コンゴー赤染色 (Congo red stain) アミロイド染色
アミロイド アミロイド(アミロイドβペプチド)とは体内のタンパク質の1種で、古くなると細胞膜からはがれ落ち、新たに再生する性質がある。 また、アミロイドβは神経細胞に対して毒性を持ち、細胞死を引き起こす。 アルツハイマー病で亡くなった患者の脳を解剖すると、 βアミロイドの大脳皮質への蓄積した“老人斑”と呼ばれる模様が見られることから、アルツハイマー病発症との関連を指摘されている。 人工透析の期間が長くなるにつれて、患者の体内にβ-2-マイクログロブリンという物質が溜まってくる。これがアミロイドを作り、神経や関節などに沈着して関節炎や麻痺などを起こす。透析期間が10年前後の患者の2~3割に症状が出るとされるが、数年で発症する人もいる。 全てのタンパク質はアミロイドを形成する。極論すると、タンパク質は潜在的な疾患因子である。しかし全てのタンパク質が顕在的に疾患をひきおこすとは限らない。つまり、アミロイド化には長い時間がかかるので、代謝消化され、蓄積することはない。 βアミロイドの前駆体たんぱく質(APP)は健康な細胞体
アミロイド染色について アミロイドかどうかの判定には、コンゴー赤染色、ダイレクトファーストスカーレット染色を行った染色標本を偏光顕微鏡下で観察し、陽性部分が黄緑色の偏光を呈すればほぼアミロイドとして差し支えない。 アミロイドは生化学的研究の進歩により、由来するタンパクの違いから数種類のアミロイドがあることが分かっている。 原発性あるいは骨髄腫に合併するアミロイド症は免疫グロブリンのL鎖に由来するといわれ、ALアミロイドとよぶ。続発性アミロイド症は由来タンパクがはっきりしないもので、AAアミロイドとよんでいる。
原発性 AL 骨髄腫 続発性 AA 限局性 AD 遺伝性(家族性) AF 基礎疾患がなくアミロイド沈着の原因が不明のもの。 心障害など。 多発性骨髄腫の5~10%にアミロイドーシスが合併する。 臨床像は原発性アミロイドーシスに類似する。 続発性 AA 長期にわたる慢性の難治性炎症疾患に続発してみられる。慢性関節リウマチ、結核、人工透析。 腎障害など。 限局性 AD 皮膚、眼、呼吸器、尿路などに限局してアミロイド物質が沈着する疾患である。 甲状腺髄様癌、褐色細胞腫、気管支癌などで腫瘍局所にアミロイドの沈着を認める。 遺伝性(家族性) AF 家系内にアミロイドーシスの発症をみるもの。 世界各地にその家系がみられるが、日本では熊本県、長野県などからの報告が有名。 1列目2列目アミロイド蛋白 前駆物質 :免疫グロブリンL鎖 、、SAA 、ケラチン 、異型プレアルブミン この5種類以外のものもある。
アミロイド染色 目的 原理 組織に沈着しているアミロイドを染め出す。 染色機構は明らかにされていないが、コンゴー赤はアミロイドに対して強く吸着されることに基づいているため、酸性色素として染色に関与している。
試薬 コンゴー赤液 アルカリアルコール液 ヘマトキシリン コンゴー赤 1g 1%NaOH水溶液 1ml 精製水 100ml
染色法 脱パラ・流水水洗 コンゴー赤液 流水水洗 アルカリアルコール液 流水水洗 ヘマトキシリン 流水水洗 脱水・封入 コンゴー赤:1h アルカリカルコール:手早く→色が落ちなくなるまで ヘマトキシリン:1m