看護と倫理 ~倫理的感性を高める~ 4階病棟 〇林 〇 今回、私は神奈川県看護協会主催の看護と倫理 倫理的感性を高めるに1日 研修に参加しました。そこでの内容を報告したいと思います。 4階病棟 〇林 〇
倫理ってむずかしい? 堅いイメージ 倫理は難しく苦手だと思う気持ち 看護職が日常ケアの中に倫理的問題に気づかない ともすればクレームになる 医療の質にかかわる問題となっている 青柳先生の倫理観 患者も家族も私も同じ人として大切な存在であり、「その人らしく 生きる」を支える為に、私自身が自分に問いかけながら、なんらかを決断し実行すること 倫理って言うと、堅くて、難しく、苦手だと思うイメージがあると思います。また、看護職が日常ケアの中で倫理的問題に気づかない ともすればクレームにもなってしまいます 医療の質にもかかわる問題になってしまいます。今回、北里大学の青柳明子先生の倫理観では患者も家族も私も同じ人として大切な存在であり、、その人らしく生きるを支える為に、私自身が自分に問いかけながら、何らかを決断し実行する事とおっしゃってました。そのなかでは、モラルや道徳をもって行動して欲しいとおっしゃってました
今回の 看護倫理説明の順番として倫理 倫理原則 ジレンマ 価値看護倫理 看護者の倫理綱領で説明します 看護倫理の基礎知識 倫理 倫理原則 ジレンマ 価値 看護倫理 看護者の倫理綱領 倫理 倫理原則 ジレンマ 価値 今回の 看護倫理説明の順番として倫理 倫理原則 ジレンマ 価値看護倫理 看護者の倫理綱領で説明します
倫理とは「人の行うべき道理」 ギリシャ語 ethos 住み慣れた住居や環境 漢字 習慣や態度 良心や人格 倫 : 仲間 人と人 ethos 住み慣れた住居や環境 習慣や態度 良心や人格 漢字 倫 : 仲間 人と人 理 : 道理 道筋 倫理とは、人の行うべき道理とあり、ギリシャ語ではエトスといい、住み慣れた住居や環境、習慣や態度、良心や人格といい、漢字では倫が仲間 人と人 理が道理 道筋といいます
倫理的原則 1 善行の原則 2 無害の原則 3 自立の原則 4 正義の原則 5 誠実(真実)の原則 6 忠誠の原則 倫理的原則 1 善行の原則 2 無害の原則 3 自立の原則 4 正義の原則 5 誠実(真実)の原則 6 忠誠の原則 道徳的意思決定や道徳的行為を導き、 専門職の実践の道徳的判断形成の中心となる サラ・T・フライ、メガン・ジェーン・ジョンストン著 看護実践の倫理 倫理的意思決定のためのガイド 日本看護協会出版会 1998年 倫理的原則には6つあり、これが大切と青柳先生がおっしゃってました。善行の原則、無害の原則、自律の原則、正義の原則、誠実の原則、忠誠の原則があり、道徳意思決定や道徳的行為を導き、専門職の実践の道徳的判断形成の中心となり、この6つの原則を使っていきます
1 善行の原則 善を行い悪を避ける、あるいは益をもたらす 害、危険を回避するという無害の原則を 同時に考えなければならない 1 善行の原則 善を行い悪を避ける、あるいは益をもたらす 害、危険を回避するという無害の原則を 同時に考えなければならない (看護職は患者にとって良いだろうと思いケアしているが、患者も良いことをしていただいていると思っているだろうか) 鎮痛のアセスメントを行い、疼痛コントロールをつけた 糖尿病教室のプログラムへの参加を患者にすすめた DIVを抜去するので、抑制する? 善行の原則では善を行い悪を避ける、あるいは益をもたらす 害、危険を回避するという無害の原則を同時に考えなければならない 看護職は患者にとって良いだろうと思いケアしているが、患者も良いことをしていただいていると思っているだろうか 例では鎮痛のアセスメントを行い、疼痛コントロールをつけた 痛い、眠れないので実行した。糖尿病教室のプログラムへの参加を患者にすすめた 自己管理できていない 知識を習得していく DIVを抜去するので、抑制する? これは人権が絡みます また自尊心が傷つきられます
2 無害の原則 有害なことをしないこと 害あるいは害の危険性を回避する事を含んでいる 過失(予見義務・結果回避義務) 2 無害の原則 有害なことをしないこと 害あるいは害の危険性を回避する事を含んでいる 過失(予見義務・結果回避義務) (看護職は、患者に及ぼす害に感度がよいか ナイチンゲールは患者の消耗を最小にする事を提唱) 吸引や体位変換で、痙攣が重積する患者のケアは? 褥瘡予防に体位変換する 無害の原則では有害なことをしないこと 害あるいは害の危険性を回避する事を含んでいる 例では吸引や体位変換で、痙攣が重積する患者のケアは?2人から4人で短時間でケアを行う 褥瘡予防に体位変換する これも普段行っている行為も無害の原則にあてはまります
3 自律の原則 個人自らの選択を基づいて、自分自身の行動を決定する自由を持っている 人は自律している存在として扱われるべきである 3 自律の原則 個人自らの選択を基づいて、自分自身の行動を決定する自由を持っている 人は自律している存在として扱われるべきである 個人の自己決定権を尊重することは、この原則によるもので、看護者がその為に患者、家族の自己決定を助けその権利を擁護する 高齢者の治療の決定は誰か? 患者が苦しんでいるのを見るのは辛い、鎮静してくださいと家族がいう? 自律の原則 個人自らの選択を基づいて、自分自身の行動を決定する自由を持っている 人は自律している存在として扱われるべきである 個人の自己決定権を尊重することは、この原則によるもので、看護者がその為に患者、家族の自己決定を助けその権利を擁護する 高齢者の治療の決定は誰か? 家族それとも本人かという問題があります しかも意識がない、認知があるとなると難しいですね 患者が苦しんでいるのを見るのは辛い、鎮静してくださいと家族がいう? セデーションして本人の意思はどうなのと悩みます
4 誠実(真実)の原則 真実を語るという事であり、自律の原則とも関連している 人が自己決定を下す為に、真実の情報が提供されなければならない 4 誠実(真実)の原則 真実を語るという事であり、自律の原則とも関連している 人が自己決定を下す為に、真実の情報が提供されなければならない 病名の告知は受けているが、予後は知らない 認知症があるので、家族に説明しましょう 誠実(真実)の原則 真実を語るという事であり、自律の原則とも関連している 人が自己決定を下す為に、真実の情報が提供されなければならない 例では病名の告知は受けているが、予後は知らない 実際入院している患者さんではよくあります 認知症があるので、家族に説明しましょう 本人はどうなの? 調子が良い時もあるのに・・・
5 忠誠の原則 自律の原則や誠実の原則と同様、人を尊重することのひとつの側面を表している 5 忠誠の原則 自律の原則や誠実の原則と同様、人を尊重することのひとつの側面を表している 信頼関係に内在するものであり、約束を守ること、秘密を守る事、役割をはたすことなどがある 習慣的な業務のやり方に疑問? クリアの人が目が覚めないように気を使う 忠誠の原則 自律の原則や誠実の原則と同様、人を尊重することのひとつの側面を表している 信頼関係に内在するものであり、約束を守ること、秘密を守る事、役割をはたすことなどがある 習慣的な業務のやり方に疑問? 寝たきりや意識の悪い人を集めてのオーラルケア クリアの人が目が覚めないように気を使う 睡眠を妨げないなどです
6 正義の原則 社会における利益と負担の配分をいかに公平・平等に行うか 限られた資源(人、もの、金、時間、情報)をどのように使うか? 6 正義の原則 社会における利益と負担の配分をいかに公平・平等に行うか 限られた資源(人、もの、金、時間、情報)をどのように使うか? 利益を最大限に強調する、自由に取引する、平等に活用するという3つの考え方がある 限られた看護職の看護力を入院患者全員にどのように分配するか、全ての患者に同じ量の看護が平等か 緊急入院の受け入れで、他の患者の転棟、部屋移動 看護師の指名ってあり? 社会における利益と負担の配分をいかに公平・平等に行うか 限られた資源(人、もの、金、時間、情報)をどのように使うか? 利益を最大限に強調する、自由に取引する、平等に活用するという3つの考え方がある 限られた看護職の看護力を入院患者全員にどのように分配するか、全ての患者に同じ量の看護が平等か 緊急入院の受け入れで、他の患者の転棟、部屋移動 差額ベッド代などありますね 看護師の指名ってあり? 新人Nsはイヤとかありますね
倫理的ジレンマ 同じくらい望ましい選択肢(価値)あるいは 同じくらい望ましくない選択肢(価値)の間で どちらかを選択しなければならない状況のこと 倫理的ジレンマとは同じくらい望ましい選択肢(価値)あるいは 同じくらい望ましくない選択肢(価値)の間で どちらかを選択しなければならない状況のこと たとえば最近ではミュージシャン歌手のつんくさんでOPをするか化学療法するかなどがこれにあてはまります 手術をすれば生命はあるけど声を失う 化学療法を行えば声は失わないが予後が悪くなる確率が高くなるです
いくつかの価値 個人的価値・・・個人が人生をどう体験するかという事や、個人が持っている行動の基盤となる信念や態度 専門的価値・・・専門化集団によって大切にされている一般的な特徴 文化的価値・・・ある文化やある人々にとっての固有の価値 いくつかの価値では個人的価値、専門的価値、 文化的価値がありますが、専門的価値はいうなれば医療としての価値がここに当てはまります
看護事例からジレンマを考える 看護職は、どんなことに悩みますか? 1 誤嚥するかもしれないので禁食 VS 食のニード 1 誤嚥するかもしれないので禁食 VS 食のニード 2 苦しむので鎮静 VS QOLの低下 3 転倒するので抑制 VS 自由な人としての尊厳 看護事例からジレンマを考える 看護職は、どんなことに悩みますか? 誤嚥するかもしれないので禁食 VS 食のニード 患者さんは食べたいのに食べれない 苦しむので鎮静 VS QOLの低下 痛みは取れるけど、セデーションで家族とは話せない 転倒するので抑制 VS 自由な人としての尊厳 乗り越えないように4から3点柵にして、降り口を作る 処置をずらしたり、家族面会の時間を調整するなでがありますね
看護倫理とは 倫理とは 何らかの価値判断を含む行為規範 「人として何が大切か」「何をなすべきか」 倫理的問題とは 価値判断を含んだ問い 何らかの価値判断を含む行為規範 「人として何が大切か」「何をなすべきか」 倫理的問題とは 価値判断を含んだ問い 「看護職として・・・すべきか」 看護倫理とは 「看護実践の中に見られる道徳的現象」 看護職として、責任・患者の擁護・自律性 倫理とは 何らかの価値判断を含む行為規範 「人として何が大切か」「何をなすべきか」 倫理的問題とは 価値判断を含んだ問い 「看護職として・・・すべきか」 看護倫理とは 「看護実践の中に見られる道徳的現象」 看護職として、責任・患者の擁護・自律性
看護ケアの倫理とは 一連の看護ケアが他のものよりよいのか、最善であるの かに関するよりどころ(看護観)となっている 一連の看護ケアが他のものよりよいのか、最善であるの かに関するよりどころ(看護観)となっている (言う、伝える、話し合う) 対象の生命や自由、意思決定、福利や安寧など、その人にとって重要な道徳的関心事から引き出される道徳的特性を有する現象が起きていることに気づく 対象の人としての尊厳や権利が侵害されている時、看護職の役割発揮の時である 一連の看護ケアが他のものよりよいのか、最善であるのかに関するよりどころ(看護観)となっている (言う、伝える、話し合う) 対象の生命や自由、意思決定、福利や安寧など、その人にとって重要な道徳的関心事から引き出される道徳的特性を有する現象が起きていることに気づく 対象の人としての尊厳や権利が侵害されている時、看護職の役割発揮の時である
看護実践上の倫理的概念 人として尊重するモデルでは、基本的特性(尊厳・プライバシー・福利)を尊重する 責務では健康の増進・疾病の予防・健康の回復・苦痛の緩和が重要である 協力では、患者に質の高いケアを提供する為に、他の人と積極的に物事に取り組み、看護ケアのやり方を設定する際に協働することであり、看護職同士が共同することである 看護そのものがまるごと倫理的といえる 看護実践上の倫理的概念 人として尊重するモデルでは、基本的特性(尊厳・プライバシー・福利)を尊重する 責務では健康の増進・疾病の予防・健康の回復・苦痛の緩和が重要である 協力では、患者に質の高いケアを提供する為に、他の人と積極的に物事に取り組み、看護ケアのやり方を設定する際に協働することであり、看護職同士が共同することである 看護そのものがまるごと倫理的といえる 看護職は他の職種より高いといえます
看護者の倫理的綱領【2003年) 基本的原則・看護者に求められる内容 組織的な取り組みに関する内容の15条 健康の保持増進・疾病の予防・健康の回復・苦痛の緩和(目的:責任) 生涯を通しその最後まで、その人らしく生を全うできる(看護独自の倫理的価値を強調) 患者と看護者の信頼関係構築(3条) 患者の知る権利・自己決定に関する内容(4条) 看護者自身の健康の保持に関する内容(12条) 看護者自身の品行に関する内容(13条) 地球環境資源の保護に関する内容(14条) 看護者の倫理的綱領【2003年)はこれが看護職での倫理基本になります 次にいきます
看護職が倫理的問題に取り組む 臨床倫理ではそこで起きている問題を倫理的視点からチーム医療で検討を重ねる営みがある 看護部の取り組みでは、院内教育(動機づけ)、職場環境つくり(業務改善・労務管理)、安心して語れる場つくり(委員会のサポート体制)、職場で事例検討(チーム医療)がある 看護職が倫理的問題に取り組む 臨床倫理ではそこで起きている問題を倫理的視点からチーム医療で検討を重ねる営みがある 看護部の取り組みでは、院内教育(動機づけ)、職場環境つくり(業務改善・労務管理)、安心して語れる場つくり(委員会のサポート体制)、 職場で事例検討(チーム医療)がある
看護倫理事例検討の方法 語りにより、登場人物の気持ちや考えを共有する 自分ひとりの世界、自分が主人公であった物語に、周囲の人を登場していただく 登場人物は、患者、家族、医師、同僚、私になる 登場人物のジレンマを明らかにする 倫理的原則を用い事例を倫理的側面から見てみる チームアプローチの充足の状態を理解し、不足点を補う為の行動を決定する 「看護者の倫理的綱領」からの再点検をする 看護倫理事例検討の方法 語りにより、登場人物の気持ちや考えを共有する 自分ひとりの世界、自分が主人公であった物語に、周囲の人を登場していただく 登場人物は、患者、家族、医師、同僚、私になる 登場人物のジレンマを明らかにする 倫理的原則を用い事例を倫理的側面から見てみる チームアプローチの充足の状態を理解し、不足点を補う為の行動を決定する 「看護者の倫理的綱領」からの再点検をする
事例:慢性気管支炎の看護 80歳代の気管支炎患者 発熱、咳嗽、痰、食欲低下がある 入院時、O23L 自力での体位変換が不可能な状況であった 80歳代の気管支炎患者 発熱、咳嗽、痰、食欲低下がある 入院時、O23L 自力での体位変換が不可能な状況であった 入院4日目、発熱も落ち着き、酸素も1Lに減量、会話が増え、食事開始、しかし、1人での座位保持は困難 夜間の2時間毎の体位変換は継続、一度起こされると眠れない状況であった 入院6日目患者が背を向けている 入院してから眠れないと訴える 数日、緊急入院でカンファレンスをおこなっていない 医師にもカンファレンスの同席を求めた このような事例を使って6つの原則にあてはめていきます
看護職の役割 (患者や家族は看護職が頼り) 看護職が患者、家族に起きていることに気づく 対話により、患者や家族にとっての意味(価値)を確認する 看護職が、日常のカンファレンスなどの場で倫理的問題(患者の選択、自由、害、QOLなど)を発言する 看護職が、医療チームの中で倫理的問題の調整役割を担う 医療チームが、倫理的問題を共有する 医療チームが、患者の最善を意思決定し、行動する 医療チームが、時には、患者の人権を守るために、家族に関わることも要求される 看護職の役割 (患者や家族は看護職が頼り) 看護職が患者、家族に起きていることに気づく 対話により、患者や家族にとっての意味(価値)を確認する 看護職が、日常のカンファレンスなどの場で倫理的問題(患者の選択、自由、害、QOLなど)を発言する 看護職が、医療チームの中で倫理的問題の調整役割を担う 医療チームが、倫理的問題を共有する 医療チームが、患者の最善を意思決定し、行動する 医療チームが、時には、患者の人権を守るために、家族に関わることも要求される
倫理的感性を磨く 日常的に倫理的問題が起きやすい職業であり 職場である事を認識しよう ①患者の思いと家族の思い ②命の誕生と死 職場である事を認識しよう ①患者の思いと家族の思い ②命の誕生と死 ③患者への情報提供 ④医師との関係 ⑤看護者の能力と業務の困難さ ⑥看護職間の関係 看護に従事する中で、私の役割や業務を精一杯行ったにも関わらず、不快な思いが生じた時、何故このような気持ちになったか、行動する前に考えてみよう 自分ひとりで抱え込まないように、話せる人に話してみよう(話せる仲間を作る) 私が心身共に健康でいるか、美しいものが美しいと感じられるか、自分の状態をアセスメントしてみよう 倫理的感性を磨く 日常的に倫理的問題が起きやすい職業であり 職場である事を認識しよう ①患者の思いと家族の思い ②命の誕生と死 ③患者への情報提供 ④医師との関係 ⑤看護者の能力と業務の困難さ ⑥看護職間の関係 看護に従事する中で、私の役割や業務を精一杯行ったにも関わらず、不快な思いが生じた時、何故このような気持ちになったか、行動する前に考えてみよう 自分ひとりで抱え込まないように、話せる人に話してみよう(話せる仲間を作る) 私が心身共に健康でいるか、美しいものが美しいと感じられるか、自分の状態をアセスメントしてみよう
ご清聴ありがとうございました