リカレントニューラルネットワークによる高解像度流体解析コードの開発

Slides:



Advertisements
Similar presentations
HBSP モデル上での 行列積を求めるアルゴリ ム 情報論理工学 吉岡健太.
Advertisements

Computational Fluid Dynamics(CFD) 岡永 博夫
到着時刻と燃料消費量を同時に最適化する船速・航路計画
高度情報演習1A “テーマC” 実践 画像処理プログラミング 〜画像認識とCGによる画像生成〜 第四回 演習課題 画像中からの物体抽出処理(背景情報を手がかりとして) 芝浦工業大学 工学部 情報工学科 青木 義満 2006/05/15.
自己重力多体系の 1次元シミュレーション 物理学科4年 宇宙物理学研究室  丸山典宏.
数値気象モデルCReSSの計算結果と 観測結果の比較および検討
研究集会 「超大規模行列の数理的諸問題とその高速解法」 2007 年 3 月 7 日 完全パイプライン化シフト QR 法による 実対称三重対角行列の 固有値並列計算 宮田 考史  山本 有作  張 紹良   名古屋大学 大学院工学研究科 計算理工学専攻.
エージェントモデル シミュレーション.
スペクトル法による数値計算の原理 -一次元線形・非線形移流問題の場合-
独自3次元ツール 3D-Master SEA創研.
異種センサを用いた人の行動検知 研究概要 研究の独自性 isi担当 高汐グループ成果 スライド到着待ち yasu担当.
確率モデルによる 画像処理技術入門 --- ベイズ統計と確率的画像処理 ---
流体のラグランジアンカオスとカオス混合 1.ラグランジアンカオス 定常流や時間周期流のような層流の下での流体の微小部分のカオス的運動
高山建志 五十嵐健夫 テクスチャ合成の新たな応用と展開 k 情報処理 vol.53 No.6 June 2012 pp
3次元剛体運動の理論と シミュレーション技法
シミュレーション演習 G. 総合演習 (Mathematica演習) システム創成情報工学科
Lorenz modelにおける 挙動とそのカオス性
プログラム実行履歴を用いたトランザクションファンクション抽出手法
Occam言語による マルチプリエンプティブシステムの 実装と検証
研究背景 研究目的 手法 研究計画 分散型プラズマアクチュエータと物体形状の統合最適設計による 仮想空力形状の実現 jh NAH
圧力発展格子ボルツマン法による大規模気液二相流GPUコードの開発 ならびに多孔体浸潤液滴シミュレーション
現実の有限密度QCDの定性的な振る舞いに
協調機械システム論 ( ,本郷) 協調機械システム論 東京大学 人工物工学研究センター 淺間 一.
6.総合討論 ユーザー会と共同研究網構想 佐藤 徹(東京大学大学院工学系研究科).
Bottom-UpとTop-Down アプローチの統合による 単眼画像からの人体3次元姿勢推定
ひび割れ面の摩擦接触を考慮した損傷モデル
5 テスト技術 5.1 テストとは LISのテスト 故障診断 fault diagnosis 故障解析 fault analysis
電磁流体力学乱流の高精度・高並列LESシミュレーションコード開発研究
確率的学習アルゴリズムを用いた有限状態オートマトンの抽出に関する研究
モデルの逆解析 明治大学 理工学部 応用化学科 データ化学工学研究室 金子 弘昌.
遺伝子導入効率No.1を目指す ナノ・ニードル基板デバイスの開発
あらまし アンサンブル学習の大きな特徴として,多数決などで生徒を組み合わせることにより,単一の生徒では表現できない入出力関係を実現できることがあげられる.その意味で,教師が生徒のモデル空間内にない場合のアンサンブル学習の解析は非常に興味深い.そこで本研究では,教師がコミティマシンであり生徒が単純パーセプトロンである場合のアンサンブル学習を統計力学的なオンライン学習の枠組みで議論する.メトロポリス法により汎化誤差を計算した結果,ヘブ学習ではすべての生徒は教師中間層の中央に漸近すること,パーセプトロン学習では
HPC基盤における大量データ転送のためのデータ転送ツールの評価
確率的学習アルゴリズムを用いた有限状態オートマトンの抽出に関する研究
Computer Graphics 第10回 レンダリング(4) マッピング
アンテナ最適化技術と電波伝搬シミュレーション技術の高速化と高精度化
逐次伝達法による 散乱波の解析 G05MM050 本多哲也.
Introduction to Soft Computing (第11回目)
磁気回転不安定性によるブラックホール降着流の角運動量輸送機構の 解明
ゲーム開発モデルの基礎.
数量分析 第2回 データ解析技法とソフトウェア
予測に用いる数学 2004/05/07 ide.
ロボットの協調動作の研究: マップ作成とマップ情報を利用した行動計画
Data Clustering: A Review
AIを用いたドローンの 新たな姿勢制御方法に関する研究
背景 課題 目的 手法 作業 期待 成果 有限体積法による汎用CFDにおける 流体構造連成解析ソルバーの計算効率の検証
不完全な定点観測から 真の不正ホストの分布が分かるか?
「データ学習アルゴリズム」 第3章 複雑な学習モデル 報告者 佐々木 稔 2003年6月25日 3.1 関数近似モデル
Bottom-UpとTop-Down アプローチの組み合わせによる 単眼画像からの人体3次元姿勢推定
高精細計算を実現するAMR法フレームワークの高度化 研究背景と研究目的 複数GPU間での袖領域の交換と効率化
プラズモニック構造付シリコン光検出器のHPC援用設計に関する研究
堆積炭塵爆発に対する大規模連成数値解析 研究背景 研究目的 計算対象および初期条件 燃焼波の様子(二次元解析) 今後の予定
複雑流動場における物質移行過程の解明を目指した大規模数値計算 :実験計測データとの比較による数値モデルの構築
対象:せん断補強筋があるRCはり(約75万要素)
JNNS-DEX-SMI-玉川 公開講座 「交換モンテカルロ法とその応用」
■ 背景 ■ 目的と作業内容 分子動力学法とフェーズフィールド法の融合による 粒成長の高精度解析法の構築 jh NAH
東京都心1m解像度10km四方気流計算の可視化
Homogeneous model 相同モデル
豪雨災害の被害予測に向けた土粒子‐流体‐構造の大規模連成解析の 国際標準V&V例題の確立
シミュレーション演習 G. 総合演習 (Mathematica演習) システム創成情報工学科
格子ボルツマン法によるリアルタイム物質拡散シミュレーション手法の開発
確率的フィルタリングを用いた アンサンブル学習の統計力学 三好 誠司 岡田 真人 神 戸 高 専 東 大, 理 研
2016年夏までの成果:標準理論を超える新粒子の探索(その1) 緑:除外されたSUSY粒子の質量範囲 [TeV]
2017年夏までの成果:標準理論を超える新粒子の探索(その1) 緑:除外されたSUSY粒子の質量範囲 [TeV]
背景 粒子法(SPH・MPSなど)は大規模流体シミュレーションなどで幅広く利用.一方で,手法の数学的正当化(数値解析)が不十分
ベイジアンネットワークと クラスタリング手法を用いたWeb障害検知システムの開発
信号データの変数代入と変数参照 フィードバック制御系の定常特性 フィードバック制御系の感度特性
アップデート.
大規模粒子法による大型クルーズ船の浸水解析
教師がコミティマシンの場合のアンサンブル学習 三好 誠司(神戸高専) 原 一之(都立高専) 岡田 真人(東大,理研,さきがけ)
Presentation transcript:

リカレントニューラルネットワークによる高解像度流体解析コードの開発 EX18201 (東北大学サイバーサイエンスセンター推薦課題) 松岡 浩 (技術士事務所AIコンピューティングラボ) リカレントニューラルネットワークによる高解像度流体解析コードの開発 1.研究の目的     ものづくりにおける設計アイデア探索のための“高解像度流体解析コード”の開発      ⇒ 例: 飛行機や船舶等の設計で“小型流動制御デバイスの形状を解像できる微細スケール”から、      “機体や船体等のまるごとスケール”までを同時に解析し、局所形状の連続的な変化が全体の流動を      どのように変えていくか?をリアルタイム応答で観察できるツールを実現し創造的な設計を可能にする。 2.次世代超高速計算機による具体的な達成目標と方法(←東北大学サイバーサイエンスセンターSX-ACEの利用経験から設定) (1)「多速さ格子ガス法4次元FCHCモデル+1格子点1ビット幅の時間発展計算」により“基盤構築”を目指す。  ①固体壁形状変化へのリアルタイム応答計算:⇒ 1億格子点規模の連続可視化感度解析を単相流で実現   ②試作・実験レベルを超える精度の詳細計算:⇒ 1兆格子点規模の高解像度単相流過渡変化を1日で計算   ③どんな流動挙動にも答えをだせる頑強計算:⇒ 激しく変化する乱流もビット演算時間発展計算で安定算出 (2)「“階層型リカレントニューラルネットワーク計算”+“マクスウェルの達人操作”」により“新展開”を目指す。  ①格子点数を増やさずにゼロ近傍正粘性計算:⇒ 到着粒子と出発粒子の確率差を個別粒子操作で強調  ②初期条件・境界条件が不明でもそれなり計算:⇒ 計測データ等が与えられた時空間から自己組織化伝達 ※「連続的な物理シミュレーション空間を離散化した概念としての“格子点”」を「ニューロン群」に対応させ、 「次の時刻ステップにおける状態を予測計算をする格子点演算」と「学習過程における演算機能の逐次修正計算」を局所並列的に同時に進行させる。 || + 微分方程式数値解法計算原理 ①微分方程式等を離散化した計算が進行 ②完備された初期条件と境界条件を準備 AI(ニューラルネット)学習推論計算原理 ①各計算要素ごとに簡易な計算が分散並列で進行 ②学習機能によって各計算要素の機能を逐次修正 近年において著しく発展したコンピュータによる超高速計算技術  高精度災害予測や実験試作不要の ものづくりのための高解像度な 物理シミュレーションを実現 現実世界における不完全な情報獲得 環境下でも高速学習により妥当な 結論を導く推論技術を実現 融合 “高解像度物理シミュレーションの新展開”  初期条件や境界条件が不完全にしか得られない 現実世界においても 実用に耐える高精度な “物理シミュレーション”をリアルタイムで実現!  ○“高解像度物理シミュレーション”の実社会に   おける実用化を妨げる基本的問題の解決!  ○AI専用超高速プロセッサの爆発的な需要増大   に伴う性能向上と低コスト化  ○IoTの進展に伴う計測データのリアルタイム   利用技術の性能向上と低コスト化 安全・安心で創造的な 人間社会の構築に貢献 (防災・ものづくり設計) ☆“多速さ格子ガス法”では、多数の仮想粒子が「衝突」と「並進」を繰り返しながら格子点間を移動する様子を疎視化してマクロな流体挙動を得る。開発中の非熱流体解析コードの場合、仮想粒子は48個の向きに移動可能で、各格子点での衝突は、「到着粒子の各向き存否パターン」を「出発粒子の各向き存否パターン」に変換する階層型ニューラルネットワークで表現できる。“粘性制御”では、出発粒子パターンを求めた後に、過去の到着粒子パターンと比較する操作が必要なので「リカレント型」のネットワークを採用する。 AI学習推論計算原理:  初期時刻ステップの全格子点(白×印)と、その後の時刻ステップの境界     格子点(白×印)には、不明の乱数入力で構わない。 各時刻ステップごとに全格子点(ニューロン群)     がもつ演算機能(積和の計算)が正しい出力を出すように個別にフィードバック修正(弧状矢印)する。 微分方程式数値解法計算原理: すべての格子点における演算機能は、どこも同じで時間的に不変。   初期時刻ステップの全格子点(×印)と、その後の全時刻ステップの全境界点(×印)に、もれなく完全な   情報を与える必要がある。 格子点(ニューロン群)配列 時刻 0 時刻 t 時刻 t+1 1.解像したいひとつひとつの微細領域を、離散化された“格子点”とみなし、これを “ニューロン群”に対応させる。(cf.右図は、物理空間を2次元で表現。) 2.各格子点(ニューロン群)では、時間進展に伴って、質量、運動量、エネルギーなどの物理量が周辺格子点(ニューロン群)から入力され、ある情報処理(演算処理)がなされた後に、周辺格子点(ニューロン群)へ出力される。 このとき、各格子点(ニューロン群)において局所分散的になされる演算が簡単な内容であっても、格子点間(ニューロン群間)での情報のやりとりを繰り返すくうちに、複雑に見える大局的な挙動も自己組織化により自動的に生成されてくる。 3.もし、初期条件と境界条件に関する知識が欠如し、ランダムに仮定された数値が、初期時刻ステップの格子点やそれ以降の時刻ステップにおける境界上の格子点に入力されていたとしても、その値を前提にした演算機能の逐次修正がところどころで与えられる計測情報をもとに各格子点で実行されるので、必要な領域においては、妥当なシミュレーション結果を常に出力できるようになる。