シミュレーション演習 狙い 初日 イントロ 2日目 プローブと信号 3日目 実験結果からの数理モデル作成

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実習の前に … 黒田研の実習では、ファイルをダウンロードしても らうことが多くあります。 まずは、下記のホームページを開いてください。 tokyo.ac.jp/class/Summer/2013 → 直打ち または ① Google で「東京大学黒田研究室」検索.
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1 今後の予定 8 日目 11 月 17 日(金) 1 回目口頭報告課題答あわせ, 第 5 章 9 日目 12 月 1 日(金) 第 5 章の続き,第 6 章 10 日目 12 月 8 日(金) 第 6 章の続き 11 日目 12 月 15 日(金), 16 日(土) 2 回目口頭報告 12 日目 12.
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今後の予定 8日目 11月13日 口頭報告答あわせ,講義(5章) 9日目 11月27日 3・4章についての小テスト,講義(5章続き)
今後の予定 7日目 11月12日 レポート押印 1回目口頭報告についての説明 講義(4章~5章),班で討論
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シミュレーション演習 狙い 初日 イントロ 2日目 プローブと信号 3日目 実験結果からの数理モデル作成 2018/9/17 シミュレーション演習 狙い 初日 イントロ 2日目 プローブと信号 3日目 実験結果からの数理モデル作成 4日目 時間パターンに対する選択的応答 5日目 スイッチ応答とメモリ 6日目 振動現象 Hill equation, bistability, hysteresis, Optimal stimulus, step response (low path filter), oscillation/wave, 夏はそれぞれの振る舞いをsimulationと実験それぞれを交えて話をする。

シミュレーション演習 狙い スイッチ応答とメモリ 1.Hill式モデル(ヘモグロビンorMAPK? 2018/9/17 シミュレーション演習 狙い スイッチ応答とメモリ 1.Hill式モデル(ヘモグロビンorMAPK? 2.Positive feedbackモデル(lamda phage)  閾値現象のtime course  hysteresis Hill equation, bistability, hysteresis, Optimal stimulus, step response (low path filter), oscillation/wave, 夏はそれぞれの振る舞いをsimulationと実験それぞれを交えて話をする。

スイッチ応答:単安定と双安定 単安定応答 双安定応答 2. Circuit Engineering Genetic Circuits どちらも一見閾値現象っぽいけど、よく見ないとだまされる。 どうやって調べたらいいの? 単安定応答 双安定応答

細胞運命決定機構 ANALOG DIGITAL (アナログ・デジタル変換) Stimuli Conversion Fate ANALOG DIGITAL 010100101110101001011010101011010100011101010010101110101001011101010010110101010110101000111010100101011101001101101001011111010100111010010110 Graded input... … binary output. “How intense the stimulus/stimuli?” “To divide or not; to differentiate or not; to de-differentiate or not.”

HemoglobinとO2運搬 nH=2.8 Hemoglobin1分子にO2が4分子結合

nth order reaction (1) (付録A) 1次:  2次:  3次:  4次:  ….  ….  n次:  次数があがっていくと平衡状態での複合体の濃度はどう変化するか Sigmoid, ultrasensitivity

nth order reaction (1) (付録A) Sigmoid, ultrasensitivity 例1:O2・Hb 1次:  2次:  nH=4 3次:  nH=3 nH=2 4次:  [O2・Hb] Hill equation yを[O2n・Hb]、xを[O2]とすると nH=1 DEMO Cam.g Matlab hill1 [O2] この場合のKは、それぞれの場合における [O2・Hb]の飽和値の50%を与える[O2] しかし、実際は nH (Hill coefficient) は必ずしも整数にならない! なぜか?

nth order reaction (1) (付録A) # しかし、実際には4分子のO2が同じaffinityでHbに同時に結合するわけではない。 O2が何分子結合しているかにより次のO2に対するaffinity(Kd値)が変化する →協調性(Cooperativity)

nth order reaction (1) (付録A) Hill Equation Adair Equation Where Ki = k1*k2*k3*….ki

HemoglobinとO2運搬 nH=2.8 Hemoglobin1分子にO2が4分子結合

HemoglobinとO2運搬: Bohr effect decreasing pH facilitates O2 release from oxyhemoglobin 酸素解離曲線が右へシフト O2が離れやすくなる 温度の上昇、pHの低下、pCO2の上昇によりHbの酸素解離曲線がシフトする。解糖の代謝産物である2,3-DPGが増加しても同様のことが起きる。 このことにより、Hbは代謝が盛んでO2を必要とする部位において、効率よくO2を解離する事ができる。

HemoglobinとMyoglobin Hemoglobin1分子にO2が4分子結合 Myoglobin 1分子にO2が1分子結合 ポイント 1)結合次数が違う  Hb:付きやすく離れやすい  Mb: 付きにくく離れにくい 2)EC50が違う  抹消でHbからリリースされた O2をMbがキャッチ

Xenopus Oocyte Maturation アナログ・デジタル変換

Xenopus Oocyte Maturation Sustained MAPK activation アナログ・デジタル変換 progesterone Eggs; competent for fertilization Stage VI oocytes Sustained MAPK activation oocyte maturation G2-like state (meiosis I) metaphase (meiosis II)

nth order reaction (4) 例3:MAP kinase cascade Science Vol. 280, pp. 895-898, 1998 James E. Ferrell Jr.* and Eric M. Machleder

nth order reaction (4) 例3:MAP kinase cascade Science Vol. 280, pp. 895-898, 1998 James E. Ferrell Jr.* and Eric M. Machleder

nth order reaction (4) 例3:MAP kinase cascade Science Vol. 280, pp. 895-898, 1998 James E. Ferrell Jr.* and Eric M. Machleder

nth order reaction (4) 例3:MAP kinase cascade 一つ一つの細胞では nH > 42 えっ、42次以上? その正体は! Science Vol. 280, pp. 895-898, 1998 James E. Ferrell Jr.* and Eric M. Machleder

反応素過程とそのネットワークの特徴的振る舞い(1) ネットワークの形成 2018/9/17 反応素過程とそのネットワークの特徴的振る舞い(1) ネットワークの形成 Activation Molecule Inhibition 簡単な素過程の組み合わせ概念 〇 Feedforward activation inhibition Synergy Diversion nth order reaction 〇 Feedback positive feedback loop negative feedback loop

スイッチ応答:単安定と双安定 単安定応答 双安定応答 2. Circuit Engineering Genetic Circuits どちらも一見閾値現象っぽいけど、よく見ないとだまされる。 どうやって調べたらいいの? 単安定応答 双安定応答

Positive Feedback Loop 2018/9/17 Positive Feedback Loop 例3:MAP kinase cascade Science Vol. 280, pp. 895-898, 1998 James E. Ferrell Jr.* and Eric M. Machleder Nature Vol. 426, pp. 460-465, 2003, Wen Xiong & James E. Ferrell Jr

Positive feedback loop 2018/9/17 Positive feedback loop 例1: JNK cascade Sorbitol MEKK1,4 MLK ASK (MAP KKK) MKK4/7 (MAP KK) JNK (MAP K) Curr. Biol. Vol. 11, pp. 1176-1182, 2001 Christoph P. Bagowski and James E. Ferrell, Jr.

Positive feedback loop 2018/9/17 Positive feedback loop 例1: JNK cascade 理論からの振る舞いの予測 Positive feedback loopあり、なしでの振る舞いの違い 単安定 双安定 : Hysteresisあり DEMO Feedback.g Curr. Biol. Vol. 11, pp. 1176-1182, 2001 Christoph P. Bagowski and James E. Ferrell, Jr.

Positive feedback loop 2018/9/17 Positive feedback loop 例1: JNK cascade Curr. Biol. Vol. 11, pp. 1176-1182, 2001 Christoph P. Bagowski and James E. Ferrell, Jr.

Positive feedback loop 2018/9/17 Positive feedback loop 例1: JNK cascade Positive feedback loopの振る舞い Bistability (all or none) Hysteresis, 双安定 Loopをcutすれば、単安定 DEMO next p Feedback.g and loop cut Curr. Biol. Vol. 11, pp. 1176-1182, 2001 Christoph P. Bagowski and James E. Ferrell, Jr.

Positive feedback loops 2018/9/17 Positive feedback loops Positive Feedback LoopのBistabilityの解析 kinase1 Activator sub1 Phosphatase kinase2 sub2 Phosphatase DEMO feedback.g

Positive feedback loop 2018/9/17 Positive feedback loop 例1: JNK cascade Positive feedback loopの振る舞い Bistability (all or none) Hysteresis, 双安定 Loopをcutすれば、単安定 Curr. Biol. Vol. 11, pp. 1176-1182, 2001 Christoph P. Bagowski and James E. Ferrell, Jr.

ヌルクライン(nullcline)と安定性 仮想的なポジティブフィードバック ヌルクライン(nullcline)と安定性 A B (1) (2) AあるいはBを固定してそれぞれの濃度を変化させた場合の平衡曲線 →ヌルクライン 高次反応 B A 1 0.5 ○要

ヌルクライン(nullcline)と安定性 仮想的なポジティブフィードバック ヌルクライン(nullcline)と安定性 A B (1) (2) AあるいはBを固定してそれぞれの濃度を変化させた場合の平衡曲線 →ヌルクライン B A 0.5 1 1次反応 ○要

ヌルクライン(nullcline)と安定性 仮想的なポジティブフィードバック ヌルクライン(nullcline)と安定性 A B (1) (2) AあるいはBを固定してそれぞれの濃度を変化させた場合の平衡曲線 →ヌルクライン 高次反応 1次反応 B B A 0.5 1 A 1 0.5 ○要

(左図は=KdB =(1/2)^5,KdA = 0.4,n=5) ヌルクライン(nullcline) A B (1) (2) B A 1 0.5 相平面(phase plane) B 1 B A 0.5 1 0.5 ヌルクラインを重ねると ○要 A 0.5 1 (左図は=KdB =(1/2)^5,KdA = 0.4,n=5)

(左図は=KdB =(1/2)^5,KdA = 0.4,n=5) ヌルクライン(nullcline) A B (1) (2) B A 1 0.5 相平面(phase plane) B 1 B A 0.5 1 0.5 この点がどこへ 行くか予想しよう ○要 A 0.5 1 (左図は=KdB =(1/2)^5,KdA = 0.4,n=5) 32

(左図は=KdB =(1/2)^5,KdA = 0.4,n=5) ヌルクライン(nullcline) A B (1) (2) B A 1 0.5 相平面(phase plane) B 1 B A 0.5 1 0.5 ○要 A 0.5 1 (左図は=KdB =(1/2)^5,KdA = 0.4,n=5) 33

(左図は=KdB =(1/2)^5,KdA = 0.4,n=5) ヌルクライン(nullcline) A B (1) (2) B A 1 0.5 相平面(phase plane) B 1 B A 0.5 1 0.5 ○要 A 0.5 1 (左図は=KdB =(1/2)^5,KdA = 0.4,n=5) 34

(左図は=KdB =(1/2)^5,KdA = 0.4,n=5) ヌルクライン(nullcline) A B (1) (2) B A 1 0.5 相平面(phase plane) B 1 B A 0.5 1 0.5 ○要 A 0.5 1 (左図は=KdB =(1/2)^5,KdA = 0.4,n=5) 35

(左図は=KdB =(1/2)^5,KdA = 0.4,n=5) ヌルクライン(nullcline) A B (1) (2) B A 1 0.5 相平面(phase plane) B 1 :安定平衡点 :不安定平衡点 B A 0.5 1 0.5 ○要 A 0.5 1 (左図は=KdB =(1/2)^5,KdA = 0.4,n=5) 36

(左図は=KdB =(1/2)^5,KdA = 0.4,n=5) ヌルクライン(nullcline) A B (1) (2) B A 1 0.5 相平面(phase plane) B 不安定多様体 separatorix 1 :安定平衡点 :不安定平衡点 B A 0.5 1 0.5 ○要 A 0.5 1 (左図は=KdB =(1/2)^5,KdA = 0.4,n=5) 37

(左図は=KdB =(1/2)^5,KdA = 0.4,n=5) ヌルクライン(nullcline) A B (1) (2) 相平面(phase plane) B 過渡応答 B 1 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 0.5 1 :安定平衡点 :不安定平衡点 0.5 ○要 Time A 0.5 1 (左図は=KdB =(1/2)^5,KdA = 0.4,n=5)

Ozbudakらは2変数の式で ポジティブ・フィードバックをモデル化した TMGout (Xout) + TMGin (x) LacY-GFP (y) LacI Ozbudak et al. (2004) Nature の モデルを簡略化したもの TMG (methyl-β-D-thiogalactopyranoside) LacYによって取り込まれ、LacIを阻害する