削減 2010年比72%削減(推奨) =毎年同率とすると年3.1%削減 年
サプライチェーン排出量とは 事業者自らの排出だけでなく、事業活動に関係するあらゆる排出を合計した排出量 サプライチェーン排出量 = Scope1排出量 + Scope2排出量 + Scope3排出量 燃料の燃焼、工業プロセス等、事業者自らによる温室効果ガスの直接排出 他者から供給された電気・熱・蒸気の使用に伴う間接排出 その他間接排出(算定事業者の活動に関連する他社の排出) 15のカテゴリに分類 5 5
いま、なぜSBTなのか?
理由1: 地球温暖化の深刻化 対策の主役は非政府主体
地球温暖化の進行状況 (℃) 0.85℃ 上昇 産業革命時期と比べて 出典:AR5 WG1 政策決定者向け要約 Fig SPM.1 (年)
地球温暖化のさらなる進行の見込み(IPCC) (℃) 厳しい対策をとれば、産業革命時期比で 0.9~2.3℃上昇 (出所)AR5 SYR 図SPM.6 現状を上回る対策をとらないと、 産業革命時期比で3.2~5.4℃上昇 【世界平均地上気温変化(1986~2005年平均との差)】 (年)
温暖化の度合いは、排出の「累積量」で決まる (℃) (10億トン、CO2換算、 1870年以降) 5 4 3 2 1 赤帯: CO2以外の温室効果ガスも含めた場合 気温の上昇 灰帯: CO2の増加のみの結果 過去の期間のモデル結果 RCPによるシミュレーションの幅 年率1%増シミュレーション 年率1%増シミュレーションの幅 人為起源のCO2の累積排出量 (1861~ 1880年と比較) 出典:IPCC AR5 WG1 政策決定者向け要約、WG3 政策決定者向け要約より試算
あとどのくらいCO2を排出できるのか ~累積許容CO2排出量と化石燃料の可採埋蔵量に含まれるCO2排出量~ 累積CO2排出約3兆トンで、地球全体の平均温度は2℃上昇(IPCC)。 既に約2兆トン排出、残り約1兆トン(現行ペースで約30年)。化石燃料の埋蔵量を全て燃やすと約3兆トン排出相当、つまり3分の2は単純には燃焼できない。 2℃目標を達成するための 累積許容CO2排出量 3.01兆トン 燃焼 できない 1.74兆トン 燃焼できる量= 1.12兆トン =残る許容排出量 1.12兆トン 1.12兆トン 既に 排出 2.86兆トン 化石燃料の可採埋蔵量に 含まれるCO2排出量 1.89兆トン 出所 OECD “Divestment and Stranded Assets in the Low-carbon Transition”, p.4, 2015年10月(化石燃料の可採埋蔵量についてはCarbon Tracker Initiative and The Grantham Research Institute, LSE “Unburnable Carbon 2013: Wasted capital and stranded assets”が原著)を基に環境省作成
2℃目標達成に向けた我が国の道行き (出所)「2015 年度の温室効果ガス排出量(確報値)」及び「地球温暖化対策計画」から作成
温度上昇は2℃までに抑える(パリ協定)
パリ協定の3つの目的 世界全体の平均気温の上昇を工業化以前よりも摂氏二度高い水準を十分 に下回るものに抑えること並びに世界全体の平均気温の上昇を工業化以 前よりも摂氏一・五度高い水準までのものに制限するための努力を、こ の努力が気候変動のリスク及び影響を著しく減少させることとなるもの であることを認識しつつ、継続すること。 食糧の生産を脅かさないような方法で、気候変動 の悪影響に適応する能力並びに気候に対する強靱 性を高め、及び温室効果ガスについて低排出型の 発展を促進する能力を向上させること。 温室効果ガスについて低排出型であり、及び気候 に対して強靱である発展に向けた方針に資金の流 れを適合させること。
理由2: 気候リスクは経営のリスク 対応が遅れれば、 資金調達が細くなるおそれ
(出所)World Economic Forum The Global Risks Report 2017 12th Edition 気候変動関連リスクに対する意識 ○グローバルリスクの上位に気候変動が5年連続ランクイン ○2.5℃上昇で金融資産に約300兆円の損害(ロンドン大学) ○アメリカでは、「4年ごとの国防見直し(QDR)」でも、気候変動による安全保障リスクやその対応の行動計画を取りまとめ (出所)World Economic Forum The Global Risks Report 2017 12th Edition
出典:Global Sustainable Investment Review 2016(GSIA)より環境省作成 世界におけるESG投資額の規模 アメリカ合衆国やヨーロッパが、世界におけるESG投資額の約40%から 50%程度を占めるのに対し、日本は2%にしか満たない。 アジア(除く日本) 0.05兆米ドル (世界の0.2%) アメリカ合衆国 8.7兆米ドル (世界の38.1%) カナダ 1.1兆米ドル (世界の4.7%) ヨーロッパ 12.0兆米ドル (世界の52.6%) 豪州・NZ 0.5兆米ドル (世界の2.3%) 日本 0.5兆米ドル (世界の2.1%) 出典:Global Sustainable Investment Review 2016(GSIA)より環境省作成
公的年金によるPRI署名 国連責任投資原則(PRI)は、投資決定にESGを組み込む原則。 2016年6月末時点で1,515機関(うち日本は45)が署名。 平成27年9月、日本の年金積立金管理運用法人(GPIF)が署名。 平成27年9月27日 国連サミット 安倍総理スピーチ(抄) …この度、世界最大、1兆ドル規模の年金積立金を運用する我が国のGPIFが、国連の責任投資原則に署名しました。これは、持続可能な開発の実現にも貢献することとなるでしょう。 【PRI署名年金基金と資産規模】 19 (出所)JSIF資料。環境省修正。
日本におけるESG投資巡る動き 平成27年9月、世界最大の年金資産規模を持つ年金積立金管理運用法人 (GPIF)が、責任投資原則(PRI)に加盟。 本年7月にESG指数を選定し、その指数と連動する運用を開始。GPIF保有の国内 株の3%に相当する約1兆円が充てられる。ESG指数の構成銘柄に選ばれれば、1兆 円の運用先になる。 今後、GPIFを核として、ESG投資が、日本国内の投資家を始め、投資先となる企業 にも広まっていくことが期待される。 GPIFのこれまでの主な取組 2014.5 日本版スチュワードシップ・コードの受入れを表明し、「スチュワードシップ責任を果たすための方針」を公表 2015.3 「投資原則」を公表 2015.9 国連投資原則に加盟 2016.1 「平成27年日本版スチュワードシップ・コードへの対応状況について」を公表 2016.4 「機関投資家のスチュワードシップ活動に関する上場企業向けアンケート集計結果」を公表 2016.7 国内株式を対象とした環境・社会・ガバナンス(ESG)指数の公募開始 「企業・アセットオーナーフォーラム」「グローバル・アセットオーナーフォーラム」設立を公表 2016.10 「スチュワードシップ推進課」の設置(専任者2名を含む7名体制) 2016.11 海外における企業及び機関投資家の女性活躍推進の取組の情報収集を目的として、英国30%Club、米国ThirtyPercentCoalitionに加盟 2017.7 ESG指数の公表 Government Pension Investment Fundの公表資料より環境省作成
化石燃料資産のダイベストメントの動き 2℃目標を達成する世界を想定して、海外では、石炭等の化石燃料を「座礁資産」と 捉え、投融資を引き揚げる動き(ダイベストメント)が起きている。 世界の大手の銀行グループにおいても、こうした潮流にのった取り組みを進める動きが 起こっている。 最近のダイベストメントの事例 平成29年1月、大手金融機関のドイツ銀行が、新たな石炭発電所の建設や拡張への投融資を行わない等の方針を公表。 平成29年5月、カナダ五大銀行の一つであるモントリオール銀行の運用子会社であるBMOグローバル・アセット・マネジメントは、化石燃料保有企業からダイベストメントを行う旨発表。 平成29年6月、オランダ金融大手INGグループは、米国とカナダで環境破壊等が社会問題となっているカナダでの主要なオイルサンドのパイプラインプロジェクトからのダイベストメントを決定。
エンゲージメントの動き ●海外では既に、金融機関、機関投資家等が、気候変動が企業価値に影響を与えるリスクを 評価し、投融資活動に反映する動きが見られる。 ●石炭等の化石燃料を「座礁資産」(2℃目標の達成のための措置により使用できなくなるリ スクがある資産)と捉え、投融資を引き揚げる動き(ダイベストメント)が、大手機関を含め て始まっている。 2015年6月5日、ノルウェー公的年金基金(GPFG)※が保有する 石炭関連株式をすべて売却する方針を、ノルウェー議会が正式に承認。 出典:QUICK ESG研究所 ※約104兆円(平成27年3月末時点)の資産規模を有する世界有数の年金基金。我が国の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の資産規模は、約138兆円。 出典:12月3日 日本経済新聞 22
エンゲージメントの動き エンゲージメントとは、機関投資家が、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解に基づく建設的な「目的を持った対話」を行うこと。 23
金融機関による再生可能エネルギー等への融資に関する海外の取組 グリーン・ファイナンスの動き 海外では、2℃目標の実現に向けた対応をビジネスチャンスととらえ、中長期的な 視点から戦略的に再生可能エネルギー等への融資に取り組む動きがみられる。 金融機関による再生可能エネルギー等への融資に関する海外の取組 JPMorgan Chase(米)は、2020年までに再生可能エネルギー100%での事業運営を行い、また、2025年までに2千億ドルをグリーンビジネス向けに融資すると発表。 Bank of America(米)は、2020年までにカーボン・ニュートラルを達成すること、また、事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーで調達するとともに、2025年までに低炭素で持続可能なビジネスに1,250億ドルを融資することを発表。 KBC(ベルギー)は、2030年までにKBC全体のエネルギークレジットポートフォリオ全体における再生可能エネルギーのシェアを50%まで拡大することを発表。 世界有数の投資銀行であるGoldman Sachs(米)は、平成24年に410億ドル規模で、融資等のグリーンファイナンスを実施。平成37年までに1500億ドルまで規模を拡大することを想定。
気候関連財務ディスクロージャー・タスクフォース(TCFD)への対応 G20の財務大臣・中央銀行総裁は、金融安定理事会(FSB)に対し、金融セクターが気候関連課題をどのように考慮 すべきか検討するよう要請。これを受け、 FSBはCOP21の開催期間中に、民間主導による気候関連財務情報開示タスク フォース (TCFD)を設置。 金融機関等にとって有用な、一貫性、比較可能性、信頼性、明確性、効率性を備えたボランタリーな企業開示のあり方に 関する提言を2017年6月に公表。 BHPビリトン, ロイヤル・ダッチ・シェル, ユニリーバ, BNPパリバ, シティグループ,カリフォルニア州職員退職年金基金 (CalPERS), S&Pグローバル, ロンドン証券取引所を含む103の企業や金融機関、機関投資家、格付機関、証券取 引所等が賛同の署名を行っており他国の金融機関が気候変動関連財務情報の開示に積極的に取り組む一方、日本 の金融機関の署名はなかった(平成29年6月時点)。 TCFD提言の発展・普及に関する取組 プロジェクトへの参加行(2017年7月時点) 平成29年7月、世界の12の主要銀行は、気候関連 財務情報開示タスクフォース(TCFD)の最終報告書 が公表されたことを受け、UNEPFIと協調して、気候変 動関連情報の開示に向けた手法の開発に取り組むこと を発表。 TCFDの最終報告書の勧告のみにとどまらず、実践的 なアプローチを共同で開拓する旨を示した画期的なプロ ジェクトであるが、日本からの同プロジェクトへの参加は なかった。 出展元:United Nations Environment Programme - Finance Initiativeの公表データより環境省作成
TCFDの設置と最終報告書提出までの主な経緯 気候変動は以下の三つの経路から金融システムの安定を損なう恐れがある。 物理的リスク: 洪水、暴風雨等の気象事象によってもたらされる財 物損壊等の直接的インパクト、グローバルサプライチェーンの中断や資 源枯渇等の間接的インパクト。 賠償責任リスク: 気候変動による損失を被った当事者が他者の賠 償責任を問い、回収を図ることによって生じるリスク。 移行リスク: 低炭素経済への移行に伴い、GHG排出量の大きい金融資産の再評価によりもたらされるリスク。 金融安定理事会(FSB)議長・英国中央銀行総裁 (Mark Carney)スピーチ(2015年9月) G20の財務大臣・中央銀行総裁は、FSBに対し、金融セク ターが気候関連課題をどのように考慮すべきか検討するよう 要請。これを受け、 FSBはCOP21の開催期間中に、民間 主導による気候関連財務情報開示タスクフォース (The Task Force on Climate-related Financial Disclosures, TCFD)を設置。 FSBは、金融セクターにおける気候関連リスク・機会の理解と 分析を促す上で、投資/融資/保険引受の判断に資する情 報の必要性を認識。そのもとで、金融機関等にとって有用な、 一貫性、比較可能性、信頼性、明確性、効率性を備えた ボランタリーな企業開示のあり方に関する提言を策定すること とし、2016年12月、勧告案を公表。 TCFDの32人のメンバーは世界各地から業種横断的に構 成(東京海上日動火災保険(株)経営企画部部長兼 CSR室長 長村政明氏 は日本人唯一のメンバー)。 金融安定理事会(FSB)による タスクフォース:TCFDの設置(2015年12月) (出所)2015年9月30日付 電子版Financial Times 2015年4月 9月 12月 2017年6月 7月 テーマは総論から産業部門における各論へ G20財務大臣・中央銀行総裁会議において、FSBに対して発表された声明の中で、気候変動リスクが財務面に影響を与え、金融システムの不安定化へとつながる点を明示 FSB議長・英国中央銀行総裁のスピーチ TCFD設置 最終報告書を公表 G20サミット(ドイツ・ハンブルグ)へ最終報告書提出
<気候関連リスク・機会がもたらす財務的インパクト> TCFD提言の概要 【提言概要】 企業を念頭に、既存の財務情報開示と同様、気候関連財務情報を経営として把握すること、年次財務報告書と併せて開示し内部監査等の対象とすること等を強調。情報開示分野の新たなメインストリーム化を目指す。そのもとで、金融関係者による評価等に資する要素として、上記の「ガバナンス」のほか、「戦略」、「リスク管理」、「気候関連リスク・機会を評価・管理するために使用する指標及び目標」をそれぞれ重視。 2℃等の気候シナリオのもと、バックキャスティングのアプローチから企業が抱え得る潜在的な経営課題等を掘り起こし、それに対して「戦略、リスク管理、指標・目標」を駆使して企業の持続可能性を高めることを推奨(TCFDは、そうした取り組みを可能とすべく、気候シナリオ分析力の強化を重視)。気候会社等に促す。 <気候関連リスク・機会がもたらす財務的インパクト> < G20主要各国の動き(H29年3月30日時点)> 財務的インパクト 移行リスク 物理的リスク 政策と法律 市場 評判 短期的 長期的 技術 資源効率性 資産 負債 エネルギー源 製品・サービス レジリエンス 資本 資金調達 収益 費用 リスク 機会 損益計算書 貸借対照表 フランス エネルギー移行法173条により、2016事業年度より気候関連財務情報開示の法制化実施済。 ドイツ G20議長国として、気候変動対策を優先課題として表明。(TCFD提案内容の普及には積極的と見られる。) 豪州 2017年2月、豪州金融監督当局(APRA)が気候関連リスクをシステム上の影響を孕む財務リスクと認識する旨、表明。 米国 カリフォルニア州保険長官が州内保険会社に対し、炭素関連資産の集中度を開示するよう、勧告。 中国 2016年G20議長国として、グリーンファイナンスにおけるリーダーシップを強調。 欧州委員会 サステナブルファイナンス推進に向けたハイレベル有識者会合(HLEG)を発足、2017年末までにEU金融政策改革に向け、TCFD提案も考慮した総合的な政策ロードマップを策定予定。 戦略的計画 危機管理 投資家・企業双方が腹落ちするポイント キャッシュフロー計算書
気候リスク対応が資金調達の鍵を握る 投資家も、中長期的な安定資産運用のために、財務情報だけでは見えないリスクを、非財務情報であるESGで判断する動き。 特に、長期投資を行う機関投資家もESG投資に乗り出している。例えば、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が約1兆円をESGに配慮しながら日本株へ投資。 SBTは機関投資家への情報開示を目的としているCDPでの加点項目。SBTに参加することが機関投資家の評価向上につながる!
理由3: リスクはチャンス イノベーションにより エネルギー生産性を向上
我が国の省エネ動向 日本の製造業のエネルギー消費原単位指数は石油ショック以降、80年代後半までは低減。90 年以降、現在に至るまではほぼ横這いに推移。この背景には、国際原油価格の低迷による上昇 や環境意識の高まりによる低減など時代状況に応じた企業取組の変化がある。 過去20年間において日本の製造業エネルギー消費原単位は横ばい。 日本の製造業の鉱工業生産指数当たりのエネルギー消費原単位指数の推移 主要国の製造業粗付加価値額あたりのエネルギー消費量の推移 (石油換算トン/億米ドル) 英国 フランス 米国 最終エネルギー消費量 エネルギー消費 原単位指数 = 製造業工業生産指数 (製造業の活動状況を総合的に表す指標。 経済産業省が作成) 日本 ドイツ 注 分母:製造業粗付加価値額、分子:最終エネルギー消費量にて原単位を算定 付加価値額とエネルギー消費量の出所が異なるため、集計範囲が異なる 注 分母:製造業鉱工業生産指数(付加価値ウェイト)、分子:最終エネルギー消費量にて原単位を算定し、1973年度を100として指数に変換 指数とは、同じ種類の統計数値の大小関係を比率の形にして表わしたもの 出所 製造業粗付加価値額:国際連合、National Accounts Main Aggregates Database 最終エネルギー消費:IEA (International Energy Agency, 国際エネルギー機関), World Energy Balances (世界エネルギー収支)データベース 出所 資源エネルギー庁、「平成27年度エネルギーに関する年次報告」(エネルギー白書2016)、146ページ 30
GHGとGDPのデカップリング(2015年度速報値) 実質GDPとエネルギー起源CO2排出量について、2000年代初頭 までは同様の傾向の伸びを示してきたが、最近3年程度はデカップリ ング傾向が顕著になりつつある。
得になる対策の多くが未着手 メリット(エネルギー費用削減)がコスト(初期投資)を上回る多くの対策が未着手。多くの工場で、10%以上の削減が可能。 対策実施率(%) 主要な排出削減対策のコストと実施率 メリットがコストを上回るが実施率の低い対策 ○ 高断熱材を用いた工業炉の導入による断熱保温 ○ コンプレッサ排熱の有効利用 ○ 潜熱回収小型ボイラ ○ 吸収式冷温水機の高効率化 ○ CO2濃度機器による外気導入量制御 ○ ボイラブロー水の顕熱回収(給水予熱)装置 ○ 台数制御装置のパラメータ変更等の運用改善 トン当たり万円 ※初期投資を3年で償却すると仮定。 <出典>平成22年度二酸化炭素削減ポテンシャル診断事業結果
炭素生産性の推移(全体) 1990年代には世界最高水準だった我が国の付加価値ベースの炭素生産性(温室効果ガス排出量当たりのGDP)は、2000年頃を境に国際的な順位が低下していった(左図)。 世界のトップレベルから離れている傾向は、基準年為替実質GDPベース、購買力平価ベースで観察した場合、また、二次産業と二次産業以外に区分して観察した場合にも同様に確認できる(参考資料)。 為替と物価の影響を除くために自国通貨・実質GDPベースの改善率を観察すると、我が国の改善率は、震災以前から主要国と比べて低い状態であった(右図)。 OECD Statistics「National Accounts」、UNFCCC より作成
エネルギー生産性の推移(全体) 1990年代には世界最高水準だった我が国の付加価値ベースのエネルギー生産性(エネルギー消費量当たりのGDP)は、2000年頃を境に国際的な順位が低下していった(左図)。 世界のトップレベルから離れている傾向は、基準年為替実質GDPベース、購買力平価ベースで観察した場合、また、二次産業と二次産業以外に区分して観察した場合にも同様に確認できる(参考資料)。 他方で、物的ベースのエネルギー生産性は、一部の業種では依然として世界最高水準である(参考資料)。 為替と物価の影響を除くために自国通貨・実質GDPベースの改善率を観察すると、我が国は、1990年代から主要国と比べて低い状態であった。他方、震災後は、我が国の改善率は上昇している。(右図) OECD Statistics「National Accounts」、 IEA「World Energy Balances 2016」 より作成 ※日本の2012年から2013年までの変化は、為替の影響が大きい(2012年79.8円→2013年97.6円)
GDP成長率と温室効果ガス総量変化率 我が国が京都議定書を締結した頃(2002年)から、OECD諸国において、一人当たりGDPで我が国 を追い抜いた国(現在一人当たりGDPが我が国より高い国)では、大半の国が、高い温室効果ガス削 減率と経済成長を実現していた。 GDP成長率とGHG総量変化率 (日本が京都議定書を締結した2002年~2014年) (出所)GHG Data(UNFCCC), World Economic Outlook Database(IMF), 平成27年度国民経済計算年次推計(平成23年基準改定値)(フロー編)ポイント(内閣府)より作成
エネルギー生産性の推移(新興国との比較) 新興国と比較では、我が国のエネルギー生産性は依然として優位の状況にある。 他方、為替と物価の影響を排除した改善率では、中国が我が国を大幅に上回っている。 OECD Statistics「National Accounts」、IEA「World Energy Balances 2016」 より作成
炭素生産性低迷に関する要因分析① 我が国の炭素生産性(GDP/CO2排出量)は、1995年の段階では世界最高水準であったが、その後の伸びは低迷した。 その要因として、経済成長率の低さに加え、2011年以降は原発停止の影響が大きいが、それ以前から、石炭火力の大幅な増加、再生可能エネルギーの伸び率の低迷が挙げられる。他方で、震災後に短期間で約1割の省エネを達成している(原発の運転停止によるCO2増をほぼ相殺する程度)。 OECD Statistics「National Accounts」、 IEA「Energy Balances of Countries] 、UNFCCC より作成
グラフ、文章いずれも、内閣府「平成27年版年次経済財政報告」より抜粋 炭素生産性低迷に関する要因分析② 1990年以降のGDP成長率の低迷の背景として、投資とイノベーションの不足が挙げられる。 成長会計分析の結果によれば、我が国の平均的な成長率は、1980年代から1990年代にかけて、4.4%から0.9%へと3.5%ポイント程度低下した。こうした成長率の低下は、TFP、資本、労働の寄与がそれぞれ1.5、0.9、1.1%ポイント低下したことによるものであり、TFP上昇率の低迷が成長率の低下にもっとも寄与していたことが分かる。これは、過剰設備の調整が進む中で資本形成が抑えられ、また、労働慣行の変化が生じる中で労働時間が短縮されたにもかかわらず、こうした稀うる生産資源を効率よく生産活動に活用できなかったためと考えられる。1990年代から2000年代にかけても、平均的な成長率に大きな変化はみられず、2000年代の実質GDP成長率は0.7%と引き続き低迷することとなった。2000年代に入り、TFP上昇率には若干の改善がみられたものの人口減少を背景に労働投入が引き続きマイナスに寄与する中、資本の寄与が更に縮小した。 1990年以降の実質GDP成長率の低迷とその背景 グラフ、文章いずれも、内閣府「平成27年版年次経済財政報告」より抜粋
炭素生産性低迷に関する要因分析③ 2000年代は、製造業の付加価値労働生産性の伸びが物的労働生産性の伸びを下回る。 これは、製品単価の引き下げなどによって製品1単位当たりの付加価値率が低下したこと示し ている。 製品の製造と炭素・エネルギー投入の関係は深いため、製品1単位当たりの付加価値率が低 下したということは、炭素・エネルギー投入当たりの付加価値率も低下する方向に働いたと考 えられる。 日本の企業は、新興国製品との競争が激化する中で、主として製造工程の効率化などのプロセス・イノベーションや海外生産を通じた価格引下げによって競争力を保持しようとしたのに対し、米国では、新規事業の創造などで収益性を高め、欧州では、製品のブランドを作り上げることで、高価格を維持してきたことも挙げられる。 実際、我が国の製造業の付加価値生産性と物的生産性の推移をみると、2000 年代には、付加価値生産性の上昇率が物的生産性の上昇率を下回っている。 (内閣府「経済の好循環実現検討専門チーム中間報告」平成25年11月22日) 39
炭素生産性低迷に関する要因分析④ 2000年代の原油価格の高騰の際、我が国は、輸出価格に転嫁ができず、交易条件が大 きく低下した。他方、輸出価格に転嫁ができたドイツの交易条件はほとんど変化しなかった。 ブランド力などの非価格競争力の不足が、炭素生産性の分子である付加価値率の低下につな がったと考えられる。 【日独の交易条件推移】 2015年 97.6 65.2 (1995年=100) (略)日本の輸出品の中には、技術力を背景にした品質の高さによる非価格競争力で、世界で圧倒的なシェアを持つものもある。しかしながら、非価格競争力が十分に発揮されていない分野では韓国メーカー等との価格競争もあり、原材料価格の上昇を転嫁することは容易ではない。 以上の事例から分かるように、製品差別化により非価格競争力を伸ばし、一次産品価格が高騰しても輸出価格に転嫁ができるような力を蓄えなければ、国内で生み出される付加価値とそれによって得られる所得がかい離し、経済全体としては消耗戦になるおそれがある。 (内閣府「世界経済の潮流 2011年 I」より抜粋(平成23年5月) (注1)交易条件とは、輸出価格指数を輸入価格指数で除した比率。輸入価格に比して輸出価格が上昇する場合には、交易条件は改善し、自国にとって貿易を行うことが有利となる。 (注2)使用データは次のとおり。【日本】輸出価格指数:財貨・サービスの輸出、輸入価格指数:(控除)財貨・サービスの輸入。【ドイツ】輸出価格指数:Index of export prices-Overall index、輸入価格指数: Index of import prices-Overall indexの暦年値。 (出典)内閣府「2015年度国民経済計算(2011年基準・2008SNA)」、ドイツ統計局「GENESIS- Datenbank」 40
巨大な低炭素市場をつくり投資を呼び込む 国内においては、特に民生部門や運輸部門等では長期大幅削減の大きな余地。 消費行動の変革と低炭素な製品への買い換え促進、住宅・建築物のゼロエミッション化、都市・地域構造の変革、自立分散型エネルギーの普及等により低炭素投資を促し、国内で巨大な市場を生み出しながら、長期大幅削減を実現。 我が国の経済・社会的諸課題の同時解決を目指す(デフレ脱却と新しい経済成長、地方創生、国土強靭化等)。 出典:長期低炭素ビジョン(平成29年3月環境省)
より安くから、よりよいものへ 二十一世紀に入って十五年。安い労働力、緩い環境規制、「より安く」生産できる地を求め、新興国への投資が拡大しました。工業化は、人々を豊かにし、新興国に大きなマーケットを生み出しました。しかし、経済が成長すれば、労働コストは上がる。公害も発生します。「より安く」を追い求める、デフレ型の経済成長には、自ずと限界があります。 そのリスクが顕在化する前に、世界が目指すべき、新しい成長軌道を創らねばなりません。イノベーションによって新しい付加価値を生み出し、持続的な成長を確保する。「より安く」ではなく、「より良い」に挑戦する、イノベーション型の経済成長へと転換しなければなりません。 第百九十回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説(抄) 42
SBTは生産性向上の指標になる SBTという意欲的な削減目標は、省エネ、働き方改革、業務効率化等の生産性向上推進の動機づけとなる! SBTで求められる水準の削減は、既存の技術のみで実現できるものは少ない。AI、IoTなどの新たなるテクノロジーをいち早く取り入れイノベーションを促進することができる!
SBTを取入れた 環境経営の例
A電機の場合
A電機の事業概要 ディスプレイ分野 生活家電 分野 事業領域 電子デバイス 分野 ビジネス ソリューション分野 46
環境目標と経営戦略 SBT 47 環境課題の解決はコスト削減と表裏一体であり、環境対策は企業価値向上に直結するという考え。 そのため、経営計画の中で環境目標の設定が必要であった。 SBT 2℃目標という目指すべき将来目標に基づくSBTに共感。 SBTを達成するために、SBTに沿った製品の省エネ目標、再エネ導入目標、工場の省エネ目標を設定。 47
SBT達成に向けた戦略① ~製品の省エネ~ 従来の液晶ディスプレイでは実現できない水準のため、次世代型のマイクロLEDディスプレイの開発に注力。 製品の省エネは、Scope3のカテゴリ11(販売した製品の使 用)の削減。 次世代ディスプレイは新規の需要を喚起すると考えられ、売上 向上も期待できる。 48
SBT達成に向けた戦略② ~再エネ導入~ 化石燃料の規制リスクを考慮すると、再エネ導入は持続可能な発展には不可欠。そこで、再エネ電力導入100%を目指し、RE100にコミットメント。 その結果、再エネ電力の販売したいという、多数の営業を引き付ける宣伝になる。 電力価格の安さと販売量の大きさから、テキサス州の風力発電会社であるSylphide社と契約。年間約1億kWhの再エネ電力調達に。 北米拠点でのScope2排出量ゼロを達成。 系統電力の価格よりも安く再エネ電力を調達。コスト削減も 達成。 49
SBT達成に向けた戦略③ ~製造効率化~ 工場の省エネ目標達成のために、生産性の向上に注力。そこ で、AIによる製造計画最適化ソフトA-Optを開発。 神戸工場に初めて導入し、生産性を3%向上させた。 将来的には全ての工場にA-Optを導入。各工場間の生産状 況をIoTでリアルタイムに把握し、需要予測と合わせてより精度 の高い最適生産を目指す。 Scope1+2排出量の5%削減が見込まれる。 また、この取組みをサプライヤーに広げることで、サプライヤーの Scope1+2を削減。つまり当社のScope3削減につなげる。 50
SBT達成の経路イメージ 51 排 【Scope1,2の削減】 出 ・再エネ電力調達 量 ・ビックデータを生かした需要予測 ・AIによる最適製造計画 【Scope3の削減】 省エネ製品の開発 51
B食品の場合
B食品の事業概要 53 冷凍食品部門 酒類部門 750億円 1,800億円 売上高 4,000億円 清涼飲料部門 1,400億円 その他 B FOODS その他 50億円 冷凍食品部門 750億円 酒類部門 1,800億円 売上高 4,000億円 清涼飲料部門 1,400億円 53
SBTが気候変動対策の達成指標になった! 54 気候変動対策に対する考え B FOODS 【気候変動対策に取組む意義】 気候変動が引き起こす、穀物収穫量の低下や生産地域の変化は、当社製品の安全で高品質な原料の長期的な調達に影響を与える。つまり、自社の事業継続リスクそのものである。 また、“自然の恵み”を消費者に届けることが企業価値の源泉。自然の恵みを守る積極的な環境取組みが、企業・製品のイメージを高める。 【課題】 どの程度の気候変動対策を行えば、リスクを低減し、自然の恵みを守るといえるのか、指標がなかった。 SBTが気候変動対策の達成指標になった! 54
Scope1の削減 バイオマス燃焼 55 当社は食料品製造時の熱需要が大きく、Scope1排出 量の削減が課題。 B FOODS 当社は食料品製造時の熱需要が大きく、Scope1排出 量の削減が課題。 また、食を扱う企業として、食料品の残渣を減らす取組み を推進している。 そこで、製造工程で出る廃棄物由来のバイオマスを燃料 として活用。 2030年までに化石燃料の使用量の30%を バイオマス由来に切替える! 55
Scope3の削減① 自販機の省エネ 56 Scope3の中でも自動販売機(カテゴリ13)由来の排 出割合が大きい。 B FOODS Scope3の中でも自動販売機(カテゴリ13)由来の排 出割合が大きい。 また、自販機は消費者と企業の接する機会であり、自社 の取組みのアピール場面。 そこで、徹底的な省エネ取組みを実施。照明のLED化、 ヒートポンプ式加温を導入。さらに、本体の屋根に太陽光 発電を搭載し、自販機でも再エネを利用。 2030年までに自動販売機由来の排出量を 2015年比で30%削減! 56
Scope3の削減② 新規容器の開発 57 Scope3の中で最も大きな割合を占めるカテゴリ1の削減 対策として、容器に注目。 B FOODS Scope3の中で最も大きな割合を占めるカテゴリ1の削減 対策として、容器に注目。 そこでペットボトルのサプライヤーである、X化学工業と共同 して新規容器の開発に取組み、従来型から10%軽量化。 軽量化容器は、製造時の排出量削減だけでなく、輸送 時の排出量や廃棄時の排出量の低減にも貢献。 2030年までにペットボトル製造時の排出量を 2015年比で30%削減! 57
C建設の場合
仮想企業(C建設)の場合 国内のビル建設を主に、土木工事、道路舗装等も扱う。また、輸送会社、資材製造会社、不動産会社等を傘下に持つ。売上高4,000億円。 震災復興や東京オリンピックなど短期的に需要は伸びているが、人口減少により将来的な国内需要は落ち込むと想定される。海外展開はできていない。
仮想企業(C建設)の経営戦略と環境目標 C建設の経営戦略 ZEB物件の建設を拡大し、付加価値の高い建築により需要減に対抗! 建設廃棄物をリサイクルすることで、持続可能な開発を実現。 サプライチェーン排出量算定、SBT設定の意義 ZEB物件建設を拡大すれば、顧客のエネルギーコストを大幅に削減でき、付加価値も上がる。これは、顧客のCO2排出量削減に大いに貢献。 これは、C建設のScope3排出量の削減につながる。
ZEB物件の普及によるカテゴリ11(販売した製品の使用)削減イメージ 仮想企業(C建設)の目標達成イメージ 目標達成による付加価値向上 2030年に新築物件のZEB化率50%、2050年には80%の達成。 ZEB単価が3割増と仮定すると、販売棟数1割減でも売上4%増! CO2排出の少ないZEBの販売が増えれば、カテゴリ11(販売した製品の使用)も削減 事前にコンクリートを形成するプレキャスト工法により、コンクリート使用量を削減。カテゴリ1(購入した製品・サービス)の排出削減とコスト減を達成! カテゴリ12 販売した製品の廃棄 カテゴリ12 販売した製品の廃棄 カテゴリ1 購入した製品・サービス カテゴリ1 購入した製品・サービス カテゴリ11 販売した製品の使用 カテゴリ11 販売した製品の使用 カテゴリ5 事業から出る廃棄物 カテゴリ5 事業から出る廃棄物 カテゴリ4 輸送・配送(上流) カテゴリ4 輸送・配送(上流) ZEB物件の普及によるカテゴリ11(販売した製品の使用)削減イメージ
D百貨店の場合
仮想企業(D百貨店)の場合 若者向けファッションを中心に扱う中堅百貨店。 近年、百貨店業界の状況は厳しく、コンビニエンスストアチェーンを買収し 事業を多角化させることで業績の大幅改善を目指している。 買収
仮想企業(D百貨店)の経営戦略と環境目標 D食品の経営戦略 百貨店業界の苦境を受け、まだ成長余地があるコンビニエンスストアを傘下に入れることで、経営を多角化。電力需要が大きい業界特性を省エネと再エネ導入でコスト減を目指す。 サプライチェーン排出量算定、SBT設定の意義 他社買収により大きく排出量が増えることが想定される中、徹底した省エネと太陽光パネルの導入で電力料金を減少させる動機づけにする。 これはScope2の削減に大きく寄与
仮想企業(D百貨店)の目標達成イメージ 目標実現による付加価値の向上 省エネ・再エネの積極導入で、コストとScope1・2のCO2を同時削減 店舗の照明・空調を高効率なものに交換 屋根等に太陽光パネルの設置 余剰電力はEV充電ステーションにも活用。 裾野の広い小売業界のサプライヤーエンゲージメント(対話)により、 サプライチェーン全体の排出削減しつつ、製品・サービスの品質を向上。
SBTの参加企業
SBT認定取得済は世界全体で65社,日本は11社 (2017.09.04現在) AMD/AstraZeneca/Autodesk/Biogen/Carlsberg Group/Capgemini UK plc/ CEWE Stiftung & Co. KGaA /Coca-Cola HBC AG/Colgate Palmolive Company/第一三共/Dell Inc./電通/Diageo/DONG Energy A/S/EDP - Energias de Portugal S.A./Eneco/Enel/Farmer Bros. Co./ Ferrovial/富士通/General Mills Inc./Hewlett Packard Enterprise/HP Inc/Host Hotels & Resorts, Inc./Husqvarna AB/Ingersoll-Rand Co. Ltd./International Post Corporation (IPC)/川崎汽船/Kellogg Company/Kering/Kesko /キリン/コマツ/コニカミノルタ/Koninklijke KPN NV(Royal KPN)/Landsec/Las Vegas Sands/Level 3 Communications/Lundbeck A/S/Marks and Spencer/Muntons/ナブテスコ/Nestlé/NRG Energy Inc/Österreichische Post AG/Panalpina /PepsiCo, Inc./Pfizer /Philip Morris International/PostNord AB/Procter & Gamble Company/Proximus/リコー/SAP/Sopra Steria Group/ソニー/Swisscom/Symrise AG/Tesco/Tetra Pak/Thalys/戸田建設/UBM/Verbund AG/Walmart (出典)Science Based Targetsホームページ資料より作成 http://sciencebasedtargets.org/companies-taking-action/
SBTに参加する企業は世界全体で年々増加 (2017.09.04現在) (出典)Science Based Targetsホームページ資料より作成 http://sciencebasedtargets.org/companies-taking-action/
SBTに参加する日本企業は2017年度急増 (2017.09.04現在) (出典)Science Based Targetsホームページ資料より作成 http://sciencebasedtargets.org/companies-taking-action/
2年以内のSBT設定をコミットしているのは 世界全体で232社、日本企業は26社 (2017.09.04現在) 日本企業[26社]:アサヒ、アシックス、大日本印刷、ダイキン工業、 富士フイルム、日立建機、日立、本田技研工業、花王、KDDI、 MS&ADインシュアランスグループホールディングス、日産自動車、 野村総研、NTTドコモ、セイコーエプソン、積水ハウス、清水建設、 住友林業、サントリー、大成建設、武田薬品、トヨタ自動車、UK-NSI (日本精機)、ユニチャーム、横浜ゴム、日本ゼオン (出典)Science Based Targetsホームページ資料より作成 http://sciencebasedtargets.org/companies-taking-action/
環境省 SBT(企業版2℃目標)策定・サプライチェーン排出算定支援事業 参加企業一覧 ※五十音順 ○SBTの策定(63社) 旭硝子、アシックス、味の素、アスクル、アステラス製薬、ウシオ電機、MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス、NTTドコモ、大塚製薬(大塚ホールディングス)、大林組、オムロン、花王、鹿島建設、京セラ、グローリー、コカ・コーラ ボトラーズジャパン、コクヨ、サンメッセ、ジェイテクト、塩野義製薬、シスメックス、スズキ、住友ゴム工業、住友林業、積水化学工業、積水ハウス、セコム、SOMPOホールディングス、ダイキン工業、大成建設、大東建託、大日本印刷、ダイフク、大和ハウス工業、テイ・エス テック、東急不動産ホールディングス、東芝、凸版印刷、豊田合成、豊田自動織機、ニチレイ、日産化学工業、日東電工、日本ゼオン、日本通運、日本電気、日本郵船、野村総合研究所、日立キャピタル、日立建機、ファンケル、フジクラ、富士フイルムホールディングス、古河電気工業、ベネッセコーポレーション、マツダ、丸井グループ、三菱ガス化学、三菱自動車工業、三菱電機、明電舎、横浜ゴム、YKK ○サプライチェーン排出量の算定(全28社) 旭硝子、MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス、カシオ計算機、キヤノンマーケティングジャパン、京セラ、コカ・コーラ ボトラーズジャパン、サンメッセ、シスメックス、住友ゴム工業、ダイキン工業、タムロン、テイ・エス テック、凸版印刷、豊田合成、豊田自動織機、トヨタ車体、日産化学工業、日東電工、日本ゼオン、日本通運、日立キャピタル、日立建機、日立物流、ファンケル、フォスター電機、マツダ、三菱ガス化学、横河電機 ※両方応募した企業(22社) 旭硝子、MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス、京セラ、コカ・コーラ ボトラーズジャパン、サンメッセ、シスメックス、住友ゴム工業、ダイキン工業、テイ・エス テック、戸田建設、凸版印刷、豊田合成、豊田自動織機、日産化学工業、日東電工、日本ゼオン、日本通運、日立キャピタル、日立建機、ファンケル、マツダ、三菱ガス化学
SBTの設立・運営機関
SBTイニシアチブの設立・運営機関 2016年のCDP質問書からSBTに関する質問が追加され、評価の対象となっている。
SBTイニシアチブの設立・運営機関の詳細
【参考】We Mean BusinessとSBT We Mean Businessは、企業や投資家の温暖化対策を推進している国際機関やシンクタンク、NGO等が構成 機関となって運営しているプラットフォーム。構成機関は、このプラットフォームを通じて連携しながら、企業による取組 10種、投資家による取組4種、その他の取組1種を広める活動を推進。 2017年8月23日現在、596の企業と 183の投資家が参加している。 SBTは、企業取り組み10種の一つであり、SBT設立4機関もWMBのプラット フォームの構成機関になっている。 The We Mean Business Coalition SBTイニシアティブ ※その他BSR, CERES,等合計7者 WBCSD CDP RE100 The Climate Group We Mean Business Network Partners WWF ※その他UNEP-FI,国連PRI等 合計10者 We Mean Business協働パートナー ※その他World Bank, IETA,等合計18者 UN Global Compact WRI
SBTの認定基準
SBTの考え方 SBTの削減目標設定(特にScope1+2)は下記の経路が基本 Scope1,2,3についての目標設定の必要がある 事業セクターによっては、セクターの特性を踏まえた算定手法も用意されている(SDA) (参考)SBTの基本的な削減経路 ③SBT目標年を 公表年より5年~15年 の範囲から選択 GHG排出量 ②削減経路を算出 ①削減シナリオを選択 2010年比49%削減(必須※) ④目標値 の決定 2010年比72%削減(推奨) 2010 2022~2032 2050 年
SBT認定の基準概要 1/2 *親会社のみの目標設定を推奨。ただし、子会社が独自に設定することも可能。 **長期目標(例えば2050年目標)の提出も推奨。
SBT認定の基準概要 2/2 ※SBT認定基準の詳細は別冊参照。
SBTの基本要件 目標水準 (必須事項) 世界の気温上昇を2℃以下に抑える水準での削減目標を 最低限構築し、可能であれば1.5℃以下に抑える。 原則として総量で目標を設定する。 原単位で目標を設定することも認められているが、条件がある。気候変動は排出累積総量に比例するため、総量を無視することはできない。このため、設定された原単位目標に売り上げなどの想定量を掛け算した排出総量の想定量が、認定された2℃シナリオ以下となる場合が求められる(公表は不要だが、SBT事務局にそのことを説明することが求められる)。 ※原単位目標を算出する際は、SBT事務局が指定した方法論(SDA等)を用いればよい。
SBTの基本要件 目標水準 2017年4月16日~ 追加事項 (必須事項) 目標は、最新の方法やツールよって計算されていなくてはならない。古いバージョンのツールや方法を利用して計算した目標については、改訂6か月以内に正式提出をしたときのみ有効 Scopeを複数合算(例えば、1+2、または1+2+3)した目標設定が可能。ただし、Scope1+2はSBT水準を満たすことが前提。※Scope1+2は水準未満、Scope3は水準を超える削減、合算してScope1+2+3で水準を満たす、では認められない。 (推奨事項) 手法の選択:SBT事務局としては、早期に削減し、累積排出が最も少ない削減シナリオの利用を推奨 他者のクレジット(排出権)の取得による削減(カーボン・オフセット)は、企業のSBT達成のための削減に算入できない。ただし、SBT達成を超えた貢献をしたいという場合のみ、認める。
SBTの手続き
SBTの検討から実施までの一連の手続き ①【任意】Commitment Letterを事務局に提出 ②目標を設定し、SBT認定を申請 ・2年以内にSBT設定するという宣言 ・SBT事務局、CDP、WMBのウェブサイトにて公表 ②目標を設定し、SBT認定を申請 ・Target Submission Formを事務局に提出 ③SBT事務局による目標のクオリティチェック・回答 ・事務局は認定基準への該否を審査し、メールで回答(否定する場合は、理由も含む) ④認定された場合は、SBT等のウェブサイトにて公表 ⑤排出量と対策の進捗状況を、年一回報告し、開示 ⑥定期的に、目標の妥当性の確認 ・大きな変化が生じた場合は必要に応じ目標を再設定(少なくとも5年に1度は再評価)
【参考】Commitment Letter 企業名 連絡先 企業の説明 日付とサイン サインはだれでもOK http://www.sciencebasedtargets.org/ Take Action Join the call to action からダウンロードできます。
【参考】Target Submission Form(目標認定申請書) 基本情報(企業名、代表者名など) GHG 項目(GHGプロトコルへの準拠) インベントリ 削減目標(数値) 削減に向けた取り組みなど 補足資料 ※妥当性確認は公式、非公式、2つから選択できる。ただし、CDP質問への回答でSBTと認められるためには公式にチェックを入れなければならない。
SBTの設定手法
SBTの設定手法(このうち一つを選択) ※これはScope1・2を前提としている。
SBT設定のための排出シナリオ SBTにおいては以下4つの排出シナリオを選択可能 ※1 温室効果ガス濃度を、450ppmCO2換算で安定化させるための排出経路
IPCC AR5シナリオの特徴 1/2 IPCC AR5(気候変動に関する政府間パネル、第5次評価報告書) 大幅なオーバーシュート(温室効果ガス濃度の超過)が起こらない (Overshoot <0.4W/m2) オーバーシュートとは・・・ ・ 今世紀中のピーク濃度が一時的に2100年の濃度を超えること。 放射強制力が0.4W/m2以上の状態を指す。 ・ 放射強制力は平衡状態にある大気と地表とのエネルギーのバランスが、 温室効果ガスの濃度変化などの要因により変化した際、その変化量を圏界面 (対流圏と成層圏の境界面)における単位面積あたりの放射量の変化であらわす指標。 (1平方メートルあたりのワット数) ・ 正の放射強制力は地表面を暖め、負の放射強制力は地表面を冷やす。 すなわち放射強制力が大きいほど、温暖化を引き起こす効果が大きい。
IPCC AR5シナリオの特徴 2/2 2. 温室効果ガス濃度が低位安定しており、将来の放射強制力が小さい (RCP2.6) ・ Representative Concentration Pathway(代表的削減経路) の略。将来の温 室効果ガス安定化レベルと、そこに至るまでの経路のうち、代表的なものを選んだシナリオ であり、“RCP”に続く数値が小さいほど、2100年における放射強制力が小さい。 年間GHG排出量[GtCO2換算/年] 2000 2020 2040 2060 2080 2100 140 120 100 80 60 40 20 -20 RCP8.5 RCP6.0 RCP4.5 RCP2.6 RCP2.6 低位安定化シナリオ
少なくとも50%の確率で、平均気温の増加を2℃以内に抑制できる、 エネルギーシステムとCO2排出量の推移 IEA 2DSの特徴 IEA 2DS(International Energy Agency 2℃シナリオ) 少なくとも50%の確率で、平均気温の増加を2℃以内に抑制できる、 エネルギーシステムとCO2排出量の推移 2DSにおけるCO2排出量削減シナリオ ・2DSでは2014年比、2060年までにCO2排出量70%削減という目標設定 ・2013年から2050年までの累積排出量は約1,000Gtにとどまる見込み。 ・この排出量を各セクターに配分。 ・この目標達成のために、化石燃料の消費や産業部門におけるCO2排出量は2050年以降も、カーボンニュートラルを達成するまで、削減を継続する必要がある。 70% 削減
手法その1 総量削減(Absolute Emissions Contraction) 2050年に向けた世界全体の排出シナリオの4種類のうち一つを選択 基準年からシナリオと同じレベルで2050年に向けて削減していく想定で、現在から5~15年後の目標を設定 シナリオと同じレベルの削減率を達成するための削減経路は、「同率削減」、「同量削減」の2パターン ※シナリオ:IPCC AR5 (Overshoot < 0.4W/m2) の場合 ⇒ 2050年までに2010年比49%~72%削減 ⇒ 毎年1.7%~3.1%の削減率で削減すればSBT!
2050年に2010年比で49%削減 するシナリオの削減経路(SBT認 定において最低限必要な基準) 【参考】「同率削減」と「同量削減」 2050年に2010年比で49%削減 するシナリオの削減経路(SBT認 定において最低限必要な基準) このシナリオでは年率 1.7%の削減が必要 ①総量同率削減: 毎年の削減率を一定とするパス ②総量同量削減: 毎年の削減量を一定とするパス
手法その2 SDA(部門別脱炭素化アプローチ) 総量削減アプローチでは、世界全体の排出シナリオをそのまま各企業に当てはめるものであるが、当然、部門・業種・業態によって、排出の実態やこれまでの削減取組みの進捗も異なる。 このため、SBTではいくつかの部門について、2050年の、何らかの活動量当たりの原単位の低減水準を設定し、その部門に該当する企業は、その原単位まで下げるという目標を設定するアプローチも用意している。 ⇒ Sectoral Decarbonaization Approach(SDA) ※具体的な2050年の部門ごとの原単位目標は、IEAが実施した最適化計算による原単位予測をベースにして、SBT事務局にて設定している。
手法その2 SDA(部門別脱炭素化アプローチ) SDAの設定ではSBT事務局が公開している計算ツールを利用。 計算ツールに「部門」、「基準年・目標年」、「事業活動・排出量に関するデータ」を入力すれば、目標とする原単位の改善率、削減量、削減率、削減経路が自動で計算される! ※単一の財やサービスを提供していない部門(例えば機械製造業など)は、「その他 製造業」としてまとめて、かつ原単位ではなく総量同率削減にて設定している(この 削減率は、世界全体のものとは若干異なる)。 ※最新のSDA計算ツール(Ver.8)では、自動車製造業のScope3計算、化学・ 石油化学部門のScope1、2計算には利用できない。
SDAが設定されている部門 以下セクターに対してSDAが用意されている ※農林部門、他の土地利用変化、石油・ガス製造、熱供給、産業用エネルギー利用、家庭用建築物については扱っていない。
各部門ごとの2050年までの原単位改善経路 (SBT事務局が設定) セメント 化学・石油化学 鉄鋼 紙・パルプ アルミ その他製造業 Source: Pedro Faria and Nicole Labutong, “A Review of Climate Science Based GHG Target Setting Methodologies for Companies”, March, 2015 1.2 セメント 1.0 化学・石油化学 鉄鋼 0.8 紙・パルプ アルミ 0.6 その他製造業 サービス・商業ビル 0.4 乗用車 バス 0.2 鉄道 航空 電力 2010 2020 2030 2040 2050 その他輸送
SBTの設定のサンプル例
SBT設定のサンプル ーA電機ー 排出量データ Scope別排出量 カテゴリ別排出量 排出量の特徴 排出量の大半はScope3である。 カテゴリ11 販売した製品の使用 Scope2 カテゴリ4 輸送・配送(上流) Scope1 カテゴリ1 購入した製品・サービス 排出量の特徴 排出量の大半はScope3である。 カテゴリ1(購入した製品・サービス)約25%:プラスチック等の資材の調達 カテゴリ11(販売した製品の使用)約45%:液晶パネルや家電の電力消費 Scope2がScope1よりも多く、工場の製造ラインの電力消費量が大きい。
SBT設定のサンプル ーA電機ー Scope1・2目標 排出シナリオ:IEAの2DSに基づく、その他製造業のシナリオ SBT手法:SDA(セクター:Other Industry) セクター特性を踏まえた削減目標を設定するため、SDA(Sectoral Decarbonization approach)を用いて設定 SDAツールで算出し、2030年に2015年比31%削減 Scope3目標 Scope3目標は、排出量の2/3以上を占めるカテゴリ1、11がターゲット Scope3目標:2030年までに製品ポートフォリオのエネルギー効率を 2015年比30%向上。 2030年までに直接取引のあるサプライヤーの調達金額 当たり排出原単位を2015年比20%低下。
SBT設定のサンプル ーB食品ー 仮想企業排出量データ Scope別排出量 カテゴリ別排出量 排出量の特徴 排出量の約半分を占めるカテゴリ1(購入した製品・サービス)は、 原料(農作物等)と容器資材(プラ、鉄、アルミ、ガラス)が半々。 排出量の約8%を占めるカテゴリ13(下流のリース資産)は自動販売機の利用による排出。
SBT設定のサンプル ーB食品ー Scope1・2目標 認定排出シナリオ:IPCC AR5 における2℃未満シナリオ ⇒2050年に2010年比56.5%削減(SBT推奨水準) SBT手法:世界全体の削減率と歩調を合わせて削減していく目標を示すため、総量同率削減を選択。 ⇒2030年に2015年比27%削減 Scope3目標 排出量の上位3カテゴリのカテゴリ1(購入した製品・サービス)、4(上流の輸送)、13(下流のリース資産)で目標設定。 Scope3目標:上位3カテゴリで2030年に2015年比15%削減
SBT設定のサンプル ーC建設ー 仮想企業排出量データ Scope別排出量 カテゴリ別排出量 排出量の特徴 カテゴリ12 販売した製品の廃棄 カテゴリ11 販売した製品の使用 カテゴリ1 購入した製品・サービス カテゴリ5 事業から出る廃棄物 カテゴリ4 輸送・配送(上流) 排出量の特徴 排出量の大半はScope3である。 カテゴリ1(購入した製品・サービス)約30%:コンクリート、鉄骨等の建築材の調達 カテゴリ5(事業から出る廃棄物)約15%:がれき類のリサイクル及び最終処分 カテゴリ11(販売した製品の使用)約20%:ビル、ホテルといった建築物の使用 Scope1がScope2よりも多く、特に建設現場での重機の燃料消費が大きい。
SBT設定のサンプル ーC建設ー Scope1・2目標 認定排出シナリオ:IPCC AR5 における2℃未満シナリオ ⇒2050年に2010年比49%削減(SBTの最低水準) SBT手法:世界全体の削減率と歩調を合わせて削減していく目標を示すため、総量同率削減を選択。 ⇒2030年に2015年比22%削減 Scope3目標 Scope1,2と同じ総量同率削減の考え方に基づきタイムスケール、 同じ削減率とした。 2030年に2015年比22%削減
SBT設定のサンプル ーD百貨店ー 仮想企業排出量データ Scope別排出量 カテゴリ別排出量 排出量の特徴 小売業であるため、仕入れが多くカテゴリ1(購入した製品・サービス)の 排出量が全体の半分以上を占める。 物流をすべて他社に委託しているため、カテゴリ4(上流の輸送)も10%と比較的大きい。
SBT設定のサンプル ーD百貨店ー Scope1,2目標 認定排出シナリオ:IEAの2DSに基づく商業ビル業界のシナリオ SDA手法:セクター特性を踏まえた削減目標を設定するため、SDA(セクター:サービス/商業ビル)を用いて設定する ⇒ 2025年に2015年比床面積当たり排出量を44%改善 (買収などにより、床面積が約5割増える前提で、総量16%削減) Scope3目標 排出量の9割以上を占めるカテゴリ1(購入した製品・サービス)、4(上流の輸送)で目標設定。 企業買収によって事業構造の変化により排出量が大きく変化することが想定されるため、定性的な目標とする。 Scope3目標:2025年までに、カテゴリ1・4に該当する調達先の金額 上位70%に、SBT水準の削減目標を設定してもらう。
SBT認定とCDP 質問書との関係
SBT認定を受けていると、CDPでも得点が上がる 2016年のCDP質問書からSBTに関する質問が追加され、評価の対象となっている。 SBT認定を受けていると、CDPでも「リーダーシップ」の得点を獲得することができる。 総量目標でSBT認定を受けている場合:3.1aでフルポイント 原単位目標でSBT認定を受けている場合: 3.1bでフルポイント 正式な認定 CDP質問書回答より評価 または リーダーシップ (Leadership) ※3.1a総量目標のみ ※3.1a, 3.1bの両方または いずれかにてフルポイント 2点 以下のすべての要件を満たす スコープ内における削減目標対象排出量割合が70%以上 目標がスコープ1と2両方を対象にしている 中期目標を設定している(目標年が2020-2035年) 長期目標を設定している(目標年が2035年以降) 基準年から目標年に渡って年平均削減率が最低2.1% ※リーダーシップスコアを獲得するためには、中期目標と長期目標の両方をカバーするため複数の目標設定が必要です。 管理 (Management) 認識 (Awareness) その削減目標はSBT(科学と整合した目標設定)ですか? ※3.1a, 3.1bの両方またはいずれかにてフルポイント CC3.1のディスクロ―ジャーレベルで満点をとっていることが条件 1点 Yes No, but we anticipate setting one in the next 2 years Yes Don’t know No, but we are reporting another target which is science-based No, but we anticipate setting one in the next 2 years No, and we do not anticipate setting one in the next 2 years 【スコープ内における目標対象排出量割合、目標年、基準年、基準年排出量、基準年からの削減割合】を全て回答し、2.5点をとれていることが条件 開示 (Disclosure) 0.5点
CDP気候変動2017 C3.1削減目標 3.1a 総量目標の詳細について回答してください。 (記述式) (ⅰ)対象スコープ Scope 2(location-based):ロケーション基準手法 Scope 2(market-based):マーケット基準手法 (ⅱ)スコープ総量に対する削減目標対象排出量の割合 (ⅲ)基準年からの削減率 (ⅳ)基準年 (ⅴ)基準年排出量 (ⅵ)目標年 (ⅶ)科学的根拠に基づいた排出削減目標(Science-Based Target)かどうか YESの選択肢が2つにパターン化(SBTだがSBTイニシアチブに認められて いない/SBTイニシアチブに認められている) 自社セクターにおけるSBTの基準がないことが、設定していない理由の選択肢として追加された(例:金融サービスセクター)
CDP気候変動2017 C3.1a総量目標 3.1a 総量目標の詳細について回答してください。 (記述式) 3.1aと3.1b両方選択・入力の場合、高得点を採用 2種類の削減目標を設定している場合、目標ごとに目標に合った(総量目標または原単位目標)評価基準で評価される。最も高得点となった目標が最終的に点数に採用される。 基準年から目標年に渡って年平均削減率が最低2.1%の根拠 ⇒SBTの根拠となるのが、IPCC第5次評価報告書のRCP2.6のシナリオ。これでは、2050年 に2010年比41-72%減で、平均56.5%減を求めている。この56.5%減について、毎年の 平均削減率を算定した結果が2.06%となり、本質問での評価の「2.1%」に繋がる。
CDP気候変動2017 C3.1b原単位目標 3.1b 原単位目標の詳細について回答してください。 (記述式) 原単位目標の場合は、SBT目標として公式に認められていることが、リーダーシップスコア獲得の要件。 3.1aと3.1b両方選択・入力の場合、高得点を採用 2種類の削減目標を設定している場合、目標ごとに目標に合った(総量目標または原単位目標)評価基準で評価される。最も高得点となった目標が最終的に点数に採用される。 原単位目標の、マネジメントスコアは最高でも2点。 (総量目標のマネジメントスコアは最高で3点)。 ⇒マネジメントスコアでは、総量目標が優位。
CDP気候変動2017 C3.1c排出総量の変化 3.1c (原単位目標を選択した場合)排出総量の変化について回答してください。 (ⅰ)目標達成時のスコープ1+2排出総量の変化予測 (ⅱ)スコープ1+2排出総量の変化量予測(%) (ⅲ)目標達成時のスコープ3排出総量の変化予測 (ⅳ)スコープ3排出総量の変化量予測(%) 「増加」、「減少」、「変化なし」から選択。 3.1b(ⅰ)で回答したスコープについて回答。スコープ3に関する目標設定を行っていなければ(ⅲ)、(ⅳ)を回答する必要はない。
参考資料 (環境省)グリーンバリューチェーンプラットフォーム SBT事務局ウェブサイト https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/ SBT事務局ウェブサイト http://sciencebasedtargets.org/ こちらには、SBTマニュアル(常に改訂中),基準,企業事例,目標一覧など全公開情報が掲載されています。
連絡先 環境省 地球環境局 地球温暖化対策課 電話番号:03-3581-3351(内線:6779) みずほ情報総研株式会社 地球環境局 地球温暖化対策課 電話番号:03-3581-3351(内線:6779) みずほ情報総研株式会社 環境エネルギー第2部 電話番号:03-5281-5329 E-mail: scm@mizuho-ir.co.jp 114
【別冊参考資料①】 SBT認定基準詳細 2017年4月16日~ 追加事項 ※4月16日より基準改定があった項目には と記載
SBTの基本要件1. 範囲設定(バウンダリ) (必須事項) GHGプロトコル企業基準に則った、企業全体(子会社含む)のScope1、2の排出量をおさえる必要がある。 Scope1と2の排出量の5%程度(実績と目標の両者)を除外 してもよい。ただし、除外の理由については説明が必要。 GHGプロトコル企業基準において必要とされるすべての温室効果 ガス※についてカバーすること。 (推奨事項) 子会社:親会社のみが目標を提出することを推奨。子会社が希望する場合、別途目標の提出も可。両者提出している場合は、親会社の目標に子会社の目標が含まれるかどうかを明示する必要。 排出回避量(削減貢献量) :企業のインベントリそのものではないため、目標設定に算入す るのは不可。 ※対象ガス:CO2、CH4、N2O、PFCs、HFCs、SF6、NF3
GHGプロトコルにおける企業範囲とは? グローバルルール(GHGプロトコル)では、自社=自グループ。 「支配力基準」と「出資比率基準」の2種類のグループ範囲がある。 【支配力基準】 関連会社の中で、 支配力を及ぼしている先については、相手先企業の排出量の100%を 自社の排出量として計上、 支配力を及ぼしていない先については、相手先企業の排出量は、自社 の排出量と見なさない、とする考え方。 「支配力」は、株式保有割合を基準とする「財務支配力」と、実質的な経 営の意思決定への影響力を基準とする「経営支配力」に分類される。 連結対象までを自社とする場合は、「財務支配力基準」に該当。 ⇒ 企業範囲について自社+連結対象事業者と考えればよい 117 117
GHGプロトコルにおける企業範囲とは? グローバルルール(GHGプロトコル)では、自社=自グループ。 「支配力基準」と「出資比率基準」の2種類のグループ範囲がある。 【出資比率基準】 株式保有している企業全てについて、対象企業の排出量の出資比率相 当分を自社の排出量とする考え方。 118 118
出資先の排出量は、出資比率に比例して自社分として計上 企業範囲のイメージ 支配力基準 (財務支配or経営支配の2種) 出資比率基準 関係会社 関係会社 単体 単体 大 支配力 小 出資比率 支配力内の関係会社の排出量は100%自社分に計上 (支配力外は0%計上) 出資先の排出量は、出資比率に比例して自社分として計上 119 119
A社の製品がB社の製 品を代替するとき、B社 の製品使用時のGHG 排出が回避された 排出回避量(削減貢献量)とは? 従来使用されていた製品・サービスを自社製品・サービスで代替する、というバリューチェーン上の出来事により排出が回避される排出量 <例> 「エコカー」による「ガソリン自動車」の代替 「超軽量材料」が「従来材料」を代替することによる最終製品の燃費向上 ・・・ A社の バリューチェーン B社の C-1 C-2 C-3 カテゴリ1 (C-1) C-11 販売した製品の使用 C-12 C-13 A社の製品がB社の製 品を代替するとき、B社 の製品使用時のGHG 排出が回避された 120 120
SBTの基本要件2. 基準年・目標年 (必須事項) (推奨事項) 基準年:データが存在する最新年を基準年とすることを推奨(未来の年を設定することは認められていない) 目標年:中期目標に加えて長期目標(例えば2050年目標)を開発することを推奨 整合性:中期目標と長期目標は、基準年が同じ年であることが望ましい これまでの成果:目標は、これまで達成した削減ではなく、先を見据えたこれからの努力を示すことが望ましい
存在する直近年を基準年とすることを推奨) SBTの基本要件2. 基準年・目標年 基準年と目標年のイメージ 基準年を設定 できる範囲 SBT事務局提出時 目標年を設定 できる範囲 2017年 2022年 (5年後) 2032年 (15年後) 2016年 (排出量のデータが 存在する直近年を基準年とすることを推奨)
SBTの基本要件3. 目標水準 (必須事項) 世界の気温上昇を2℃以下に抑える水準での削減目標を 最低限構築し、可能であれば1.5℃以下に抑える。 原則として総量で目標を設定する。 原単位で目標を設定することも認められているが、条件がある。気候変動は排出累積総量に比例するため、総量を無視することはできない。このため、設定された原単位目標に売り上げなどの想定量を掛け算した排出総量の想定量が、認定された2℃シナリオ以下となる場合が求められる(公表は不要だが、SBT事務局にそのことを説明することが求められる)。 ※原単位目標を算出する際は、SBT事務局が指定した方法論(SDA等)を用いればよい。
SBTの基本要件3. 目標水準 2017年4月16日~ 追加事項 (必須事項) 目標は、最新の方法やツールよって計算されていなくてはならない。古いバージョンのツールや方法を利用して計算した目標については、改訂後6か月以内に正式提出をしたときのみ有効。 Scopeを複数合算(例えば、1+2、または1+2+3)した目標設定が可能。ただし、Scope1+2はSBT水準を満たすことが前提。※Scope1+2は水準未満、Scope3は水準を超える削減、合算してScope1+2+3で水準を満たす、では認められない。 (推奨事項) 手法の選択:SBT事務局としては、早期に削減し、累積排出が最も少ない削減シナリオの利用を推奨。 他者のクレジット(排出権)の取得による削減(カーボン・オフセット)は、企業のSBT達成のための削減に算入できない。ただし、SBT達成を超えた貢献をしたいという場合のみ、認める。
(削減対策を行わなかった場合の架空の排出量) クレジットを取得した削減について クレジット(排出権)は、あるプロジェクト(排出削減対策)を実施した ことで認定された方法で設定されたベースライン対して追加的とみなされ た削減分、又は定められた排出枠(キャップ)に対する削減分。 他者のクレジットを自社に移転する行為は、地球全体の排出量は削減し たことにはならない。つまり、他者のクレジットを取得することによる自らの削 減は、総量削減を求めるSBT達成のための削減には使えないという整理。 ただし、SBTが要求する以上の削減を実施し、排出量をゼロ(カーボン・ ニュートラル)を目指す企業がクレジットを使うことは支持。 ベースライン排出量 (削減対策を行わなかった場合の架空の排出量) プロジェクト排出量 (削減対策を行った場合の現実の排出量) 他社に移転ができるが、 地球全体の排出量は減らない クレジット
SBTの基本要件4. Scope2への対応 (必須事項) 2017年4月16日~ 追加事項 (必須事項) 企業は基準年やSBT達成の度合を検証するために、GHGプロトコルScope2ガイダンスのロケーション基準、マーケット基準のどちらを利用しているのか開示が必要。 (推奨事項) 熱・蒸気:熱と蒸気による排出は直接排出(Scope1)として計算。 目標年における電力の排出係数を設定することが必要な場合、電力セクターも2℃シナリオに沿ったSBT水準の排出削減を行うことを想定して、設定することを推奨。
Scope2排出量の報告方法 基準年の排出量を算定する際は、GHGプロトコルScope2ガイダンスのロ ケーション基準又はマーケット基準のどちらか一方を選択。 国・地域によらず基準は統一する必要がある。 マーケット基準を選択したものの、マーケット基準で適用する排出係数がな い国・地域(電力自由化等が未実施)は自動的にロケーション基準の排 出係数となる。
※ただし、電気事業者別排出係数との対応関係はCDP JAPANの暫定案であることに注意。 Scope2排出量算定で適用する排出係数 Scope2排出量を算定する際に適用する排出係数として、日本では温室 効果ガス排出量算定・報告・公表制度における「電気事業者別排出係 数」が利用できる。 ロケーション基準手法を選択する場合、「代替値」を参照し、マーケット基 準手法を選択する場合、「実排出係数」又は「調整後排出係数」を参照 する。 ※ただし、電気事業者別排出係数との対応関係はCDP JAPANの暫定案であることに注意。
SBTの基本要件5. Scope3への対応 (必須事項) バウンダリ: GHGプロトコル企業バリューチェーン(Scope3)算定報告基準に則って概算した企業のScope3排出量がScope1,2,3を合わせた量の40%以上を占める場合、Scope3の目標の設定が必要。 Scope3目標のバウンダリは、バリューチェーンを通じた排出量の多くを含む必要。多く、とは、トップ3カテゴリの排出の全てをカバーまたはScope3排出量全体の3分の2の量をカバーを指す。 目標: Scope3の目標は「野心的」であることが求められる。「野心的」であることを示すために、どのように排出削減に取組むかを示し、それが現状の最大限の取組みであるということの明示が必要。
SBTの基本要件5. Scope3への対応 (必須事項) 化石燃料を販売している発電事業者: (推奨事項) Scope3の目標設定にSBT手法を活用することについて: 現在のSBT設定手法は、(SDAにおける乗用車製造業について以外は)Scope1・2排出量を想定して開発されているが、この手法を適用可能な場合にScope3目標に活用することを考慮してほしい。 2017年4月16日~ 追加事項
SBTの基本要件6. 報告 (必須事項) 企業は企業全体のGHG排出量インベントリと目標に対する進捗を年に1度報告しなくてはいけない。 (推奨事項) 開示の場所:インベントリの開示場所について、公開である限り特定の要件はない。推奨としては、年次報告、サステナビリティ報告書、企業のWEBサイト、または、CDP質問書への回答など。
SBTの基本要件7. 再計算 (推奨事項と新規ガイドライン) 2017年4月16日~ 追加事項 (推奨事項と新規ガイドライン) 目標の再計算:削減実績を整合的に追跡するために、目標の整合性や妥当性に影響あるような大きな変化があった場合は必要に応じて目標を再計算しなくてはならない。 企業が年に1度目標について妥当性を確認することを推奨。最低でも、目標は5年に1度は再評価をしなくてはならない。企業は大きな変更があった場合、SBT事務局にその旨を知らせ、その変化について必要に応じて公開する必要がある。 ※以下のような場合、目標の再計算の検討をすることが望ましい ・企業の組織変更(例えば、買収、売却、合併、仕事の企業内部化、外注) ・成長予測 ・目標設定に利用したデータの変更(例えば、大規模な間違いを見つけたり、小さな間違いが積み重なって大きな規模の修正になっているもの) ・排出インベントリの計算方法の変更(基準年のインベントリの再計算も必要になってくる) ・それ以外のSBT設定手法で利用した予測や想定の変更
【別冊参考資料②】 SBTの認定事例
SBT認定取得済は世界全体で65社,日本は11社 (2017.09.04現在) AMD/AstraZeneca/Autodesk/Biogen/Carlsberg Group/Capgemini UK plc/ CEWE Stiftung & Co. KGaA /Coca-Cola HBC AG/Colgate Palmolive Company/第一三共/Dell Inc./電通/Diageo/DONG Energy A/S/EDP - Energias de Portugal S.A./Eneco/Enel/Farmer Bros. Co./ Ferrovial/富士通/General Mills Inc./Hewlett Packard Enterprise/HP Inc/Host Hotels & Resorts, Inc./Husqvarna AB/Ingersoll-Rand Co. Ltd./International Post Corporation (IPC)/川崎汽船/Kellogg Company/Kering/Kesko /キリン/コマツ/コニカミノルタ/Koninklijke KPN NV(Royal KPN)/Landsec/Las Vegas Sands/Level 3 Communications/Lundbeck A/S/Marks and Spencer/Muntons/ナブテスコ/Nestlé/NRG Energy Inc/Österreichische Post AG/Panalpina /PepsiCo, Inc./Pfizer /Philip Morris International/PostNord AB/Procter & Gamble Company/Proximus/リコー/SAP/Sopra Steria Group/ソニー/Swisscom/Symrise AG/Tesco/Tetra Pak/Thalys/戸田建設/UBM/Verbund AG/Walmart (出典)Science Based Targetsホームページ資料より作成 http://sciencebasedtargets.org/companies-taking-action/
海外企業事例 -①DELL- コミット経緯 サプライチェーン上流・下流(特に下流の顧客側)でのGHG排出量への対応の重要性を認識し、自社目標を検討してきた 2015年に、サステナビリティ戦略見直しの一環としてSBTへコミット 顧客の製品機能等への要望を踏まえるとGHG排出は増えるため、 “顧客需要を満たすことと排出削減の両立”が論点に SBT設定メリット 自社のサステナビリティ確保と、将来ビジネスニーズ(顧客からの期待)への対応となる 潜在的な技術課題とその解決策を理解し、進捗状況を測る機能への投資となる
海外企業事例 -②Land Securities- コミット経緯 2015年後半、機関投資家から持続可能性目標についての問合せあり 不動産業界での持続可能性分野のリーダーとなるべく、CEOが目標設定へ挑戦すると判断 社内向けの会議やワークショップを開催。「リーダーシップとは何か?」をキーワードに、自身が変化することがチャンスに繋がることを示し、理解者を増やしていった Scope3の目標設定が難航(社内で承認を得た目標がSBTの基準を満たさず) SBT設定メリット 投資家との関係強化ができ、長期的投資の見通しが立った SBT認定を受けたことで、業界内でフォロワーの立場から、リーダーの立場に変わり 社内的に自信が得られた
海外企業事例 -③Pfizer- コミット経緯 環境医学グループ、環境法グループ、グローバル工学グループの3つの部会を立ち上げ グローバル工学グループが、省エネと再エネの促進がコスト的に負担ではなくメリットを生み出すと捉え、社内調整に尽力 取締役会で目標が承認された後は、社内調整がスムーズに SBT設定メリット エネルギー節約の見える化ができた(設備単位での効果は小さいが、2000年以降3300のプロジェクトを合算すると年間150億円の節約となっている) 社内からエネルギー節約アイデアを募り、SBTに関わる社員も増えている
SBT認定取得済み日本企業11社 1/2
SBT認定取得済み日本企業11社 2/2