1日目 11:25 【講義】 強度行動障害とは これから、「強度行動障害とは」の講義をはじめます。
講義のねらい この時間は、強度行動障害という状態像や有効な支援方法について概要を学びます。対象者を知り、効果的な支援の概要を理解することが目標です。この講義で知ってもらいたいことは、以下の5点です。 【ポイント】 「強度行動障害」と言われるひとがいること どのような人たちなのか 強度行動障害は障害特性と環境との相互作用で引き起こされる 支援の基本は障害特性を理解すること 6つの支援のスタンダード この講義のねらいです。スライドを読みます。 この時間は、強度行動障害という状態像や有効な支援方法について概要を学びます。対象者を知り、効果的な支援の概要を理解することが目標です。この講義で知ってもらいたいことは、以下の5点です。 【ポイント】 ① 「強度行動障害」と言われるひとがいること ② どのような人たちなのか ③ 強度行動障害は障害特性と環境との相互作用で引き起こされる ④ 支援の基本は障害特性を理解すること ⑤ 6つの支援のスタンダード
強度行動障害とは|定義 自分の体を叩いたり食べられないものを口に入れる、 危険につながる飛び出しなど、本人の健康を損ねる 行動 自分の体を叩いたり食べられないものを口に入れる、 危険につながる飛び出しなど、本人の健康を損ねる 行動 他人を叩いたり物を壊す、大泣きが何時間も続くな ど、周囲の人のくらしに影響を及ぼす行動 上記の2つの行動が著しく高い頻度で起こるため、 継続的に特別に配慮された支援が必要になっている 状態 強度行動障害の定義です。 既に高鹿室長のお話でも紹介されていました。 「強度行動障害」とは、自分の体を叩いたり食べられないものを口に入れる、危険につながる飛び出しなど本人の健康を損ねる行動、他人を叩いたり物を壊す、大泣きが何時間も続くなど周囲の人のくらしに影響を及ぼす行動が、著しく高い頻度で起こるため、継続的に特別に配慮された支援が必要になっている状態のことです。 福祉サービスの対象としては、「障害者支援区分」の「行動関連項目」において10点以上が、強度行動障害となっています。 障害福祉の仕組みでは「障害者支援区分」の「行動関連項目」において10点以上(最大24点)を強度行動障害と言う。 (児童の判定や加算によって条件が異なります)
過去を振り返ると 強度行動障害のある者への対策は、30年近く前から検討 されてきているが・・・ 強度行動障害特別処遇事業 強度行動障害のある者への対策は、30年近く前から検討 されてきているが・・・ 2013年 2014年 1960年代後半 1988年 1993年 1998年 2006年 (2018年) 国立療養所重心 重度障害者支援費加算・行動援護従業者 等の要件として研修修了が前提 強度行動障害特別処遇事業 報酬改定 強度行動障害特別加算費 強度行動障害支援者養成研修 強度行動障害児者研究 重度障害者 支援加算費 動く重症児対策 重度知的障害児 精神科入院治療 自閉症児施設 Ⅱ 行動援護従業者養成研修 少し、過去を振り返ってみたいと思います。 強度行動障害という名称は、1988年にスタートした行動障害児(者)研究会において命名されました。しかしその20年前、1960年代後半より、例えば「動く重症児」や「自閉症」などの、行動障害が著しい人たちに対する支援の困難さと、何らかの施策の必要性は、既に訴えられていました。 1993年には強度行動障害特別処遇事業が始まり、個室等の設備や指導員・精神科医・心理療法士等の専門指導員の配置、個別の支援プログラム作成による3年間の集中的・有期限の支援など、当時としては画期的な特徴ある事業でした。しかし最終的に5年間で17施設の実施にとどまり、1998年からは、強度行動障害特別処遇加算費として一般予算化されました。 その後、2006年の障害者自立支援法以降、重度障害者支援費加算(Ⅱ)として入所施設における重複加算が引き継がれ、またその前年の2005年には、強度行動障害がある人に特化した在宅系のサービスとして「行動援護」が始まりました。 そして、2015年4月、障害者福祉サービス等の報酬改定において加算の詳細が見直され、強度行動障害支援者養成研修の修了が夜間のサービスを行っている事業所にとっての加算の要件となり、さらに2018年4月から日中サービス等についても加算が拡大されました。 少しずつ強度行動障害者が利用できるサービスが拡大しつつありますが、まだまだ十分なサービス利用ができている事業所は限られているのが現状です。 自閉症研究 行動援護 (支援費)
映像資料|強度行動障害 【事例の概要】 □各事例、約3分 □5事例 ■行動障害が表れている時の映像 ■障害特性に即した支援の映像 □各事例、約3分 □5事例 ■行動障害が表れている時の映像 ■障害特性に即した支援の映像 ■行動障害が軽減した、あるいは 普段の穏やかな時の映像 ここで映像を見て頂きます。 この映像は「強度行動障害支援者養成研修」用に制作されたものです。 映像の概要を説明します。 全部で5人の方、5事例が登場します。1人、約3分の映像となっています。 各事例、はじめに行動障害の映像が流れ、次に状態や特性に即した支援の映像、そして普段の穏やかな映像という順になっています。 作成に当たり、ご本人または保護者などから許可を頂いています。 少しでも強度行動障害という状態像を理解して欲しい。そして、本人の状態や特性を理解し、将来を考えた視点で支援を行って欲しい。 そんな思いが込められています。 ※映像資料(DVD)は各都道府県に2枚配布されています
強度行動障害になりやすいのは 急性期の 反社会的行動 精神科症状 非行・虞犯 興奮・混乱 触法行為等 混迷・拒絶等 強度行動障害 最重度 重 度 中 度 軽 度 境界域 標 準 知的障害の程度 急性期の 精神科症状 興奮・混乱 混迷・拒絶等 反社会的行動 非行・虞犯 触法行為等 強度行動障害 自傷・他傷・破壊 非衛生的・異食 極端な固執行動等 強度行動障害とは行動面の状態像につけられた呼称ですので、その中にはさまざまな状態像の人が含まれています。映像資料に出てきたCさんやDさんは重度の知的障害を伴う自閉症と診断された人でした。1980年代の終わり頃から「強度行動障害」と呼ばれて支援のあり方が検討されてきたのは、主にこのような重度・最重度の知的障害を伴う自閉症の人たちです。 一方で、近年は、地域の相談支援の現場等で、罪を犯した障害者、いわゆる触法障害者や、虞犯(ぐはん)障害者を連想することも少なくありません。また、成人になってから事故等によって認知機能が低下したり、精神障害に罹患し、行動上の問題が新たに生じるようになった人たちもいます。こうした人たちの多くは、CさんやDさんとは異なり、おおよそ中度から軽度の知的障害、あるいは知的な遅れのない人たちです。 この研修では、CさんやDさんのように激しい行動を示す重度・最重度の知的障害および自閉症の人を中心に扱います。 ちょうど、スライドのグレーの部分の方です。 この状態像の人が全て強度行動障害に当てはまるわけではない! 強い 自閉症の特徴 弱い
知的障害とは|定義 知的障害の定義 知的機能に明らかな制限があること 適応行動に明らかな制限があること 上記2つが発達期(概ね18歳まで)にあらわれること 「知的機能の明らかな制限」とは、一般的に知能検査の結果(IQ)を参考にする(標準よりかなり低い状態であるかどうか) 「適応行動に明らかな制限」とは、適応行動尺度(社会成熟度検査等)の結果を参考にする(標準よりかなり低い状態であるかどうか) 日本では、都道府県・政令指定都市が知的障害(児)者に療育手帳(愛の手帳・みどりの手帳)の交付を行っている では、そうした障害のある人が強度行動障害といった状態になりやすいのはなぜでしょうか。 その理由を考えるために、障害の特徴を簡単に整理してみたいと思います。 知的障害は、①知的機能に明らかな制限があること、②適応行動に明らかな制限があること、③その2つが概ね18歳までにあらわれること、と定義されています。 世界保健機構(WHO)が出している国際的な疾病の分類であるICD-10では、IQ70以下を知的障害としています。
知的障害とは|ICDの分類 最重度 重度 中等度 軽度 測定不能 20 35 50 70 最重度 重度 中等度 軽度 IQの数字は目安 軽度(Mild mental retardation : IQ 50-69) …B2/Ⅳ 成人期においてその精神年齢は概ね9歳から12歳相当。学齢時に学業不振が表面化する場合が多い。社会的な興味は年齢相応である。成人になってから、仕事に就き、良好な人間関係を保ち、結果的に地域社会の一員として周囲から評価されている事例が多く、そのような能力をもっている。 中度(Moderate mental retardation : IQ35-49) …B1/Ⅲ 成人期においてその精神年齢は概ね6歳から9歳相当。幼児期から発達の遅れが顕著であるが、基本的な身辺自立やコミュニケーション能力、そして読み書きについては一定レベルの学習は可能である。社会生活や就業生活に必要な支援の程度には個人差がある。 重度(Severe mental retardation : IQ20-34) …A2/Ⅱ 成人期においてその精神年齢は概ね3歳から6歳相当。12歳頃までに2語文程度を用いる。人生のどの時期においても、生活のさまざまな場面で他者からの継続的な支援が必要である。 最重度(Profound mental retardation : IQ 20以下) …A1/Ⅰ 成人期においてその精神年齢は概ね3歳未満。身辺自立や節制(がまん)、コミュニケーション能力、さらには外出・移動において相当の制限がある。 ICD-10では、IQ50~69を軽度、35~49を中度、20~34を重度、そして20以下を最重度としています。実際の適応機能や生活能力については、環境によっても大きく変わるため個人差がありますが、ICD-10ではおおよその生活能力等の目安が示されています。 例えば、重度の知的障害では「成人期においてその精神年齢は概ね3歳から6歳相当。12歳頃までに2語文程度を用いる。人生のどの時期においても、生活のさまざまな場面で他者からの継続的な支援が必要な状態。」 最重度の知的障害では「成人期においてその精神年齢は概ね3歳未満。身辺自立や節制(がまん)、コミュニケーション能力、さらには外出・移動において相当の制限がある状態。」とされています。生活の様々な場面、そしてコミュニケーションに相当の制約があることが分かります。
自閉症とは|育て方が原因ではない 定型発達の人と異なる ものの見方・とらえ方・ 感じ方をすることが多い 社会生活を送る上で 情報(刺激)の入力や 不適切な環境 生活や学習上のつまずき 行動の自己調整 その反応に偏りや遅れ 脳の発達の問題 様々な行動障害 対人関係の問題 次に、自閉症について簡単に整理したいと思います。 かつては親、特に母親の育て方によって自閉症になる、心の病気が原因と考えられていた時代もありました。今では特有の発達の偏りを示す生まれつきの脳の機能障害という考え方が定説になっています。 こうした脳の発達の問題により、情報の入力や反応に偏りや遅れがあり、それが生活や学習上のつまづきに繋がっています。そこから対人関係のトラブルであったり、更に不適切な環境が加わることで、様々な行動障害へと繋がってしまいます。 社会生活を送る上で ■ うまく理解できない ■ うまく表現できない ためにつまづきやすい 横浜市中部療育センター 高木一江先生の資料を一部変更
自閉症とは|三つ組の障害 【三つ組】 【その他】 感覚過敏・鈍麻 多動 睡眠の問題 社会性の障害 人に対する独特な 関わり方 では自閉症の、情報の入力や反応の偏りや遅れとは、どのようなものなのでしょうか。 これもICDー10でまとめられている自閉症診断の3つの定義を、簡単な表現にまとめたものです。 人に対する独特な関わり方などの「社会性の障害」、言葉や表情等の使い方や理解の仕方が独特といった「コミュニケーションの障害」、そして「限定的で反復的な行動や関心」見通しが持ちにくく急な変更が苦手、といった特徴を指します。 またその他に、特定の感覚に過敏あるいはとても鈍かったり、じっとしていられないなどの多動、睡眠の問題などもあります。 限定的で反復的な 行動や関心 コミュニケーションの 障害 見通しが持ちにくく 急な変更が苦手 言葉や表情等の使い方 や理解の仕方が独特
知的障害+自閉症の人の特徴例 ■知的障害や自閉症の特徴障害特性のサンプルです (※このスライドは、5分程度時間をかけて説明しても良い内容です) これまで、知的障害と自閉症の特徴を簡単にお話ししてきました。 スライドは、知的障害や自閉症の特徴、障害特性のサンプルです。障害福祉サービスを提供する私たちは、このような人たちが安心して過ごせる場を作ることが大切です。しかし、そのような場を作るには、まず一人ひとりの特性を理解する必要があります。 緑ファイルの一番後ろのページに「ヒントシート」と書かれた、同じ内容のものがあります。一緒に内容を確認していきましょう。 (全員がヒントシートを開いてから) 想定される障害特性が、①から⑯まで書かれています。この研修の目的の一つに、こうした障害特性があること、その内容を理解することがあります。しっかりと内容を確認しましょう。 想定される障害特性です。 ①ことばを聞いて理解することが苦手です。 → 私たちも、英語圏、アラビア語圏に行けば同じような状態になりますが、そもそも話しことばを理解することが苦手という特徴があります。 ②表情や身振りを、誤って理解してしまう → 表情が意味していること、身振りが意味していることを理解したり、推測することがとても難しい方達です。 ③人や場面によって態度を変えられない → TPOや、相手の職位など、様々な事柄を総合的に判断し、その場にあった適切な態度をとることがとても難しいです。 ④他の人の興味あることに関心が薄い → 言い換えると、特定の物事にしか興味関心が向きにくいです。ただし、興味関心が向いている物事については、もの凄く博識(マニアック?)だったりします。 ⑤全体をとらえて関係性をつかむことが苦手 → 一つ一つの事柄は緻密に行えても、その全体を把握したり、関係性を理解することが苦手です。 ⑥別のやり方を探したり臨機応変な対応が苦手 → 一度理解したこと以外のやり方や、臨機応変に対応することがとても苦手です。特定のルートや特定の作業工程を変えられないのは、そのためです。 その他にも、 ⑦集団で一斉に行動することが苦手、⑧「いつ終わる」かを理解することが苦手、⑨具体的な指示や内容であれば理解できるけど、「抽象的、あいまいなことの理解が苦手」、⑩経験していないことを想像することが苦手、⑪特定の物事に強く固執する、⑫記憶することが苦手、などもあります。 ⑬発達、認知能力がアンバランスは、例えば難しい漢字を読めるのに、書けない。同じように、とてもよく喋るけども書いたり、計算することが苦手など、平均的な発達ではなく、デコボコとした発達という特徴があります。⑭特定の行動を何度も繰り返してしまう。よく支援現場で「拘り」といわれる行動は、この部分に関連しています。 ⑮は独特な注意の向け方、多動性、衝動性といった特徴になります。そして⑯、ちょっとした音にも過敏に反応したり、痛みに対して鈍感で骨が見える程自傷をしたりといった、特定の感覚が過敏、または鈍い、という特徴があります。 強度行動障害者を支援する大前提として、こうした障害特性があること、そしてその内容をしっかりと理解しておきましょう。 ■知的障害や自閉症の特徴障害特性のサンプルです ■障害福祉サービスを提供する私たちは、このような人たちが安心して過ごせる場を作ることが大切です(ほとんどこれしか出来ない) ■しかし、そのような場を作るには、まず一人ひとりの特性を理解する必要があります
(物理的な環境、支援者、その他の人、状況等) どうして強度行動障害になるの? 環境 (物理的な環境、支援者、その他の人、状況等) 情報・刺激が ■偏ったり ■分かりにくい ■独特な形で 入ってくる 伝えたいことを ■言葉ではない ■独特の表現や行動を通して 伝えようとする 人や場に対する 嫌悪感・不信感 「分からない」 の積み重ね 「伝わらない」 の積み重ね さて、こうした障害特性がある人が、なぜ強度行動障害になりやすいのでしょうか。 「ことばを聞いて理解することが苦手」「特定の感覚が過敏・鈍い」「発達がアンバランス」など、前のスライドで障害特性を見てきました。こうした特性があることで、情報や刺激の理解が偏ったり、独特な形で入ってきます。その結果、本人にとっては「分からない」ということを積み重ねていきます。また重度の知的障害者や自閉症の人は、適切に相手に自分の思いを伝えることが難しい人達です。その結果、「伝えられない」「伝わらない」ということを積み重ねていきます。そしてその繰り返しが何度も何度も続くことで、人やその場所に対して嫌悪感や不信感を募らせていき、やがて強度行動障害という状態像になっていきます。 つまり、障害特性と本人にあわない環境要因が継続的に続くことで、強度行動障害になっていきます。 障害特性 重度の知的障害+自閉症の特性は? 障害特性 × 環境要因 ⇒ 強度行動障害
強度行動障害に有効な支援 (n=32) (飯田, 2004) ただし、一度強度行動障害という状態になったとしても有効な支援を行うことで、7~8割以上の人に何らかの改善が見られています。 スライドは、32人の強度行動障害者に対して有効だった支援方法をまとめた図です。構造化は100%、コミュニケーション支援も約8割の人に効果がありました。 (飯田, 2004)
共通する支援の枠組み 構造化された環境の中で 医療と連携しながら リラックスできる強い刺激を避けた環境で 一貫した対応をできるチームを作り 自尊心を持ちひとりでできる活動を増やし 地域で継続的に生活できる体制づくりを進める 強度行動障害者支援の20年以上にわたる研究と実践の中で、6つの支援のスタンダードが分かっています。 四角の枠の中を読みます(読む) 映像資料の支援も、この枠組みを原則とした支援が提供されています。 しかし、多くの障害福祉の現場では、こうした枠組みに沿った支援を効果的かつ継続的に提供することはできていないのが現状です。 こうしたスタンダードな支援を普及・定着させていくことが今後の課題といえます。 映像資料の支援もこの枠組を原則として
まとめ|強度行動障害とは 強度行動障害とは 強度行動障害になりやすいのは 強度行動障害への支援にはスタンダードがある 自らの健康を損ねる行動/周囲の人の暮らしに影響を及ぼす行動/これらが著しい頻度で起こり特別な支援が必要な状態 強度行動障害になりやすいのは 重度・最重度の知的障害/自閉症/思春期以降から成人期 上記の特性に対する配慮が不十分な環境との相互作用 強度行動障害への支援にはスタンダードがある 一人ひとりの特性を理解しようとすること その特性に配慮した生活環境を作り出すこと これまでの実践から、共通する支援の枠組みが存在する まとめです。 強度行動障害の支援については、1960年代からさまざまな取り組みが行われ、特に1990年代には多くの実践と研究が蓄積されました。その中で、強度行動障害の支援とは、重度の知的障害と自閉症のある人たちへの支援であり、強度行動障害は障害特性と環境との相互作用の中で引き起こされていることが共通理解となっています。 強度行動障害への支援にはスタンダードがありました。それは、①構造化された環境の中で、②医療と連携をしながら、③リラックスできる強い刺激を避けた環境で、④一貫した対応のできるチームを作り、⑤自尊心を持ち一人でできる活動を増やし、⑥地域で継続的に生活できる体制づくりを進める、というものです。 この研修は、過去四半世紀の集大成であるこれらのコンセンサスと支援のスタンダードを共有し、普及させる仕組みの1つです。この後の講義や演習でさらに基礎的な理解を深めていただき、さらに現場での実践やより発展的な研修等を通して、質の高い強度行動障害への支援が実施されることを願います。