テレワークによる働き方改革の推進 ~テレワークの今と将来展望~ 【講演資料】 テレワーク推進フォーラム 平成30年度定期総会 テレワークによる働き方改革の推進 ~テレワークの今と将来展望~ 2018年6月14日 テレワーク推進フォーラム 会長 一般社団法人日本テレワーク協会 名誉会長 (元日本電信電話株式会社 副社長) 宇 治 則 孝
アジェンダ 1.ワークスタイル変革の重要性 2.テレワークに関する最近の主な動き 3.テレワークの先進的導入事例(民間企業) 1.ワークスタイル変革の重要性 2.テレワークに関する最近の主な動き 3.テレワークの先進的導入事例(民間企業) 4.働き方改革をめぐる論議と今後の方向
1. ワークスタイル変革の 重要性
1.ワークスタイル変革の重要性-1 ■ワークスタイル変革は、国にとっても、企業にとっても喫緊の課題 ワークスタイル変革は日本の重要課題 政府 民間 「働き方改革の基本的考え方」 1.日本経済再生に向けて、最大のチャレンジは働き方改革 2.働き方改革こそが労働生産性改善の最良手段 1.日本能率協会調査(2015年): 「企業の経営課題の1位は 人材の強化」 (採用・育成・多様化への対応) 2.日本経団連(2015年): 多様な働き方の推進 3.経済同友会(2016年): 雇用の質を高め、生産性を革新 (2017年3月28日 第10回働き方改革 実現会議) ワークスタイル変革は日本の重要課題
企業におけるワークスタイル変革の主な目的 1.ワークスタイル変革の重要性-2 ■今なぜ、ワークスタイル変革か? ●経営環境の変化に伴う企業の様々な課題に対応するために、 経営戦略としての「働き方の変革=ワークスタイル変革」が重要 企業におけるワークスタイル変革の主な目的 1.多様な人材の獲得・維持 2.ワークライフバランスの向上 3.生産性の向上 4.グローバル化への対応 5.イノベーションの創出 企業としての 経営判断
テレワークは、ワークスタイル変革の方法論のひとつ 1.ワークスタイル変革の重要性-3 ■ワークスタイル変革とは 「多様な人材、多様な働き方」を実現 テレワークは、ワークスタイル変革の方法論のひとつ ・ICTの利活用、テレワーク ・「働いた時間」による評価から「働いた成果」に よる評価へ ・裁量労働、フレックスタイム、「朝型」勤務 勤務間インターバル ・長時間労働の改善、残業の抑制 ・高度プロフェッショナル制度 (ホワイトカラー・エグゼンプション) ・副業、兼業 ・女性活躍、高齢者活躍、外国人材 ・オフィス改革
2. テレワークに関する 最近の主な動き
2.最近の主な動き-1 ■テレワークムーブメントの拡大 人事部門施策 → 経営者の戦略課題 外資系、ICT業界 → 製造、金融、サービス業等 人事部門施策 → 経営者の戦略課題 外資系、ICT業界 → 製造、金融、サービス業等 育児、介護該当者 → 一般社員、管理者(生産性向上) 東京 → 地方の展開 大企業 → 中堅、中小企業 先進企業 → 国民運動的広がり(政府施策) 時間評価 → 成果評価 在宅 → テレワークスペース 雇用型 → 非雇用型(クラウドソーシング等)
2.最近の主な動き-2(経営者の関心拡大) ■「働き方改革」に関し、経営者の44%が 「テレワーク・在宅勤務」関連の施策を政府に期待 ■「働き方改革」に関し、経営者の44%が 「テレワーク・在宅勤務」関連の施策を政府に期待 政府に期待する働き方改革に向けた施策 (日経「社長100人アンケート結果) 出典:日本経済新聞朝刊「裁量労働、在宅勤務、脱時間給、企業、働き方改革の軸に」2016年9月16日
2.最近の主な動き-3 (テレワークスペースの拡大) ■テレワークのための多様なスペースが増加中 ●利用目的: モバイルワーク時の利用、在宅勤務の代替としての活用 ●施設タイプ コワーキングスペース ● サテライトオフィス テレワークセンター ● シェアオフィス フューチャーセンター ● レンタルオフィス 多拠点型シェアーオフィス(WORKSTYLING) コワーキングスペース(コクヨMOV)
2.最近の主な動き-4 (テレワーク月間/テレワーク・デイズ) (7月23日~27日) (11月)
3. 働き方改革(テレワーク)の 先進的導入事例 (民間企業)
3 民間企業の先進的導入事例-1 (損害保険会社) 3 民間企業の先進的導入事例-1 (損害保険会社) ■生産性向上を目的としたワークスタイルイノベーションの実践 ●目的:全社員の生産性向上 ●試行:2014年、本社部門131名で試行実施 ●拡大:2015年から全社員を対象に拡大、上限回数撤廃、自宅以外も可に 利用者約2000名(社員数26000名) ●効果(トライアル後のアンケート結果): ・7割が生産性向上 ・移動時間の無駄を削減 ・業務に集中できる 多様な人材が活躍できる 環境・制度の整備 時間あたりの生産性を高める テレワーク シフト勤務 多様な働き方の実践 時間と場所に捉われない柔軟な働き方の実践 出典:損害保険会社「働き方変革の取組」2017年1月
3 民間企業の先進的導入事例-2 (情報サービス) 3 民間企業の先進的導入事例-2 (情報サービス) ■「人」の持てるエネルギーが最大限発揮できる働き方の実践 ●目的:全社の生産性・創造性向上 ●制度:派遣社員も含む全従業員対象、上限のないリモートワークを認める フリーアドレス、提携サテライトオフィス35カ所 ●効果:リモートワークで仕事のパフォーマンスが向上60% 労働時間が減少45%(集中、移動時間削減による) グループ内雑談量維持60%(Skype・チャットの利用) サテライトオフィス 35カ所 利用者700名 キッズスペース付サテライトオフィス 出典:日本テレワーク協会「テレワーク推進賞」2016年1月、「テレワークトップフォーラム」2017年2月
3 民間企業の先進的導入事例-3 (食品メーカー) 3 民間企業の先進的導入事例-3 (食品メーカー) ■ルール×基盤整備×風土醸成により「どこでもオフィス」を推進 ●目的:自社流の働き方を確立し、働きがいと生きがいの両立を図る ●制度:どこでもオフィス(テレワーク)導入 ●対象:業務内容・場所は問わない ●効果:総実労働時間 17年上期マイナス32時間(働き方改革により) サテライトオフィス 延べ利用人数: 330名/月(従業員10%相当) 延べ利用時間: 2750時間/月 ルール策定(緩和) ・週1回の出社以外は利用制限なし ・申請は前日まで、事後報告不要 ・業務内容・場所は問わない ・育児・介護との併用可 モバイル環境下のPC接続回数 合計12万回接続 (対前年:約1万回増) 風土醸成 ・基幹職は週1回「どこでもオフィス」 ・テレワークデー本社実施 ・サテライトオフィス利用料は 全社負担(部門負担なし) 基盤整備 ・軽量PCの全社導入 ・社宅サテライトオフィス化 ・社外サテライトオフィス契約 ・モバイル勤務履歴(VPN)の開示 出典:日本テレワーク協会「テレワーク推進賞」2018年2月
3 民間企業の先進的導入事例-4 (情報通信企業) 3 民間企業の先進的導入事例-4 (情報通信企業) ■ダイバーシティ&インクルージョンは競争力を高める重要な経営戦略 統合開発クラウドの導入 出典:日本テレワーク協会「テレワーク推進賞 表彰」2018年2月
3 民間企業の先進的導入事例-5 (事務機販売) 3 民間企業の先進的導入事例-5 (事務機販売) ■中小企業こそテレワークを実践すべきと認識 (採用力・生産性向上、残業削減、育休産休・介護対応) ●目 的:育児と仕事の両立、生産性向上 ●開 始:全社員(29名)を対象に、2016年6月開始 ●制 度:終日・部分在宅勤務、モバイルワーク ⇒いかに職場と同じ環境を整えられるかが重要 と認識 ●ツール:労務管理(KING OF TIME)、Web会議 (WebEX)、リモートアクセス(VPN) ●効 果:売上対前年107%、粗利対前年118%(上期) 新卒希望就職先県内ランキング12位、 社名・業界が一昔前のイメージ 企業規模は30名以下 BtoBで学生への知名度は低い にもかかわらず 12位 平成29年4月12日山陽新聞朝刊より 出典:事務機販売会社「平成29年度 総務省 働き方改革セミナー」2017年10月
4.働き方改革をめぐる論議と 今後の方向
4 ワークスタイル変革に関する現状認識 「多様な人材、多様な働き方の時代」 4 ワークスタイル変革に関する現状認識 「多様な人材、多様な働き方の時代」 ワークスタイル変革には、経営トップの強力なコミット メントとマネジメント層の意識改革が必要 時間当たりの生産性向上が必要 テレワークは、「ワークスタイル変革」のための有効な 手段
4 日経新聞(10月9日)朝刊 私見卓見
4 「平成30年度 テレワーク川柳」 聖者の行進 制度・システム 変えるもの いや風土
制度より 働き方は 風土から テレワーク 在宅勤務は 妻がNO テレワーク 家ではかどる 妻しぶる 金時亭豆奴 4 「第一生命 第31回サラリーマン川柳」 制度より 働き方は 風土から 金時亭豆奴 テレワーク 在宅勤務は 妻がNO 延長戦を続ける男 テレワーク 家ではかどる 妻しぶる サンサン太陽
4 テレワークにより働き方の パラダイムシフトを –1 4 テレワークにより働き方の パラダイムシフトを –1 ①テレワークによる働き方の選択肢の拡大 ・導入フェーズでは体験の促進 ・自律的選択 ②テレワークはあくまでも働き方改革のためのツール ・何のためかが極めて重要 ③生産性の向上と共に働きがい向上を ・成果の実感、測定 ④テレワーク時代にふさわしいマネジメント ・仕事の見える化や成果重視の評価 ・粘土層の意識改革
4 テレワークにより働き方の パラダイムシフトを -2 4 テレワークにより働き方の パラダイムシフトを -2 ⑤テレワークを含む新しい時代に向けた 仕事の見直しとICT投資 ・コストではなくて投資 ⑥制度導入で満足せず、使いやすい運用 ・適用対象の拡大、適用時間の柔軟な対応 ・働き過ぎを予防する適切な労務管理 ⑦テレワークのための第3のスペース ・オフィスや自宅以外の活用しやすいワ-キングスペースを ⑧テレワーク・デイズ、テレワーク月間の更なる活用 ・日本全体での取組みに
■2020年に向けたテレワークによる働き方改革を 4 第2期 2020年のワークスタイル特別研究プロジェクト提言案 ■2020年に向けたテレワークによる働き方改革を 推進するための7つの提言
4 今後の働き方改革のポイント ① 福祉施策ではなく経営戦略としての認識 ② 企業風土改革を含め働き方についての意識改革 4 今後の働き方改革のポイント ① 福祉施策ではなく経営戦略としての認識 ② 企業風土改革を含め働き方についての意識改革 ③ 仕事の見える化と評価方法の見直し ④ ペーパレス、クラウド活用を含めBPRとの連携 ⑤ ミレニアル世代のマネジメント ⑥ AIの進歩、AIの活用による働き方の変化 ⑦ 働き方改革に関する新ビジネスの拡大
・産官学連携し、国民的運動の更なる推進を 4 今後に向けて ・産官学連携し、国民的運動の更なる推進を ・新しい時代に向けて、幅広い視点でのテレワークソサエティを
ご清聴ありがとうございました ■本コンテンツに関するお問合せは テレワーク推進フォーラム、 一般社団法人日本テレワーク協会へ http://www.japan-telework.or.jp/ ℡ 03-5577-4572