二人零和不完全情報ゲームであるジャンケンにおけるゲームの洗練法 情報論理工学研究所 12-1-037-0105 長崎 凌
ジャンケンに関する既知の結果 研究内容 実験結果および結論 今後の課題 参考文献 目次 ジャンケンに関する既知の結果 研究内容 実験結果および結論 今後の課題 参考文献
ジャンケンに関する既知の結果 ジャンケンに必勝法というものは存在しない 現在、将棋にはプロ棋士と対等に戦えるコン ピュータは存在するが、ジャンケンは安定的かつ 戦略的に勝てるコンピュータはおそらく存在して いない 東大が100%勝つ コンピュータを開発
研究内容 ゲームの洗練度の指標 B:ゲームの自由度(出すことのできる手数) D:ゲームのプレイ時間(開始から終了までのラウ ンド数) 上記の2つの値を用いて √B/D BD の2つを本研究の指標とした
研究内容 √B/D この値はゲームの洗練度を示す指標で、一般 的に洗練してると言えるチェスや将棋のこの 値 が0.07である BD この値はゲームの洗練度を示す指標で、一般 的に洗練してると言えるチェスや将棋のこの 値 が0.07である BD この値はゲームの難易度(複雑さ)を示すもの である。なので、直接この値が洗練度を示す 訳 ではないが、√B/Dと組み合わせてゲーム の難易 度と洗練度の相関関係などを求めるこ とができ る
(参考) 最強レベルのプレイヤーの試合から 研究内容 (参考) 最強レベルのプレイヤーの試合から 得られた数値 B D √B/D BD 将棋 80 115 0.078 80115 ≈ 7.17 × 10218 チェス 35 0.074 3580 ≈ 3.35 × 10125
研究内容 本研究の目的 ジャンケンには将棋やチェスのようなゲーム性が ないため、駆け引きや戦略がほとんどない。そこ で、本研究では種々の特別ルールを追加すること でジャンケンに戦略などを生み出し、ゲームとし て洗練させることを目的とする。
研究内容 追加した特別ルール 1.手によって得点が変わるルール 2.終了条件ルール -H1. グー:5, チョキ:3, パー:1 -E1. 5ラウンド勝負 -E2. 10ラウンド勝負 -E3. 10点先取 -E4. 20点先取 -E5. 5点差コールド -E6. 10点差コールド
実験結果および結論 洗練度は終了条件に依存!! 実験結果 ばらつき 大 ばらつき 小 ばらつき 大 ばらつき 小 実験結果 まず、実験で得られた数値を基に洗練度√B/Dの値を導き出し、下の グラフに示す。 洗練度は終了条件に依存!!
実験結果および結論 また、以下の表は各ルールにおけるゲームの難易度を示す。この 表から、ラウンドマッチジャンケンはチェスや将棋に比べて遥か に難易度が低い単純なゲームであることが示される。 ※ 将棋:7.17×10218 チェス:3.35×10125 E1 E2 E3 E4 E5 E6 H1 4.19×10 1.95×103 1.14×106 5.48×1012 8.21×104 3.55×1013 H2 3.75×10 2.18×103 3.08×106 2.54×1012 8.24×105 3.59×1016 H3 1.12×102 4.22×103 5.98×107 1.34×1017 2.23×108 1.86×1016 H4 5.22×10 2.71×102 1.04×109 1.13×103 9.24×106
実験結果および結論 結論 1. 20点先取もしくは10点差コールドルールがジャンケンを より面白くすることができると考えられる 1. 20点先取もしくは10点差コールドルールがジャンケンを より面白くすることができると考えられる 2. ゲームの洗練度は得点よりも終了条件に依存している 3. より多くの終了条件を用意することでさらに洗練度を 高めることが期待できる
今後の課題 本研究で用いた√B/Dのようなゲームの洗練度を 示す指標を他に見つけること 導き出された特別ルールが本当に面白いのか、実 際に人に試してもらって検証すること
参考文献 1) 飯田 弘之 : ゲーム研究のいま, 情報の科学と技術 62 巻 12 号 ,pp.527-532 (2012), https://dspace.jaist.ac.jp/dspace/bitstream/10119/10889/ 1/19097.pdf 2) 漆間 幸雄, 飯田 弘之 : ゲーム洗練度の理論とポーカー , ゲーム プログラミングワークショップ 2005 論文 集 ,2005(15) ,pp.138-141 (2005), http://id.nii.ac.jp/1001/00097591/ 3) 柏木 理志, 飯田 弘之: ゲームの洗練法 -ジャンケンを題材として - , 情報処理学会研究報告 2003-GI-010 ,pp.9-13 (2003), http://id.nii.ac.jp/1001/00058569/
参考文献 4) H.Iida, N.Takeshima and J.Yoshimura: A Metric for Entertainment of Boardgames: its implication for evolution of chess variants, IWEC 2002 Proceedings ,pp.65-72 (2003) 5) 伊藤大雄: 一般化ジャンケン , オペレーションズ ・ リサー チ ,Vol.18 ,No.3, pp.156-160 (2013), http://www.orsj.or.jp/archive2/or58-03/or58 3 156.pdf 6)山下将臣: じゃんけんゲームに対する遺伝的アプローチ , 高知 工科大学 情報システム工学科 平成 20 年度 学士学位論文 (2009), http://www.kochi- tech.ac.jp/library/ron/2008/2008info/1090396.pdf
参考文献 7) 服部太輔, 細江政範, 石黒友一: ジャンケンの文化的側面と数理解 析 , 南山大学 数理情報学部 数理科学科 2006 年度卒業研究 http://www.kochi- tech.ac.jp/library/ron/2008/2008info/1090396.pdf 8) 牧野泰裕, 西野順二, 小高知宏, 小倉久和: 繰り返し対戦型じゃん けんにおける戦略の特徴 , 福井大学 工学 部 研究報告 第 45 巻 第 1 号 ,pp.71-79 (1997), http://repo.flib.u- fukui.ac.jp/dspace/bitstream/10098/3425/1/AN0021540 1-045-01-007. pdf 9) 佐々木宣介, 橋本剛, 梶原羊一郎, 飯田弘之: チェスライクゲーム における普遍的指標, 情報処理学会 研究 報告ゲーム情報 学 ,Vol.1999-GI-001 ,No.53, pp.91-98 (1999), http://id.nii.ac.jp/1001/00058670/
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