付録 1. 物理定数 1−1 普遍定数 ・真空中の光速度 c =2.9979 x 108 m s-1 電磁波の伝播速度はマックスウエル方程式から c = (ε0 μ0)−1/2 で与えられる。ここで、ε0とμ0はそれぞれ真空中の誘電率 と透磁率である。 ・プランク定数 h = 6.6261x 10-34.

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付録 1. 物理定数 1−1 普遍定数 ・真空中の光速度 c = x 108 m s-1 電磁波の伝播速度はマックスウエル方程式から c = (ε0 μ0)−1/2 で与えられる。ここで、ε0とμ0はそれぞれ真空中の誘電率 と透磁率である。 ・プランク定数 h = x
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付録 1. 物理定数 1−1 普遍定数 ・真空中の光速度 c =2.9979 x 108 m s-1 電磁波の伝播速度はマックスウエル方程式から c = (ε0 μ0)−1/2 で与えられる。ここで、ε0とμ0はそれぞれ真空中の誘電率 と透磁率である。 ・プランク定数 h = 6.6261x 10-34 m2 kg s−1 (あるいは J s) 量子の物理量の単位となる。2πで割った値はディラック 定数、あるいは換算プランク定数と呼ばれる。 1−2 相互作用定数 ・重力定数 G = 6.6743 x 10-11 m3 kg-1 s-2 ・単位電荷 e = 1.6022 x 10-19 C

1−3 その他の重要な定数 ・ボルツマン定数 kB = 1 1−3 その他の重要な定数 ・ボルツマン定数 kB = 1.3807 x 10-23 J K-1 温度とエネルギーを関係付ける定数 ・ステファン-ボルツマン定数 σSB = 6.6704 x 10-8 W m-2 K-4 熱放射を特徴づける定数 1−4 質量 ・陽子質量 mp = 1.6726 x 10-27 kg = 938.27 MeV ・中性子質量 mn = 1.6749 x 10-27 kg = 939.57 MeV ・電子質量 me = 9.1094 x 10-31 kg = 511.00 keV 電子ボルト (electron volt) 1ボルトの電位差で1個の電子を加速した時に得ることができるエネルギー 1 eV = 1.6022 x 10-19 J 1 keV = 103 eV 1 MeV = 106 eV 1 GeV = 109 eV

1−4. CGS 単位系 と SI 単位系との関係 力 1 dyne (ダイン) = 10-5 N (ニュートン) エネルギー 1 erg (エルグ) = 10-7 J (ジュール) 仕事率 1 erg s-1 = 10-7 W (ワット) 電荷 1 esu = 3.3356x10-10 C esu = electrostatic unit (静電単位、あるいはスタットクーロンと呼ばれる) 磁束密度 1 G (ガウス)= 10-4 T (テスラ) 磁束 1 G cm2 = 10-8 Wb (ウエーバー)

2.天文学的な定数 2−1 太陽と地球 太陽光度 L⊙ = 3. 8427 x 1036 W 太陽質量 M⊙ = 1 2.天文学的な定数 2−1 太陽と地球 太陽光度 L⊙ = 3.8427 x 1036 W 太陽質量 M⊙ = 1.9884 x 1030 kg 太陽赤道半径 R⊙ = 6.9551 x 108 m 地球質量 M = 5.9722 x 1024 kg 地球赤道半径 R = 6.3781 x 106 m [太陽系内のその他の惑星については第9章(表9−1)参照] 太陽と地球の平均距離 天文単位 (au = astronomical unit) 1 au = 1.4960 x 1011 m (2012年の国際天文学連合の総会で149 597 870 700 m であることが厳密に定義された) 2−2 時間の単位 1年 = 1 yr = 3.1558 x 107 s 100万年 = 1 Myr (M = mega) 10億年 = 1 Gyr (G = giga) 2−3 距離の単位 光年 (light year) 1 ly = 0.946 x 1016 m パーセク (pc = parsec) 1 pc = 3.262 ly = 3.086 x 1016 m

年周視差の観測原理とパーセクの定義 地球は太陽の周りを公転運動しているので、比較的近くにある星の見かけの方向は変化する。この性質を利用して、星の距離を決めることができる(三角測量の原理)。 年周視差 p は図A1で定義され、次の関係がある。 tan p = d / D (A-1) d = 1AU (1天文単位) = 1億5000万キロメートル したがって、年周視差 p を観測すると星までの距離Dは D = d / tan p (A-2) で測定できる。 年周視差 p = 1 秒角の時の星の距離を1pcとする。 (A-2)式に P = 1秒角を代入すると 1 pc = 3.262光年 を得る。 註: 1秒角 = 1/60 分角 = 1/3600 ° 図A-1

3 宇宙論的な定数とパラメータ 宇宙年齢 t0 = 13. 73 Gyr 臨界密度 ρ0 = 3 H02 / 8 πG = 1 3 宇宙論的な定数とパラメータ 宇宙年齢 t0 = 13.73 Gyr 臨界密度 ρ0 = 3 H02 / 8 πG = 1.8784 x 10-26 h2 kg m-3 = 1.8784 x 10-29 h2 g cm-3 = 2.7754 x 1011 h2 M⊙ Mpc-3 バリオン密度パラメータ Ωb0 = 0.02265 h-2 = 0.0462 物質密度パラメータ Ωm0 = 0.1369 h-2 = 0. 279 ダークマター密度パラメータ Ωm0 - Ωb0 = 0.279 - 0.0462 = 0.233 宇宙定数密度パラメータ ΩΛ0 = 0.721 密度パラメータ Ω0 = Ωm0 + ΩΛ0 = 1 但し、正式には曲率パラメータがあるのでΩ0 = Ωm0 + ΩK0 + ΩΛ0 = 1である。

曲率パラメータは ΩK0 = -c2K/a2 曲率K K = 0 : 平坦な宇宙 K = 1/R2 > 0 : 曲率半径Rの3次元球面(閉じた宇宙) K = - 1/R2 < 0 : 曲率半径Rの3次元双曲面(開いた宇宙) 宇宙マイクロ波背景放射温度 TCMB = 2.725 K なお、上記のパラメータにある添字の0は現在の宇宙での値を意味する。 (上記数値の出典は Komatsu, E., et al. 2011, ApJS, 192, 18)

4. 天体からの電磁波 4−1 電磁波の名称 図A-2 電磁波の名称と波長、振動数、およびエネルギーの関係

4−2. 天体からの電磁波の放射強度 放射(輻射)強度の測定には以下の単位が用いられる。 ・光度 (luminosity) L : W (= J s-1) ・輻射流速 (flux) F : W m−2 ・輻射強度 (intensity) I : W m−2 sr-1 ・輻射流速密度 (flux density) F : Fλ = W m−2 μm-1 Fν = W m−2 Hz-1 (= Jy) ・表面輝度 (surface brightness) Iλ = W m−2 μm-1 sr-1 Iν = W m−2 Hz-1 sr-1 等級の場合は mag arcsec-2 ジャンスキー (Jansky): Jy 単位振動数当たりの流速密度 1Jy = 10-26 W m−2 Hz-1 (SI単位系) = 10-26 (107 erg s-1) (100 cm)−2 Hz-1 = 10-23 erg cm−2 Hz-1 (cgs単位系) 註:カール・ジャンスキー (K. Jansky) は1931年に宇宙電波を始めて観測した人である(第16章3節)。

4−3.等級  等級の概念:ギリシャ時代のヒッパルコス(Hipparcos、紀元前190年頃〜紀元前120年後頃)によって提案された。その後、ノーマン・ポグソン (N. Pogson:1829-1891)によって、定量的に定義された。等級は定義上、数字が小さい方が明るいので、注意が必要である。  明るさが1等級暗くなると明るさは1/2.5になる(精確には1/2.512)。したがって、5等級の差は 光度の100倍の差に相当する。  星 AとBからの輻射流速をそれぞれFAとFBとすると、星のみかけの等級mAとmBの差は以下のようになる。    mA- mB = -2.5 log (FA/FB)               (A-3) 見かけの等級(m)  こと座のα星(ヴェガ、織姫星、αLyr [アルファライラと発音する]: A0型の主系列星)のみかけの等級を各バンドで0等級とするシステムが歴史的に用いられてた。ヴェガの明るさを基準とする見かけの等級はヴェガ等級 (Vega magnitude) と呼ばれる。  例えば、Vバンドでの明るさが20等級の場合はmV = 20、あるいはV =20と表す。  ちなみに、550nm(可視光のVバンド:表2−2参照)での輻射流速密度は Fλ = 3.66×10-11 W m-2 nm-1 Fν = 3.69×10-23 W m-2 Hz-1 = 3.69×103 Jy である。ここで、nm (ナノメートル)= 10-9 mである。

見かけの等級におけるAB等級システム  ヴェガ等級 (Vega magnitude) はヴェガの放射するスペクトルエネルギー分布を反映するので、異なる波長帯での光度の比較には不便である。そこで、各波長帯で輻射流速密度を同じにするAB等級システムが最近では使用されるようになった。実際には、各波長帯での0等級に相当する輻射流速密度を     3630Jy (正式には103.56 Jy) とする。これにより、どの周波数帯でも以下の式で等級を評価することができる。     mAB = -2.5 log Fν − 48.60              (A-4) この等級の英語名はmonochromatic magnitude なので、直訳すると単色等級であるが、実際にはAB等級と呼ばれている。なお(A-4)式の定数はVegaの5840Åにおける絶対的なフラックスとVega magnitude V = 0.03 から決められた値である。 (Oke, J. B., & Gunn, J. 1983, ApJ, 266, 713)

表A-1 可視光帯から近赤外帯のバンドにおけるAB等級 図A-3 AB等級とヴェガ等級の比較。破線はAB等級の輻射流速密度で3630Jyの一定値を取る。●はヴェガ等級で0等級に相当する輻射流速密度である。

絶対等級(M )  天体を10 pcの距離においたときの明るさを絶対等級Mと定義する。みかけの等級 m とは次式の関係がある。       M = m - 5 log (d /10)    (A-5) ここで、 D はpc単位で測った銀河までの距離である。  式(A-5)を       m - M = 5 log (d /10) (A-6) と変形すると、見かけの等級と絶対等級の差が天体までの距離に一意的に対応する。そのため m - M は距離指数 (distance modulus) とも呼ばれる。

等級と光度の関係  見かけの等級は測定された輻射流速密度F と     m = -2.5 log F + 定数 (A-7) という関係で結び付けられる。ここで、定数はどのような等級基準をとるかで決まる。  同様に絶対等級は天体の光度 L と     M = -2.5 log L + 定数 (A-8) という関係にある。また、太陽についても     M⊙= -2.5 log L⊙+ 定数 (A-9) という関係がある。 M⊙はここでは太陽の絶対等級である。 太陽質量と同じ記号なので注意されたい。 これら2式を差し引くと     M – M⊙ = -2.5 log (L / L⊙) (A-10) となり、光度について求めると     L / L⊙ = 10 -(M-M⊙ )/ 2.5 (A-11) を得る。

波長帯 (バンド) 波長帯の意味 重心波長 (ミクロン) U (Ultraviolet) 可視光/近紫外 0.36 B(Blue) 可視光/青 0.44 V(Visual) 可視光/可視 0.55 R (Red) 可視光/赤 0.70 I (Infrared) 可視光/赤外 0.90 J 近赤外 1.25 H 1.60 K 2.20 L 3.40 M 中間赤外 5.00 N 10.2 Q 22 [ミクロン(μm) = 10-6 m] 表A-2 可視光から赤外線帯の測光波長帯。ここでの測光システムはジョンソンのシステムを採用している (Johnson, H. L. 1965, ApJ, 141, 923)。

現在では、可視光帯でも多くの測光バンドがある。可視光の撮像観測でよく使われるジョンソン・システム(ジョンソン−カズン・システム)とスローン・デジタル・スカイ・サーベイ (SDSS) で使用されたシステムのフィルターの透過曲線を図A-4に示す。さらに、興味のある人は Fukugita, M., et al. 2005, PASP, 107, 945 を参照されたい。 図A-4 可視光帯のジョンソン・システム(ジョンソン−カズン・システム)と SDSS で使用されたシステムのフィルターの透過曲線

5.天体の位置(座標系) 5−1.赤道座標 (equatorial coordinate system): 赤経(right ascension; RA)と赤緯(declination; DEC) 星や銀河などの天体の性質を調べるためには天体の位置を知る必要がありる。天体を眺めるときは天体の方角(方位)と高度がわかればよい、これは地平座標と呼ばれる。 ところが地球が自転しているため、星々の位置はどんどん変化していくので、地球の自転の影響を受けずに天体の絶対的な位置を示す座標系が必要になる。 最も一般的な座標系は赤道座標系と呼ばれるものである。地球の自転軸を利用して、天の北極(赤緯=+90°)と天の南極(赤緯=-90°)を決め、天の赤道を赤緯=0°とする。そして、地球の自転に伴う方向に経度をとり、春分点を0時として、東周りに一周を24時に分ける(図A-5) 。 図A-5 赤道座標系。黄道は太陽の通過するみかけの大円である。

赤経の時分秒と角度の関係 赤経は360°を24時間で表すので、 1時間 = 15° に相当する。 1時間 = 60分 = 15° = 15 x 60分角(‘) の関係があるので 1分 = 15分角(‘) とななる。同様に、 1分 = 60秒 = 15 分角(‘) = 15 x 60秒角(“) なので 1秒 = 15秒角(“) の関係があある。 分点 地球の歳差運動や章動により、春分点と天の赤道面の関係は変化する。そのため、赤道座標を使用する時には、どのエポックの時のものを採用するか決める必要がある。しばらく、1950年分点 (B1950)が用いられてきたが、現在では2000年分点 (J2000)が採用されている。

5−2.銀河座標 (galactic coordinate system): 銀経(galactic longitude; l)と銀緯 (galactic latitude; b) 我々の銀河系は円盤銀河であり、太陽系は円盤部の端の方に位置しているので、銀河系を眺めると図A-6のように見える。 図A-6 銀河系を赤外線で見た様子 (2MASS) 銀河系内の天体の位置を表す際には、銀河面を緯度=0°(銀緯=0°)とし、銀河面からはなれる方向に銀緯を設定する。また銀河中心を経度=0時(銀経=0時)として、銀河面に東向きに経度(銀経)を取っていく。このような座標系を銀河座標と呼び、主として銀河系内の天体の研究に用いられる。銀河座標と赤道座標の関係は第6章(図6−2)を参照されたい。なお、両座標系の変換ツールはNASA Extragalactic Database (NED) で提供されている。 http://ned.ipac.caltech.edu/forms/calculator.html

5−3.超銀河座標系 (super galactic coordinate system) 超銀河経度(SGL) 超銀河緯度(SGB) 局所超銀河団 (local supercluster)の作る超銀河平面を基準面に採用した座標系のことで、中心と北極方向は以下のように定義されている(図A-7参照)。 (SGL=0°, SGB=0°) = (l =137.37°, b = 0°) 超銀河北極 SGB = 90°: (l = 47.37°, b = +6.32°) なお、局所超銀河団の存在は銀河のシャプレイ−エイムズ・カタログ (Shapley-Ames catalogue)に基づいた解析により、ジェラルド・ド・ヴォークルール (G. de Vaucouleurs) によって1953年に発見された (de Vaucouleurs, G. 1953, AJ, 58, 30)。 局所超銀河団 やそれに関連する議論をするときに使われますが、銀河一般の議論をするときに使うことはない。 切です。

図A-7 可視光赤方偏移サーベイ(ORS = optical redshift survey)と赤外線天文衛星IRAS (Infrared Astronomical Satellite) で得られた銀河の分布に基づく局所超銀河団と超銀河座標との関係 (Lahav, O., et al. 2000, MNRAS, 312, 166より転載)。一つの点は一つの銀河を表している。縦軸と横軸にある SG は Super Galactic coordinateの略でSGX、SGY、およびSGZは超銀河座標のx、 y、 およびz 座標を表す。