平成24年4月1日以降の HbA1c国際標準化について

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平成24年4月1日以降の HbA1c国際標準化について 日本糖尿病学会

HbA1c(国際標準値)=HbA1c(JDS値)+0.4% NGSP値 JDS (日本)値 6.5% NGSP (米国)値 6.1% NGSP値 6.5% 6.5% 各地域で標準化が進められた結果,地域内での施設間差は是正されてきました. 一方,各地域間での測定値間差は明確になってきました. 上図は,世界各国の測定体系の分布および,代表的な測定値の差を示したものです. 米国を中心としたNGSP体系,北欧を中心としたMono-S,日本のJDSなど地域によって測定値は少しずつ異なっています. Mono-Sは,NGSP,JDSと同様HPLC法でありますが,測定体系確立が比較的新しく,このために特異性が高くなりNGSP,JDSと比べて測定値は低い傾向にあります. IFCC体系は,非糖化ヘモグロビンの純品と,HbA1cの純品の定量混合物を標準物質とした,分析化学的根拠の確立した体系です.標準測定法の特異性が飛躍的に向上しているため,測定値は他法と比べると極端に低い値となっております. 出典: 臨床化学 37:393-409,2008 Clinical Chemistry 54:2 240–248 (2008) HbA1c(NGSP値)に相当する値: HbA1c(国際標準値)=HbA1c(JDS値)+0.4% 2

HbA1cの国際標準化(2010/7/1) 2 ●2010年7月1日付で,新診断基準の施行と同時に,JDS値で表記されたHbA1c(JDS値)に0.4%を加えた,NGSP値に相当する国際標準化された新しいHbA1c (国際標準値)を使用することとした. ●英文誌や国際学会の発表においては,2010年7月1日を以て,国際標準化された新しいHbA1c (国際標準値)を使用する. ●日常臨床・検診・健康診断などにおいては,十分な広報活動を行い本学会が別途告示する日時までは引き続き現行のHbA1c(JDS値)を用い,その後国際標準化された新しいHbA1c (国際標準値)に変更する予定とした.

HbA1cの国際標準化(2010/7/1) 平成22(2010)年5月26日 平成22(2010)年7月1日 平成2◎(201◇)年 3 日常臨床・検診・健康診断など 英文論文や国際学会の発表 平成22(2010)年5月26日 現行のHbA1c (JDS値) 現行のHbA1c (JDS値) 新しい診断基準の策定 平成22(2010)年7月1日 2010年7月1日以降 準備 活動 新しい診断基準の施行 現行のHbA1c (JDS値) を継続して 使用 国際標準化 された 新しいHbA1c(国際標準値) を用いる 平成2◎(201◇)年        ◎月◎日 新しいHbA1c (国際標準値)への 全国一斉変更日時に 関する告知 広報 活動 国際標準化された 新しいHbA1c (国際標準値) に変更 平成2○(201□)年○月○日以降 国際標準化変更日 新しいHbA1c(国際標準値)への全国一斉変更を実施

●特定健康診査・保健指導におけるHbA1cの測定結果は平成25年3月31まで現在のHbA1c(JDS値)を用いることが合意された。 -2010/7/1以降の状況- 4 ●特定健康診査・保健指導におけるHbA1cの測定結果は平成25年3月31まで現在のHbA1c(JDS値)を用いることが合意された。 ●日本糖尿病学会としては、平成24年4月1日から新しい国際標準化対応HbA1c(国際標準値)を使用すべく準備を進めてきた。

HbA1cの国際標準化 -NGSP認証と測定値の継続性- 5 ●平成23年10月1日:JDS値を決めているKO500法で、NGSPのCPRL (Central Primary Reference Labora- tory, Missouri大学)のアジア地区基準測定施設(ASRL:Asian Secondary Reference Laboratory)の認証を検査医学標準物質機構(ReCCS)が取得した。 ●これにより我が国の種々の測定法のHbA1c値が、相当値ではなくNGSP値を測定可能となった。  ⇒HbA1c(NGSP)=1.02×HbA1c(JDS)+0.25 …(1)     (NGSPで認証された式) ●「国際標準値」の定義であるJDS値+0.4%は, (1)式でもJDS値5.0%~9.9 %の範囲で完全に成り立つ。  

HbA1cの国際標準化 -JDS値からNGSP値への換算表- 6 NGSP値は,NGSP(%)=1.02×JDS(%)+0.25で小数点以下第3位まで計算し,第2位を四捨五入して第1位まで示した.

糖尿病診療に用いる各種基準値・目標値・判定値 (平成24年4月1日以降, NGSP値とJDS値を併記) 7 11 表1 糖尿病診断に用いるHbA1cの値 項目 HbA1c(NGSP) HbA1c(JDS) 基準範囲 4.6 %~6.2 % 4.3 %~5.8 % 診断基準 ≧6.5 % ≧6.1 % コントロール目標値 <6.9 % <6.5 % 糖尿病の疑いが否定できない群 6.0 %~6.4 % 5.6 %~6.0 % 将来の糖尿病発症の高リスク群 5.6 %~5.9 % 5.2 %~5.5 % 表2 血糖コントロールの評価とその範囲 評価 HbA1c(NGSP) HbA1c(JDS) 優 6.2 %未満 5.8 %未満 良 6.2 %~6.9 %未満 5.8 %~6.5 %未満 可  不十分 6.9 %~7.4 %未満 6.5 %~7.0 %未満  不良 7.4 %~8.4 %未満 7.0 %~8.0 %未満 不可 8.4 %以上 8.0 %以上 表3 特定健康診査項目の判定値 項目名 保健指導判定値 受診勧奨判定値 HbA1c(JDS) ≧5.2 % ≧6.1 % HbA1c(NGSP) ≧5.6 % ≧6.5 % (平成24年度は特定健診関係はJDS値を用いる)

糖尿病の臨床診断のフローチャート 再検査 糖尿病疑い 糖尿病疑い 血糖値とHbA1c ともに糖尿病型 血糖値のみ 糖尿病型 HbA1cのみ 8 糖尿病の臨床診断のフローチャート (2012年4月1日以降) 糖尿病型;血糖値(空腹時≧126mg/dl,OGTT2時間≧ 200mg/dl ,随時≧ 200mg/dlのいずれか)            HbA1c(NGSP)≧6.5% [HbA1c(JDS)≧6.1%] 血糖値とHbA1c ともに糖尿病型 血糖値のみ 糖尿病型 HbA1cのみ 糖尿病型 早期診断・早期介入を促進するため,HbA1cと血糖値の同時測定を推奨 HbA1cのみ反復陽性 では糖尿病と診断 できない ・糖尿病の典型的症状 ・確実な糖尿病網膜症のいずれか 有り 無し 再検査 (血糖検査は必須) 糖 尿 病 なるべく 1ヶ月以内に 再検査 血糖値とHbA1c ともに糖尿病型 血糖値のみ 糖尿病型 HbA1cのみ 糖尿病型 いずれも 糖尿病型でない 血糖値とHbA1c ともに糖尿病型 血糖値のみ 糖尿病型 HbA1cのみ 糖尿病型 いずれも 糖尿病型でない 糖 尿 病 糖 尿 病 糖尿病疑い 糖尿病疑い 3~6ヶ月以内に血糖値・HbA1cを再検査

今後のHbA1cの運用について 9 1.平成24年4月1日以降,検査機器等では、NGSP値が測定されるようになる ⇒ 「HbA1c(NGSP)」と表記 2.当面、換算式で計算されたJDS値も併記される               ⇒ 「HbA1c(JDS)」と表記 3.特定健診・特定保健指導においては、平成24年度までは、JDS値のみが使用され、受診者が受け取る結果も単に「HbA1c」と表記されており、注意を要する 3.医療従事者、患者さん、特定健診の受診者などに対して、ホームページ、出版物、ポスター・リーフレットなどの啓発資料などにより、周知を図る

HbA1c国際標準化の工程表 平成24年4月1日 著作物 発表等 日常臨床 特定健診関係 平成22年6月30日以前 平成22年7月1日 10 著作物 発表等 日常臨床 特定健診関係 特定健診・保健指導 医療費適正化計画第1期 平成22年6月30日以前 JDS値 平成22年7月1日 国際 標準値 新しい糖尿病診断基準の施行 著作物等での「国際標準値」使用 JDS値 準備 活動 JDS値 平成24年1月20日 NGSP値 NGSP値への 変更に関する発表 広報 活動 診療報酬 改定 平成24年4月1日 NGSP値 (当面の間 JDS値も併記) 日常臨床・著作物等での NGSP値への変更を実施 平成25年4月1日~ 協議・検討中 (特定健診データの 取り扱いは今後決定)

11 患者さん向け 広報ポスター

12 健診受診者向け 広報ポスター (ダウンロード用)

13 患者さん向リーフレット

14 医療従事者向リーフレット (診断と管理の指標)

15 医療従事者向リーフレット (血糖管理の指標)

HbA1cの国際標準化 -平成24年4月1日以降の基本方針- 16 ●HbA1c測定のさらなる標準化・最適化と併せて,厚生労働省・日本糖尿病協会・日本医師会・保険者団体を初めとする関係諸団体との協議を重ね,平成24年4月1日以降のHbA1c国際標準化について以下のように決定した(骨子). ■平成24年4月1日から日常臨床でもNGSP値を用い,当面の間  JDS値も併記する. ■特定健診・特定保健指導においては,平成24年4月1日〜平成 25年3月31日の期間は,受診者への結果通知及び保険者 への結果報告のいずれも従来通りJDS値のみを用いる.平成 25年4月1日以降については,関係者間で協議し検討する. ■著作・論文・発表等においても NGSP値を用いることとなる. (詳細は「国際標準化HbA1c表記の運用指針」を参照)