データと意思決定支援Ⅰ 15601018 川田和樹.

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データと意思決定支援Ⅰ 15601018 川田和樹

西垣通・伊藤守 編著 「よくわかる社会情報学」 Ⅳ 社会的意思決定と情報     7 インターネットと選挙 について

○流れ 電子投票について ↓ (日本において)スマートフォンから投票できる日は来るか VAA、データベースマーケティングについて まとめ

1-1.スマートフォンから投票できる日は来るか? 先進国の政治的課題として低投票率や低関心がある。 この対策に電子投票を用いる。 電子投票を用いることによって、低投票率や低関心を解消できるはず だ。

1-2. 電子投票とは 電子投票 = インターネットを用いた投票という意味だけではない。 タッチパネルを用いた電子投票機を用いる方法。 つまり、電子投票機がある会場に赴かなければならない。 自宅のパソコンを用いたインターネット投票。 日本は電子投票を3つの段階で捉えている。

1-3. 電子投票の段階 第1段階:選挙人が指定された投票所において電子投票機を用いて投 票する段階。 第2段階:指定された投票所以外の投票所においても投票できる段 階。 第3段階:投票所での投票を義務付けず、個人の所有するコンピュー タ端末を用いて投票する段階。

1-4. 電子投票のメリット 投票用紙の削減による環境保護。 開票の迅速化。 無効票の減少。 場所の制限から解放される(第3段階)。 →いつでも、どこでも、投票できることを示す。 世界で初めて第3段階の電子投票が行われたのがエストニア。 エストニアの電子投票について見て行く中で、低投票率、低関心が解 消されたか探る。

1-5. エストニアの電子投票(第3段階)手順 1 インターネットに接続済みのコンピュータに、IDカード用のリーダーを装着し、専用ソ フトウェアをインストールする。ID カード をカードリーダーに挿入し、選挙管理委員会の運営 する投票用ホームページにアクセスする。 2 ID カード上の PIN により本人認証を行う。 3 選挙人に投票資格かあるかどうかをサーバがチェックする。 4 選挙人の居住する選挙区の候補者が表示される。 5 選挙人は投票方向の決定を行う。 6 選挙人は自己の選好を、デジタル署名によって確認する(2とは異なるPINを用いる)。 7 開票時にはデジタル署名はすべて削除し、選挙管理委員会において無記名状態となっ た票を用いて開票作業を行う。

1-6.エストニアの電子投票図解 https://crowdcredit.jp/blog/entry/185/4 より引用

1-7. エストニアの電子投票 〜プラス面〜 投票受付期間内であれば、一度投票した電子投票をキャンセルして再 度投票が可能。 → 一時的な感情に流されて投票したとしても、頭を冷やす機会・時間が 存在する。 投票所で紙の投票用紙に投票することによって投票方向の変更が可 能。 紙での投票、電子投票のどちらでも選択できる。

1-8. エストニアの電子投票 〜マイナス面〜 投票の改竄等のセキュリティ上の問題点、なりすまし、買収や投票の 強要の危険性 →ex. 密室でのやり取り、強要に意味があるか。 インターネットに接続できない国民への不利益、不平等。

1-9. 大統領vs裁判所 in エストニア 憲法の統一的に投票を行わなければならないという規定に違反してい るのではないか。 電子投票は何度も投票をやり直すことができるが、従来の紙での投票 では、やり直しの投票ができないから。 裁判所「大統領の主張を退ける」 投票の方法は期限前投票、在外投票、保護施設における投票など、 多様である。 投票の権利を行使することができる全ての者に完全な平等を保障す ることは現実的に不可能で、 憲法上も要求されるところではない 。

1-10. 投票率は改善したのか(1)? 2005年地方議会選挙(0.90,7.20) 2007年国会選挙(3.40,17.60) 2009年欧州議会選挙(6.50,45.40) 左側がエストニアのインターネット投票利用率の推移(単位は%)。 右側が期日前投票のインターネット投票利用率。 電子投票の利用率は徐々に上昇している。

1-11. 投票率は改善したのか(2)? エストニア議会選挙結果 2003(58.24)→2007(61.91)→2011(63.53)→2015(64.20) 欧州議会選挙結果 2004(26.83)→2009(43.9)→2014(36.5) ※選挙全体の投票率を示す。尚、電子投票が施行されたのは2005年。 一概に電子投票によって投票率が上昇したとは言えない。 つまり、低投票率、低関心が解消されたとは言い難い。 もう少し経過を観察する必要がある。

1-12. スマートフォンから投票できる日は来るか? どうやって本人確認を取るのか。 どうやって秘密性を保持するのか。ex. 電車内での覗き見。 エストニアが示すように、導入したからといって即座に効果があるわけで はない。→様子見。 生まれながらにしてスマフォ等があるデジタルネイティブ世代が世の中 に蔓延すれば、少しは意識も変わるかもしれない。

2-1. 直接民主制 ネットを利用していかに直接民主制を実現させるか。 そもそも直接民主制は本当に望ましいのか。 この議論が生じるのは、一般の国民がそれほど政治的な課題に明るくないから。 どうせ政治的な課題がわからないのなら、政治に参加させない方がよいか? →それは違う。 政治に参加させるかさせないかより、いかに政治的な課題に明るくなってもらうかを考える べきである。

2-2. 直接民主制を支援する制度・システム 国会における議員の発言を要約し、短時間で国会議員の普段の言動 の傾向を読み取れるような 情報提供を行うシステム。 コメント付き動画サイトのコメントが多く付いている部分を抽出して要約 文を生成するシステム 。 投票所を再配置することにより投票率の最大化を図るシステム 。 投票支援システム。

2-3. 投票支援システム(VAA)とは Voting Assistance Application の略。 方法の1つがボートマッチシステム。 事前に定められた政策的争点について、有権者が自身の考えをアン ケートのように回答していくことで、考えの近い政党や候補者が表示さ れる。

2-4. ボートマッチの問題点 ボートマッチの製作者によって回答を誘導される可能性がある。 →複数のサイトでボートマッチを行う必要がある。 ボートマッチの結果を鵜呑みのしてしまう人々がいる可能性。 あくまで意思決定を支援するはずが、意思決定を支配されてしまう。

3-1. データベースマーケティング オバマ大統領の2012年の選挙運動戦略。 様々な団体の名簿情報などから、有権者の属性(男女・年齢、氏名、 性別、住所、電子メールアドレス、投票歴)に合わせた効果的な投票 依頼メッセージを的確に選定する。 名簿情報をデータベースに登録する作業時間が膨大(約18ヶ月)。 →逆に言えば、それほどの価値があるということ。

3-2. オバマのデータベースマーケティング 資金集めのために利用 ランダムに抜き出した複数の少人数グループに、差出人名や件名、本 文を変えて募金を呼びかける電子メールを送付。その時点で最も反応 が良かった組み合わせを大規模展開する。 迷惑メールのような、ただの数打ちゃ当たる戦法ではない。一人ひとり の「個人」を考えた戦略をとっている。

3-3. 日本では…… 選挙制度、資金や人材確保において文化面を含めた社会的な相違が。 他の国のやり方が日本に適しているとは限らない。 結局日本は時代遅れ。でも保守的なところがいいところ(?)。

4-1.政治を変えるかもしれない広告技術 データベースマーケティングが重要。 私たちの行動履歴はデータとして記録されている。(ex. LINEのテキス トのやり取り) 集められるデータは膨大だが、それゆえに上手く扱えば精度の高い マーケティングが可能になる。

4-2.テレビを超える 昔は…… テレビを制するものが政治を制する。 テレポリティクスの時代。 今は…… データベースマーケティングを制するものが政治を制する。 SNS、個人の属性推定技術。 「1対多」だったものをいかに「1対1」に持っていくか。

5-1. まとめ(1) 電子投票 3つの段階が存在する。 無効票が少ない。すなわち正確な民意の反映に一役買っている。 まだまだ発展途上。 低投票率、政治への低関心を解消する起爆剤とは言えそうにない。 しかし、期待も。

5-2. まとめ(2) VAA 意思決定を支援するはずが、意思決定を支配されてしまう可能性があ る。 データベースマーケティング いかに一人ひとりに焦点を当てるか どれほど科学技術が発達しても、扱う人間自体は変わらない。

参考文献 湯淺墾道「エストニアの電子投票」社会文化研究所紀要 65 号 掛谷英紀,尾崎正宗,佐藤裕也「国会における議員の発言の自動要約システム」 言語処理学会第21回年次大会発表論文集 村田忠彦「コンピュータを用いた政策立案支援システム」 佐藤哲也「争点投票支援 システムの提案 とその評価 -2001年参院選を対象として-」 http://src-h.slav.hokudai.ac.jp/election_europe/ee/source.html 〜中東欧・旧ソ連諸国の選挙データ〜 https://www.icr.co.jp/newsletter/report_social/s2002EV001.html 〜株式会社情報通信総合研究所「電子投票のすべて」〜 http://www.ambiru.co.jp/keiei/no168.html 〜 SAS Institute Japan株式会社「米大統領選挙で実証されたビッグデータ分析の価値」〜 http://www.ambiru.co.jp/keiei/no168.html 〜経営一番 NO.168〜

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