松山大学出張講義 山口県立防府商工高等学校 2016年 8月 26日 掛下 達郎 日本経済のゆくえ 世界金融危機をめぐって 松山大学出張講義 山口県立防府商工高等学校 2016年 8月 26日 掛下 達郎
イタリア発金融危機? イタリアは 経済規模では 欧州第4位だが, 財政の健全性で は最低の部類に 入る。 銀行は多額の 不良債権を抱え, 窮地に 陥っている。 支払い能力が懸念されている世界最古の銀行,イタリアの大手銀行モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(The Economist,2016/7/9)
イギリスの欧州連合(EU)からの離脱 6月にイギリスが国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を決めた。Brexit=Brit(Britain;イギリス)+exit(出口) 背景にはEUの政策に対する不信,移民流入問題がある。 国民投票後,キャメロン首相が辞任
ミクロの銀行行動 銀行による企業のプロジェクトの審査 貸出 銀行 企業 投資 プロジェクト プロジェクトに関する情報は銀行より 貸出 銀行 企業 投資 プロジェクト プロジェクトに関する情報は銀行より 企業が正確に把握している モニター 銀行の特別の役割 (メインバンク制)
情報の経済学 何らかのコストを供給曲線に加える 価格(p) 供給曲線 需要曲線 コスト 数量(q)
マクロのマネーフローの変化 グローバリズム 1991年にソビエト連邦が崩壊した後は,グローバリズムはアメリカ合衆国の圧倒的な軍事力を背景とした世界の画一化(アメリカ化)や新自由主義を指す事が多い。 コンピューターOS (ウィンドウズ) ,スマートフォン(Appleなど),Web検索エンジン (Google)・(Yahoo!),飲食業(スターバックス・コカ・コーラ社・マクドナルドなど),ネット通信販売業(Amazon.com),ファッション(リーバイス,GAP,ナイキなど)など グローバリズムは,しばしば各国独自の伝統・慣習と衝突する。 グローバリズムによる相互依存が高まると,原油を初めとする資源価格高騰によって,持てる者である資源国がますます富み,無資源国が高値で資源購入を余儀なくされる状況が深刻化する。
反グローバリズム これまでのグローバリゼーションへのアプローチに深い問題がある(ジェフリー・サックス)。 欧州のほぼ全ての国でポピュリスト・反移民政党が躍進し,アメリカで共和党ドナルド・トランプ大統領候補。 これらの支持者は白人,老人,教育水準が低い,労働者階級である。 労働者階級は賃金低下,雇用のオフショア,機械化の波に飲み込まれている。 政治金融エリートが,権力を乱用し脱税している。Ex.パナマ文書 企業は低賃金の移民を使って収益を上げ,裕福な家計は移民が供給する安価なサービスに満足する。 グローバル化は世界の経済成長に大きな貢献をした。 一方で国家間の格差を広げ,地球環境悪化の原因にもなっている(伊藤元重)。
日本への影響 1990年代半ば以降,パートタイマー・契約社員・派遣社員など非正規労働者が大幅に増えた。 3分の1が非正規労働者に。 この背景としてグローバル競争に対応するため,企業のコスト削減・規制緩和の影響などが指摘されている。
欧州ソブリン危機 アジア金融危機 ソブリンとは,ソブリン債(各国の政府が発行している国債などの債券)のこと。 2009年10月 ギリシャ危機が発端 PIIGS(ピーグス) ユーロ圏の南ヨーロッパ4か国,すなわち ポルトガル,イタリア,ギリシャ,スペイン,アイルランド アジア金融危機 1997年7~10月 タイ,インドネシア,マレーシア,フィリピン, シンガポール,香港,中国,台湾,韓国 1980年代~自由な市場指向の規制緩和 1990年代 先進国の不況・不良債権問題と 東南アジアのバブル経済
世界システム論 低開発イコール発展段階の遅れとする見方 従属理論:イギリスにおける開発とインドにおける低開発はいわばコインの裏表であり,一つの歴史的なプロセスにおける2側面である。 世界の諸地域相互の交流を促進し,世界の一体化につながるような交流圏の成立に寄与したのがモンゴル帝国であった。
世界史 ユーラシアを中心に形成された諸地域世界,世界の一体化につながる交流圏の成立 16世紀以降の世界商業の進展と産業革命後の資本主義の確立を中心とした世界の一体化の過程 地球規模で一体化した現代世界の特質と展開過程
日本経済 日本経済は,自動車・電機機械などグローバル経済と競争している経済圏と,交通・飲食・社会福祉などグローバルと関係なく地方経済で活躍している経済圏と産業構造が2つに分かれている。 「グローバル化した世界では,輸出主導で成長しなければならない」という意見
アジア経済 シルクロード:草原の道,オアシスの道,海路 大航海時代:綿織物,香辛料,紅茶,日本の銀 新興国:新興工業経済地域(NIEs)4匹の虎,東南アジア諸国連合(ASEAN),中国,インド 東アジアの奇跡(1993年に世界銀行が発表したレポート)
ラテン・アメリカ経済 16世紀のペルーの銀ー価格革命 18世紀のブラジルの金 サトウキビ,コーヒー アルゼンチン:『母を訪ねて3千里』の舞台 ブラジル:リオ・オリンピック 高島由香、関根花観
アフリカ経済 中部アフリカでは5000年前から乾燥化が進む コーヒー,サハラ交易:金,銅 16世紀にはアメリカでプランテーションの労働力が求められるにつれて奴隷貿易が主流となる 落花生鉄道,綿花鉄道,銅鉄道 奴隷海岸,黄金海岸, 胡椒海岸,象牙海岸 1960年代に植民地から独立 アフリカは人口増加で 食料輸入が増えている。 紛争の頻発
松山大学でどのように学べるか