脳梗塞.

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メタボリックシンドロームの考え方. 危険因子の数と心臓病のリスク 軽症であっても「肥満(高 BMI )」、「高血圧」、「高血糖」、「高トリグリセリド(中性脂肪) 血症」、または「高コレステロール血症」の危険因子を2つ持つ人はまったく持たない人に比べ、
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循環器系の疾患 ー高齢者を中心にしてー これが・・・・ “ 恋する心臓 ” です 循環器系の疾患 ー高齢者を中心とし てー ①虚血性心疾患 1.狭心症 2.心筋 梗塞 ②心不全 ③不整脈 ④高血圧症 ⑤動脈硬化症.
脳卒中とは? リハビリテーションとは? (公財)東京都保健医療公社豊島病院 リハビリテーション科 中島 英樹
Stable Angina Pectoris 18井上兼史 42佐藤宏紀 66中谷昌裕 90三木美香
三例の糖尿病性腎症導入例 仁和寺診療所 田中 貫一 仁和寺診療所.
1. 動脈硬化とは? 2. 動脈硬化のさまざまな 危険因子 3. さまざまな危険因子の 源流は「内臓脂肪」 4. 動脈硬化を防ぐには
A case of pneumatosis cystoides intestinalis attributed
高齢者の神経障害と精神障害(認知障碍とうつ)
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糖尿病とは インスリン作用不足による 慢性の高血糖状態を主徴とする 代謝疾患群 まず糖尿病とはどんな病気か知ってしますか?
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脳性まひをもつ 子どもの発達 肢体不自由児の動作改善を目指して 障害児病理・保健学演習 プレゼンテーション資料 2000年2月24日
前方循環系皮質枝 前方循環系 Anterior circulation ACA MCA PCA 内頸動脈系 (外頸動脈) 内頸動脈
CHA2DS2-VAScスコア別 RE-LY®サブグループ解析結果の考察 小川 久雄 熊本大学大学院 生命科学研究部 循環器病態学
脳卒中急性期患者データベースの 統計解析に関する研究 ― 中高レベル血栓溶解療法の評価 ―
糖尿病の合併症について 三大合併症 神経障害 網膜症 腎症 フットケアを日頃から 心がけましょう! 単純網膜症・前増殖網膜症
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各種手術における静脈血栓塞栓症のリスクの階層化(年齢因子を含む)
高血圧 診断・治療の流れ 診断と治療の流れ 問診・身体診察 二次性高血圧を除外 合併症 臓器障害 を評価 危険因子 生活習慣の改善
日本脳卒中協会共同事業 Care AFプロジェクト
第1章:ATIS(アテローム血栓症)とは? atherothrombosis
脳血管障害 診断・治療の流れ 診断と治療の流れ 問診・身体診察 緊急処置 一般検査 画像検査 治療 診断
血管と理学療法 担当:萩原 悠太  勉強会.
通常治療群 介入群(アルテプラーゼ群) ・アルテプラーゼ 《投与方法・併用禁止について》 登録時 治療開始 1時間 投与終了後 24時間
脳血管 MR診断に必要な脳動脈の解剖 荏原病院放射線科 井田正博
1. 糖尿病の患者さんは、脳梗塞や 心筋梗塞に注意が必要です 2. 脳梗塞と心筋梗塞の原因は どちらも動脈硬化です 3.
メタボリックシンドロームはなぜ重要か A-5 不健康な生活習慣 内臓脂肪の蓄積 高血糖 脂質異常 高血圧 血管変化の進行 動脈硬化
メタボリック シンドローム.
頚動脈内膜剥離術 Carotid endarterectomy:CEA
学習目標 1.急性期の意識障害患者の生命危機を回避するための看護がわかる. 2.慢性期の意識障害患者の回復に向けた看護がわかる. 3.片麻痺患者のADL獲得に向けた看護がわかる. 4.失行・失認の患者が生活に適応するための看護がわかる. 5.失語症の患者のコミュニケーション方法の確立に向けた看護がわかる.
「糖尿病」ってどんな病気?? ★キーワードは・・・「インスリン」!!!
脳梗塞について - BMEでの救命応用 2016年3月19日(土) 岡田一秀.
生活習慣病 偏食、運動不足、喫煙、ストレス・・。生活習慣病はその名の通り、ふだんの生活習慣が、発症や進行に深く関わっています。高血圧・脂質異常症・糖尿病・肥満が代表的なもの。これらは「死の四重奏」と呼ばれ、もちろん単独でも恐ろしい病気ですが、重複すると命にかかわる危険が増すのです。 内臓脂肪型肥満で、高血圧や脂質異常症など複数の生活習慣病を合併している状態を「メタボリックシンドローム」と呼んでいます。
内頸動脈の区分 床上部 supraclinoid 海綿静脈洞部 cavernous 三叉神経節部 ganglial 錐体部 petrous
最近の国試問題における 画像診断のポイント
前方循環系のおもな穿通動脈 前方循環系からの穿通枝 内頸動脈 前脈絡動脈 内包後脚、側頭葉内側 前大脳動脈 内側線条体動脈
小児に特異的な疾患における 一酸化窒素代謝産物の測定 東京慈恵会医科大学小児科学講座 浦島 崇 埼玉県立小児医療センター 小川 潔、鬼本博文.
第2回 市民公開講座 糖尿病を知って その合併症を防ぎましょう
学習目標 【1.ショック】 1.ショックとは何かを説明できる. 2.ショックの原因を分類できる. 3.ショックの段階を説明できる. 4.ショック時の観察ポイントを説明できる. 5.ショックへの対応の流れと治療の原則が説明できる. 【2.意識障害】 1.意識障害とは何かを説明できる. 2.意識障害の原因を分類できる.
高脂血症.
知っとく情報<春号> ○○○保険事務所 ★CONTENTS★ ■代理店●●●●情報 保険募集には無関係な代理店情報が掲載されます(写真含む)
強皮症に伴う腎障害 リウマチ・アレルギー疾患を探る p142. 永井書店 強皮症に伴う腎病変には次の3パターンがある。
硬膜動静脈奇形 Developmental venous anomaly
血栓性血小板減少性紫斑病 TTP 溶血性尿毒素症候群 HUS
1.
A-2 男性用 健診結果から今の自分の体を知る 内臓脂肪の蓄積 ~今の段階と将来の見通し~ 氏名 ( )歳 摂取エネルギーの収支
ノニ果汁の摂食量、飲水量及び体重に対する影響
高槻市医師会地域連携クリティカルパス(患者様用)
末梢性めまいと鑑別困難な小脳梗塞例のまとめ
NSAIDsの使い方.
Willis 動脈輪と主要分枝 Willis 動脈輪 内頸動脈 前大脳動脈A1-前交通動脈 後大脳動脈P1-後交通動脈 A2 A1 Acom
心電図 二次チェック 非ST上昇心筋梗塞 ST上昇心筋梗塞 ー不安定狭心症 予防的治療: (禁忌でなければ): βブロッカー、ACE阻害薬
一過性脳虚血発作の機序: (1990年NINDSの定義と 2009年AHA/ASAの定義別に)
A-3 女性用 健診結果から今の自分の体を知る 内臓脂肪の蓄積 ~今の段階と将来の見通し~ 氏名 ( )歳 摂取エネルギーの収支
1. 糖尿病の患者さんは 血圧が高くなりやすい 2. 糖尿病に高血圧が併発して 合併症が早く進行する 3. 血圧コントロールの 目標と方法
(上級医) (レジデント) 同意説明取得 無作為化 割り付け群による治療開始 来院時
外側線条体動脈領域:分枝粥腫型梗塞とラクナ
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脳梗塞

一過性脳虚血発作(TIA) 定義 脳の循環障害によるさまざまな症状が急速に出現し、24時間以内に 症状、徴候が完全に消失する臨床病態。 アテローマ由来の微小塞栓や脳血管不全などがその原因と考えられ ている。約20~30%が、数年以内に脳梗塞に移行するため脳梗塞 の前駆症状と考えられている。脳の不安定狭心症と考える。 症状 1.内頚動脈系TIA :一側上下肢の脱力や感覚障害、失語、失算、  同名半盲、一過性黒内障など。 2.椎骨脳底動脈系TIA :種々の組み合わせの上下肢脱力感や感覚障害、  同名半盲、失調、平衡障害など。   注意 TIAとは考えにくい一過性症状 :意識障害(失神を含む)、強直性および間代性けいれん、  マーチする感覚障害、回転性めまいのみなど。

脳梗塞の分類 NINDS-Ⅲの分類、1990 発症機序のアセスメント ①血栓性(thrombotic) ②塞栓性(embolic) ③血行力学性(hemodynamic) 臨床病型のアセスメント ①アテローム血栓性(atherothrombotic) ②心原性塞栓性(cardioembolic) ③ラクナ性(lacunar) ④その他(others) 神経症状から梗塞部位を考える 内頚動脈 椎骨脳底動脈系 中大脳動脈 椎骨動脈 前大脳動脈 脳底動脈 後大脳動脈

アテローム血栓性脳梗塞 頭蓋内のlarge vesselや、内頚動脈、椎骨脳底動脈系に生じた動脈硬化(アテローム硬化)が原因。 ①血栓性 ②血行力学性 ③塞栓性 (Artery-to-Artery)

ラクナ梗塞 穿通枝動脈支配に一致した直径15mm未満の小梗塞 ①lipohyalinosis(脂肪硝子変性) 高血圧での血管内皮障害から 血管壁の肥厚や変性を生じ 直径0.2mm以下の血管の閉塞し 3~7mmの小梗塞となる。 ②microatheromaous 直径0.4~0.9mmの血管の閉塞 ③branch atheromatous disease(BAD) MCAやBAのプラーク形成により 穿通枝が閉塞する。 ④microembolism

心原性脳塞栓症 活動期発症 突発完成型 心房細動 梗塞巣が大きく皮質症候を伴いやすい 皮質症候:失語、失行、失認、同名半盲など

脳梗塞の急性期治療(OCH) アテローム血栓性 ラクナ梗塞 心原性塞栓 アルガトロバン(スロンノン) ● × オザグレル (オザペン) オザグレル    (オザペン) エダラボン           (ラジカット) アテローム血栓性脳梗塞 選択的トロンビン阻害薬 アルガトロバン(スロンノン® ) : 48時間以内にスタート ラクナ梗塞 血小板凝集抑制薬 オザグレルNa(キサンボン® ) :5日以内にスタート 脳梗塞一般 抗活性酸素薬 エダラボン(ラジカット) :24時間以内にスタート 心原性脳塞栓症の急性期にはこれらの抗血小板薬、抗凝固薬の投与は控える。 ヘパリン使用はニューロコンサルトまで待つ。

使用法 スロンノン2A+ソルデム3A(500ml) ⇒ 60ml/h 計12A 投与後 ラジカット1A+N/S 50ml ⇒ 100ml/h 12時間おき投与(2週間まで使用可) 日本だけで小規模な二重盲検比較試験が行われ、2週間投与した後の4週目では、       全般的な神経症候の改善度が有意に高かった。                                しかし、国際的な評価基準に則った臨床治験は行われていない。                     日本でのみ使用できる薬。 オザペン1V+N/S 200ml ⇒ 60ml/h 12時間おき投与(2週間まで使用可) 日本だけで使われている点滴薬。約10年前に行われた日本での偽薬との対照試験では、投与1か月後の運動障害の改善に有用であるという結果が得られた。                 しかし、国際的な基準に従った臨床試験は行われていない。                                     日本でのみ使用できる薬。

脳梗塞の2次予防(再発予防) アテローム血栓性脳梗塞 アスピリン75-150mg/day(グレードA) ラクナ梗塞 (グレードB) 心原性塞栓性脳梗塞     ワーファリン(グレードA)        PT-INRで通常2.0~3.0、高齢者は1.6~2.6   注)stroke既往のないAFを有する患者の1次予防は考え方が異なる 脳卒中治療ガイドライン2004