実験物理と計算機 (Linux計算機を使った物理学実験) 力学/天体物理No2 第8回 概要 1)ボイジャー2号の木星による重力加速

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実験物理と計算機 (Linux計算機を使った物理学実験) 力学/天体物理No2 第8回2011-2-3 概要 1)ボイジャー2号の木星による重力加速   ボイジャー   スイングバイ 2)3体問題   カオス 3)やる事

1)ボイジャー2号の木星による重力加速 ①ボイジャー(Voyager:「船舶などで航海を行う人々、(冒険的な)航海者」という意味の 「voyager」に由来する語) は、アメリカ航空宇宙局(NASA)が1977年に打ち上げた無人 惑星探査機。重量721.9kg。 ②ボイジャー1号は、木星と土星とその衛星を観測した。ボイジャー2号は、1号が訪れた 惑星に加えて天王星と海王星とその衛星を観測した。結果、各惑星で新しい衛星を発 見したり、木星、天王星及び海王星に環があることが明らかとなった。また、トリトンにお ける大気の発見の他、イオの火山についても明らかとなった。 ③ボイジャーには「地球の音(The Sounds of Earth)」というタイトルの金メッキされた銅板 製レコードがついており、そこには地球上の様々な音や音楽、55種類の言語による挨 拶や様々な科学情報などを紹介する写真、イラストなどが収録されている。これは、ボ イジャーが太陽系を離れて他の恒星系へと向かうので、その恒星系の惑星に住むと思 われる地球外知的生命体によって発見され、解読されることを想定して、彼らへのメッ セージとして積み込まれたものである。 ④ボイジャーが地球を出発した時の速度では木星あたりまでしかいけない速度であった が、スイングバイ航法により、木星よりも遠くの飛行を可能にするものだった。 ボイジャー2号が目標の海王星の近接探査を行うためにはスイングバイ航法により、 行く先々に惑星が存在しなければならない。木星、土星、天王星、海王星の四大惑星 が、一列に並ぶのが、1977年でこの年に打ち上げられた。

1号: 1977年9月5日打ち上げ   1979年3月5日木星通過   1980年11月12日土星通過   2007年7月19日太陽から約154億8000万kmの距離を太陽との相対速度   17.132km/sで飛行中、地球から最も遠くにある人工物。 2号:1977年8月20日打ち上げ   1979年7月9日木星通過   1981年8月25日土星通過   1986年1月24日天王星通過   1989年8月25 海王星通過   2007年7月19日太陽から約124億5900万km離れたところを太陽との相対速度   15.572km/sで飛行中。 http://ja.wikipedia.org/wiki

スイングバイ ①スイングバイとは、天体の万有引力を利用して宇宙船の運動方向を変更する技術。 天体の公転運動を利用することで宇宙船を加速あるいは減速することができる。 ②力学的エネルギー保存の法則と、運動量保存の法則により説明することができる。 ③燃料の補給が困難な惑星探査において重要な役割を果たす。 ④重力による惑星と宇宙船の2体運動として、惑星を中心とした座標でみた場合、宇宙 船が目標とする惑星に近づくと、惑星の重力により引き寄せられ徐々に加速する。惑星 から遠ざかる時には、惑星の重力が引き戻す力として働くために宇宙船は減速する。 この時、宇宙船は双曲線軌道を描く。速度は時間とともに変化するが、進入時の加速と 離脱時の減速とは相殺しており、最終速度は変わらない。 ⑤宇宙船の場合には、太陽に固定された座標系で考えなければならず、惑星の公転が 重要な意味を持つ。宇宙船が惑星の公転方向の後方を通る場合、惑星近辺を通りすぎ た後に、宇宙船が惑星から離れていく際の方向は、惑星の公転と同じ方向になる。 このときの速度は、惑星に接近する時の速度に公転速度 の分が足された速度になる。つまり、惑星に対する宇宙船 の速度は、スイングバイの前後で変わっていないが、宇宙 船の軌道が変わったため、太陽に対する宇宙船の速度は 速くなる。 ⑥天体の質量と公転速度が大きいほど、軌道や速度の変化 を大きくすることができる。質量の小さな天体では、公転速 度が大きくても軌道を変えることができず通過するだけにな る。逆に、質量が大きくても公転速度が小さな天体では、 軌道は変えられても速度への影響は小さなものになる。 http://www005.upp.so-net.ne.jp/yoshida_n/qa_a35. htm

宇宙速度 ①第一宇宙速度 地球の地表すれすれに衛星として存在するために必要な速さで約 7.9 km/s。 これ未満では地表に墜落する。 ②第二宇宙速度(脱出速度) 地球表面から慣性飛行を行って、地球の重力を振り切るために必要な最小初速度の 大きさ。約 11.2 km/s。地球の重力圏を脱出するという意味で脱出速度とも呼ばれる。 ③第三宇宙速度 地球表面から慣性飛行を行って、太陽の重力を振り切るために必要な最小初速度の 大きさで、地球に対する相対速度で約 16.7 km/s。 ④これらの速度はあくまでも慣性飛行における初速度の最小値である。したがって重力を 超える推力を維持し続けられるのであれば、低速であろうと地球や太陽の重力圏から 遠ざかることが可能である。また、地球や太陽から遠ざかるほど脱出速度は小さくなる ので、推力が維持できなくなる前に、その地点での脱出速度に達すれば重力圏を脱出 することが可能である。

重力場における衝突(2体問題)

ニュー・ホライズンズ ①NASA が2006年に打ち上げた、人類初の冥王星/太陽系外縁天体探査機。 ②本体の重量は465 kg(推進剤77kg含む)。本体を軽量にして、生じた余裕は速度の向 上に充てられた。発射後9時間で月軌道を通過し、13ヵ月後に木星をスイングバイする。 月軌道および木星までの所要期間は史上最短。 ③太陽から遠くて太陽電池が使えないので、原子力電池を搭載。 ④打ち上げ直後の速度は、歴代の探査機の中で最高速度で30km/s。 第1段及びブースターロケットの燃焼終了時に達成した速度が10km/sであり、この時 点で地球脱出速度を超えていた。その後、第2段ロケット燃焼時には15km/sに達し、そ して第3段ロケット燃焼終了時には30km/sに到達した。この速度は、ボイジャー1号、2号 が地球軌道離脱時に達した速度を上回る。 ⑤2006年9月:望遠カメラで初めて冥王星を撮影。 ⑥2007年2月:木星に接近。スイングバイを行い、21km/sまで加速。前後の数日間には 木星の小赤斑、エウロパ、ガニメデ、イオを撮影し、イオの撮影では同時に3火山が 噴火している状態を写真に収めることに成功。 ⑦2015年2月:冥王星探査開始予定。

2)3体問題 ①3体問題とは、重力相互作用の下で運動する3つの質点m1,m2,m3の運動を決定する 問題である。 ②各質点につき3つの空間自由度(一般に、変数のうち独立に選べるものの数)があるので、 合計9自由度、さらにそれぞれに対して運動量pの自由度があるので18個の変数を考え ねばならない。 ③一般にN個の変数をもつ運動方程式に対して、N個の保存量(第一積分)が存在すれば、 一般解を求めることができる。 ④3体問題では保存量は、エネルギー、運動量(3成分)、角運動量(3成分)、重心座標 (3成分)の10個が存在する。その後Eulerがあと2つ発見(Euler積分)した。 ⑤18世紀、19世紀を通じてこれら以外の新たな保存量を発見する試みがなされた。 ⑥現在では、解析的に3体問題は解けないことが知られている。 保存量 : 保存量とは、位相空間上の実数値関数 V で、dV/dt=0を満たすものである。 エネルギーE (dE/dt=0) 位相空間 : 質点の位置と運動量(または速度)のおのおのの x,y,z 成分を直交座標と する空間のことである。

カオス ①混沌、無秩序を意味するカオスは、コンピュータの発達により 「決定論的システムが作り出す予想不能のふるまい」、 即ち、ほんのわずかな初期条件の違いが予想もつかないほど大きく違った結果を 生む現象、個々の現象は決定論的に予測できても、総体としては非連続でバラバラ な挙動を示し予測不可能なこととしても認知されるようになった。 ②カオスとは,比較的簡単な決定論に従う不規則かつ複雑で長期予測が不可能な現 象。1963年に気象学者Lorenzによって発見された。Lorenzは初歩的なコンピュータ シミュレーションによる気象モデルが,入力する初期値の僅かな違いによって大きく 発散することに気づき、気象の長期予測が不可能であることを明らかにした。 天気予報がなかなか当たらないのは,気象がカオスであるからである。 ③身近なカオス ・心臓の鼓動:心臓の鼓動は常に一定ではなく常に揺らいでおり、刻々と変動してい き予測のできない自然の環境の変化に対して一定の鼓動であるよりも柔軟に対応 できるようになっている。 ・気象 ④ギリシャ神話に登場する原初神。この世が始まったとき最初に無の空間に誕生した 神で、混沌を神格化したもの。一人でガイア(大地)、タルタロス(暗黒)、エロース(愛) エレボス(暗黒)、ニュクス(夜)といった神々を生んだ。カオスと同時にガイアとタルタ ロスが生まれたという説もある。

3)やる事 ~ ~ x(t) = x - XJ , y(t) = y - YJ