建築環境工学・建築設備工学入門 <空気調和設備編> <空気調和設備> 空調(空気調和)とは [Last Update 2015/04/30] 建築環境工学・建築設備工学入門 <空気調和設備編> <空気調和設備> 空調(空気調和)とは 空調(空気調和)とは
空気の状態・質をあるグレードに整える <Air Conditioning> 空調(空気調和)とは 空気の状態・質をあるグレードに整える <Air Conditioning> 状態・質 温度 湿度 清浄度 気流 圧力 放射 加熱 冷却 加湿減湿 風向風速 加圧減圧 加熱冷却 整える 除塵 空調とは、空気の状態・質をあるグレードに整えること。英語のAir Conditioning。 空気の状態・質とは、温度、湿度清浄度そして気流を指す。広くは放射、圧力までも含める。 グレードとは、建物用途に応じて変わる。 例えば、事務所はオフィスプロダクティビティの向上のために温度26℃、60%前後の温室度レベルを、ホテルは快適性を重視した温度24℃、50%前後の温室度レベルを、工場は作業効率向上を目指し、スポット冷房・暖房により28℃以下あるいは18℃以上の温度レベルとなる。 LSI工場などのプロセス工程では、塵を取り除いたクリーンルーム環境をというように、その空調対象に応じてグレードが変わる。 空調の代名詞である冷房・暖房時の空気状態の制御を行うのが、加熱・冷却、加湿・減湿である。 快適 作業環境 製造工程 グレード 事務所・ホテルなど 事務所・工場など クリーンルームなど
空気線図上での 空気状態の表示 2つの情報で空気の状態は決まる! 絶対湿度 x kg/kg(DA) 比エンタルピー h kJ/kg(DA) 比容積 v m3kg(DA) 飽和線 比エンタルピー h kJ/kg(DA) 湿球温度 t″ ℃ A 空調機の様々な働きを理解するために、空気の状態を表示する手段として空気線図がある。空気線図は空気の状態を示すチャート、船で言えばその位置を示す海図にあたる。 空気線図には、絶対湿度xと比エンタルピーhとを斜交座標にとった「 h – x 線図」や絶対湿度xと乾球温度とお直交座標にとった「 t – x 線図」などがある。 一般に空気線図と言えば、「 h – x 線図」を指す。他の線図に比べて理論的な計算をする場合に優れ、正確に線図を描くことができ、乾球温度t、湿球温度t″、露点温度tdp、相対湿度φ、絶対湿度x、比容積v、水蒸気分圧pwが記入され、これらのうち二つの値を定めると、空気線図上の状態点が決まり、他の状態地を全て求めることができる。 h – x 線図は、絶対湿度を縦方向に目盛り、等絶対湿度線と一定の傾きで左上より右下へ比エンタルピー線が引いてあり、0℃の乾き空気の比エンタルピーをh=0 kJ/kg(DA)としている。 また飽和空気の絶対湿度と湿り空気の温度との関係を飽和曲線として示し、これを相対湿度100%の線とし、これを基準として湿り空気の等相対湿度線を曲線で示している。 飽和曲線と各乾球温度線との交点に、t=tの湿球温度が示され、等湿球温度線が飽和曲線より左上と右下に破線で示される。等乾球温度線は、絶対湿度に対して垂直な線では無い。 t – x 線図は、横軸に乾球温度を直交座標にとった線図であり、キャリア線図とも言われ、等湿球温度線を比ンタルピー線で代用し、湿球温度が同じ空気に対して、他の状態が異なっても比エンタルピーは同じ値として取り扱う。 例えば乾球温度と絶対湿度が判れば空気の位置はAに示され、Aから湿球温度線の傾きに平行な線と飽和線との交点の乾球温度から湿球温度が判lり、Aを通る絶対湿度線と飽和曲線の交点が露点温度tdとなる。またAを通る比エンタルピ線を読み取れば比ンタルピが判り、Aを通る比容積線から比容積が判る。 露点温度 tdp ℃ 2つの情報で空気の状態は決まる! 相対湿度 φ% 湿球温度 ℃ 乾球温度 t ℃
空気線図上での加熱・加湿による状態変化 加熱 絶対湿度 x kg/kg(DA) 比エンタルピー h kJ/kg(DA) 加湿 飽和線 乾球温度 t ℃ 飽和線 加湿 加熱・加湿 Aの状態の空気を加熱すると、エンタルピーが増加する。Aから比エンタルピー線の上に向かう動きとなる。 加湿は湿度を増やすこと、Aから絶対湿度が増える方向に向かう動きとなる。 加熱・加湿は、Aからエンタルピーも湿度も増える方向に向かう動きとなる。 A
空気線図上での冷却・減湿による状態変化 冷却 絶対湿度 x kg/kg(DA) 比エンタルピ h kJ/kg(DA) 減湿 飽和線 乾球温度 t ℃ 飽和線 減湿 冷却・減湿 冷却はエンタルピを減らすこと、Aから比エンタルピ線の下に向かう動きとなる。 減湿は湿度を減らすこと、Aから絶対湿度が減る方向に向かう動きとなる。 冷却・減湿は、エンタルピも湿度も減る方向に向かう動きとなる。 A
発 行 公益社団法人 空気調和・衛生工学会 伊東 民雄 発 行 公益社団法人 空気調和・衛生工学会 (SHASE: The Society of Heating, Air Conditioning and Sanitary Engineers of Japan) 伊東 民雄