蒸気タービンの流体設計の基礎 火原協大学講座 妹尾 茂樹 2018/5/19 今日は,蒸気タービンの熱・流体設計の基本的な部分の話をさせていただきます. 一時間半の長時間ですので,わからないことや質問があれば,その場で聞いていただいて結構です. Thank you very much for kind introduction, Professor Watanabe. Today, I will be talking about wet steam phenomena in steam turbines. Then I will explain the nonequilibrium condensation theory and its numerical results. 妹尾 茂樹 2018/5/19
Contents 蒸気タービンの流体設計の基礎 1. 本講座の目的 2. 蒸気タービンと熱サイクル 3. ターボ機械の基本法則 4. タービン段落設計 ・速度三角形 ・フローパターン(Vortex design) 5. 高中圧段と低圧段 6. 効率と損失 7. まとめ 話す内容は,ここに書かれた5点で,蒸気タービンの歴史,蒸気タービンの特徴を話した後,本講義の主題である,熱設計と流体設計の話をします.最後に翼設計の導入の部分を少し話します. 設計というと形を決めるという印象が強いかと思うのですが,今日の話は,熱とか流れといった見えない,形のないものの設計の話がメインになります.
この機能を実現するために流れをどう制御するか 1. 本講座の目的 熱 エネルギー 蒸気 タービン 回転の機械的 エネルギー 作動流体:蒸気 この機能を実現するために流れをどう制御するか 流れの何を決めればよいか:流体設計 これは1000MW級の超々臨界圧蒸気タービンです.高圧タービン,中圧タービン,2車室4フローの低圧車室から構成されています. 高圧タービンに入る蒸気は,圧力25MPa,これはおよそ250気圧で,温度600℃の超臨界圧蒸気です.一方,低圧タービンから出ていく蒸気は,5kPa,約30℃の液滴を含む湿り蒸気です.一般的に湿り度,液相の質量分率は8から12%です.液滴を含む気液二相流では,液相の密度が大きいため単位面積当たりの流量が大きくなるなどの二相流状態に依存する特性を持ちます.
P = m Δh = mΔ(rcq)ω Δh = Δ(Ucq) U=rω 熱エネルギー変化 → 速度変化 3-5. ターボ機械のEulerの式 P = m Δh = mΔ(rcq)ω Δh = Δ(Ucq) U=rω 動翼回転速度 これは1000MW級の超々臨界圧蒸気タービンです.高圧タービン,中圧タービン,2車室4フローの低圧車室から構成されています. 高圧タービンに入る蒸気は,圧力25MPa,これはおよそ250気圧で,温度600℃の超臨界圧蒸気です.一方,低圧タービンから出ていく蒸気は,5kPa,約30℃の液滴を含む湿り蒸気です.一般的に湿り度,液相の質量分率は8から12%です.液滴を含む気液二相流では,液相の密度が大きいため単位面積当たりの流量が大きくなるなどの二相流状態に依存する特性を持ちます. 熱エネルギー変化 → 速度変化
F=mΔcq 4-4. 流体力 静翼 動翼 流体力 流量 周方向速度差 U cq1 U cx1 cx2 cq2 U 運動量保存則 これは1000MW級の超々臨界圧蒸気タービンです.高圧タービン,中圧タービン,2車室4フローの低圧車室から構成されています. 高圧タービンに入る蒸気は,圧力25MPa,これはおよそ250気圧で,温度600℃の超臨界圧蒸気です.一方,低圧タービンから出ていく蒸気は,5kPa,約30℃の液滴を含む湿り蒸気です.一般的に湿り度,液相の質量分率は8から12%です.液滴を含む気液二相流では,液相の密度が大きいため単位面積当たりの流量が大きくなるなどの二相流状態に依存する特性を持ちます. F=mΔcq 流体力 流量 周方向速度差 運動量保存則
三次元速度三角形を実現するthroat/pitch分布を持つ翼を設計する 7-1. まとめ:蒸気タービンの流体設計の基礎 熱 エネルギー 蒸気 タービン 回転の機械的 エネルギー 1. 要求仕様の出力と与えられた熱条件より流量が決まる 2. 段の反動度,負荷係数,流量係数を決める → 二次元速度三角形が決まる 3. 段数を決める → 各段の熱条件が決まる → 子午面形状(径,翼高さ)が決まる 4. フローパターン(Vortex design)を決める → 三次元速度三角形が決まる これは1000MW級の超々臨界圧蒸気タービンです.高圧タービン,中圧タービン,2車室4フローの低圧車室から構成されています. 高圧タービンに入る蒸気は,圧力25MPa,これはおよそ250気圧で,温度600℃の超臨界圧蒸気です.一方,低圧タービンから出ていく蒸気は,5kPa,約30℃の液滴を含む湿り蒸気です.一般的に湿り度,液相の質量分率は8から12%です.液滴を含む気液二相流では,液相の密度が大きいため単位面積当たりの流量が大きくなるなどの二相流状態に依存する特性を持ちます. 三次元速度三角形を実現するthroat/pitch分布を持つ翼を設計する