個性的能力と創造性を伸ばす ほめ方 しかって個性が伸ばせるか? - 企画・指定討論者: 新井邦二郎(筑波大学) 企画・話題提供者:弓野憲一(静岡大学) 司会・質問者: 西浦和樹(宮城学院女子大学) 話題提供者:佐藤道子(聖隷クリストファー大学) ワークショップ実行者: 石塚淳子(静岡県立大学) 山﨑彩乃(静岡大学教育学研究科)
企画趣旨 日本の社会・学校 ⇒ 個性と創造性必要 (教育改革 ・教育基本法 , ) 伸ばす⇒親・教師が個性・創造性を知る ・それを伸ばす授業 日本の社会・学校 ⇒ 個性と創造性必要 (教育改革 ・教育基本法 , ) 伸ばす⇒親・教師が個性・創造性を知る ・それを伸ばす授業 ・それを伸ばす励まし ・(子ども・生徒)自己を肯定できる環境 <ほめるが大切> (学校と家庭)教師-生徒間、親-子間の関係改善 (看護)教師-生徒間、看護士-患者間の関係改善
個性とは <個性は広領域で使用される> 知覚・認知の特性、 知能や創造性などの各種の能力、 性格、意志の強弱、主体性、 達成動機の高低、リーダーシップの有無、 独立ー従属への好み、 問題解決のスタイル、 身体的能力やその特徴、身ぶりや話し方、色や食べ物の好み、ファション、洋服の着こなし、 趣味、人生観、経済・宗教・政治・芸術・道徳といったジャンルへの興味や造詣の深さ、等々。
シンポの内容 8個の個性的能力(7:スクローム、1:弓野)(AIQ,CIQ,DIQ,EIQ,JIQ,MIQ,PIQ,L&FIQ) CIQ(創造性)、EIQ(共感性)を伸ばすほめ言葉をワークショップにて創り出す。 (ブレイン・ライティングを用いて) 看護場面でのほめ方(佐藤) 学校場面でのほめ方(弓野) 質疑・討論
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既知のほめ言葉比較 弓野・山﨑(2010)は、現職教師(勤続20年:32名)と大学生(1年[98名]と3年[80名])がどれほどの「ほめ言葉」をもっているかを調査した。 教師は約12、大学生は両学年ともに約7のほめ言葉をもっていた。
個性的能力別のほめ言葉 既知のほめ言葉を、8つの個性的能力の観点から分類した。 次図の「アクション」は「なでる」「抱きしめる」等の身体的な行動でほめる行為であり、「特定不能」は「すごい」「すばらしい」等のほめ言葉ではあるが、個性的能力のいずれの領域にも属さないほめ言葉である。
個性的能力別に分類したほめ言葉の出現率(%)
ほめ言葉創出力の比較 大学1、3および教師をそれぞれ3群に分け、AIQ,CIQ,L&FIQを伸ばすほめ方をしらべ、さらにヒントを与えながらブレイン・ライティングを通じてほめ言葉を「創出」させた。そして、最後に取り出し可能なほめ言葉を調査した。その結果はFig.1のようになった。現職教員の創出数の伸びは僅かであったが、学生の創出数は大幅に伸びた。
ほめ言葉創出力の比較
[CIQに関するほめ言葉例] さすが「・・君」、本当君らしい考え(表現)だ。なかなか人が思いつかないアイデアをよく考えたね。時代を先取りする考えだ。そのレポートはいろいろな観点からよく吟味されているね。こんな粗末な材料で、よくこんな作品が出来たものだ。その「もしかしたら」という風に「仮定」して考えた点がすばらしい。あなたの挑戦に先生は、脱帽だね。そのポスターの配色が傑出しているよ。
[AIQに関するほめ言葉例] 前に習ったことが活かせているね。正しい言葉使いができたね。よく読みとることができたね。難しいことばをよく知っているね。 頭の回転がはやいね。その考え方には筋が通っているね。学んだことが身に付いているね。自分の考えが分かり易く人に伝えられたね。見直しがよくできているね。
[L&Fのほめ方例] <特別活動のほめ言葉> ①議事の進め方がすばらしい、②よくリーダーに協力できたね、③よく皆の気持ちがまとめられたね。④リーダーの指示に上手に従えたね。⑤成員の意見がよく聞けたね。⑥対立する意見を見事にまとめたね。⑦~君のおかげでクラスが明るくなった。⑧クラス一丸となって、強い相手をよくうち負かせたね。
しかるの心理 ①あなたのやっていることは間違っている。私のもっている「正しいモデル」に照らすと、あなたのやっていることはおかしい。 ②私はあなたの間違った行動を正したい、あるいは禁止したい。 ③私が「教える人」であって、あなたは未熟な「学ぶ人」であるという社会的な上下関係の確認。 ④感情に訴えて、目標に向けてがんばらせる。
ほめるの心理 ①あなたのやっていることは正しい。 ②あなたのやっていることは優れている。 ③いまやっていることをそのまま続けなさい。④私はあなたを認めている。 ⑤私はあなたを賞賛している。このような意味や情報が含まれている。それゆえ、ほめるはしかるに比べるとポジティブな意味をもっている。
「ただす」の心理 「しかる」は、「間違っている」という情報の他に、「感情的な罰を与えることによってその行動をただしたい」を含む。 「しかる」は「間違っているという情報のフィードバック」と「感情的な罰を与える」の2つに分けることが可能である。 「しかる」「ほめる」の間にもう一つ感情的な色合いを取り去った「ただす」の段階があることに気づく。 個性・創造性を伸ばそうとするときには、しかるは最小限にとどめ、このただすとほめるを使った教育が有効と思われる。
しかって個性・創造性が のばせるか? 創造性に関係する場面 個性(個性的能力)に関係する場面