ロボットシミュレーション ODE Dynamics Engineによるロボットプログラミング

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ロボットシミュレーション ODE Dynamics Engineによるロボットプログラミング Step8: 4脚ロボット 2008-6-27版 出村 公成(でむらこうせい) [Web] http://demura.net [Mail] info@demura.net 非営利的な教育目的であれば,このパワーポイントを自由にお使いください。

教科書 簡単!実践!ロボットシミュレーション Open Dynamics Engineによるロボットプログラミング 出村公成著 森北出版 2007年5月 ISBN-13: 978-4627846913 簡単!実践!ロボットシミュレーションの表紙

○週目の内 容 1限目 歩き方の種類 歩行制御 歩かせよう 2限目  サンプルプログラムの説明 演 習 3限目

8.1 歩き方の種類 P198 言葉の定義 歩行:両脚が地面から同時に離れる期間のない運動 脚:太もも、すね、足を含む 足:くるぶしより下の部分 2脚の歩行 左右交互 (通常の歩き) 片方を常に先 (武道の送り足) 4脚の歩行 脚が多いので種類が多い

8.1.1 専門用語の説明 遊脚相:脚を地面から持ち上げている期間 持ち上げている脚を遊脚とよぶ 遊脚相:脚を地面から持ち上げている期間      持ち上げている脚を遊脚とよぶ 支持相:脚が地面に着いている期間      体を支えている脚を支持脚とよぶ 歩容(gait):歩行パターン。各脚がこの相をどの     ような順番で取るか。

用語 デューティ比(duty factor) 1周期中の支持脚の割合 位相(phase) 周期的歩容において基準とする脚が着地した瞬間を時間0とし,1周期後のその足の着地時間を1として,他の脚の着地タイミング

8.1.2 歩行の種類 クロール 爬虫類など低速歩行動物の歩容 左前脚→右後脚→右前脚→左後脚 常に3脚が接地。最も安定している。 クロール (教科書P199から転載)

ウォーク クロールより速い歩容 3脚と2脚が接地する期間がある 2脚だけの期間があるためクロールより不安定 ウオーク (教科書P199から転載)

トロット クロールよりさらに速い歩容 対角の2脚がペアとなって接地と離地を繰り返す 最大2脚しか接地しないのでウォークより不安定 トロット (教科書P199から転載)

ペース トロットよりさらに速い歩容 同側の前後2脚がペアとなって接地と離地を繰り返す ペース (教科書P199から転載)

バウンス 最も速い歩容 前2脚あるいは後2脚がペアとなって歩行 全ての脚が接地していない期間があるので、厳密には走行 ギャロップ:動物はタイミングが多少ずれる バウンス (教科書P199から転載)

8.1.3 歩行の位相 基準とする脚が着地した瞬間を時間0とし,1周期後のその足の着地時間を1として,他の脚の着地タイミング 0:左前脚 0.25: 右後脚 0.5: 右前脚 0.75: 左後脚 (教科書P200から転載)

歩行の位相 (教科書P200から転載)

接地率と位相 歩容 接地率β 支持脚数 左右の位相差 前後の位相差 歩行速度 クロール 0.75以上 3, 4 0.5 1-β 低 ウォーク 0.75~0.5 2, 3 中 トロット 2 高 ペース バウンス 接地率: 1周期中に脚が接地している時間

動物歩行の特徴 移動速度により歩行パターンを切り替える 移動速度が増加すると各脚の接地時間が短くなるが,遊脚の時間はほとんど変わらない 歩行速度の変化は連続だが,歩行パターンは不連続に変化する.消費エネルギーを最小にするモデルで説明可能.

ロボットが転ぶとき 重心の地面への投影点が 支持脚多角形の外にある時 辺abを回転軸として転倒モーメント が働く (教科書P202から転載)

支持脚多角形 支持脚を結んだ多角形(三角形)

安定余裕 重心が支持脚多角 の外にある場合 転倒モーメントが はたらく 安定余裕 重心から支持脚 多角形までの距離 き

重 要 重心の地面への投影点mが支持脚多角形の中にあれば転倒モーメントは働かず外に出れば出るほど転倒モーメントは大きくなる 重 要 重心の地面への投影点mが支持脚多角形の中にあれば転倒モーメントは働かず外に出れば出るほど転倒モーメントは大きくなる 安定に歩行させるためには常に重心の投影点を支持脚多角形の中に入れなければならない

静歩行と動歩行 静歩行:どの瞬間をとっても安定している 歩行 静歩行:どの瞬間をとっても安定している      歩行 動歩行:瞬間的に見れば重心の投影点が      支持脚多角形の外にあるが、慣性      姿勢の制御により安定な歩行を実      現

歩行制御(静歩行) 歩行アルゴリズム 脚先軌道の決定 軌道上の代表点の決定 逆運動学により各代表点に対応する 関節角度の算出 上の関節角度になるように各関節を 制御

4脚ロボットのスペック このロボットを歩かそう! 重量 胴体:10 [kg] リンク1, 2: 0.5 [kg] サイズ 胴体: 500 x 300     x 100 [mm] 自由度 脚3自由度 x 4本 (教科書P206から転載) このロボットを歩かそう!

初期姿勢 計算を簡単にするためx, y, z軸にできるだけ沿うように初期姿勢を決める (教科書P203から転載)

8.2.2 脚先の軌道 ここでは簡単にするために3角形 台形や円弧などが一般的 (教科書P204から転載)

8.2.3 運動学と逆運動学  EX8.1: 図8.5と8.6に示す4脚ロボットの運動学を求めよう。 EX8.2: 逆運動学を求めよう。

逆運動学の解 θ1 -θ2 θ3 θ’1 -θ3 θ1+π θ2-π θ’1+π 姿勢1 第1関節角 第2関節角 第3関節角 姿勢1 姿勢2 姿勢3 θ1+π θ2-π 姿勢4 θ’1+π 姿勢2 (教科書P206から転載)

目標関節角の決定 a点 b点 c点 a点 b点 c点 -0.40 0.05 -0.37 0.1 50.1 -98.1 53.9 -105.3 番号 x[m] y[m] z[m] a点 -0.40 b点 0.05 -0.37 c点 0.1 番号 θ1[°] θ2[°] θ3[°] a点 50.1 -98.1 b点 53.9 -105.3 c点 56.8 -97.3 肩関節を原点としたロボット座標系 (教科書P207から転載)

詳しいアルゴリズム 重心移動:遊脚となる脚iを上げるため他の3脚を制御し、その3脚で構成される支持脚多角形内に重心を移動

演 習 EX8.1: 図8.5と8.6に示す4脚ロボットの運動学を求めよう。 EX8.2: 逆運動学を求めよう。 演 習  EX8.1: 図8.5と8.6に示す4脚ロボットの運動学を求めよう。 EX8.2: 逆運動学を求めよう。 サンプルプログラムpro8-1.zipのソースを読んで理解しよう.

おしまい。