西合 一矢 (国立天文台 ALMA推進室 ARC)

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西合 一矢 (国立天文台 ALMA推進室 ARC) NRO Users Meeting 2011 7/28 @ Nobeyama 理論 (45mとASTEそしてALMA ) 西合 一矢 (国立天文台 ALMA推進室 ARC) ALMA共同利用開始は今後の研究体制の転換を象徴する出来事  - 観測研究と理論研究の今後の方向性の転換  - 日本国内の観測・理論リソースの戦略的活用  - ユーザー層の拡大へ向けてソフトやアーカイブの統一的整備の要望

具体例:First Coreを観測予測する Main Accretion Phase First Core Hydrostatic core +Accretion Cloud Core Molecular Cloud Runaway Collapse Second Collapse Class 0 Objects ? Onishi et al. 1998 Padgett et al. 1999 Atlas and Catalog of Dark Clouds @Gakugeidai Runaway Collapse 10-19 10-13 10-7 10-3 This is the star formation scenario. Star formation is essentially collapse and contraction processes of interstellar cloud core. Typically, molecular cloud has density of 10^-21 g cm^-3. And cloud cores have the density of about 10^-19 g cm^-3. Prestellar objects after this stage have not been observed yet. Newly born stars appear as a sub-mm objects, named class 0 objects. We expect first core and second collapse phase during this missing link. However existence of the first core and second collapse is expected theoretically. Many characteristics of star are determined during first core phase. The first core is one of most important observational target now. Density rc [g cm-3] 未発見天体! Second Collapse

数値計算から観測予測へ 柱密度 輻射輸送計算 3次元輻射(FLD近似)流体計算: 初期状態は10000AUスケールの分子雲コア 輻射流体シミュレーション (密度、温度、速度分布)  870 mm (345GHz)連続波強度(d=150pc) 柱密度 輻射強度(Jy)分布 i = 60 deg 輻射輸送計算 (距離/ダストモデル/周波数) 20AU Tomida et al. (2010) CASA Simulator - アンテナ配列 - 積分時間 Jy/Beam Visibility Amp. UV distance (kl) Amp. (Jy)

いろいろな角度や周波数での結果 ざっと、紹介します。 柱密度 ※Log scale Face-on (i = 0 deg) Edge-on (i = 90 deg) 20AU ※Log scale i = 60 deg face-on z edge-on RHD results Tomida et al. (2010)

The Image of the Rotating First Core at 1300 mm (100GHz) i=1o i=89o Beam size = 3” (L=250m, d=150pc) Beam size = 0.3” (L=2.5km, d=150pc) i=60o face-on z edge-on

The Image of the Rotating First Core at 850 mm (350GHz) i=1o i=89o Beam size = 3” (L=250m, d=150pc) Beam size = 0.3” (L=2.5km, d=150pc) i=60o face-on z edge-on

The Image of the Rotating First Core at 420 mm (713GHz) i=1o i=89o Beam size = 3” (L=250m, d=150pc) Beam size = 0.3” (L=2.5km, d=150pc) i=60o face-on z edge-on

The Image of the Rotating First Core at 250 mm (1.20THz) i=1o i=89o i=60o face-on z edge-on

The Image of the Rotating First Core at 160 mm (1.87THz) i=1o i=89o i=60o face-on z edge-on

The Image of the Rotating First Core at 70 mm (4.28THz) i=1o i=89o i=60o face-on z edge-on

The Image of the Rotating First Core at 24 mm (12.5THz) i=1o i=89o i=60o face-on z edge-on

数値計算から観測予測へ(Non-LTE) 3次元MHD輻射(FLD近似)流体計算: 初期状態は10000AUスケールの分子雲コア 輻射流体シミュレーション  CS 8-7 強度  輝度温度(K)分布 柱密度 i = 60 deg Non-LTE計算 (分子種/外部輻射場) 20AU Tomida et al. (2010) Tomisaka et al. (2011) CS 6-5 CASA Simulator (アンテナ配列/積分時間)

数値計算から観測予測へ(HDO) 柱密度 3次元MHD輻射(FLD近似)流体計算: 初期状態は10000AUスケールの分子雲コア 輻射流体シミュレーション  柱密度 i = 0 deg 衝撃波計算 (ダスト蒸発、Line transfer) 20AU Saigo et al. (2011 in prep)

星形成のシミュレーション研究 ~2011年の現在地と今後の展望~ 60年代~70年代 準平衡、球対称収縮 1D: Nr~102 Hayashi (1966) 準平衡状態(星の進化) Bodenheimer & Sweigart (1968), Larson (1969) 球対称収縮 Hollenbach & Mckee (1979) 化学進化 80年代 回転収縮・分裂 2D: (NR, Nz)~(102 , 102 ) Norman,Wilson & Barton (1980) 回転収縮 Miyama et al. (1984), Boss (沢山) 分裂(αβ問題) 90年代 現実的初期状態、多層グリッド 3D: (Nx, Ny, Nz)~(102 , 102 , 102) Truelove et al .(1997) 3D高精度化技術(AMR) Bate (1998)   分裂、原始星形成(バロトロピック) York (1994) , Tomisaka (1999) 2Dだけど 輻射(FLD近似)とかMHDとか 00年代~ 高精度化や輻射計算で直接比較へ 3D: (Nx, Ny, Nz)~(102,102,102) x Level Matsumoto et al. (2003)※ Nestedによる3D高精度 Krumholz et al. (2007), Bate (2010), Tomida et al. (2010)※ 輻射(FLD) ※ 1モデル(N=128^3) の計算 = 天文台のスパコンで1ヶ月 Ngrid x Nstep = 104 Ngrid x Nstep = 106 Ngrid x Nstep = 108 (Ngrid) x Nstep = 1010 Level 1 Level 2 Level 3  いつも一次元当りを100グリッド程度で空間分解  必要な時間ステップ数は、およそ一次元当りのグリッド数のオーダー 計算機能力 18ヶ月で2倍 ⇒ 10.5年で128倍

リソースとしての理論 理論計算は能力としては観測と直接比較できるレベルに到達。 観測予測ツールも整備されつつある。 ALMAなど国際競争で他者と差別化するための強力な武器を提供できる。 ※具体的な状況設定などの情報提供など⇒観測予測 理論研究してきた人やそこの学生も電波観測のポテンシャルユーザーである。 ※学生数で電波観測分野に匹敵? 新しい観測の提案したり、観測解釈を議論したりと視野を広げるためのネットワークとなる。

理論研究の視点で現状の問題点と要望 アイデアや計算結果があっても具体的天体が無い。 国内データにアクセスしたくてもアーカイブが整備されていない。 データ解析ツールの方言が多い、独学で使うには垣根が高い。  アーカイブ整備(共同研究するにしても、、) 特に今後のASTEの3色カメラや45m望遠鏡のSAM45などによるlineサーベイデータのような良質で均質なデータ(理論からは今後、均質なサーベイデータへの要望が高まる可能性) 個人的にはfirst core候補天体の絞込みや計算結果からの観測予想からの観測的発見をしたい。 データ解析ツールの統一(ASTE, 45m, ALMA) CASA? 個人的には完全IDLベースの解析ソフトになるのがベスト。 統一的サポート(Helpdesk等)