神奈川大学 経済学部 小川 浩 本研究はJSPS科研費23653079の助成を受けています 周産期医師の需給推計 神奈川大学 経済学部 小川 浩 本研究はJSPS科研費23653079の助成を受けています
医師不足? 14.0万人 5.7万人 14万が本田推計。根拠は1000人あたり医師数を2.2人->3.1人に増やすとそれくらい要るらしい。 5.8万が小笠原推計。根拠は現在の病院数・患者をベースに病院医師数を積み上げると5.7万くらい不足。 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
産科医不足? 1446人 4500人 1446人は2010年の厚労省「必要医師数実態調査」。2010年6月1日現在の病院および分娩取扱診療所で、それぞれの機関が「必要」と考えている医師数を積み上げ。ただし定義は「地方医療において、現在貴施設が担うべき診療機能を維持するために確保しなければならない医師数」 4500人は仙台地域での産科医の医療行為時間を積み上げて、そのデータから全国の2次医療圏での必要産科医数を積み上げ。 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
供給↑? ↓需要? 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
「何に」対して 不足? 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
OECD平均? OECDの定義は3種類 1. Practising physicians : Practising physicians provide services directly to patients. include 医学部相当の卒業資格を持ち、医業に必要な免許がある 指導医の監督の下で医業を行う資格をもつインターンあるいは研修医 勤務医あるいは自営の医師 当該国での医業を許可された外国人医師 exclude 卒業していない学生 歯科医 直接診療に従事していない医師 失業中あるいは引退した医師 海外で働いている医師 計測時点は暦年末 2. Professionally active physicians 1とのdiff include 直接医業を行っていない医師も含む。管理、研究者、官僚など。概念的には[小笠原 2008]のデータに近い。[小笠原2008]によると、診療医師は95.1%程度ということなので、2の概念で計算された医師数は1の 1/0.951=105%程度になる。 Physicians licensed to practice 2との diff 失業・引退している人も含む OECD Health Data 2012 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
OECD平均? 日本 通常、経済学者が生産関数を考える場合は資本と労働の関数として考える。人口あたりの資本を表す変数として MRIの台数を考えると、日本とアメリカは別世界に居ることがわかる。イギリスと比較した議論はかなり危うい。 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
どういう医療を 考えているか? 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
現有リソース 2009年→6347人 グランドデザイン に出てた数字。 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
診療所のみ →5000人でOK 年間100万分娩、200分娩/医師で計算すると5千人 200分娩やってる診療所は別に珍しくない。グランドデザインでもこのデータを採用している。 もちろん、バックアップ病院なしでの診療所分娩の場合リスクは高まる。特に母体死亡につながるような インシデントが発生した際には、診療所でできることはほとんどないと予想される。 2009年での40件の直接産科的死亡の上位理由は分娩後出血(27.5%)、産科的塞栓(22.5%) 日産婦周産期委員会2009の報告によると、死亡例1に対して73倍の重症管理妊婦が存在する。 これらの重症管理妊婦が適切なケアなしではすべて死亡したと仮定すると、年間の母体死亡数は4000人弱。10万分娩に対して400人弱。 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
帝王切開のみ →4600人でOK 日に帝王切開出術スロット3つ。週5日、年52週、分娩あたりの医師利用数3.6人で計算すると 100万÷(52×5×3)=1282チーム。1チーム3.6人で 4615人。 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
「今」の需要 →小施設・多数 「グランドデザイン」に出ていた分娩取扱病院勤務医調査では 施設あたり分娩数は500件/年、 医師数は常勤 5.6、うち女性1.8、非常勤1.9 常勤医数は 2008が 4.9、2007は4.5なので増えている 常勤年間分娩数 88.9 これは、2008年の98.3、 2007年の98.4から継続的に減っている。 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
「今」の需要 →低稼働率前提 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
集約化で 稼働率↑? 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
2時間のタイムスロットに年間の分娩数を割り当てる。つまりλ=年間分娩数÷(365×12) これがPoisson分布に従って発生するとして、同一スロットに発生する分娩の99.9%をカバーできる 医師数を保有する場合のスロット稼働率。 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
需要予測 ← 「どんな医療?」 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
供給↑? ↓需要? 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
供給制約 人口・離職・訓練 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
供給制約 人口・離職・訓練 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
18歳人口減 2011年人口推計・中位 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
18歳人口減 1.5万人 ↓ 1.1万人 2012年 65は代ゼミのデータで国公立医学部。60で計算すると 2012年が30540人、2030年が25326人で-5000人 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
供給制約 人口・離職・訓練 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
産科女性医師 三師調査で30~34才の産科医+産婦人科医に占める女性割合 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
分娩扱い割合 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
女性医師↑ 10年で5割離脱 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
分娩扱医師数 新規数 女性割合 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
分娩扱予測 調査は経験16年目までしかないので、後は3師調査のデータなどから線形で伸ばした。 ただし、上の方の年齢の女性医師はきわめて少ないので、この予想がどの程度当たっているかはよく分からない 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
新人数 女性7割 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
女性割合 400人 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
就業パターン 女性の分娩取扱が男性と同じに変化 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
供給制約 人口・離職・訓練 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
研修医増 →指導医負担 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
新人数 指導医の負荷は、2010年に400人新人が入った場合を100として倍率で計算している。 これは、指導医の絶対数についてデータを見つけられなかったから。全科の指導医年齢分布と病院勤務産科医のデータから計算すると、指導医一人あたり2010年で0.66人程度だが、指導医に関する調査回答者と回収率から復元した指導医数で計算すると.1.5人程度。 125%だと1.5*1.25=1.9人程度となる。 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
女性割合 500人入り続けた場合を、現在の400人程度をベースにした倍率。 1.5人だとすると、2.1人くらいになる。 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
供給制約 6600~ 7500人 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
女性医師 非常勤化 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
供給↑? ↓需要? 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
集約化 稼働率アップ 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
需要予測 待ち行列モデル 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
昼夜2シフト制 10+14時間 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
分娩発生 ~Poisson分布 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
医師拘束時間 ~対数正規分布 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
57.8 32.1 1.5 75.7 21.3 3.6 92.3 42.6 3.0 分娩様式 平均(分) 標準偏差 (分) 必要医師 数 経膣分娩 57.8 32.1 1.5 選択 帝王切開 75.7 21.3 3.6 緊急 92.3 42.6 3.0 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
発生過程 経膣分娩 医師数 1.5人時間 57.8分 81.6% 分娩数 緊急帝切 医師数3.0人 ~Poisson分布 7.6% 時間92.3分 選択帝切 10.8% 医師数3.6人 時間75.7分 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
医療圏分娩数↑ 病院に集中 8000件を超えると病院に集中した方がよい。 病院に集中 8000件を超えると病院に集中した方がよい。 現在の1000件(500+500)程度であれば、診療所の割合は効率性にあまり影響しない 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
推定結果 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
実際との比較 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
60分圏での 出生割合 長野が妙に少ないのは、センターが松本の近くに1カ所だけで、長野や飯田がカバーできていないから。90分にすると8割程度まで改善される。 鳥取はセンターが島根との県境に近い米子にあるため、90分に拡大しても6割程度 この2県を除くと、東北および北海道で集約化によるアクセス制限の弊害が大きく出る可能性 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
コスト構造 価格 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
出産費用 妊婦合計負担額 分娩料 平均値 中央値 病院 476,586 465,560 198,645 190,000 診療所 妊婦合計負担額 分娩料 平均値 中央値 病院 476,586 465,560 198,645 190,000 診療所 471,761 465,190 241,972 236,000 助産所 448,186 448,000 245,199 240,000 正常分娩に係る直接支払制度による専用請求書(国保)をH22.8 53192枚集計。 分娩料は「正常分娩の場合の、医師の技術料+分娩時の介護料」の総称 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
病院は高コスト なのに安い? 病院は異常事態に対応できるリソースを用意している。 なのに安い? 病院は異常事態に対応できるリソースを用意している。 確かに正常分娩で終わればやっていることは同じなのだが、リソースの準備コストが全く反映されていない? 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
リスクは病院 →フリーライダー 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
医療機関間の 費用負担問題 妊婦が払う金額に直接反映させるのは、リスク評価ができないため難しい。 2009年の母体死亡率は0.0048パーセント。実数でも年間50人もいない。 バックアップなしにして、0.48パーセントになっても個人的な知り合いの範囲で死亡率の差が分かるほどではない。 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
集約化プロセス クリニック経営 費用負担問題 都市計画 集約化のプロセス(地理的・時間的) アクセス制限 クリニック経営 費用負担問題 都市計画 集約化のプロセス(地理的・時間的) 集約化すればいい。というのは簡単。最初から作るなら。でも現在存在している病院・診療所を集約化するのであれば、どこに、どうやって、どのようなスケジュールで集約化するかのプランが必要。 アクセス制限 集約化に伴うアクセス時間増をどの程度まで許容可能かについて社会的なコンセンサスが必要。 コンパクトシティ 人が住んでいるところが今のままで人口が減れば、人口密度が下がって公共サービス提供コストが上がるだけ。まちなかに人を集めてコンパクトな都市作りをする話と集約化はなじみやすい クリニックでの分娩取扱 分娩扱いのクリニックは入院設備、手術設備が必要なので必然的に開業時の固定費が大きい。集約化するからお産やめろと言われても経営的に立ちゆかなくなる可能性がある。集約化の過程でオープンシステムを導入して、お産の場所は病院、しかしクリニックのドクターは病院に行くという仕掛けにすると、ドクターズフィーの分は入るので移行過程としてはいいかもしれない。 医療機関間費用負担問題 上記のように医療機関の間でリスクに対応するコストが適切に負担されていない。この点については、クリニックや助産所は病院が発行する保険を購入するような形式で費用負担を行うようにする方法が考えられる。 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
集約化 時間・空間 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
集約化の実例 成功・失敗 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
全部 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
60分 75% 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
90分 97% 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
120分 99% 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
道路時間 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム
100km 2013/1/27 産婦人科医療改革 公開フォーラム