明治大学経営学部 鈴木研一ゼミナール 担当: 増山 宏美、 李 亨奈

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明治大学経営学部 鈴木研一ゼミナール 担当: 増山 宏美、 李 亨奈 C.T.ホーングレンほか、渡邊俊輔監訳 『マネジメント・アカウンティング』              ~ Introduction to Management Accounting                 明治大学経営学部 鈴木研一ゼミナール                      担当: 増山 宏美、  李 亨奈 第5章

第5章 関連情報と意思決定               :販売の意思決定

内容 意思決定とは 関連情報の定義 意思決定に必要な情報とは何か 販売上の意思決定 特別値引き注文を引き受けるか否か 製品やサービス、部門の廃止と追加 どの製品の販売に力を入れるべきか 価格決定 コストプラス方式 原価企画

はじめに 日々の重要な意思決定を行ううえで、販売マネージャーは会計情報に頼っている。 ≪EX≫ ・特別値引き注文を引き受けるか否か ・製品・サービス・部門の廃止と追加 ・どの製品に力を注ぐべきか ・価格の決定  しかし、様々な意思決定において全ての会計情報が利用されるわけではない。 意思決定ごとに関連する情報と関連しない情報とを区別することが大切である。

意思決定とは 意思決定とは いくつかの行動案からの選択 大抵、企業の技術者、会計担当者、マネジャーなどからなるチームによって行われる。 会計担当者は、意思決定者ではなく、関連情報の収集者・報告者として、意思決定者において重要な役割を果たす。 マネージャーは、意思決定であり、複数の行動案を比較し、その中から最善のものを選択しなければならない。 では、複数の行動案の中から最適な案を選択するために必要な情報の条件とは何か? 意思決定に必要な情報、つまり関連情報の条件とは何か?

関連情報の定義 関連情報の定義 その情報は、未来原価または未来収益であること その情報は、各代替案間で異なる項目を含んでいること つまり関連情報とは、各代替案ごとに異なる未来原価や未来収益、といえる。 留意点 予測された未来データのうちで、代替案間で異なるものだけが、意思決定に関連する どの案を選択しても同額となる項目は意思決定に無関連 関連情報は未来の予測であり、過去の要約ではない 過去情報は、将来予測に役立つという可能性があるが、それ自身では、意思決定とは無関連

関連性の例示 あるメーカー 灰皿の材料を、銅からアルミにすることを検討中 直接材料費は、@30¢から@20¢に減少 関連情報 直接労務費は、どちらの材料を利用しても@70¢ 非関連情報 この場合、直接労務費を比較検討から除いても問題はない

意思決定モデルと情報の役割 (図表5-1) 過去情報 その他の情報 Step 1 予測 Step 2 意思決定モデルへのインプット 意思決定モデルと情報の役割    (図表5-1) 過去情報 from 会計システム その他の情報 from 会計システム以外 Step 1             予測 Step 2        意思決定モデルへのインプット Step 3          意思決定モデル         マネージャーの意思決定            実行と評価 Step 4            フィードバック

情報の関連性と正確性 理想を言えば、意思決定に用いられる情報は意思決定に完全に関連すると同時に、かつ正確でもあるべきである。 しかしながら、そうした情報を得ることは現実には難しく、また通常、コストもかかる(→関連性と正確性のトレードオフ) 正確だが無関連な情報は、意思決定においては価値がない。 ≪EX≫ある大学の学長の給与がちょうど年額140,000㌦という情報は、   データ処理設備を購入するかレンタルするか、という意思決定には  影響しない 不正確であっても関連情報は、意思決定に有用となる可能性がある。 ≪EX≫新製品の売上予測は、誤っているかもしれないが、その製品を製  造すべきか否か、という意思決定の役に立つ もちろん関連情報は、合理的な正確性を有していなければならないが、完全に正確であるという必要はない。 意思決定において、正確性よりも関連性が重要である。

定量的情報と定性的情報 情報の関連性や正確性の程度は、情報が定量的か定性的かによることが多い 定量的・・・ドルやセントでの測定が容易で正確にできる 定性的・・・ドルやセントでの測定が困難で正確にできない 会計担当者は、できるだけ多くの意思決定要因を定量的に説明しようとする なぜなら、それによって判断を必要とする定性的な要因を減らせるからである しかしながら多くの意思決定において、定性的な要因は、測定可能で定量的な財務上の影響よりも、大きなウエイトを占める

定性的要因の例 省力化に役立つ新型機械の導入に労働組合が強硬に反対している場合、コストの削減になるとしても、マネージャーは機械を導入を見送るかもしれない。 逆に、特定のサプライヤーへの長期的依存を避けるために、自社のコストよりも安い価格で部品を購入できる機会があっても、それを見送る企業があるかもしれない。 同様に、新技術(先進的なコンピューターシステムや自動設備など)についていかなければ、遅かれ早かれ不利な財務上の結果をもたらすことは確実であるという判断から、予測される定量的な結果は魅力的とは言えなくても、新技術を導入することがあり得る。

販売上の意思決定 今まで説明してきた関連情報の定義に基づき、以下に示す販売上の意思決定について、順に考察していく A.特別値引き注文を引き受けるか否か B.製品やサービス、部門の廃止と追加 C.どの製品の販売に力を入れるべきか D.価格の決定

A.特別値引き注文引受の可否 Samson Companyの意思決定 自動車の各種部品1,000,000個を生産・販売(販売単価20㌦) 全部原価アプローチによる製品単位当たり製造原価は@15㌦ 製造原価総額15,000,000㌦÷生産・販売1,000,000個 ある業者から追加注文~「@13㌦で100,000個」 前提条件 Samsonの通常のビジネスに全く影響を与えない 差別価格に関する反トラスト問題が起こらない 固定費総額に影響を与えない 追加的な変動販売費・一般管理費を必要としない 遊休生産能力を利用する Samson Companyはこの注文を引き受けるべきであろうか?

解答へのステップ 分析のカギ 関連情報に注目する 各代替案間で何が異なるのか? ここで比較する代替案 この特別注文を断る(特別注文なし) この特別注文を引き受ける(特別注文あり) 次のスライドに、Samson Companyの2つの損益計算書を示す 全部原価アプローチ(前章、図表4-8より) 貢献利益アプローチ(前章、図表4-9より) 正しい意思決定のためには、関連原価を最もうまく追跡できるようなアプローチを選択する必要がある

Samson Companyの損益計算書 (図表5-2) ・販売単価20㌦の製品を1,000,000個生産・販売 ・全部原価アプローチによる製品単位当たりの製造原価は、  15,000,000㌦÷1,000,000個=@15㌦ ・貢献利益アプローチによる製品単位当たりの変動売上原価は、  12,000,000㌦÷1,000,000個=@12㌦ ・ある業者の追加注文が入った~「@13㌦で100,000個」

誤った分析 マネージャーは、単位当たりの全部製造原価(@15㌦)を誤って用いて、以下のような予測を行うかもしれない コストが1,500,000㌦増加するという誤った予測は、特別追加注文の100,000個に、単位あたりの全部原価(@15㌦)を掛けた結果である この誤りは、固定費と変動費を混同したことによるものである (単位:㌦) 特別注文なし 特別注文の影響 特別注文あり 1,000,000個 100,000個 1,100,000個 売上高 20,000,000 +1,300,000 21,300,000 売上原価 15,000,000 +1,500,000 16,500,000 売上総利益 5,000,000 -200,000 4,800,000 販売費・一般管理費 4,000,000         - 営業利益 1,000,000 800,000

正しい分析 正しい分析 関連情報を明確にするために、貢献利益アプローチを用いる 特別注文によって変化するのは、変動製造原価(@12㌦)だけであるため、他の全ての変動費・固定費は、影響を受けないので、無関連である。

予想損益計算書の比較結果 (図表5-3) ※前提条件 ・固定費総額に影響を与えない ・追加的な変動販売費・一般管理費を必要としない 予想損益計算書の比較結果     (図表5-3) (単位:㌦) 特別注文なし 特別注文あり 特別注文100,000単位の影響 1,000,000単位 1単位当たり 総額 1,100,000単位 売上高 20,000,000 13 +1,300,000 21,300,000 控除:変動費  変動売上原価 12,000,000 12 +1,200,000 13,200,000  変動販売費・一般管理費 1,100,000         - 貢献利益 6,900,000 1 +100,000 7,000,000 控除:固定費  固定製造原価 3,000,000  固定販売費・一般管理費 2,900,000 営業利益 1,000,000 ※前提条件   ・固定費総額に影響を与えない   ・追加的な変動販売費・一般管理費を必要としない   ・遊休生産能力を利用する

予想損益計算書の比較結果 (図表5-3) ※前提条件 ・固定費総額に影響を与えない ・追加的な変動販売費・一般管理費を必要としない 予想損益計算書の比較結果     (図表5-3) (単位:㌦) 特別注文なし 特別注文あり 特別注文100,000単位の影響 1,000,000単位 1単位当たり 総額 1,100,000単位 売上高 20,000,000 13 +1,300,000 21,300,000 控除:変動費  変動売上原価 12,000,000 12 +1,200,000 13,200,000  変動販売費・一般管理費 1,100,000         - 貢献利益 6,900,000 1 +100,000 7,000,000 控除:固定費  固定製造原価 3,000,000  固定販売費・一般管理費 2,900,000 営業利益 1,000,000 ※前提条件   ・固定費総額に影響を与えない   ・追加的な変動販売費・一般管理費を必要としない   ・遊休生産能力を利用する

予想損益計算書の比較結果 (図表5-3) ※前提条件 ・固定費総額に影響を与えない ・追加的な変動販売費・一般管理費を必要としない 予想損益計算書の比較結果     (図表5-3) (単位:㌦) 特別注文なし 特別注文あり 特別注文100,000単位の影響 1,000,000単位 1単位当たり 総額 1,100,000単位 売上高 20,000,000 13 +1,300,000 21,300,000 控除:変動費  変動売上原価 12,000,000 12 +1,200,000 13,200,000  変動販売費・一般管理費 1,100,000         - 貢献利益 6,900,000 1 +100,000 7,000,000 控除:固定費  固定製造原価 3,000,000  固定販売費・一般管理費 2,900,000 営業利益 1,000,000 ※前提条件   ・固定費総額に影響を与えない   ・追加的な変動販売費・一般管理費を必要としない   ・遊休生産能力を利用する

分析結果 図表5-3に示される通り、特別注文によって変化するコストは、変動製造原価(@12㌦)だけである 12㌦×100,000個=1,200,000㌦(追加原価:関連情報) 他の全ての変動費、固定費は影響を受けないので、無関連 従ってマネージャーは、特別注文に関する意思決定を行う際には、これらのコストを無視しても問題はない また、特別注文を引き受けることによる追加収益は1,300,000㌦ 13㌦×100,000個=1,300,000㌦(追加収益:関連情報) この結果貢献利益は、100,000㌦増加する(関連情報) 販売価格(@13㌦)は、全部原価(@15㌦)を下回っているが、注文を引き受ければ短期的な収益は100,000㌦増加する この特別注文は引き受けるべきである

留意事項 全部原価アプローチによると、この特別注文は魅力的ではなかった 一方、貢献利益アプローチによると、この特別注文は、短期的に営業利益を100,000㌦上昇させることが分かった しかしながら、通常は考慮に入れるべき長期的な問題が存在する 長期的な価格構造についての考慮 100,000㌦という短期的な利益は、長期的な財務上の不安を補って余りあるものか? しかし注文を断った場合、長期的な価格構造を守るために、実際には今、100,000㌦の利益を捨てることになる 一般に意思決定者は、長期的な収益性を守ることに、失われた貢献利益(この例では100,000㌦)と等しい「投資」の価値があるかどうかを考えることによって、この種の問題を解決する

例示(A2)~特別注文とABC 特別注文(または臨時的に行われる意思決定)の影響を受ける関連原価を明らかにする上で、単に変動費と固定費を区分するだけでなく、さらに進んだことを行っている企業が増えている 重要な活動と関連するコストドライバーを、全て明らかにした企業は、より詳細な関連情報を作成して、特別注文の影響をさらに正確に測定することができる

例示(A2)のためのデータ Samson Companyでは、変動費12,000,000㌦を詳細に検討した結果、  2つの重要な活動とコストドライバーが明らかになった 生産量に@9㌦で比例する合計9,000,000㌦の加工活動 生産段取回数に応じて変化する合計3,000,000㌦の段取活動 通常、段取1回あたり平均2,000個が加工されるので、現在生産量の1,000,000個を加工するために、500回の段取を行っている 1,000,000個÷2,000個=500回 段取り1回あたりのコストは6,000㌦である 3,000,000㌦÷500回=6000㌦ 一般に追加販売を行うと、段取回数は比例的に増加する

例示と分析(A2a) ここで、特別注文の内容は、生産仕様のほとんど変わらない製品の100,000個だったとする その結果、必要となる段取は通常の50回(100,000個÷2,000個)ではなく、5回で充分であり、100,000個加工しても追加変動費は930,000㌦しかかからないとする。 この場合、100,000個を追加加工するためのコストはいくらか? 特別注文にかかるコストは、当初の見積では@12㌦×100,000個=1,200,000㌦であったが、実際には930,000㌦だけである ABCを用いると、特別注文が単位当たりの変動費を用いた単純な見積よりも、さらに270,000㌦分、貢献利益を上昇させるものであることが認識できる  従って、この特別注文は引き受けるべきである。

例示と分析(A2b) 100,000個の特別注文は、様々なモデルと色を、様々な時期に納入するものであったとする その結果必要となる段取は、通常の50回(100,000個÷2,000個)ではなく、100回も必要であるとする この場合、100,000個を追加加工するためのコストはいくらか? 特別注文にかかるコストは、当初の見積では@12㌦×100,000個=1,200,000㌦であったが、実際には1,500,000㌦もあった ABCによると、単位当たりの変動費を用いた単純な見積よりも、実は300,000㌦も追加コストが高いということができる。 従って、この特別注文は引き受けるべきではない。

B.製品・サービス・部門の廃止と追加 既存のビジネスは、収益性を改善するために、業務を拡張したり、または外注を利用して縮小したりすることがある その際メーカーは、どうやって製品・サービス・部門の追加や廃止の意思決定をするのであろうか? →特別注文の時と同様、全ての関連原価と関連収益に関する情報を検討することによって決定する 考察 食料品、雑貨、医薬品の3部門を持つディスカウントストアの例 食料品部門は常に営業損失を計上 よって、経営者は食料品部門の廃止を検討している

年次損益計算書 注意点 固定費が回避可能と回避不能の2つのカテゴリーに分類されている 回避可能、回避不能とはどんな分類であろうか?

回避可能コストとは 回避可能コスト 現在の業務を変更あるいは廃止した場合には発生しないコスト 関連原価である この例における回避可能コストには、部門の給与など、その部門がなければ発生しないコストが含まれる

回避不能コストとは 回避不能コスト ある業務を廃止しても発生し続けるコスト 関連原価にはならない →部門の廃止という意思決定の影響を受けないから この例における回避不能コストには、多くの共通費が含まれている

共通費とは 共通費 利用者が共有する施設やサービスのコスト      →店舗の原価償却費、光熱費、空調費、本社費など全ての部門     が利用する資源のコスト

回避不能コスト回収の視点 製品・サービス・部門の廃止や追加の意思決定において大切なことは、回避不能コストを回収するための最善案は何か、を考えることである 回避不能コストの総額は意思決定によらず不変 そして関連情報を基に、回避不能コストの回収に最も貢献するような案を選択することが大切なのである

例示(B1) 10,000㌦の損失を計上している食料品部門を廃止するか否か? 前提条件 投資された総資産は、この意思決定の影響を受けない 空になったスペースは、そのまま放置される 回避不能コストは存在し続ける

年次損益計算書

分析結果 上記の分析により、食料品部門を廃止し、空いたスペースは遊休のままとする場合、事態はさらに悪化するとことが分かる 食料品部門は200,000㌦の貢献利益を生んでおり、それは、食料品部門の廃止によって節約できる固定費150,000㌦よりも、50,000㌦多く、むしろ回避不能コストの回収に貢献していたのだ 食料品部門が10,000㌦の損失を計上しているのは、回避不能コストの配賦額60,000㌦によるものである

例示(B2) もちろんほとんどの企業では、スペースを遊休のままにしておくことはありえない(前述の例示は話を単純化) そこで、食料品部門の廃止によって空いたスペースを、雑貨部門拡張に利用できるとする これによって、500,000㌦の売上増加が見込まれる 新たな売り場では、売上の30%が貢献利益(150,000㌦)となり、70,000㌦の回避可能固定費を有する商品が置かれてるとする

分析結果 この場合、雑貨部門の拡張によって営業利益は80,000ドルだけ増えるので、食料品部門の廃止による50,000㌦の減少を相殺して、全体で30,000㌦の営業利益増大をもたらす

留意事項 製品・サービス・部門の廃止や追加の意思決定において大切なことは、回避不能コストを回収するための最善案は何か、を考えることである 回避可能コストに対する貢献額 =売上高-変動費-回避可能固定費 これを最大化する案を採用することが大切である 雑貨部門は、食料品部門ならば達成できるであろう売上高を達成できないだろう しかしながら、貢献利益率の上昇と労務費の低下(主として倉庫担当とレジ担当の必要人員数が減少したため)が合計され、より大きな利益貢献を生み出すと期待できる

留意事項(つづき) 関連原価となるのは変動費だけではない 特別注文の意思決定において、関連原価は変動費だけであった そのため固定費は常に無視して、変動費だけに注目すべきであると考えてしまったかもしれない しかし固定費であっても、意思決定により回避可能なものは関連原価となる 何が関連情報で何が無関連情報かを決定するには、全ての関連原価データと関連収益データを分析することが大切である

C.稀少資源の最適な利用 希少な資源の利用に関する意思決定 どの製品に力を入れるべきか? 制約要因単位当たりの貢献利益合計額が最も大きい製品や注文を選択するべきである 制約要因(稀少資源)                   ある製品・サービスの生産や販売を制約する要因 製造業においては生産を制約する直接作業時間や機械作業時間、デパートにおいては売上高を制約するフロア面積やディスプレイ面積などがあげられる

例示(C1) あるメーカー 普及型携帯電話と高級型携帯電話を生産・販売 単位当たりのデータ どちらの製品に力を入れるべきだろうか? 前提条件 電話に対する需要が限られており、販売数量は限られている →制約要因は「販売数量」

分析 高級型に力を入れるべきである なぜなら、高級型のほうが収益性が高いから 普及型を1台販売すると利益は16㌦増えるだけだが、高級型を1台販売すると利益は36㌦増える 制約要因が「販売数量」なら、製品単位当たりの貢献利益が高い製品に力を注ぐべきである

例示(C2) 前提条件が変更された場合 両タイプの電話に対する需要は、同社の生産可能数量よりも多い 生産能力は、10,000時間しか利用できない →制約条件は「生産能力」 各製品の生産データ 1時間につき普及型なら3台、高級型なら1台生産可能

分析 普及型に力を入れるべき 普及型のほうが生産能力1時間当たりの貢献利益額が多いので、普及型の方が収益性が高い

制約要因は何か? 貢献利益アプローチは賢明に用いなくてはならない 稀少資源(制約要因)を考慮せずに、単純に販売額当たりの貢献利益が最も大きい製品に、注目してしまうことがあるからである 制約条件は何か、と常に意識すること 例示より 制約条件が販売数量 「販売単位あたり貢献利益額」の最も高い製品に力を入れるべき 制約条件が生産能力 「生産時間単位当たり貢献利益額」のもっとも大きい製品に力を入れるべき

考察~回転率が利益に与える影響 小売業において稀少資源となるのは、通常「売り場面積」である 従って小売店は、スペースを少ししか使わない商品、またはスペースを短い時間だけしか使わない商品、すなわち在庫回転率の高い商品に注目しなければならない

伝統的百貨店vsディスカウントストア(図表5-4) 以下の図表は、2つの店において、同一のスペースを占有している同一の商品を例示している ディスカウントストアは、単位当たり貢献利益や売上高当たりの貢献利益は低いが、回転率が高いので、同じ商品でも収益性が高い、ということが分かる 一般に、小売業者は高い在庫回転率を追求する。