地震調査委員会委員長 東京大学地震研究所 平田直 熊本地震を踏まえた 最新の地震調査研究 地震調査委員会委員長 東京大学地震研究所 平田直 日時:2016年8月28日10:45~11:20 場所:東京大学 本郷キャンパス小柴ホール 2Fホール 2016/8/28 防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」
防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」 内容 大地震予測:なぜ「確率」乱立? 熊本地震の「評価」 「兵庫県南部地震と阪神・淡路大震災」と地震本 部の創設 最近の地震調査委員会関連の公表状況(地震 活動の評価以外) 将来の課題(評価と検証) まとめ 2016/8/28 防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」
活断層型や海溝型、評価に差 低くても備えは必要 © 2016/8/19付日本経済新聞 朝刊 1.大地震予測なぜ「確率」乱立 活断層型や海溝型、評価に差 低くても備えは必要 2016/8/19付 日本経済新聞 朝刊 2016/8/28 防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」
活断層で起きる地震や海溝型地震、評価に差 低くても備えは必要 © 2016/8/19付日本経済新聞 朝刊 大地震予測なぜ「確率」乱立 活断層で起きる地震や海溝型地震、評価に差 低くても備えは必要 2016/8/19付 日本経済新聞 朝刊 を修正 2016/8/28 防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」
防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」 © 2016/8/19付日本経済新聞 朝刊 活断層の地域評価 活断層で起きる地震 2016/8/28 防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」
防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」 2016年熊本地震 4 月14 日21 時26 分に熊本県熊本地 方の深さ約10km でマグニチュード(M) 6.5 の地震が発生した。 また、4 月16 日01 時25 分に同地方の 深さ約10km でM 7.3 の地震が発生し た。 これらの地震により熊本県で最大震 度7を観測し、被害を生じた。 2016/8/28 防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」
防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」 熊本地震:震度7を記録した二つの地震 前震(M6.5) 本震(M7.3) 28時間後 4月16日1時25分 4月14日21時26分 震度7 熊本県:益城町、西原村 震度7 熊本県:益城町 2016/8/28 防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」
防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」 震度6弱 気象庁 耐震性の高い木造住宅 壁などにひび割れ・亀裂がみられることがある。 耐震性の低い木造住宅 壁などに大きなひび割れ・亀裂が入るものが多くなる。 傾くものや、倒れるものが多くなる。 耐震性の高い鉄筋コンクリート造建物 壁、梁(はり)、柱などの部材に、ひび割れ・亀裂が多くなる。 耐震性の低い鉄筋コンクリート造建物 壁、梁(はり)、柱などの部材に、斜めや X状のひび割れ・亀裂がみられることがある。 1階あるいは中間階の柱が崩れ、倒れるものがある。 2016/8/28 防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」
防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」 2016年5月14日 平田直撮影@益城町 2016/8/28 防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」
防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」 地表地震断層の出現 布田川断層帯の布 田川区間沿いなどで 長さ約28km、及び、 日奈久断層帯の高 野-白旗区間沿い で長さ約6km にわ たって地表地震断層 が見つかってり、益 城町堂園付近では 最大約2.2m の右横 ずれ変位が生じた。 一部の区間では、北 側低下の正断層成 分を伴う地表地震断 層も見つかっている。 右横ずれ断層(地表地震断層) 2016年5月14日 平田直撮影@堂園 2016/8/28 防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」
防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」 ©地震調査研究推進本部地震調査委員会 2016/8/28 防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」
活断層の長期評価 平 成 2 5 年 2 月 1 日 地震調査研究推進本部地震調査委員会 〇日奈久断層帯 高野-白旗区間では、M6.8 程度の地震が発生すると推定され、 その際には右 横ずれを主体として2m 程度のずれを生じる可能性があ る。高野-白旗区間においては、平均活動間隔が明らかでないため、 将来このような地震が発生する 確率を求めることはできない。 〇布田川断層帯 布田川区間では、マグニチュード(M)が 7.0 程度の地震が発 生すると推定さ れ、その際に右横ずれを主体として2m 程度のずれを 生じる可能性がある。布田川区間において将来このような地震が発生 する確率は、今後30年以内にほぼ0%-0.9%であ る。本評価で 得られた地震の発生確率には幅があるが、その最大値をとると、 布田 川区間は、今後 30 年の間に地震が発生する可能性が、我が国の主な 活断層の 中ではやや高いグループに属することになる 2016/8/28 防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」
防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」 M≧6.8の地震が30年以内に発生する確率 九州中部18-27% 九州全域30-42% ©地震調査研究推進本部地震調査委員会 2016/8/28 防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」
3.「兵庫県南部地震と阪神・淡路大震災」と地震本部の創設 ○地震調査研究推進本部(地震本部)の創設 地震活動に関する現状評価(臨時会、定例会) 長期評価、強震動予測の検討開始 「地震調査に関する総合・基本施策」(平成11年) 活断層調査、地震の発生可能性の長期評価、強震動予測等を 統合した地震動予測地図の作成 リアルタイムによる地震情報の伝達の推進 大規模地震対策特別措置法に基づく地震防災対策強化地域及びその 周辺における観測等の充実 測地学審議会(科学技術学術審議会)の地震予知のための観測研究 基盤観測網の整備 高感度地震観測(Hi-net), GEONET 等 活断層調査 地震調査観測結果の広報 地震による被害軽減を目的とする地震防災対策は、地震現象に関する正確な認識、知見の増大によって、より強化される 2016/8/28 防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」
防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」 基盤的観測 高感度地震計 Hi-net (全国に約782台*1) GNSS: GEONET(全国に1330台*1) 防災科学技術研究所 国土地理院 図7.1 世界に類を見ない基盤的観測網の整備 ※1 地震調査推進本部調べ(2015年3月末時点) 2016/8/28 防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」
The Hagiwara Symposium (JSS1) in IUGG 地震活動の現状評価 年間地震数(気象庁) (Harada, 2004) 150,000 5 2000年 Hi-net完成 120,000 4 1995年 阪神淡路大震災 90,000 3 マグニチュードの最頻値 60,000 2 1930 年 和達清夫「深発地震について」を発表 1973年 二重深発面の発見(津村,1973,海野・長谷川1975) 2009 135,804 2010 127,994 2011 304,311 2012 177,787 2013 139,660 1 30,000 1965年 地震予知計画の開始 1965 1987 1995 2000 2016/8/28 防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」 July 1, 2003
防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」 日本列島の変形 国土地理院 2011年東北沖地震の前 1年間の動き 2011年東北沖地震の時 3分間の動き 1998年10月から1999年11月 東北地方は1年間に1~2cm縮んでいた 牡鹿半島は地震の時に5m東に移動した 東北地方は3から4メートル伸びた (2百万倍誇張) (0.5から2万倍誇張) 2016/8/28 防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」
防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」 地震発生の可能性の評価(長期評価) 内陸 海域 2016/8/28 防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」 地震調査研究推進本部
防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」 地震発生の可能性の評価(長期評価) 内陸 海域 M7.6程度、13-30%程度 M8~9クラス70%程度 M7程度、70%程度 2016/8/28 防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」 地震調査研究推進本部
防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」 相模トラフ沿いの地震活動 平成26年4月 地震調査研究推進本部 2016/8/28 防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」
確率論的地震動予測地図 今後30 年間 に 震度6 弱以上 の揺れに見舞われる確率:2016年版 ( 平均ケース・全地震 ) 今後も都市は揺れる 確率論的地震動予測地図 今後30 年間 に 震度6 弱以上 の揺れに見舞われる確率:2016年版 ( 平均ケース・全地震 ) 地震調査研究推進本部 地震調査委員会 参考:(30年以内に) 交通事故で負傷 24% 火災で罹災 1.9% 地震の起きやすさ + 地盤の揺れやすさ http://www.jishin.go.jp/evaluation/seismic_hazard_map/ 2016/8/28 防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」
4.最近の地震調査委員会関連の公表状況(地震活動の評価以外) 公 表 年 月 日 公 表 件 名 平成28年6月10日 全国地震動予測地図2016年版 全国地震動予測地図2016年版の公表にあたって(地震調査委員長見解) 平成28年7月 1日 中国地域の活断層の長期評価(第一版) 中国地域の活断層の長期評価の公表にあたって(地震調査委員長見解) 平成28年8月19日 大地震後の地震活動の見通しに関する情報のあり方 大地震後の地震活動の見通しに関する情報のあり方の公表にあたって(地震調査委員長見解) 2016/8/28 防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」
防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」 5.将来の課題(評価と検証) 社会への貢献に対する評価 「防災・減災への貢献」成果への評価 地震動予測・津波予測(地震・津波ハザード予測)への社会の 評価 (現状評価、即時評価、長期評価) 震災に対する「社会のリジリエンス向上」への貢献度からの評 価 地震科学への貢献と「基礎研究の活用」 → 基礎研究への貢献(データの提供) ← 基礎研究の成果を地震本部の調査に活用 ステークホルダー(地域住民、行政・企業防災担当者、災 害・防災研究者)との対話 国際的・学際的な連携 2016/8/28 防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」
防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」 まとめ 阪神・淡路大震災の後に成立した「地震本部」 世界最先端の「地震調査研究」 揺れ・津波の予測の高度化 20年を経て新しい段階に入った「地震本部」 科学としての予測と検証へ 災害軽減への貢献を検証する 最先端の科学から一人ひとりの防災・減災 最先端の科学から国・世界の防災・減災施策 2016/8/28 防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」
九州地方における内陸・浅い地震の震央分布(1889年以降) ①1889年の熊本の地震:その後6年でM6クラスが4回発生 ②1916年にはM6クラスが10ヶ月の間をおいて発生 ③1975年にM6クラスの地震が3ヶ月の間隔で発生 ① ② ③ ④ ④ ⑤ ① ③ ② 2016/8/28 防災推進国民大会「地震調査研究推進本部」