高等学校生物教育の現状と 授業実践例の紹介

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1 課題の洗い出し. 2 1.本日の日程 ①開会の挨拶 日程説明 ( 5 分) ②自己点検 ( 10分) ③情報モラル指導の必要性(プレゼン) (20分 ) ④課題の洗い出し ( 10分) ⑤全体計画についての協議Ⅰ (15 分) ⑥全体計画についての協議Ⅱ (20 分) ⑦全体計画についての協議Ⅲ.
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キー・コンピテンシーと生きる 力 キー・コンピテンシー – 社会・文化的,技術的道具を相互作用的に活用する力 – 自律的に行動する力 – 社会的に異質な集団で交流する力 生きる力 – 基礎・基本を確実に身に付け,いかに社会が変化しようと, 自ら課題を見つけ,自ら学び,自ら考え, 主体的に判断 し,行動し,よりよく問題を解決する資質や能力.
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一問一答式クイズAQuAsにおける学習支援の方法
高校生物での授業実践例 ~内容理解と自律的学習のために~
Kinjo-Gakuin Univ. © 2007 Motohiro HASEGAWA
平成20・21年度 国立教育政策研究所・教育課程研究センター指定
学習指導要領の改訂 全国連合小学校長会 会長 大橋 明.
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高等学校生物教育の現状と 授業実践例の紹介 180328 第95回日本生理学会大会 高大連携シンポジウム 〜垣根を乗り越えた協働へ〜 高等学校生物教育の現状と 授業実践例の紹介 都立国立高等学校 大野智久

自己紹介 都立高校教諭 東京都生物教育研究会 日本生物教育学会、日本生物教育会 高校生物教科書 編集委員 アクティブ・ラーニング型授業実践

話題① 高校生物の現状について 話題② 授業実践について ・学習指導要領 ・生物教育用語 ・大学入試 ・観察実験 ・次期学習指導要領 話題① 高校生物の現状について     ・学習指導要領     ・生物教育用語     ・大学入試     ・観察実験     ・次期学習指導要領 話題② 授業実践について     ・AL型授業     ・探究活動

話題① 高校生物の 現状について

学習指導要領の主な内容 【分子・細胞】 酵素、呼吸、光合成、窒素同化、DNAの複製、転写、翻訳、遺伝子発現調節 【組織・器官・器官系】 体液、血液、心臓、循環系、肝臓、腎臓、自律神経系、内分泌系、自然免疫、獲得(適応)免疫 感覚器、中枢神経、効果器、ニューロン、神経行動学、植物ホルモン、光受容体

コンテンツに関する課題 「木を見て森を見ず」になりがち 「ヒトの生物学」の位置付け ex)腎臓のろ過・再吸収 「濃縮率」や「再吸収率」の計算はできるけれど・・・ 「関連付け」や「全体像」の視点に乏しい 「ヒトの生物学」の位置付け ex)保健、家庭科、現代社会 etc… 「基礎生物学」に閉じている

生物用語に関する課題 膨大な用語 (生物基礎 500+ 生物 1500 合計 2000) ※首都大学東京松浦先生 (生物基礎 500+ 生物 1500 合計 2000) ※首都大学東京松浦先生 「高等学校生物教育用語重要度試案2013」 4社の教科書でゴシック表示されている用語をカウント →全体で2198語

センター試験の影響 2017本試 鳥類が出現したのはいつか? 2016追試 クモノスカビは接合菌か? 2015本試 2017本試   鳥類が出現したのはいつか? 2016追試  クモノスカビは接合菌か? 2015本試  クックソニアは維管束をもつか?

用語の精選の動き 合計 512語 最重要語 254語 重要語 258語 報告「高等学校の生物教育における重要用語の選定について」  (2017年9月28日 日本学術会議) 最重要語 254語  重要語 258語 合計 512語

学習指導要領と生物用語 高等学校学習指導要領案 生物基礎 (2018年2月 文部科学省) 高等学校学習指導要領案 生物基礎  (2018年2月 文部科学省) この科目で扱う用語については,用語の意味を単純に数多く理解させることに指導の重点を置くのではなく,主要な概念を理解させるための指導において重要となる200語程度から250語程度までの重要用語を中心に,その用語に関わる概念を,思考力を発揮しながら理解させるよう指導すること。なお,重要用語には中学校で学習した用語も含まれるものとする。

学習指導要領と生物用語 高等学校学習指導要領案 生物 (2018年2月 文部科学省) 高等学校学習指導要領案 生物  (2018年2月 文部科学省) この科目で扱う用語については,用語の意味を単純に数多く理解させることに指導の重点を置くのではなく,主要な概念を理解させるための指導において重要となる500語程度から600語程度までの重要用語を中心に,その用語に関わる概念を,思考力を発揮しながら理解させるよう指導すること。なお,重要用語には中学校や「生物基礎」で学習した用語も含まれるものとする。

入試問題の新傾向 「仮説の検証計画の立案」が増加傾向 ex)ミミズの睡眠に関する研究計画 アリの行列に関する探究活動   アリの行列に関する探究活動   くちばしの硬さの調査方法

ミミズの睡眠に関する研究計画 ミミズには,まだ調べられていないことがたくさんあり,睡眠もそのひとつである。あなたなら,ミミズの睡眠に関してどのような研究を行いますか。研究の計画を提案しなさい。その提案を,次の四つの項目に分けて,600字から700字程度で記述しなさい。ただし,そのうち,研究題目については,40字以内とすること。実験方法については,実際に実現できる方法でなくてもよい。また,提案の各項目は,括弧内の割合で評価される。 1.研究題目(20) 2.研究の目的(知りたいこと,疑問点,仮説など)(25) 3.実験方法(25) 4.この研究の魅力または独創性(30) 2015 首都大学東京

アリの行列に関する探究活動 (問1) 他の個体に特定の反応を起こさせる化学物質がアリの行列の道筋に存在するかを調べたい。そのためには,どのような実験を計画すればよいか,答えよ。図や表などを用いて説明しても良い。ただし説明は,その内容を見て他の人も実施できるように記述されていなければならない。また,実験内容および結果は,客観的な批判に耐えられなければならない。 (問2) 他の個体に特定の反応を起こさせる化学物質の正体を調べるために,その化学物質を純粋な状態で手に入れたい。そのためには,どのような実験を計画すればよいか,答えよ。図や表などを用いて説明してもよい。ただし,化学物質は,1グラムは必要であるとする。また,できるだけ実施可能な実験計画を立てることが必要である。 2015 福岡教育大学

くちばしの硬さの調査方法 集団dの「くちばしの硬さ」は不明である。集団dの成鳥を絶対に捕獲できないとしたとき,この集団の「くちばしの硬さ」を推察するために行いうる調査方法とその前提条件の組み合わせを,両方とも変えて2つ提案せよ。その際,それぞれについて想定される調査結果の一例をあげ,そこから推察される集団dの「くちばしの硬さ」について,根拠をあげつつ述べよ。ただし,調査方法は自由に想像して良いが,以下にある調査道具のうち必ずいずれか1つ以上を用いた調査方法とする。必要なら調査道具は何度でも使ってよい。以下の解答例を参考にして述べよ。 調査道具: 島々を渡る船, 遺伝子解析装置,土壌分析装置,ふ卵器,硬度計, 解剖顕微鏡,鳥の捕獲用網,鳥の観察用望遠鏡,小型ビデオカメラ, 遠隔操作式ドローン 2017 名古屋大学

観察・実験の状況 時間的余裕の問題 「授業時数」と「教員の業務量」 →観察・実験を多数実施するのは困難 生命倫理の視点  「授業時数」と「教員の業務量」  →観察・実験を多数実施するのは困難 生命倫理の視点  →解剖実習や動物実験への対応

よく実施されている観察実験 細胞の観察 酵素反応(カタラーゼなど) DNA抽出(ブロッコリー、レバー) 体細胞分裂の観察(植物) だ腺染色体の観察(アカムシ)

学力の3要素 ・知識・技能 ・思考力・判断力・表現力 ・学びに向かう力、人間性

主体的・対話的で深い学び 主体的な学び 対話的な学び 深い学び

話題② 授業実践について

授業の流れ(50分授業) 班分け・説明 5~10分 活動 35~40分 振り返り 5分

目的・課題の具体例 目的 課題 ●生物がなぜ共通性と多様性をもつかわかる。 ●「進化」の視点を持って生物や生命現象を考察しようとする態度を持つ。 課題 【基礎】生物の進化はどのようなしくみで起こるか? 【幹】キリンの首はなぜ長くなったのか? 【ヒト】「人種」とは何か?例えば、「肌」の色はなぜ違うのか?そこにどのような意味があるのか?

課題に取り組む時間 ・教科書を中心に学習 ・資料集などその他の資料も利用可能 ・スマホ等での検索も可能 ・一人で学んでもグループで学んでもよい

「探究」の方法と流れ 平成28年12月21日 中央教育審議会 幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び 平成28年12月21日 中央教育審議会 幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び 必要な方策等について(答申)(中教審第197号) 別添資料より

振り返りシートでの「問い」 鳥は地上付近にいたり、地上よりも酸素濃度の低い上空を飛んだりしているが酸素解離曲線はどうなっているのか? 低酸素でも酸素運搬能力が高い動物は血液中の赤血球の数が多いだけなのか? 赤血球と血小板には核がなくて白血球に核があるのはなぜか?

振り返りシートでの「問い」 マラソンが強い人のヘモグロビンはどうなっているのか? 腎臓の再吸収でどうやって必要なものと必要じゃないものを見分けるのか? なぜ肝臓はグルコースのまま貯蔵しないのか?

振り返りシートでの「問い」 緊張するとトイレに行きたくなるのはなぜなのか? 膵臓はどうやって血糖値を判断しそれに応じた情報送ることができるのか? 人によって持っている受容体は違うのか? 受容体を邪魔してしまうものはあるか? 血糖値が高いとなぜ悪いのか?

振り返りシートでの「問い」 記憶細胞はどのくらいの間いるのか? どうやってインフルエンザウイルスの型を予測するのか? 予防接種は注射以外にも良い方法がないのか?口から錠剤のようなものを投与してできないのか? 血清療法は他の動物に抗体を作らせるが、その動物が病原体などをもっていた場合さらなる感染の危険性があるのではないか? 抗生物質は体の細菌を破壊すると書いてあったが、腸内細菌は破壊しないのか?

「高校生物」の強み 学問の「エッジ」に飛べる 「観察」がしやすい  =「テーマ設定」がしやすい 「成果」や「正解」から自由

探究活動の例:カイコの観察 課題1 課題2 課題 3 カイコをどのような「視点」で観察し、どのようなことがわかったかをまとめよ。 観察結果を基に、「問い」を可能な限り多くまとめよ。 課題2 最も興味深い「問い」を一つ選び、それに対する「仮説」と、仮説の検証のための「観察・実験」を提案せよ。 課題 3

生徒の発表例 桑の葉の見分け方 カイコの肢の「吸着力」 カイコの体の「反り」 カイコの「脈」の変化

課題研究の実施 生物基礎選択者全員(1年生320名) 年に2回実施 1回目:6月グループ決め、8月発表会 「テーマ設定」と「試行錯誤」を重視  1回目:6月グループ決め、8月発表会  2回目:12月グループ決め、1月発表会 「テーマ設定」と「試行錯誤」を重視

課題研究のテーマ例 手洗いに効果はあるのか? より効率的な勉強とは? ネコはなぜ箱に入るのか? 涙の種類で殺菌作用は変わるか? 緑茶から紅茶はできる?

課題研究の課題 教員の介入の程度 「トレーニング」の位置付け (何を、いつ、どこまで) 「低い床」「高い天井」「幅広い壁」 「脱成果主義」「脱正解主義」

まとめ 【課題】 コンテンツの問題(入試対応含む) 実験観察の問題 新しい「学力」(新学習指導要領対応) 【具体的な対応】 AL型授業の普及 「探究型」授業の普及

高大連携をどうするか? 垣根を乗り越えた協働のために

ディスカッションしたいテーマ 大学入学時に身に着けておいてほしいこと【理想】 今の大学生に足りないこと【現状】 高校教育に期待すること、大学としてできること【展望】

高校教員としてできること 高校教育の「現場感」の共有 AL型授業など様々な授業方法のノウハウの共有 高校教育の現状の共有 具体的な高校生をイメージしながらのブレインストーミング 高校教育の「現場感」の共有

大学の先生に期待すること 【高校生に向けて】 学問、研究の面白さを伝える 「場」を(ともに)創る 【高校教員に向けて】 「教える」のではなく「引き出す」 「場」を(ともに)創る  (ブレストや広報で高校教員とコラボ) 【高校教員に向けて】 「最新の情報」と「学問の幹」

AL型授業と受験学力 「積み上げ型」の発想 基礎学力→思考力・論述力→入試演習 「課題解決型」の発想 課題→思考力・論述力→基礎学力  基礎学力→思考力・論述力→入試演習 「課題解決型」の発想  課題→思考力・論述力→基礎学力  ※入試演習は自力でできる力が付く