第10回 基礎ゼミcクラス 4-3-3 監査役と監査役会(pp.99) 監査役とは 第10回 基礎ゼミcクラス 4-3-3 監査役と監査役会(pp.99) 監査役とは 監査役は、 大会社 (5億円以上の資本あるいは200億円以上の負債を有 している株式会社)および 公開会社 (譲渡制限の無い株式を発行してい る株式会社)において設置が義務付けられている機関である。 監査役は、 株主総会 において選任される。監査役は、株式会社で行わ れている業務に対して、法令や 定款 などに違反していないかを監査し、会 社に対して監査した結果を報告する義務を負う。 原則として、監査役の業務の中に、取締役の 経営判断 の妥当性を調査・ 判定することは含まれておらず、 著しく不当 であると思われる件について は調査・判定することは可能である。 監査役は、株主総会の 議案 が法令や定款に違反していないかを事前に 調査し、取締役会を招集する権限を持つ。さらに、取締役に対して 訴訟 を 行う場合には、監査役が会社を代表することになる。
監査役会 監査役会は、大会社 かつ 公開会社において設置が義務付けられて いる機関である。 監査役会は、大会社 かつ 公開会社において設置が義務付けられて いる機関である。 監査役会は 3 人以上の監査役から構成される組織体であり、その半 数以上は 社外監査役 でなければならないとされている。 ※社外監査役とは、株式会社の監査役であって、過去に当該株式会社 又はその子会社において取締役、会計参与(会計参与が法人の場合 は、その職務を行うべき社員)もしくは執行役又は支配人その他の使用 人となったことがないものとされている。 監査役会の職務として以下の3つが規定されている(会社法第390条)。 (1) 監査 報告。 (2) 常勤 の監査役の選定及び解職。 (3)監査の 方針 、業務・財産の状況の 調査 およびその方法など に関する事項の決定。
イオン、社内に監査役育成「アカデミー」 子会社統治強化日本経済新聞電子版(2014/9/13) イオン、社内に監査役育成「アカデミー」 子会社統治強化日本経済新聞電子版(2014/9/13) イオンは監査役候補者を社内で育成する機関「イオン監査役アカデミー」を 設置する。アカデミーを修了した幹部人材を海外を含め260社以上ある子会 社の監査役に順次配置する。グループ各社の 不祥事 や不正会計の芽を 摘み、企業統治の強化する。 日本監査役協会によると、企業が監査役候補の育成に取り組むのは珍し いという。対象者として財務・経理、人事、顧客サービスなど各部署から部次 長クラスの社員を毎年10人以上選抜する。外部から講師を招き、週末を利 用して1年間で100時間強の授業を受けてもらう。修了後はグループ会社の 常勤監査役 に就任させる方針だ。 監査役は取締役の職務執行を監査するのが役割で、強い権限を持ち、独 立性が高い。大企業は社外取締役の導入などで経営をけん制する機能を高 めつつある。だが、傘下の多くの子会社は 法令順守 や 企業統治 が 行き届かないリスクを抱えている。イオンはグループとして監査役の機能を 強化し、子会社が自律的に法令順守や不祥事防止に取り組むよう促す。
4-3-4 指名委員会等設置会社(pp.100) 指名委員会等設置会社とは、監査役制度に代わり、社外取締役が軸になっ ている監査・指名・報酬の3つの 委員会 によって統治されている株式会 社。さらに、業務執行を担当する役員として執行役が置かれ、経営の 監督 機能と 業務執行 機能とが分離されている。 ※指名委員会等設置会社の取締役の任期は 1 年。 ※各委員会は 取締役 が3名以上から構成され、その過半数は 社外取締役 で構成。 指名 委員会:株主総会に提出する取締役(会計参与も含む)の選任や解任 に関する議案の内容の決定 報酬 委員会:個人別の役員報酬等の内容の決定 監査 委員会:執行役・取締役(会計参与も含む)の職務の執行の監査およ び監査報告の作成
指名委員会等設置会社の執行役 指名委員会等設置会社では、 監督 (取締役会)と 執行 (執行役)が 制度的に分離されている。 指名委員会等設置会社では、 監督 (取締役会)と 執行 (執行役)が 制度的に分離されている。 取締役会は、会社の基本的事項を決定し、各種委員会の委員や執行役 を選定し、会社が適正に機能するように監督することに、専念。 取締役会は 執行役 に業務の執行を委託(権限移譲)する。 ※指名委員会等設置会社(株式会社)では、所有と経営の分離に加え て、監督と執行も分離(経営が分割)されている。 執行役の特徴 執行役は委員会設置会社の 機関 (会社法上の制度)。 執行役は取締役会の決議で選任・解職( 委任 関係)。 執行役は取締役会で委任された事項に関して意思決定と執行を行う。 会社法上の特別の責任を負う(一従業員ではない)。
会社法改正によって追加された監査等委員会設置会社(平成27年6月) 大会社 あるいは 公開会社 設置 義務 監査役 大会社かつ公開会社は設置義務 監査役会 ( 既 存 ) その他は任意の設置 設置不可 設置義務 委員会設 置会社 監査役 監査役会 指名・報酬・監査の3委員会(取締役で構成) その他(大会社ではない非公開会社) 設置義務なし 設置義務 監査役 監査役会 監査役あるいは会計参与 (新設) 指名・報酬の2委員会 監査等委員会設置会社 任意の設置 監査委員会のみ(取締役で構成) 設置義務 ※大会社:資本金として計上した額が五億円以上であることあるいは負債の部に計上した額の合計額が二百億円以上であること。
監査等委員会設置会社と指名委員会等設置会社他 法的拘束力があるが、 公開の義務もある 一般的な株式会社 会社法 指名・報酬・監査の3委員会(取締役) 指名委員会等設置会社 監査等委員会(取締役) 監査等委員会設置会社 任意の指名委員会設置 法的拘束力がなく、 公開の義務もない
問題 営業担当取締役と取締役営業部長の中で使用人兼務取締役の可能性 が高いのは? 営業担当取締役/取締役営業部長 営業担当取締役と取締役営業部長の中で使用人兼務取締役の可能性 が高いのは? 営業担当取締役/取締役営業部長 2.使用人兼務取締役以外の取締役を就業規定に沿って懲戒できる? 懲戒できる/懲戒できない 3.ある従業員が社長から取締役に就任するように命令された。 拒否できる/拒否できない 4.ある取締役が子会社取締役を兼任するのは合法? 合法/非合法 5.取締役に未成年が就任できる? 就任できる/就任できない 6.社外取締役の責任を限定することは可能? 可能/不可能 7.取締役会において開催通知の中に明記されていない議題を審議してもい い? 問題なし/問題あり