医療法人社団 新虎の門会 新浦安虎の門クリニック 大前由美 大前利道 沼本美由紀 堀内純 金子仁美 株式会社メディカルネット 永山健二 当院における臨床検査技師の役割について 医療法人社団 新虎の門会 新浦安虎の門クリニック 大前由美 大前利道 沼本美由紀 堀内純 金子仁美 株式会社メディカルネット 永山健二
目的と方法 医療機関では、臨床検査技師の役割は、主に検査の場面に限られている。 当院では、臨床検査技師に、検査以外でも、様々な役割を担ってもらっている。 医療機関では、臨床検査技師の役割は、主に検査の場面に限られていることが多い。当院では、よりよい医療サービスのため、検査以外でもさまざまな役割を担ってもらっている。ここで、そのメリットを報告したい。
1日来院者数 健診・ドック 約50名 外来 約120名 当院は、首都圏のJR駅前の商業ビルにある無床診療所である。 来院者数は、外来受診者が、日に約120人、健診・ドックが約50人である。
当院スタッフ 常勤 非常勤 医師 2 8 看護師 5 診療放射線技師 1 臨床検査技師 4 事務系 7 常勤医師は2名だが、消化器科、循環器科、外科、内分泌外科、婦人科等の非常勤医師8名の体制である。臨床検査技師は、常勤4名、非常勤1名である。
臨床検査の他に行なっていること ●検査の事前説明・注意 (例:携帯心電計、睡眠時無呼吸検査) ●健診・ドックの受付 (例:携帯心電計、睡眠時無呼吸検査) ●健診・ドックの受付 一般に医療機関では、臨床検査技師の仕事は、検査室内でが主体だが、当院では、検査のほか、いろいろな業務を担ってもらっている。検査の事前説明は当然のことだが、検診・ドックの受付も受け持ってもらっている。
健診部での受付風景 検査技師が受付を行うメリットは・・ 質問等にすぐ答えることができる 臨床検査技師は、専門的な教育を受けたあと、さらに国家試験を課せられている。そのために、基礎知識が身についており、来院者から検査等について質問されても、的確に答えることができる。その場で答えてもらえることで、受診者の満足度があがると同時に現場での流れもスムーズになる。
臨床検査の他に行なっていること ●検査の事前説明・注意 (例:携帯心電計、睡眠時無呼吸検査) ●健診・ドックの受付 臨床検査の他に行なっていること ●検査の事前説明・注意 (例:携帯心電計、睡眠時無呼吸検査) ●健診・ドックの受付 ●電話での予約受付 当院では、ドック・健診は完全予約制、外来も一部予約制で、行っている。予約は電話で受けることが多いが、臨床検査技師が電話受付もしている。
電話受付 健診・ドックの予約 健診後の要精密検査指示者への誘導 外来患者の予約 この場合も、基礎知識があるため、検査項目等の問い合わせに対して的確な返答ができ、健診当日までのスムーズな誘導ができる。また、健診後の精密検査の指示が出た受診者から電話がかかってきた場合、その場で次の検査の予約ができ、受診者に必要な注意と指示ができる。
臨床検査の他に行なっていること ●検査の事前説明・注意 (例:携帯心電計、睡眠時無呼吸検査) ●健診・ドックの受付 ●電話での予約受付 臨床検査の他に行なっていること ●検査の事前説明・注意 (例:携帯心電計、睡眠時無呼吸検査) ●健診・ドックの受付 ●電話での予約受付 ●健診後のデータ管理 ●健診・ドックのコメント 下書き 健診・ドックは、その後の報告書の作成が重要な仕事となる。これは、最終的には、医師の仕事であるが、全員分を医師がすべて作ることは、大変な負担となる。一部、コンピューターを活用してはいるが、最終的チェックは、人が監視する必要がある。
報告書作成の段階で 健診データの管理 報告書のコメントや指導の下書き 当院では、はじめ、看護師に データの管理、コメントや指導の下書きをやってもらっていたが、昨今は、看護師が不足しており、当院でももちろん看護師の確保に頭を悩ませている。そこで、現在では、臨床検査技師にも、活躍してもらっている。臨床検査技師側のメリットは検査の臨床的意義を知り、専門知識がより深くなると思われ、さらに成長してもらえると思う。
臨床検査の他に行なっていること ●検査の事前説明・注意 (例:携帯心電計、睡眠時無呼吸検査) ●健診・ドックの受付 ●電話での予約受付 ●健診後のデータ管理 ●健診・ドックのコメント 下書き ●備品・検査機械の管理 ●外来患者の受付・問診等 このほか、外来部門でも、受付や来院者の問診等を担当してもらっている。最初はとまどう場面もあるが、看護師等が協力してトレーニングをすれば、潜在能力が高いため、来院者の満足度を高めることができる。
臨床検査技師の卒業後進路 ある臨床検査技師学校の卒業生の就職実績 平成11年度卒業生 平成18年度卒業生 ある臨床検査技師学校の卒業生の就職実績 平成11年度卒業生 平成18年度卒業生 ここにあげたのは、ある臨床検査技師養成専門学校の卒業生の就職先をグラフにしたものである。左は平成11年、右は平成18年である。このように全体の傾向として、病院への入職が減る傾向がみられる。この他、いくつか専門学校や短期大学等の就職状況を調べたが、どこも傾向は似ていた。技師の資格を得ても、あまり臨床と関係ない職場にいかざるを得ない状況もあると思われる。
無床診療所での臨床検査技師 検査だけでは・・・・ そこで、看護師や事務系との仕事のオーバラップをめざして・・・ 当院の特徴として、外来とドック・検診をほぼ半々におこなっているので、検査件数は多い。しかし、午前中でほとんどの検査は終わってしまう。そこで、臨床検査技師の活躍する場をもっと広げられないかと考え、これまで述べてきたような仕事を行ってもらうことにした。つまり、看護師や事務と仕事のオーバーラップする部分も、担ってもらうことにした。
当院の職種別初任給 看護師 臨床検査技師 事務系 給与 31万円 27万円 22万円 平成18年度 看護師 臨床検査技師 事務系 給与 31万円 27万円 22万円 ここで、報酬面の話であるが、このように、医師・診療放射線技師を除くと、看護師・臨床検査技師・事務職員の順になる。
オーバーラップさせるメリットは 看護師→ 人手不足感の改善 事務系→ 受付や電話対応の向上 そして 勤務シフトの柔軟性が図れる! 看護師→ 人手不足感の改善 事務系→ 受付や電話対応の向上 そして 勤務シフトの柔軟性が図れる! 当院では、臨床検査技師を重要な医療スタッフと位置づけ、法律上、看護師でなければできない仕事以外、いろいろな業務を担当してもらった。また、事務系職員だけでは解決できない検査に対する質問等にすぐに答えることができ、現場での流れがスムーズになり、事務職員のレベルアップにもつながった。もうひとつのメリットは、お互い仕事の互換性が増し、勤務体系の柔軟性が向上し、急病で勤務を休んだりしても、対応に苦慮することが少なくなった。
今後の臨床検査技師の役割 診療所スタッフとして、より受診者に、満足してもらう。 専門知識・技能をいかしてもらう。 さらに能力の向上を図れるよう、支援していきたい。 これまで、無床診療所は、スタッフとして、臨床検査技師を採用することは少なかったが、以上のように、当院では、積極的にすすめてきた。今後さらに、検査技師としての成長を支援していきたいと考えている。