食の安心・安全の確保に関する基礎知識 鹿児島女子短期大学特別講義 2018年2月8日(木) 13:00~15:00 2018年2月8日(木) 13:00~15:00 食の安心・安全の確保に関する基礎知識 鹿児島大学名誉教授 岡本嘉六 学習目標 食べることは、生きることの基礎であり、誕生以来、食べることを通して様々なことを学習し、躾(しつけ)られてきた。人口爆発と食料危機の中で、物流の国際化が急激に進行しており、食とどのように向き合うのか、とりわけ、安全・安心な食生活を確保するため何をすべきか? 1.日本における食中毒事故の概要 2.細菌性食中毒: 大腸菌、サルモネラ、カンピロバクター 3.自然毒: フグやキノコの外に、ナチュラル志向による毒草喫食 4.化学物質の安全性: 農薬、食品添加物 5.用量・反応関係: 食べる量と健康障害 6.人口爆発と食料危機 7. 農場から食卓までの安全性確保: 安全性と品質の第三者認証
食品汚染細菌・真菌に起因する疾病の種類と区分 感染 食品中で産生された毒素による障害 組織内侵入 喫食後に毒素産生 サルモデラ カンピロバクター 病原性大腸菌 腸炎ビブリオ エルシニア リステリア菌 毒素原性大腸菌 (O157、O111) ウェルシュ菌 セレウス菌 黄色ブドウ球菌 (腸管毒) ボツリヌス菌 (神経毒) ヒスタミン中毒 カビ毒 アフラトキシン (肝臓癌) ペニシリウム (黄変米) フザリウム (無)白血球症) 麦角菌 行政上は食中毒菌 チフス 赤痢 コレラ 行政上は経口伝染病 ヒトからヒトに直接感染する菌は経口伝染病扱いである。食中毒菌は食品中で増殖して数を増やした後に、感染または産生した毒素によって健康障害を引起し、少数の汚染は問題とならない。カビ毒は、長期間摂取することによって発癌などを引起す。
人口動態調査:年次別にみた死因順位 第1位 死因(死亡率) 第2位 死因(死亡率) 第3位 死因(死亡率) 第4位 死因(死亡率) 年次 肺炎及び気管支炎 206.1 脳血管疾患 170.5 全結核 155.7 胃腸炎 149.7 1899 胃腸炎 221.4 肺炎及び気管支炎 200.1 全結核 185.6 脳血管疾患 162.8 1930 全結核 212.9 肺炎及び気管支炎 185.8 脳血管疾患 177.7 胃腸炎 159.2 1940 全結核 146.4 脳血管疾患 127.1 肺炎及び気管支炎 93.2 胃腸炎 82.4 1950 脳血管疾患 136.1 悪性新生物 87.1 老衰 67.1 心疾患 60.9 1955 脳血管疾患 173.5 悪性新生物 114.6 心疾患 80.2 不慮の事故 40.2 1968 脳血管疾患 156.7 悪性新生物 122.6 心疾患 89.2 肺炎及び気管支炎 33.7 1975 悪性新生物 142 脳血管疾患 134.3 心疾患 107.5 肺炎及び気管支炎 33.7 1981 悪性新生物 283.2 心疾患 154.5 肺炎 98.9 脳血管疾患 98.2 2011
日本における食中毒、糖尿病、心疾患による死亡の推移 罹患率、死亡率とも人口10万当り 食中毒 糖尿病 心疾患 患者数 罹患率 死亡数 死亡率 1960 37,253 39.5 218 0.231 3.4 73.2 1970 32,516 31.1 63 0.060 7.4 86.7 1980 32,727 28.0 23 0.020 7.3 106.2 1990 37,516 30.4 5 0.004 7.7 128.1 2000 43,307 34.1 4 0.003 9.8 116.8 2010 25,972 20.3 11.4 149.8 食の安全性とは、食品自体の安全性とともに、「安全な食品であっても<危険な食べ方>をすると健康を害して病気になる」事態を防ぐことも重要である。 2005年に制定された食育基本法で、食育を「健全な心と身体を培い豊かな人間性をはぐくんでいく基礎となるもの」とし、「食に関する知識と食を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てる」とされている。
日本における食中毒事故の概要: 35年間において事故件数と患者数は1990年代後半が最も多かったが、サルモネラ(SE、DT104)、大腸菌O157、ノロウイルスなど新たな病原体が国内侵入したためであった。 46,000人 3,000件 22,700人 21人 死亡数は増減を繰り返している。 1,200件 6人
原因物質別患者数 ウイルス(平均14,321) 細菌(9,529) 化学物質(245) 自然毒(317) ノロウイルスが最も多く、細菌がそれに次ぎ、自然毒や化学物質による患者数は1~2桁少ない。
年平均 0.47 2.88 3.35 年平均 2.41 0.35 2.76 計 2.88 3.23 6.11 計 計 原因物質・発生場所別死亡数 ノロウイルスおよび化学物質による死亡は発生していない。細菌より自然毒(53.9%)による死亡が多く、家庭での死亡数(54.8%)は飲食店などその他の合計よりも多い。すなわち、死亡率が高い自然毒食中毒が家庭で多発していることによる。自然毒の中では、動物より植物による死亡が多く、野草だけでなく観賞用花の球根の喫食による。
原因細菌別患者数 魚介類を原因食とする腸炎ビブリオは激減した。食品中で増殖しないと感染しないので、新鮮な間に加熱調理すれば防げる。 O157は少数でも感染し、年少者の死亡率が高いので、警戒が必要。 原因細菌別患者数 魚介類を原因食とする腸炎ビブリオは激減した。食品中で増殖しないと感染しないので、新鮮な間に加熱調理すれば防げる。
食中毒事故件数の年間の変化 2014年 フグ料理は冬場が盛んであるが、自分で釣りをするので年中発生している。スーパーには年中キノコが出ているが、山菜狩りは春、キノコ狩りは秋が本場である。 ウイルスは生きている細胞の酵素系と有機物を利用して増殖し、外界では死滅する一方である。したがって、死滅が遅い気温が低い冬場に多発する。 細菌は、汚染食品中で増殖して、喫食者に食中毒を引き起こす。増殖に好都合な夏場に多発する。細菌が増殖できる25℃~55℃に放置してはダメ。買い物した後、道端で話し込むのはダメ。保存の際は、再加熱後流水で冷やし、冷蔵庫に保存。
腸炎ビブリオ 1950年大阪で発生した「シラス中毒事故(患者272名中20名が死亡)」を契機に日本で発見された菌。 沿岸部海水中に生息し、水温が20℃を超えると増殖して魚介類に付着する。すなわち、夏場の近海魚はほぼ全て菌で汚染されている。 菌液の服用試験で、 10~100万個服用しないと発症しなかったが、1000万個以上服用した運動部学生は危篤状態になった。 ➔菌を増殖させない(冷蔵、刺身は早く食べる) 、魚を料理した包丁やまな板は熱湯消毒(海水と等しい塩分濃度の浅漬けで菌が増殖して中毒事故が起きている)。
黄色ブドウ球菌 食品中で菌が産生した毒素(エンテロトキシン)によって、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、頭痛などを起こす。毒素は100℃、30分の加熱でも失活しない。毒素の作用なので、喫食から発症までの潜伏期間が短い。 黄色ブドウ球菌はヒトや動物に常在している。切り傷が化膿するのはこの菌によるものであり、牛の乳房炎の原因菌である。 傷のある手でオニギリを作った ➔ 3~4時間すると毒オニギリ 牛の乳房炎 乳 洗浄不足 交差汚染 加熱不足 菌の増殖と毒素産生 保存温度と時間 家畜の化膿巣 肉・卵 調理人の手指傷 雪印乳業事故→メグミルク 2000年6月末、雪印乳業大阪工場で製造された牛乳を飲んだ学童を中心に14,780人の被害者が発生した。原料の脱脂粉乳を生産した北海道工場で停電事故中に菌が増殖し、廃棄処分しなかった。
サルモネラ 家畜や伴侶動物が保菌している。2000種類以上の血清型があり、各動物種に対する病原性を異にする。犬や猫の糞便(砂場の幼児)、不顕性感染している家畜から生産された畜産物の喫食によりヒトは感染する。 S. Infantis ブロイラー 肉 羽や骨は餌に加工され、感染鶏から汚染が広がる 非可食部分を餌に加工 S. Enteritidis 採卵用種鶏 卵 雛・育成 卵 調理時に肉の中心部まで十分加熱すれば、菌は死滅する。卵を生または半熟で食べる場合は、菌が増殖していない新鮮な卵を使用する。産卵する前に卵に入る菌はごく少数であり、卵白には菌の発育を抑える成分が含まれている。しかし、卵黄膜がもろくなり、卵黄が卵白に漏れ出すと、その抑制力が無くなり菌が増殖する。 保存温度と時間によって卵黄膜が脆弱化する 卵黄 濃厚卵白 水様卵白
カンピロバクター 様々な動物の腸管内に生息し、環境や食肉を汚染する。とくに鶏は無症状で保菌率が高い。 環境汚染により、飲用水や野菜が汚染されることもある。1982年に新規開店したスーパーが掘った井戸が汚染され、8000名近くの客が感染した。少数の菌で感染し、潜伏期が長かった。 低温では長期間生存するので、冷蔵庫を過信してはならない。他方、乾燥と熱に弱く、調理時の加熱が有効である。 「トリ刺し」は、表面を焼くかまたは「湯通し」した「タタキ」である。名称から「生食」と思って食べている鹿児島県外で食中毒が多発している。
腸管出血性大腸菌 1996~2010年における年齢別発生状況 1996年に堺市の学校給食で起きた事故により国民の関心が高まったが、その後も死亡事故が絶えない。 2002:病院または老人保健施設の給食を喫食 2011:焼き肉店が生の牛肉を「ユッケ」と称して提供 2012:高齢者施設で白菜浅漬を原因 発生件数 患者数 死者数 1996 179 14,488 8 1997 176 5,407 1998 16 183 3 1999 46 2000 113 1 2001 24 378 2002 13 273 9 2003 12 184 2004 18 70 2005 105 2006 2007 25 928 2008 17 115 2009 26 181 2010 27 358 2011 714 7 2012 392 2013 2014 766 平均 36 1,315 2 1996~2010年における年齢別発生状況 年齢 患者数 % 死者数 致命率 0~4 583 2.5 1 4.5 17.2 5~9 7426 32.3 4 18.2 5.4 10~14 4678 20.3 2 9.1 4.3 15~19 1442 6.3 0.0 20~29 2147 9.3 30~39 1540 6.7 40~49 1807 7.9 50~59 1796 7.8 11.1 60~69 728 3.2 >70 431 1.9 13 59.1 301.6 不詳 429 死亡は、ハイリスク者(年少者、高齢者、妊婦、免疫低下者、糖尿病などの基礎疾患)で起きている。健康保菌し、食中毒外のヒト・ヒト感染が多い。
腸管出血性大腸菌の感染様式 非加熱の食肉 子供には 食べさせない! 用便後の便器、ドアノブには、下痢便中の大腸菌が付着する。 レバー刺し 細切れ生牛肉 子供には 食べさせない! 発酵不十分な堆肥 用便後の便器、ドアノブには、下痢便中の大腸菌が付着する。 その後に利用する子供は・・・ 調理時の交差汚染 大人は腹痛・下痢程度で終わるが・・・ この感染経路を断つのは難しい!
死亡事故の原因食と発生場所(全54名 2004~2014年) 2014年2名 フグ(家庭1名)、 イヌサフラン(家庭1名) 死亡事故の原因食と発生場所(全54名 2004~2014年) 2014年2名 フグ(家庭1名)、 イヌサフラン(家庭1名) 2013年1名 キノコ(家庭1名) 2012年11名 アオブダイ(家庭1名)、 トリカブト(家庭2名)、白菜きりづけ(製造所8名、腸管出血性大腸菌) 2011年11名 昆布の煮物(家庭1名、サルモネラ)、生卵入りオクラ納豆(家庭1名、サルモネラ)、 1名?(家庭、サルモネラ)、フグ(飲食店1名)、柏餅(製造所1名、腸管出血性大腸菌)、 サンドウィッチ(老人ホーム1名、腸管出血性大腸菌)、5名ユッケ(飲食店、腸管出血性大腸菌) 2010年 なし 2009年 なし 2008年4名 フグ(家庭2名)、1名昼食(家庭、セレウス菌)、 フグ(販売店1名) 2007年7名 3名フグ(家庭)、キノコ(家庭2名)、 グロリオサ(家庭1名)、植物性自然毒(家庭1名) 2006年6名 フグ(家庭1名)、 キノコ(家庭2名)、 グロリオサ(家庭1名)、弁当(仕出屋1名、ウェルシュ菌) 、 ?(? 1名、サルモネラ) 2005年7名 2名フグ(家庭)、 3名キノコ(家庭)、 1名トリカブト(家庭)、 1名グラタン(飲食店、サルモネラ)、 2004年5名 フグ(家庭1名)、キノコ(家庭1名)、 ?(家庭1名、サルモネラ)、フグ(販売店1名)、 ?(? 1名、サルモネラ)、 ナチュラル志向と業界不信が、かつてはなかった毒草を食べさせる 自然毒30名(動物性14名、植物性16名)、細菌24名; 家庭32名、その他22名
グロリオサ: 和名で、キツネユリとも言い、観賞用栽培が広がっている。球根はヤマノイモやナガイモに似ている。 気候が適した東日本ではキノコ狩りが盛んであるが、ベテランと同行しない限り、素人が可食性を判断できない。ツキヨタケ、クサウラベニタケ、カキシメジによる中毒が多い。 年 2014 2013 2012 2011 2010 2009 事故数 24 37 57 38 91 40 患者数 85 108 166 100 263 126 トリカブト:食べると嘔吐・呼吸困難などから、摂取後数十分で死亡する。即効性で、解毒剤はない。1986年には「トリカブト保険金殺人事件」が起きている。 グロリオサ: 和名で、キツネユリとも言い、観賞用栽培が広がっている。球根はヤマノイモやナガイモに似ている。 イヌサフラン:自宅庭に植えていた球根を茹でてたべた。 ジャガイモ:芽や緑変部にソラニンがある。2009年に小学校で栽培・収穫・調理し、26名中半数が発症した。 ギンナン:数十個を子供に与えて救急車で運ばれた。 子孫を残すため、種・実に毒を持つものが多い
自然毒の脅威との戦いが人類史の一側面 ボツリヌス毒 破傷風毒 ジフテリア毒 パリトキシン テトロドトキシン サキシトキシン 0.00003 50%致死量 μg/kg mouse 産生・保有 ボツリヌス毒 破傷風毒 ジフテリア毒 パリトキシン テトロドトキシン サキシトキシン 0.00003 0.0001 0.3 0.6 8.7 10 土壌細菌 病原細菌 イソギンチャク類 フグ、ヒョウモンダコ 二枚貝 1000倍 青酸カリ 10,000 1億倍: 有機信者の泥付野菜は怖い! 青酸配糖体:アミグダリン(ウメ、アンズ、モモ)、ドーリン(イネ科) ファゼオルナチン(アオイマメ)、リナマリン(キャサバ) 青酸配糖体を含む生薬: キョウニン(杏仁)、トウニン、ショウキョウ
ナチュラルとは? 「自然のままが安全であり、ヒトが手を加えることで危害が生じる」というナチュラル思考は正しいか? 弱肉強食の生存競争が自然の姿であり、全ての生物種は他種の餌となって滅びないための防御システムと他種を餌として繁栄するシステムを備えている。肉食獣は草食獣を餌にし、草食獣は植物を食べて生きている。さらに、寄生虫、細菌、ウイルスは、もっぱら宿主に依存・搾取することで繫栄し、宿主を損ねている人類最大の敵である。 「自然の食べ物は安全である」は正しいか? 現在食卓に上っているものは、人類が野生生物を改良して安全性、栄養価、嗜好性を高めてきた品種である。ブタはイノシシから、米は「赤米や黒米」として現在も残っている古代の原種を改良したものである。野生の生き物は、食用として決して安全ではない。 「安全な食品」は、生産から消費まで人為的管理によって得られる。 適切な工程管理によって、生産、流通、調理の安全性を向上させることで、食品による健康障害を防ぐことができる。「安心して食べる」ためには、適切な工程管理が行われていることを確認することが必要で、それは社会システムとして構築しなければならない。
ヒ素ミルク事件:食品添加物問題 カネミ油症 有害化学物質: 食品添加物、農薬 有害化学物質: 食品添加物、農薬 ヒ素ミルク事件:食品添加物問題 1955年(昭和30年)6月頃から西日本を中心として乳幼児の奇病が発生した。8月になって、患児が特定のドライミルクを飲用していることが判明した。製造工程でのヒ素汚染が確認され、 12,344名が神経障害、臓器障害などの中毒症状を呈し、内131名が死亡した。 日本軽金属がボーキサイトからアルミを精製する際に出た産業廃棄物を新日本金属に顔料原料として売却 松野製薬会社がそれを買取り、別の化学会社に精製させた第二リン酸ソーダを森永乳業徳島工場に納品 カネミ油症 1968年(昭和43年)西日本を中心として米糠油を原因として皮膚の色素沈着、手足のしびれ、肝機能障害などを訴える患者が発生し(認定患者約2,000名)、先天性の「黒い赤ちゃん」も誕生した。米糠から食用油を抽出する際の熱媒体PCBに混入したダイオキシンによると判明した。それに先立って、油を抽出した後の「ダーク油」を添加した配合飼料を与えられた鶏40万羽が変死した。 上記2件は食品公害としても有名であるが、これらを教訓として食品衛生法が改定され、類似の事故はその後発生していない。
農薬散布時事故 ニカメイチュウ防除のためにパラチオンが販売許可された1954年(昭和29年)には、散布時に1957名が中毒し、307名が死亡した。翌年「特定毒物指定制度」が導入されたが、散布時事故は収まらず毎年数十名の死亡が続いた。パラチオンが農薬登録取消しになったのは、米の自給が達成された後の1969年であり、それまで農業者は犠牲を強いられたのである。 パラチオンを含めて有機リン系殺虫剤は植物体内や環境中での分解速度が速く、残留問題は発生しにくい。事実、パラチオンを含め農薬の農産物残留による健康被害は記録されていない。
中国産餃子事件:メタミドホス 2007年12月下旬から2008年1月にかけて中国製冷凍餃子を食べた千葉県千葉市、市川市、兵庫県高砂市の3家族計10人が下痢や嘔吐などの中毒症状を訴え、このうち、市川市の女児が一時意識不明の重体になった。 このような急性毒性を示す濃度は、通常の「残留」では起こりえず、製品段階で誰かが意図的に毒物混入したことが明らかだった。 県警が餃子を鑑定したところ、メタミドホスなど有機リン系殺虫剤が検出され、餃子の皮では3580ppm、具では3160ppmと数個食べただけで死に至る可能性がある量であった。メタミドホスは日本では農薬として登録されたことがなく、中国では2007年1月から販売と使用が全面禁止されていた。 混入地点を巡って日中の公安当局の応酬が続いたが、2009年3月になって毒物を混入させた容疑で天洋食品の元従業員が拘束された。このような有害物質の意図的混入は、解雇などのトラブル、増量による営利目的(粉ミルクへのメラミン添加)、未承認医薬品を用いたダイエット食品などと続いており、中国の食品製造業界のモラルが指摘されている。
伝染病制御と殺虫剤使用のリスク評価 DDTは、農薬として使用される以前に、シラミやノミなどの衛生害虫の駆除剤として使用されていた。第二次世界大戦前後の衛生状態が悪化した時代において、発疹チフス(シラミが媒介、致命率10~60%)やマラリア(ハマダラ蚊が媒介、致命率数% )の伝染病予防に果たしたDDTの役割は大きく、その功績によりDDTの発明者であるミュラー博士は、1948年にノーベル医学・生理学賞を受賞した。 その後、稲の大害虫であったニカメイチュウや果樹・野菜の農業害虫の防除にDDTは広く使用された。環境中で分解されにくく、食物連鎖をして生物濃縮されることが判明し、レイチェル・カーソンの「沈黙の春(1962)」は、昆虫を食べる鳥の体内にDDTが蓄積して死に追いやると主張した。環境中の長期残存と発癌性が強調され、母乳の汚染が判明し、 DDT禁止運動が一気に加熱し、DDTは1968年に製造と使用が全面禁止された。 罹病数 2,800,000 110 17 150 499 3466 2,500,000 年 1946(DDT散布開始) 1961 1963 1964(DDT散布中止) 1966 1967 1968~69 スリランカにおけるマラリア発生数 スリランカでは1948年からDDTの定期散布が行われ、年間250万を数えたマラリア患者数は62年に100人余にまで激減した。ところが、DDT散布中止から5年間で元に戻ってしまった。2006年、WHOは「マラリア蔓延を防ぐため、流行地でのDDT使用を奨励する」という声明を発表した。 「家の内壁や屋根にスプレーしておく」という方法でなら、環境汚染リスクを最小限に抑えつつマラリアを減少させることができるとした。この判断の背景には、地球温暖化によるマラリア流行地域拡大の懸念もあった。
和歌山毒物カレー事件 1998年7月25日夕方、和歌山市で行われた夏祭において、提供されたカレーに毒物が混入された事件。67人が腹痛や吐き気などを訴えて病院に搬送され、4人(64歳男性、54歳男性、16歳女性、10歳男児)が死亡した。当初保健所は食中毒事故によるものとして調査したが、警察庁の科学警察研究所が亜ヒ酸の混入と解明した。 事故と事件: 「化学物質が怖い」と言うおばあちゃん、それを聞いて育ったお母さん、そのお母さんに育てられたあなたは・・・ 「怖い化学物質がある」のは事実であり、そのため「劇毒物取締法」や「農薬取締法」等によって有資格者以外の取扱いを禁止している。そうした「怖い化学物質」が調理場に紛れ込むことは、犯罪以外にあり得ない。台所包丁を用いたバラバラ殺人事件が発生しているが、身の回りには犯罪に利用できるものが無数にある。犯罪を生まない社会を作ることは重要であるが、犯罪と食の安全は別問題だ。 食中毒事故: 調理手順等を誤って有害な料理ができた(過失)。 毒物混入事件: 危害を加える目的を持って作った料理(故意)。
2.用量・反応関係: 食べる量と安全性 閾値(いきち)とは、生体に何らかの悪影響を及ぼす最小濃度であり、動物実験や疫学的研究によって求められた科学的数値である。 DNAに障害を与えると、 DNA ➔RNA ➔蛋白の増幅回路が働き、代謝異常がおきて癌などの障害が発生する。閾値がない物質の低濃度領域は、実験できない。食品に限らず、100%安全なことは世の中にはなく、リスクを下げることしかできない。
閾値がある化学物質の用量・反応関係 生態への影響 一日摂取許容量(ADI)とは、一生涯毎日食べ続けても健康への悪影響が出ない量 致死量 中毒量 個体差 1/10 種差 1/10 医薬品の用量 ADI 無作用量 用量 動物に所定濃度の餌を食べ続けさせ、急性毒性、慢性毒性、発癌性、催奇形性、繁殖障害、薬理試験(中枢神経、自律神経、呼吸・循環器、消化器、血液、骨格筋)などを総合して求めた無作用量の1/100の用量であり、国際機関によって承認されている。
3.化学物質の安全性: 農薬、食品添加物 一日摂取許容量(ADI ) 許容残留量(MRL) 3.化学物質の安全性: 農薬、食品添加物 一日摂取許容量(ADI ) 許容残留量(MRL) 小麦: 10ppm(mg/kg) さやいんげん: 0.5 ADIを達成するため、全ての食品に許容残留量(MRL)を設定する。 市販食品の喫食による量は、ADIを大きく下回っている。 枝豆:0.5 トマト:0.2 大豆:0.2 米:0.2 動物の生涯に亘る投与試験から求められた一日摂取許容量(ADI)は、ヒトが生涯に亘って摂取しても健康に影響しない量である。 当該の有害物質が含まれ得る全ての食品について、摂取量を加味しながら、それぞれの食品について許容残留量(MRL)が設定される。
実際の残留量 一過性の超過は健康に影響せず こむぎ さやいんげん コムギ さやいんげん トマト 枝豆 枝豆 トマト 大豆 大豆 米 米 農水省がそれぞれの食品の実際の残留分析値を測定して公表している。分析値はMRLを大幅に下回っており、 MRLを超える事例はきわめてまれ(年に数検体)である。 仮に、トマトの残留値がMRLを超えても、総体としてはADIの範囲内にある。しかも、一過性のことであり、一生涯を通しての摂取を想定したADIであるから、短期間の暴露は健康に全く影響しない。
閾値がない化学物質の安全性 ベンゾピレン ニトロソアミン 加熱分解物質 日常的に発癌物質を食べており、それは避けられない。「ゼロリスクはありえない」ことを前提として、リスクを下げる努力をする。 世界最初に日本人が発見した化学発癌物質で、有機物質の不完全燃焼の過程で生成される様々な多環芳香族炭化水素➔焼け焦げを食べない ベンゾピレン 野菜の硝酸が体内で代謝された亜硝酸が魚肉の二級アミンと胃内で反応して生成する➔日本食で胃癌が多い理由の一つ ニトロソアミン アミノ酸の一種であるトリプトファンの加熱分解物Trip-P1などは、ベンゾピレンより数千倍の突然変異原性を持っている➔生野菜が突然変異原性を軽減してくれる 加熱分解物質 動物を用いた発癌試験では多くの検体をこなせないので、培養細胞系による突然変異原性試験が行われ、陽性物質は食用から除外されている。これまでに全ての農薬や添加物などが国際的に検査され、陽性となったものは製造・販売禁止になってきた。
100万人に1人未満のリスクに抑える10ppmに設定すると、廃棄する割合は10%で済む。 汚染濃度規制値を低めると、食用不適として廃棄する割合が高くなる。通常の食生活で許容しているリスク・レベルまで下げれば良しとしないと、食べるものがなくなる。
牛肉1kg生産するのに10kgの穀物を必要とする。鶏肉は1.8kgで 足りるだけでなく、脂肪が 少ないのでメタボ 予防になる。 1950年に25億人だった世界人口は、2000年には61億人を突破し、2015年に73億人となった。2050年には108億人、2100年には166億人と予測され、人口爆発の様相を呈している。2024年にインドが中国人口(14億3600万人)を追い抜く可能性がある。アジアはその後減少に転じるが、アフリカは増え続けると予測されている。 牛肉1kg生産するのに10kgの穀物を必要とする。鶏肉は1.8kgで 足りるだけでなく、脂肪が 少ないのでメタボ 予防になる。 爆発的人口増に関して国連は「今世紀中頃までに70%以上多くの食料を持続的に生産しなければならない」と2013年に警報を出した。 70%もの食料増産は可能なのか? 気候変動のため従来の生産を維持できなくなる地域があり、耕地拡大のため熱帯雨林を伐採することはもはや許されない。食料ロスをなくするため、「考えて、食べ、節約する(Think, Eat, Save)」が提唱されており、自給率40%で世界最大の食料輸入国 日本の動向が中止されている。 飢餓人口増加の一方で食べ過ぎによる「メタボ」を引起している。富の分配が不適切で、貧富の差が拡大していることを問題視する市民運動が世界的に高まっているが、日本でも餓死者や欠食児童が増えていることを知らねばならない。
世界の栄養不良人口(FAO 2018) We can end hunger and poverty by 2030 左軸:栄養不良人口の割合、●━━● 右軸:栄養不良人口数(100万)、 ●━━● 世界は全ての人々を養うに十分な食料を生産しているが、 8億1500万人が飢えに苦しんでいる。「持続可能な発展( SDG )」の目標2に反映されているように、世界が直面している「最大の課題の一つは、2050年までに100億を超えて増加する世界人口に栄養要求に見合った十分な食料をどのようにして確保するかということである。 2050年に新たな20億人に食料供給するためには生産を50%増やす必要がある。食料安全保障は、小規模生産者の生産性と収入、食料生産システムの回復力、生物学的多様性と遺伝資源の持続可能な利用などの全体的な取組み方を必要とする複雑な問題である。 We can end hunger and poverty by 2030 世界の栄養不良人口は2014年以降増加し、2016年には8億1500万人に達したと推知される。
食育基本法 栄養の偏り、不規則な食事、肥満や生活習慣病の増加、過度の痩身志向などの問題に加え、新たな「食」の安全上の問題や、「食」の海外への依存の問題が生じており、食生活の改善の面からも、「食」の安全の確保の面からも、自ら「食」のあり方を学ぶことが求められている。 第二条 食育は、食に関する適切な判断力を養い、生涯にわたって健全な食生活を実現することにより、国民の心身の健康の増進と豊かな人間形成に資する 第十三条 国民は、家庭、学校、保育所、地域その他の社会のあらゆる分野において、生涯にわたり健全な食生活の実現に自ら努めるとともに、食育の推進に寄与するよう努める。 第二十三条 生産者と消費者との信頼関係を構築し、食品の安全性の確保、食料資源の有効な利用の促進及び国民の食に対する理解と関心の増進を図るとともに、環境と調和のとれた農林漁業の活性化に資する。
第三者認証: 食料流通の国際化と安全性確保 第三者認証: 食料流通の国際化と安全性確保 生活の全ての側面で急速な国際化が進行しており、その流れは食生活をも巻き込んでいる。ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」といえども、素材に遡れば「純国産」で揃えるのが困難になりつつあるだろう。伝統的な地域の食文化は、料理、調理方法、食事の作法、食を通した「ものの考え方」などソフトに重きを置いている。 それとは逆に、食の安全性や品質に関してはこれまでなかった手法が育っており、伝統的な考え方では対応できなくなっている側面がある。すなわち、従来の考え方にこだわっていると取引が成立しない可能性ができつつあり、安全性と品質を第三者が認証するソフトを理解する必要がある。 GAPやHACCPの生産工程管理およびその第三者認証のシステムが日本に登場してから10年以上経過するが、中小の食品企業や第一次産業への普及は十分とは言えない。海外旅行者が激増する東京オリンッピクを前にして、 原材料調達に重点を置いたHACCP導入を推進する動きがあるが、あくまでも自主衛生管理の取組みであり、法的強制力(罰則)をちらつかせては意味がない。
食の安全性が求められる背景 国際取引による食品事故の影響の広域化 ➜ 国際基準の設定 第二次世界大戦後、第三次世界大戦を引起さないための国際的枠組みの一つとして、無差別(最恵国待遇、内国民待遇)を原則とする自由貿易を基本とする「関税および貿易に関する一般協定(GATT)」が締結された。しかし、・・・ 七面鳥X病: 1960年にイギリスで七面鳥70万羽が斃死 ➜ 原因物質はブラジルから輸入された落花生粕に着生したカビが産生したアフラトキシンによると判明。 アフラトキシンは、ヒトの肝癌の原因となることが疫学的に証明。乳に移行するので乳製品がとくに問題。 この他にも、様々なカビ毒、重金属、農薬による農産物汚染が明らかになっていった。
衛生水準が同等の国同士では問題は生じないが、衛生水準が異なると・・・・ FAO/WHO合同国際食品規格委員会1962年に設置 危害因子についての国の衛生基準 非関税障壁 (WTO訴訟) A国は損害賠償する B国 A国 衛生水準が同等の国同士では問題は生じないが、衛生水準が異なると・・・・ 国 際 基 準 E国 Codex委員会 FAO/WHO合同国際食品規格委員会1962年に設置 C国 D国 自由貿易の枠組み(WTO)と衛生基準の関係概念図 物流に伴う病気の世界的蔓延を防ぐため、自由貿易の例外規定として「衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS協定)」が結ばれた。
平成25 年度輸入食品監視統計 輸入量 違反 違反率(%) 国 件数 重量(t) 合計 2,185,480 30,982,370 1,043 71,059 0.05 0.23 米国 241,522 10,119,480 196 65,174 0.08 0.64 カナダ 28,256 4,221,095 14 779 0.02 中国 676,475 4,054,887 244 1,608 0.04 オーストラリア 54,157 2,060,502 9 37 0.00 タイ 144,870 1,541,592 74 613 ブラジル 28,690 1,300,335 23 41 フィリピン 35,633 1,172,819 13 25 韓国 130,562 806,911 36 0.03 0.01 メキシコ 26,207 592,821 10 79 フランス 206,054 433,497 31 5 ベトナム 51,997 368,523 69 371 0.13 0.10 ニュージーランド 27,295 355,982 3 38 イタリア 103,860 342,272 52 18 インドネシア 38,725 280,863 35 0.06 南アフリカ 5,837 221,748 6 台湾 28,218 198,765 19 59 0.07
食品安全のシステム:HACCPの基礎 最終製品の検査 ➜ 工程管理 最終製品の検査 ➜ 工程管理 危害解析によって、安全性を損なっている工程を特定し、管理基準を定める。モニタリング(警報 付き温度計)によって 常時監視し、逸脱 した製品を廃棄・ 回収する。 逸脱の原因を特定し、是正措置を講じる。これらを厳格に行うことで、 安全でない自社製品による健康被害を防止できる。 HACCP ハサップ、ハセップ ただし、一般的衛生管理が不十分な状態では、必須 Hazard Analysis and Critical Control Point 危害解析必須管理点 管理点が多くなり、厳格な適用ができない。 一般的衛生管理 前提条件プログラム (PP; Prerequisite programme) 施設・設備、給水(受水槽、塩素濃度)、排水・廃棄物(環境負荷軽減、鼠族昆虫の侵入防止)、従事者(手洗い、服装、教育)、規格基準と検査 「食品衛生法」などによる法的規制 食品衛生監視員による立ち入り検査 食品関連事業を行う際、厚労省による許可を必要とし、営業許可証が発行される。日本国内はほぼ問題ないが・・・、
HACCPと衛生水準 永続的改善システム 再吟味 検証 記録 必須管理点 危害解析 再吟味 検証 記録 必須管理点 危害解析 加工手順 衛生標準作業手順 SSOP 再吟味 検証 記録 必須管理点 危害解析 衛生標準作業手順 SSOP 再吟味 検証 記録 必須管理点 危害解析 衛生標準作業手順 SSOP HACCPは定まった衛生水準を規定するものではなく、衛生水準を向上させる永続的システムであり、そのシステムの可否を認証するものである。 標準作業手順 SOP 一般的衛生管理 PP 加工手順 食品衛生法 HACCPと衛生水準
第三者認証システム 第三者認証による付加価値 保証 より高度の安全性確保 設備改善、衛生管理改善、人材教育・訓練 安全性に対する対価 この契約関係の理解を普及することが肝要 生産者 消費者 保証 より高度の安全性確保 設備改善、衛生管理改善、人材教育・訓練 安全性に対する対価 安全性向上には経費が掛かることの理解 クレーム 係争が発生した時、利害関係にない第三者が仲裁に入ることは一般社会で普通に行われている。金融・経営問題に関しては、公的団体、金融機関などに対して公認会計士が国民や株主の付託を受けて、会計監査を行うことが法で義務化されている。食品の安全性と品質に関する工程管理に関しても、この手法を導入することになった。 原理的には利害関係がなければ誰でもできるが、国際取引に関係する以上、それなりの資格を持った監査員を擁する国際的に認められた第三者認証機関による認証でなければならない。
各国に一つの適合性認定機関を設け、審査・認定基準を統一する 日本適合性認定協会 JAB 認証機関 審査 ・認定 組織・企業 監査・ 認証 国際的相互認証協定 A国 適合性認定協会 製品 国際標準化機構(ISO) 同等性 各国に一つの適合性認定機関を設け、審査・認定基準を統一する
6.農場から食卓までの安全性確保 食肉の安全性に関わる社会システム(1) リスク・レベルのモデル 農場 食肉センター 流通過程 消費過程 リスクが減るのは2箇所だけ リスク・レベルのモデル 調理時の加熱は細菌を殺滅する。 しかし、食材や料理を室温での放置すれば、菌は増殖する。 輸送距離が延びるにつれ、細菌増殖に必要な時間も長くなる。 温度管理等の法的基準もない。 病気 動物薬残留 食中毒菌 薬剤耐性菌 と畜検査員による法律に基づく検査 農場 食肉センター 流通過程 消費過程 素畜 飼料・飲水 畜舎環境 動物薬 食肉検査 食肉検査 解体 カット 出荷 輸送 市場 問屋 小売店 調理 調理 保存 喫食 食肉の安全性に関わる社会システム(1)
? ? 食肉の安全性に関わる社会システム(2) リスク・レベルのモデル GAP HACCP 農場 食肉センター 流通過程 消費過程 農場における 適正な衛生管理 リスク・レベルのモデル 解体処理工程など 食肉センターの 衛生管理 消費者は GAP ? ? HACCP リスクは 残る! 流通過程が 変わらなければ 農場 食肉センター 流通過程 消費過程 飼料・飲水 素畜 畜舎環境 動物薬 食肉検査 解体 カット 出荷 輸送 市場 問屋 小売店 調理 保存 喫食 食肉の安全性に関わる社会システム(2)
「農場から食卓まで」の、全ての段階で安全性確保対策を実施することによって、初めてリスクが小さくなる。 食品輸送衛生法 (米国、1990) 台所のHACCP 適正取扱い規範 リスク・レベルのモデル 消費者 教育 流通過程の 衛生基準 GAP ? ? HACCP 農場 食肉センター 流通過程 消費過程 「農場から食卓まで」の、全ての段階で安全性確保対策を実施することによって、初めてリスクが小さくなる。 素畜 飼料・飲水 畜舎環境 動物薬 食肉検査 解体 カット 出荷 輸送 市場 問屋 小売店 調理 保存 喫食 食肉の安全性に関わる社会システム(3)
農業生産工程管理(GAP: Good Agricultural Practice) GAPの共通基盤に関するガイドライン(農林水産省) 農業生産活動を行う上で必要な関係法令等の内容に則して定められる点検項目に沿って、農業生産活動の各工程の正確な実施、記録、点検及び評価を行うことによる持続的な改善活動のこと。 GAPの共通基盤に関するガイドライン(農林水産省) ガイドラインにおける取組事項(野菜) 1 食品安全を主な目的とする取組 ほ場環境の確認と衛生管理、農薬の使用、水の使用、肥料・培養 液の使用、作業者等の衛生管理、機械・施設・容器等の衛生管理、収穫以降の農産物の管理 2 環境保全を主な目的とする取組 農薬による環境負荷の低減対策、肥料による環境負荷の低減対策、土壌の管理、廃棄物の適正な処理・利用、エネルギーの節減対策、特定外来生物の適正利用、生物多様性に配慮した鳥獣被害対策 3 労働安全を主な目的とする取組 危険作業等の把握、農作業従事者の制限、服装及び保護具の着用等、作業環境への対応、機械等の導入・点検・整備・管理、機械等の利用、農薬・燃料等の管理、事故後の備え 4 農業生産工程管理の全般に係る取組 技術・ノウハウ(知的財産)の保護・活用、情報の記録・保管、生産工程管理の実施、記録の保存期間
Integrated Pest Management
テントウムシ科 生物農薬? テントウムシの食性は種類によって大きく異なる。 肉食性:アブラムシやカイガラムシなどを食べる益虫 テントウムシ科 生物農薬? テントウムシの食性は種類によって大きく異なる。 肉食性:アブラムシやカイガラムシなどを食べる益虫 菌食性:うどんこ病菌などを食べる益虫 草食性:ナス科植物などの葉を食べる害虫 農薬の使用によってテントウムシなどの益虫を減らすだけ ナナホシテントウ アブラムシ、ハダニ ナミテントウ アブラムシ でなく、生態系のバランスを崩すことによる思わぬ影響もあり得る。 ベダリアテントウ ワタフキカイガラムシ シロホシテントウ うどんこ病菌 ニジュウヤホシテントウ ナスやジャガイモ 天敵Wikiへようこそ
かごしまの農林水産物認証制度(K-GAP) 「安全」とは、生産・栽培基準に適合した生産管理又は栽培管理がなされ、適正に管理された施設等で集出荷が行われていること。 生産・栽培基準:安全性などを考慮した関係法令等を踏まえ、県が策定した生産又は栽培に関する指針及びそれらに基づき地域で作成する生産又は栽培に関する基準等をいう。 「安心」とは、生産履歴等の記録・保存の確実な実施、生産管理責任者等の設置、適正な表示、消費者の疑問若しくは質問又は万が一の事態に速やかに対処できるなど消費者の信頼を得られる体制が整備されていること。 2015年9月29日現在、65品目254団体・個人(298件)が認証。 野 菜(豆類):17 野 菜(果菜類):43 野 菜(根菜類):104 野 菜(葉茎菜類):30 果 樹(果物):42 米:19 茶(緑茶):14 卵(鶏卵):4 たけのこ(青果):2 原木栽培きのこ:12 菌床栽培きのこ:3 エビ養殖:3 海面魚類養殖:2 1 化学肥料低減:5 2 農薬低減: 2-1 節減対象農薬当地比5割以上減:21 2-2 農薬栽培期間中不使用:1 3 特別栽培農産物(化学肥料,節減対象農薬ともに当地比5割以上低減):34