ヒトの神経は中枢神経系と末梢神経系に分けることができる 中枢神経は脳と脊髄から構成されている 脳 【運動や知覚の中枢】 体の外で起こったことや、体の中で起こったことを感じ取ります。情報を分析して、体全体の動きに命令をあたえます。 【知的なはたらき】 目や耳などから送られてきた情報を受け取って、考えたり決めたり覚えたりします。 【感情のコントロール】 喜怒哀楽(きどあいらく)などの感情のはたらきもコントロールしています。 脊髄 脳と末梢神経の中継/連絡と、反射運動をつかさどっています 抹消からの情報を、脳の判断を待つことなく、脊髄そのものが判断して瞬時にはたらくという、「脊髄反射」を行う
神経細胞 ニューロンの基本的な働きは、となりの細胞からの信号を受け取り、さらに隣の細胞にその信号を伝達することです。一つのニューロンが、複数のニューロンから信号を受け取る場合もあるし、複数のニューロンへ信号を伝達することもあります ニューロンの内部では、軸索上を信号が電気的に伝達 信号を発信する側の神経細胞の軸索の終端部分と、信号を受け取る神経細胞の樹状突起のあいだにある隙間を化学物質による信号伝達が行われます 細胞と細胞の隙間の構造をシナプスと呼び、伝達に使う化学物質を神経伝達物質と呼びます ドパミン、アセチルコリン、アドレナリン セロトニン、γ-アミン酸(GABA)
1)刺激が「インパルス」という電気信号として神経終末へ達する 2)インパルスはシナプス小胞の中の神経伝達物物質を放出させ、受け手の神経細胞へ向かわせる 3)神経細胞の受容体は、自分にあった物質が来ると、それと結合して情報を受け取る。 4)受容体へ情報を伝えた神経伝達物質は、トランスポーターという門を通って、神経終末へ再び取り込まれる。あるいはモノアミン酸化酵素(MAO)によって分解され、神経伝達物質としての働きを失う 神経伝達物質の量が増減したり受容体の感受性が不安定になると、神経伝達が不調になります。すると感情や思考、意欲に変化が生じ、こころの障害のような症状を引き起こしてしまうことがあるのです
てんかん発作は、過剰な電気的興奮が起こった部位や電気的な興奮の広がり方によって部分発作(局在関連発作)と全般発作に分けられます。 抗てんかん薬 てんかん発作は、大脳の神経細胞の過剰な電気的興奮と、その興奮が広がることによって起こりますが、抗てんかん薬はこの「興奮系」を抑えるタイプと、興奮の広がりを抑える「抑制系」の働きを強めるタイプがあります てんかん発作は、過剰な電気的興奮が起こった部位や電気的な興奮の広がり方によって部分発作(局在関連発作)と全般発作に分けられます。
過剰な電気的興奮が脳の一部に限定されて起こる発作です 部分発作 過剰な電気的興奮が脳の一部に限定されて起こる発作です 部分発作の中には、限定された部位の過剰な興奮が大脳全体に広がるものもあり、部分発作に続いて全般発作がみられるものがあります。 (1)単純部分発作 患者さん本人は意識があるため、発作の始まりから終わりまで、症状をすべて覚えています。過剰な電気的興奮を起こす部位によって、運動機能の障害(手足や顔がつっぱる、ねじれる、ガクガクとけいれんする、体全体が片方に引かれる、回転する等)、 (2)複雑部分発作 意識が徐々に遠のいていき、周囲の状況がわからなくなるような意識障害がみられる発作で、患者さん本人には記憶障害がみられます (3)二次性全般化発作 単純部分発作または複雑部分発作の症状から始まり、ほとんどの場合は強直(きょうちょく)間代(かんたい)発作に進展します
全般発作 大脳の両側にまたがる広い範囲で過剰な興奮が起こることで発生する発作です。発作時には、ほとんどの患者さんの意識はありません 欠神発作 数十秒間にわたり意識がなくなる発作ですが、けいれんを起こしたり、倒れたりはしません。話をしたり、何かをしているときに、突然意識がなくなるので、急に話が途切れたり動作が止まったりします。学童期や就学前に症状が現れることが多く、女児に多い発作です。 ミオクロニー発作 全身あるいは手足など、どこか一部分の筋肉が一瞬ピクッと収縮する発作です。瞬間的な症状のため、自覚することが少ない発作ですが、連続して数回起こることもあります 強直間代発作 突然発症して、強直発作と間代発作を起こします 強直発作 突然意識を失い、口を固く食いしばり、呼吸が止まり、手足を伸ばした格好で全身を硬くしていきます。数秒〜数十秒間持続します 間代発作 膝などを折り曲げる格好をとり、手足をガクガクと一定のリズムで曲げたり伸ばしたりするけいれんが起こります。 脱力発作 全身の筋肉の緊張が低下・消失するために、くずれるように倒れてしまう発作です
GABA類似作用をもつのは、フェノバルビタール、バルプロ酸、ベンゾジアゼピン系、ガバペンチン、トピラマート 抗てんかん薬 てんかんの治療は興奮を抑える(Na+チャネル遮断、Ca2+チャネル遮断、グルタミン酸拮抗)か、抑制系(GABAアゴニスト)を賦活させるかの大きく2機序である 抑制系の働きを強める 脳の中にはGABA(ギャバ)という興奮を抑える働きをもつ物質がありますが、抑制系を強める抗てんかん薬はGABAの働きを強め、てんかんの症状を抑えます GABA類似作用をもつのは、フェノバルビタール、バルプロ酸、ベンゾジアゼピン系、ガバペンチン、トピラマート 興奮系の働きを抑える 神経細胞は、ナトリウムイオンやカルシウムイオンが細胞の膜を通過して細胞内に入ることで興奮します。これらのイオンの動きを抑えることにより、過剰な興奮が起こらないようにします グルタミン酸等の神経伝達物質の放出を抑制 グルタミン酸の抑制作用をもつのは、フェニトイン、ゾニサミド、トピラマート
抗てんかん薬は、長期にわたって飲むことが多いため、副作用の少ない薬が望まれます。副作用をさけるため、抗てんかん薬を飲み始めるときには少量から始めて徐々に量を増やしたり、血中濃度を測定したりします 脳内の薬の濃度は直接測ることができないので、血液中の薬の濃度から間接的に脳内の濃度を推定します 1種類の薬で発作を抑制する単薬療法が好ましい形ですが、1種類のみでは薬が抑制されないときには、2種類以上の薬をもちいる多薬療法をおこないます。 てんかん発作型を基に経験的、科学的に最も有効かつ副作用の少ない抗てんかん薬から開始します(第一選択薬として部分発作は カルバマゼピンから、全般発作はバルプロ酸が推奨されています)。
飲み始めの副作用(眠気,頭痛,めまい,ふらつきなど)は、薬を少量から開始しゆっくり増量することで防ぐことができます 服薬量が多いための副作用(視界がぼやける,複視,ふらつき,めまいなど)は,服薬後に一過性に出現します.減量か服用回数を増やすことで改善できます
フェニトイン(商品名:アレビアチン、ヒダントール) ヒダントイン系 フェニトイン(商品名:アレビアチン、ヒダントール) イオンには、Na+やCa2+、Cl-などが知られています。Na+、Ca2+は興奮性のシグナルであり、Cl-は抑制性のシグナルです Na+の働きを抑えてしまえば、てんかんによる神経興奮を抑制できることが Na+はNaチャネルという輸送体を通過して、膜の中へ入っていきます。細胞膜の内側はマイナスの電荷を帯びています。一方、Na+はプラスの電荷を帯びているため、Na+が流入すると、一瞬だけ細胞内の電荷がプラスへと変化します。この現象を脱分極と呼びます Naチャネルを阻害することでNa+の透過性を抑えれば、てんかんによる神経興奮を抑制できるようになるのです 強直間代発作や部分発作に有効
•SLE様症状..筋肉や関節が痛む、体や顔が赤くなる、赤い斑点ができる、発熱、手足や首の付け根のリンパ節が腫れる フェニトイン:歯肉増殖 歯茎が腫れます。長期服用患者の約20%に出現します。口腔内を清潔に保つことにより、ある程度は予防できます。増殖がひどい場合は歯肉の切除が必要となることもあります •SLE様症状..筋肉や関節が痛む、体や顔が赤くなる、赤い斑点ができる、発熱、手足や首の付け根のリンパ節が腫れる •小脳萎縮..めまい、ふらつき、目のふるえ、うまくしゃべれない、動作が悪くなる •横紋筋融解症..手足のしびれ・けいれん、力が入らない、筋肉痛、歩行困難、赤褐色の尿
イミノスチルベン系 カルバマゼピン(商品名:テグレトール) Naチャネル阻害薬 躁状態の改善や三叉神経痛を治療するために使用されることもあります 強直間代発作や部分発作に有効 カルバマゼピン:白血球減少 治療開始の数ヶ月以内に生じやすく、子供の約12%、成人の約7%にみられます。臨床的に問題となることはそれほどないといわれています
SLE様症状..筋肉や関節が痛む、体や顔が赤くなる、赤い斑点ができる、発熱、手足や首の付け根のリンパ節が腫れる 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)..だるい、のどが渇く、頭痛、吐き気、けいれん、意識もうろう、気を失う 重い皮膚症状..高熱、ひどい発疹・発赤、唇や口内のただれ、のどが痛い、水ぶくれ、皮がむける、強い痛み、目の充血 心不全、心ブロック、高度な徐脈..息苦しい、胸が苦しい、動悸、疲れやすい、むくみ、脈が飛ぶ、脈が1分間50以下、めまい、気が遠くなる、失神
分枝脂肪酸系 バルプロ酸ナトリウム(商品名:デパケン、セレニカ) GABAトランスアミナーゼ阻害薬 GABAはある酵素によって不活性化されます。この酵素をGABAトランスアミナーゼと呼びます。GABAトランスアミナーゼを阻害すれば、GABAの不活性化が抑えられるため、GABAの量を増やすことができます 神経興奮を抑えるCl-を増大させ、てんかん発作に関わる異常な興奮を抑制 てんかん症状を幅広く抑えることができます。 脳全体にてんかん発作が起こる全般てんかんに対して、バルプロ酸ナトリウムは高い効果を有します。全般てんかんに対して、単独投与で87.7%の有効性を示したことが分かっています
バルプロ酸ナトリウム:高アンモニア血症 原因については色々な説があり、腎臓でのアンモニアの産生増加、尿素サイクルの障害などがいわれています。治療として、腸管でのアンモニア産生・吸収を抑制する薬剤や、カルニチンの投与が行われることがあります 高アンモニア血症による意識障害、血液障害、膵炎、過敏症症候群なども報告されています 脳神経の異常(多くは中止で回復)..物忘れ、思考力低下、うまく話せない、体のふるえ・こわばり、動作がにぶい、うまく歩けない 重い皮膚症状..高熱、ひどい発疹・発赤、唇や口内のただれ、のどが痛い、水ぶくれ、皮がむける、強い痛み、目の充血 カルバペネム系抗生物質は避けなければなりません。併用により、この薬の血中濃度が低下し、てんかん発作が再発するおそれがあるためです
バルビツール酸系薬 催眠、鎮静、抗てんかん、全身麻酔作用 作用機序はCl-の透過性亢進 抗け いれん作用は,後シナプス膜の安定化作用と不応期を延長させ伝達抑制作用,反復 放電の伝導を低下,多シナプス網の反復活動抑制により過度の興奮の拡がりを防 ぐとともにけいれんlを上昇,発作焦点からの異常放電を発火しにくくし,抗け いれん作用
フェノバルビタール:小児における多動、興奮、かんしゃくなど 治療初期に一過性に出現し、1年以内に消失することが多いという報告があります •依存..長期に多めの量を飲み続けると、体が薬に慣れた状態になりやめにくくなる。このとき急に中止すると、いらいら、強い不安感、不眠、ふるえ、けいれん、混乱、幻覚など思わぬ症状があらわれることがある(徐々に減量すれば大丈夫)。 •呼吸抑制..息苦しい、起床時の頭痛・頭重感。(もともと呼吸器系の弱っている人で、まれに出現)
パーキンソン病 おもな症状 パーキンソン症状(パーキンソニズム) 動作緩慢(無動)、手足のふるえ(安静時振戦)、筋肉のこわばり(筋固縮)が主な症状で次のような症状もみられます。 仮面様顔貌、発語障害(小声、どもる)、書字困難、手の細かい運動の障害 精神症状(反応が遅い、うつ状態) 歩行障害(こきざみ歩行、前かがみ、突進歩行、すくみ足、腕振りの消失) 姿勢反射障害(姿勢バランスが崩れた時によろめいたり、こけたりする) 自律神経症状(便秘、たちくらみ:起立性低血圧)。 脳内の中脳という場所の黒質という部分の神経細胞の数が減ることが原因です。ここの神経細胞は、ドパミンという神経伝達物質を作ります。ドパミンはこの細胞が伸ばした突起を通して線条体という部分に運ばれ、突起の先端に貯蔵されて必要に応じて利用されます。したがってパーキンソン病では線条体のドパミンが減少します。
脳内の黒質という場所にある神経細胞が変性したり無くなったりして、黒質で作られる「ドパミン」という神経伝達物質が減少してしまうことにより、脳から全身に出される運動の指令がうまく伝わらなくなり、体の動きが不自由になる病気
錐体外路系変性疾患 運動神経の経路は、脳から筋肉へ直接命令を伝える経路(延髄の錐体と呼ばれる部分を通るので錐体路と呼ばれる。)の他に、運動が円滑に行えるよう、無意識のうちに筋肉の緊張を調節する経路がある。これは、錐体路以外ということで錐体外路と呼ばれる。 錐体路が障害されれば、脳からの命令が筋肉に伝わらないので、麻痺が生じる。 錐体外路が障害されると、麻痺はなくても運動が円滑に行えなくなる 随意運動を支配する錐体路と協調して働く。錐体外路系が障害を受けると,不随意性の運動が自発するようになるとともに,随意運動もうまくできなくなる ヤールの5段階病期 1期:手足の片側のみの症状の時期 2期:両側に症状があるが、ふつうの生 活可。 3期:姿勢反射障害が出はじめる。仕事可。 4期:介助歩行がいる。 5期:車椅子が必要
パーキンソン病の治療法 ドーパミン補充療法:レボドパ(マドパー、ネオドパストン、メネシット、ECドパールなど) 抗コリン薬(アーテン、アキネトン、トリモール) ドーパミン放出促進薬(シンメトレル) ドパミン受容体刺激薬(麦角系:パーロデル、ペルマックス、カバサール、 非麦角系:ドミン、ビ・シフロール、レキップ):パーキンソン症状 の改善のほか神経保護作用があるとされ、症状の進行 が抑えられることが期待されています。 ドパミン分解抑制薬(エフピー錠、エフピーED錠):MAO B阻害薬とも呼びます。 レボドパと併用します。症状の 進行を抑えることも期待されて います。 COMT阻害薬(コムタン):レボドパを分解する酵素であるCOMTを阻害しレボドパ の効果を持続させる薬です。レボドパと併用します。 レボドパの作用時間が短くなる現象(ウエアリングオ フ現象)や症状の日内変動を改善することが期待 できます ノルアドレナリン補充療法:すくみ足の改善(ドプス)
ドーパミン補充 L-ドパは、脳内で不足しているドパミンを直接補充する薬剤。パーキンソン病の薬物治療において中心となる薬です。脳と血液の間には「血液脳関門」があり、有害物質の脳への侵入をブロックしています。ドパミンは血液脳関門を通過できませんが、L-ドパは通過可能。関門を通過したL-ドパは脳神経に取り込まれてドパミンへと変化し、パーキンソン病の症状を改善していくという仕組みです 「レボドパ → ドパミン」への変換にはドパ脱炭酸酵素が関与しています。ただし、このドパ脱炭酸酵素は脳内だけでなく、血管内などにも存在します。そのため、レボドパが血液中を流れている間にドパミンへと変換されてしまいます レボドパを単独で投与したとしても、そのほとんどが脳に到達する前にドパミンへと変換されてしまいます
ドーパミン放出促進 ドパミン神経からのドパミン分泌を促進します ドパミン受容体刺激薬 ドパミンアゴニストは、少なくなったドパミンの代わりに脳内のドパミン受容体に結合し、働きを補う薬剤です。L-ドパに比べて効果は劣るものの、長時間安定して作用するのがメリット。初期・軽度のパーキンソン病治療に適していると言われます 抗コリン ドパミンの減少により、過剰となっているアセチルコリンの働きを抑制する薬。振戦(細ふるえ)が改善しない場合などに、他の薬剤と併用して用いられます。 ドパミン分解抑制薬 ドパミンを脳内で分解してしまう酵素「MAO-B」の働きを抑え、ドパミンの量が減らないようにします
COMT阻害薬 レボドパはドパ脱炭酸酵素によって代謝されるだけでなく、その他の酵素によってもレボドパが代謝されていきます。つまり、レボドパの代謝には多くの酵素が関与しています ドパ脱炭酸酵素以外でレボドパを代謝する酵素としてCOMTと呼ばれる酵素があります。COMTは腸管や肝臓などに存在しており、レボドパを他の物質へと代謝してしまいます ノルアドレナリン補充療法 バランス障害として「すくみ足」と呼ばれる症状があります。 パーキンソン病では全体のドパミン量が減少していますが、脳内のノルアドレナリンも同じように減ってしまいます。これは、ノルアドレナリンはドパミンから合成されることにあります ドパミンはノルアドレナリンの原料であるため、ドパミンが減っているパーキンソン病患者ではノルアドレナリンの量も減ってしまいます パーキンソン病患者ではノルアドレナリンを補う薬が使用されます
悪性症候群 主に向精神薬の副作用として知られています。発生する原因となるのがパーキンソン病治療薬の急激な中止、減量、さらには薬を飲むのをやめたり再開したりという急激な服用による副作用です 高熱、汗を多量にかく、よだれが出る、言語障害、頻脈、意識障害、振戦(手足が勝手に動き出したり震える症状)が代表的
2年~5年間を過ぎると、ほとんどの患者はレボドパが以前のように長く効かず、薬の効果がだんだん減ってくるのに気がつくようになります。この現象を“ウェアリング・オフ”といいます。レボドパの効果が短くなってくると、血中濃度の変化に伴って薬の効いている時間と効いていない時間ができて、1日の中での症状の変化(日内変動)が現れてきます。 また、レボドパを服用してもなかなか効果が現れてこなかったり(delayed-on)、あるいは全く効かないうちに次の薬の服用時間になってしまったり(no-on)というような“効果の不安定性”も出てくることがあります。 ウェアリング・オフや効果の不安定性がひどくなってくると、薬の血中濃度とは無関係にスィッチを切ったりつけたりするように、“オン”(薬の効いている状態)になったり、“オフ”(薬の効いていない状態)になったりすることもあります。これを“オン・オフ現象”といいます。高用量のレボドーパを服用している経過の長い患者におこります。 ウェアリング・オフがひどくなり、オンのときには不随意運動があらわれ、オフになると動きづらくなって、よい時間帯が極めて短くなってしまう(ヨーヨー現象)
酸性にすると吸収されやすくなるので、酢の物や柑橘類のジュースなどで酸を補うようにしましょう。ビタミンCと一緒にのむとよい場合もあります L-ドパ製剤 血液と脳の間には関所(血液脳関門)があり、ドパミンはこの関所を通ることができません。そのため、この関所を通ることができ、脳の中でドパミンになるL-ドパをお薬として使います L-ドパ製剤はよく効くお薬ですが、長期間のんでいると効果が弱くなったり、1日のうちに症状がよくなったり悪くなったりすることがありますので、量を少な目にしたり、最初は他の薬を使ったりすることもあります 重い副作用として「悪性症候群」 前兆のない突発的睡眠を起こす可能性もあります 朝、昼など薬の効果を高めたい時間帯はできるだけタンパク質を含む食品を摂らず、1日の必要量は夕食で摂ると、日中のL-ドパの効果を高めることができます 酸性にすると吸収されやすくなるので、酢の物や柑橘類のジュースなどで酸を補うようにしましょう。ビタミンCと一緒にのむとよい場合もあります
レボドパ・ドパ脱炭酸酵素阻害薬配合剤 脳に存在するドパ脱炭酸酵素は阻害しないが、血管内などの末梢に存在するドパ脱炭酸酵素を阻害する薬を開発することができます。これによって、「血管内などの末梢ではレボドパを代謝しないが、脳内ではドパ脱炭酸酵素によってドパミンへと変換される」という状況を作り出すことができます ドパ脱炭酸酵素阻害薬は「レボドパを投与した後に血液中でドパミンへと変換される過程」を抑制することができるため、結果としてレボドパの作用を強めることができます
過敏症状(発疹(ほっしん)などのアレルギー症状)、悪性症候群、皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死症 ドパミン遊離促進薬 「ドパミンを外から補う」、「ドパミン受容体を刺激する」など、多くの作用点があります。患者さんの症状に応じて、どの作用機序の薬が適切であるかを選ぶのです パーキンソン病を治療するためにはドパミン量を増やす必要があります。そこで、神経細胞に蓄えられているドパミンを放出させることができれば、ドパミン量が増えてパーキンソン病を治療 過敏症状(発疹(ほっしん)などのアレルギー症状)、悪性症候群、皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死症 まれに気分の高揚、多幸症が現れることがあります 医薬品が出回ると多くの患者さんに使用されるようになりますが、この時にインフルエンザを発症したパーキンソン病患者に対しても投与されます インフルエンザを発症したパーキンソン病患者において、パーキンソン病改善作用が発見されたのです
パーキンソン病患者では脳内のドパミン量が少なくなっています。この状態を改善するためには、ドパミンの働きを補助すれば良いことが分かります ドパミンアゴニスト ブロモクリプチン(商品名:パーロデル) パーキンソン病患者では脳内のドパミン量が少なくなっています。この状態を改善するためには、ドパミンの働きを補助すれば良いことが分かります ドパミンがその機能を発揮するためには、D受容体(ドパミン受容体)に作用しなければいけません。特に、パーキンソン病ではD2受容体(ドパミン2受容体)が重要です ドパミンと同じようにD2受容体を刺激する物質を投与すれば、パーキンソン病の症状を緩和できるようになります。D2受容体が活性化され、結果として脳内のドパミン量が増えているときと同じ状態を作り出すことができるからです
急激な血圧低下,起立性低血圧による嘔吐,冷汗,失神などのショック 悪性症候群 胸水,心膜液,胸膜炎,心膜炎,胸膜線維症,肺線維症 心臓弁膜症がおこることがあり,特に高用量を長期間服用するとその危険性が増大 パーキンソン病でレボドパまたはドパミン受容体作動薬を服用している人は,病的賭博(個人生活の崩壊や社会的な不利益を招くにもかかわらず,ギャンブルを繰り返す状態),病的性欲亢進などの衝動制御障害が現れるとの報告 突発性睡眠
緑内障の患者さんや、前立腺肥大症など尿の出にくい病気を持っている患者さんは、症状が悪化するため使用できません 抗コリン薬 ドパミン以外の神経伝達物質として、アセチルコリンに作用することでパーキンソン病を治療,ドパミンの量が増えると全体のアセチルコリンが減少します。その逆にアセチルコリンが増加するとドパミン量が減ってしまいます。ドパミンとアセチルコリンは互いに拮抗しあう関係である.パーキンソン病の治療薬を創出するためには「ドパミンの量を増やすことができれば良い」と考えることができます 「アセチルコリンが作用するための受容体」を阻害する薬を抗コリン薬と呼びます。抗コリン薬は「アセチルコリンの働きを抑える(コリンに拮抗する)」という働きから、抗コリン薬と呼ばれています 主に振戦(手や足の震え)に有効 緑内障の患者さんや、前立腺肥大症など尿の出にくい病気を持っている患者さんは、症状が悪化するため使用できません 悪性症候群 精神錯乱、幻覚、せん妄 閉塞隅角緑内障 激しい眼痛、頭痛、急激な視力の低下
放出されたドパミンの分解に関わっている酵素としてMAOB(モノアミン酸化酵素B)があります エフピー(セレギリン) 放出されたドパミンの分解に関わっている酵素としてMAOB(モノアミン酸化酵素B)があります MAOBが存在すると、脳内のドパミンが分解されていきます。これによって、脳内のドパミン量がどんどん少なくなっていきます。つまり、このMAOBの働きを阻害することができれば、脳内のドパミン分解が抑制されて全体のドパミン量が増大します レボドパだけでなくここにセレギリン(商品名:エフピー)を併用させることによって、パーキンソン病による筋固縮や無動、ウェアリング-オフ現象を改善させることができます 急激な減量・中止による悪性症候群 幻覚,妄想,錯乱,せん妄 狭心症の発現または悪化が報告
アルツハイマー病が進行するにつれて、記憶障害は悪化し、他の認知能力の変化がはっきりとしてきます。問題には以下のようなものが挙げられます。 迷子になる お金の取扱いや請求書の支払いに問題が生じる 質問を繰り返す 普通の日常作業をこなすのに時間がかかるようになる 判断力の低下 物をなくしたり、おかしな場所に置き忘れたりする 言語や論理的思考、感覚処理および意識的な思考を制御する脳の領域に障害が起こります。症状には以下のようなものが含まれます: 記憶障害や錯乱が悪化する 家族や友人を認識しにくくなる 新しいことを覚えられない 複数の手順による作業(着替え等)が困難になる 幻覚、妄想およびパラノイア 衝動的行動 高度のアルツハイマー型認知症の人はコミュニケーションをとることができなくなり、自身の世話を他人に完全に依存するようになります。最終的には、身体機能の低下に伴い、ほとんどをベッド上で過ごすか寝たきりになる場合があります。よく見られる症状は以下の通りです。
アルツハイマー病は複雑な病気で、なにかひとつの介入によって進行を遅らせ、予防し、治癒できるという可能性は低いでしょう。このため、現在の治療や研究においては、患者の精神機能の維持を助けること、行動・心理症状に対処すること、症状の進行を遅らせることなど、いくつかの様々な側面に焦点が当てられています。
脳が記憶を行う上で、神経伝達物質の存在が必要不可欠となり、このような脳の記憶に関わる神経伝達物質としてアセチルコリン(ACh)があります。 ドネペジル(商品名:アリセプト)の作用機序 脳が記憶を行う上で、神経伝達物質の存在が必要不可欠となり、このような脳の記憶に関わる神経伝達物質としてアセチルコリン(ACh)があります。 アルツハイマー型認知症の患者さんは脳内のアセチルコリン量が減少しています。アセチルコリン量を増やすことができれば、アルツハイマー型認知症を治療 アセチルコリンを分解する酵素として、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)
ドネペジルは病気の症状を改善するわけではなく、あくまでも「病気の症状を遅らせる薬」になります。そのため、この薬を服用していたとしても、少しずつ認知症の症状が進行してしまいます。 主な副作用として、発疹、そう痒、食欲不振、嘔気・嘔吐、下痢、腹痛、興奮、不穏(落ち着かないこと)、不眠、徘徊(あてもなく歩き回る) 心筋梗塞、心不全 肝炎、肝機能障害 錐体外路障害 消化性潰瘍、十二指腸潰瘍穿孔、消化管出血 悪性症候群 脳性発作、脳出血、脳血管障害 横紋筋融解症
NMDA受容体拮抗薬 メマンチン(商品名:メマリー) グルタミン酸は脳内における興奮性のシグナル伝達物質である。このグルタミン酸の受容体にはいくつか種類があるが、その一つとしてNMDA受容体がある アルツハイマー病が進行することによってNMDA受容体の数自体は減少するが、受容体は常に刺激された状態となる。アルツハイマー患者ではシナプス間隙のグルタミン酸濃度が常に高くなってしまうのである グルタミン酸濃度が高くなることによって、細胞内にCa2+(カルシウムイオン)が過剰に流入する。これによって、神経細胞の障害が起こる。 メマンチンは異常な受容体の活性化に対してはCa2+の流入を抑える。それに対し、正常なシグナル伝達のような強い脱分極条件下では、メマンチンは素早く受容体から解離する
催眠薬(睡眠薬) 睡眠を引き起こす 抗精神病薬(強力精神安定薬) 1.不安・焦燥・興奮を鎮める 2.幻覚・妄想等の異常 体験を軽減する 3.意欲をたかめる といった作用を持ち、 いわゆる精神病に使われる 抗不安薬(精神安定薬) 不安感をとる 抗うつ薬 うつ状態を改善する 抗躁薬 躁状態を改善する 気分安定薬 気分の波を抑える 精神刺激薬(覚醒薬) 気分を持ち上げる 抗てんかん薬(抗けいれん薬) てんかんの発作を抑える 抗パーキンソン病薬 パーキンソン症状を和らげる 抗酒薬 アルコールの分解を妨げて、アルコール依存症の治療に用いられる その他 痴呆症治療薬 痴呆症の治療に使われる 漢方薬 精神科領域でも様々な場合に使われることがあります
統合失調症は、幻覚や妄想という症状が特徴的な精神疾患です。それに伴って、人々と交流しながら家庭や社会で生活を営む機能が障害を受け(生活の障害)、「感覚・思考・行動が病気のために歪んでいる」ことを自分で振り返って考えることが難しくなりやすい(病識の障害)、という特徴を併せもっています。 多くの精神疾患と同じように慢性の経過をたどりやすく、その間に幻覚や妄想が強くなる急性期が出現します。 新しい薬の開発と心理社会的ケアの進歩により、初発患者のほぼ半数は、完全かつ長期的な回復を期待できるようになりました(WHO 2001)。 以前は「精神分裂病」が正式の病名でしたが、「統合失調症」へと名称変更されました。
抗精神病薬には大きく分けて定型抗精神病薬といわれる従来型抗精神病薬と、非定型抗精神病薬といわれる新規抗精神病薬の2種類があります 定型抗精神病薬はドパミンのみを抑制する作用をもち、第一世代の抗精神病薬と呼ばれています。ドパミンの働きを強力に抑制するため、中脳辺縁系という部分に作用することで陽性症状の顕著な改善が得られます 非定型抗精神病薬はドパミンだけでなくセロトニンやその他の神経伝達物質への作用をもっており、陽性症状に対する効果はもとより、錐体外路症状などの副作用の発現が少なく、また、従来型抗精神病薬で改善が得られない陰性症状や認知機能障害に対しても効果が得られることがあります 錐体外路症状 抗精神病薬はこのドーパミン神経の働きを抑える作用があり、それによって精神症状が改善します。 ところがその抑制作用が強くですぎると、スムーズな体の動きができなくなってきます。これが錐体外路症状の現れるメカニズム
悪性症候群 急に高熱(39-40度)が出て下がらない、汗を多くかく、脈が速くなる、筋肉のこわばりが強くて動けない、意識がもうろうとするといった症状が現れます 薬を飲み始めてから2週間以内に発症するケースが多い 特に、体が疲れているときや精神状態が不安定で食事や水分を十分に摂取していないときに、強力な薬剤を服用すると生じやすい 多量の汗をかくと極度の脱水症状になる危険性が高く、こうしたときの応急処置として水分をしっかり取ることが大事 パーキンソン症候群(パーキンソンニズム) 「手足の筋肉が緊張する」「動作が鈍くなる」「手が震える」「体が前屈みになって小刻みに歩く」などの症状は、錐体外路症状の中でも特徴的なものです この症状は自然に消えることも、長く続くこともありますから、薬の飲み方を変えながら経過を観察していくことが大切です。 治療としては、パーキンソン病の治療薬(抗パーキンソン病薬)を使ったり、薬の量や種類を減らしたり、副作用の少ない新しい抗精神病薬に切り替えたりします ジスキネジア 顔の表情をつくる筋肉や口の周辺、顎、舌、さらに手足や体そのものが自分の意志とは無関係に動くようになることがあります
遅発性ジスキネジア 数カ月から、ときには数年以上経ってから現れることがある副作用 薬を止めても元に戻らないことがあるので、早目の対応が必要です。 舌を突き出す 口をすぼめる。唇を尖らせる 口をもぐもぐと動かす。歯をくいしばる 体をくねらせる、ねじるような動きをする 急性ジストニア 薬を飲み始めて1~5日以内に起こる 首が反り返る 目が上を向いたまま正面を向かない 舌が出たままになる ろれつがまわらない アカシジア 静座不能症あるいは着座不能症とも呼ばれます 四肢にむずむずするような異常知覚を感じて、そわそわしてじっとしていられない状態になります 絶えず歩き回る 足を落ち着きなく揺らす 立っているときに足踏みをする じっと座っているまたは 立っていることができない カタレプシー 受動的にとらされた姿勢を保ち続け,自分から元に戻そうとしない症状 精神失調症の一種や心因性の精神障害などで見られる。強硬症
抗利尿ホルモン分泌異常症(SIADH) 下垂体からの抗利尿ホルモン(ADH)の分泌調節機能が損われ、血管内の水分が過剰にもかかわらず、抗利尿ホルモンの分泌が抑制されない状態をいい、血管内の水分貯留と希釈性低ナトリウム血症が生じます 血中ナトリウムの低下の程度により、意識状態に変化がみられます。血中ナトリウムがある程度まで低下すると、食欲不振、悪心、嘔吐、性格の変化などが起こります。さらには、精神錯乱、けいれん、昏睡状態に至ります 肺塞栓症 深部静脈血栓症 固形物が血液の流れに乗って肺の動脈(肺動脈)に運ばれ、そこを突然ふさいでしまう(塞栓)病気 深部静脈(大腿静脈など、体の深部にある静脈)に血栓が出来る病気 「エコノミークラス症候群」もこのひとつです。 突然の胸痛、呼吸困難、頻呼吸呼吸回数が多い) 血液がたまって下肢がはれます
神経伝達物質とニューロン 精神活動の面で重視されるのはγ-アミノ酪酸(GABA-ギャバ)、ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンなどです。特にドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンを総称してモノアミン神経伝達物質と言いますが、モノアミン神経伝達物質は、情動に大変大きな働きを起こし、また多数の脳内の部位に大きな影響を及ぼすことで知られています。
ドパミン受容体としては主にD1受容体とD2受容体の二つがあります 定型抗精神病薬はこの中でもD2受容体を阻害する働きがあります 定型抗精神病薬はドパミンに対してのみ抑制する作用をもっています。ドパミンの働きを強力に抑制するため、もともとドパミンが過剰になっている陽性症状に対しては大きな改善効果を持ちます ドパミン受容体としては主にD1受容体とD2受容体の二つがあります 定型抗精神病薬はこの中でもD2受容体を阻害する働きがあります 統合失調症では、脳内の神経伝達物質に異常が起こっています。そのために幻聴や妄想などの症状が表れてしまいます。この症状を統合失調症の中でも陽性症状と呼びます ドパミンの作用を抑え過ぎるとパーキンソン病のような症状が表れてしまう事があります 体が勝手に動き出してしまうジスキネジア、生理不順や無排卵などを引き起こしてしまう高プロラクチン血症、足をじっとしていられないアカルジアなどが表れることもあります
クロルプロマジン ハロペリドール Syndrome malin(悪性症候群) 突然死、心室頻拍 麻痺性イレウス 眼障害 再生不良性貧血、溶血性貧血、無顆粒球症、白血球減少 肺塞栓症、深部静脈血栓症 遅発性ジスキネジア、遅発性ジストニア 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH) 治療初期に起立性低血圧があらわれることがある 過量投与 傾眠から昏睡までの中枢神経系の抑制、血圧低下と錐体外路症状である。その他、激越と情緒不安、痙攣、口渇、腸閉塞、心電図変化及び不整脈等があらわれる可能性がある ハロペリドール 妄想や幻覚をおさえる作用が強いとされます 月経異常、体重増加、女性型乳房、乳汁分泌、高プロラクチン血症、インポテンス、持続勃起 過量投与 低血圧、過度の鎮静、重症の錐体外路症状(筋強剛、振戦、ジストニア症状)等である。また、呼吸抑制及び低血圧を伴う昏睡状態や心電図異常があらわれることがある。小児では血圧上昇があらわれたとの報告
非定型抗精神病薬 リスペリドン D2受容体・5-HT2受容体遮断薬(SDA) 定型抗精神病薬は統合失調症の陽性症状を改善します。しかし、その作用機序から陰性症状までは改善せず、パーキンソン症候群や高プロラクチン血症が副作用として表れます 非定型抗精神病薬ではD2受容体受容体の遮断作用が弱くなっており、その代わりとしてセロトニン2受容体(5-HT2受容体)の阻害作用を併せ持っています 非定型抗精神病薬はドパミンのみならずセロトニンまで阻害することによって、統合失調症の陰性症状まで改善させることができます。それだけでなく、D2受容体受容体阻害作用も弱くしているのでパーキンソン症候群や高プロラクチン血症などの副作用も軽減しています SDA(セロトニン・ドパミンアンタゴニスト
オランザピン(商品名:ジプレキサ) 多元受容体標的化抗精神薬(MARTA) D2受容体と5-HT2受容体を遮断することで、統合失調症の陽性症状・陰性症状の両方を改善できます 多元受容体標的化抗精神薬(MARTA)はD2受容体・5-HT2受容体の阻害作用だけでなく、アドレナリンα1受容体やヒスタミンH1受容体にも阻害作用を示します 抗精神病作用に加え、認知機能や欝に対する効果が期待され、また鎮静効果があるために睡眠薬の代わりに使用されることもある 抗コリン、抗ヒスタミンらによる副作用である体重増加や血糖の上昇に注意
アリピプラゾール(商品名:エビリファイ) ドパミンD2受容体パーシャルアゴニスト 多くの薬は基本的に「100%活性化させる」または「完全に阻害する」のどちらかの作用となります。受容体を100%活性化したり完全に阻害したりするのではなく、「中途半端にほどよく受容体を活性化させる薬」 この薬ではどれだけ薬を投与しても、受容体の活性化が30%で留まります。そのため、統合失調症の陽性症状のようにドパミン量が多くなっている100%活性化の状態であると、この薬を投与することで受容体の活性化を30%にまで下げることができます ドパミンの放出が少なくなっている0%活性化の状態では、今回の薬を投与することで30%の状態にまで受容体を活性化させることができます。そのため、パーキンソン症候群の危険性を軽減できます 受容体をほど良い状態にまで活性化させる薬をパーシャルアゴニスト(部分作動薬)
脳の中のセロトニンやノルアドレナリンという物質の働きを高めて、(1)抑うつ気分を取り除いて気分を高める (2)意欲を出させる (3)不安や緊張、焦燥感(いらいらした感じ)を取り除く、といった効果をあらわします。いくつかのタイプがあり、症状や状態によって使い分けます。抗うつ薬は効果が現れるまでに1週間から数週間かかりますので、効果がすぐに現れないからといって、自分で薬を止めてはいけません。また、再発を抑えるために、完全に症状がなくなった後も、しばらくの間、飲み続けることが大切です
セロトニンの働き
ノルアドレナリンのはたらき
三環系抗うつ薬 うつ病を改善する効果をもつくすりですが、一方でセロトニン以外のアセチルコリンという神経伝達物質の働きを抑制してしまうため、抗コリン作用という便秘、排尿困難、口が渇くなどの副作用があらわれることがあります 四環系抗うつ薬 三環系抗うつ薬の副作用である抗コリン作用を少なくすることを目的として開発されたくすりです。
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬) 現在世界中で使われている抗うつ薬です。セロトニントランスポーターに作用し、神経細胞と神経細胞の間でセロトニンの量を調整するように働きます。不安を抑える作用が強いので、抑うつ状態のほか、不安が強い患者さんにも用いられます。副作用は比較的少ないといわれていますが、飲み始めに、吐き気や嘔吐、便秘、下痢などの消化器系の副作用があらわれることがあります。これらの症状の多くは1~2週間で自然に消えますが、気になるときは医師に相談してください。 SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬) 2000年に使用が認められた抗うつ薬で、脳内神経伝達物質であるセロトニンとノルアドレナリンの両方の調整を行うために、セロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害する作用があります。
効果が出るまでに1~2週間かかるということです。この点、のんですぐ効果の出るペンゾジアゼピン系抗不安薬とは対照的です。抗うつ薬が効果を発揮するためには、脳の代謝のバランスが変わってくる必要があり、それに時間がかかるためと考えられています。薬によってはもう少し早く効果が現われるものもありますが、少量から始めてだんだん増量していく方法をとると、有効量に達するまでの期間があるので、さらに時間がかかることになります。
三環系 四環系 服薬開始当初が最も強く、2週間もするとかなり消腿してきます。その頃には効果も現われてきますから、抗うつ薬療法ではやはり初めのうちの辛抱が大切 副作用で多いのは眠気、口渇、便秘などです。眠気は中枢神経抑制作用によるもので、鎮静、注意・集中力低下なども起こるので、自動車の運転はひかえねばなりません。不眠がある場合は、夜寝る前に服用することで、睡眠薬のかわりになります 口渇、便秘などは抗コリン作用と言って、自律神経系に現われる副作用です。口渇は唾液の分泌が減るためで、飲水、チューインガムなどでしのぎます。便秘は腸の運動が抑制されるためで、繊維食などで対処し、下剤も用います。そのほか起立性低血圧、頻脈、目のかすみ、鼻閉などもときどき見られます。注意すべきは、前立腺肥大症や緑内障のある人で、排尿障害や眼圧上昇を来すことがあるので、医師に申し出なければなりません
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬) SNRI(選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬) 飲み始めは吐き気や下痢を起こすことがよくあります。(2週間程度でおさまります) セロトニン症候群(錯乱、意識もうろう、発熱、発汗、ふるえ、けいれん、体が勝手に動く(ミオクロヌス)) 悪性症候群(筋肉の硬直、意識障害、発熱、発汗、頻脈、けいれん発作) 冷汗、顔面蒼白、手足の冷え・しびれ、じんま疹、全身発赤、顔や喉の腫れ、息苦しい、めまい、 血圧低下、不眠、性欲減退。 SSRIよりも、抗うつ作用が強く、効き始めが早いと考えられています。 副作用が少ないのも特徴です。 SSRIにみられる飲み始めの吐き気や嘔吐もほとんどありません。
イミプラミン(商品名:トフラニール)の作用機序 神経間に放出されたセロトニンやノルアドレナリンは輸送体と通じて再び神経細胞に回収されます。この回収に関わる輸送体(トランスポーター)をアミントランスポーターと呼びます アミントランスポーターを阻害する事でセロトニンやノルアドレナリンが神経間に長く留まるように調節します。これによって神経間の神経伝達物質の量が増え、情報のやり取りがスムーズになります 三環系抗うつ薬は「うつ病を改善する効果は強いが、その副作用も強力である 主な副作用としては、口渇(34.3%)、めまい・ふらつき・立ちくらみ(20.9%)、眠気(18.9%)、便秘(15.3%) 尿が知らないうち漏れてしまう遺尿症の治療にもイミプラミン(商品名:トフラニール)が使用されます。遺尿症の代表としては夜尿症があり、いわゆる「おねしょ」の事を指します
アモキサピン(商品名:アモキサン) 抗うつ薬は効果が表れるまでに数週間の時間が必要となります。その中でもアモキサピンは抗うつ効果が表れるまでの時間が短い即効性の抗うつ薬になります。アモキサピンは投与して4~7日以内に効果が認められたことが分かっています 初期に開発された三環系抗うつ薬に比べて口渇(口の中が渇いてしまう)などの抗コリン作用の副作用が軽減 副作用は初期に開発された三環系抗うつ薬と共通 カテコール基とアミノ基をもつ化合物であるが、主に神経伝達物質として機能するドーパミン、ノルアドレナリン(またはノルエピネフリン)、アドレナリン(またはエピネフリン)の3つを指す
選択的セロトニントランスポーター再取り込み阻害薬(Selective Serotonin Reuptake Inhibitors:SSRI) セロトニンが放出された後、セロトニントランスポーターと呼ばれる輸送体によってセロトニンが回収されます。これにより、一度放出されたセロトニンが神経細胞の中に戻るようになっています セロトニントランスポーターを阻害してしまいます。すると、セロトニンの回収がストップして脳内のセロトニン濃度が上昇します。これにより、うつ病による「脳内のセロトニンが少なくなっている状態」を改善 パニック障害や強迫性障害、社会不安障害などにも使用される薬です。 急に薬の服用を止めてしまうと、離脱症状として吐き気や目眩、不眠などが表れてしまいます
選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI) 「神経伝達物質が細胞内へと回収される過程」を阻害すれば、神経伝達物質が長く留まってより情報を伝えることができるようになります セロトニンの再取り込みだけでなく、セロトニンとノルアドレナリンの両方の再取り込みを阻害する薬 SNRIはSSRIと同様に、三環系抗うつ薬や四環系抗うつ薬などに見られる副作用を回避した抗うつ薬となります。
うつ病の治療ではセロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンという3種類が重要視されています。 セロトニンのはたらきとは? 体に対する機能 ●睡眠や体温調節、時差ぼけの解消など 生理機能●歩行や咀嚼、呼吸などのリズム 運動●消化管の運動などを促すはたらき 心に対する機能 ●起きているときには、常にシナプスに分泌 され、覚醒状態を維持する●心のバランスを とる ノルアドレナリンのはたらきとは? 体に対する機能 ●俊敏な運動を可能にする 心に対する機能 ●気分を高揚させる ドパミンのはたらきとは? 体に対する機能 ●身体をスムーズに動かす 心に対する機能 ●やる気、意欲を起こさせる ●目標を 達成したときの満足感、 興奮などを作り出す
セロトニンは人間の精神面に大きな影響与え、心身の安定や心の安らぎなどにも関与することから、『幸せホルモン』とも呼ばれます ノルアドレナリンやドーパミンの暴走を抑え、心のバランスを整える作用のある伝達物質で、セロトニンが不足すると精神のバランスが崩れて、暴力的(キレる)になったり、うつ病を発症する。精神の安定や安らぎをもたらしてくれる物質です。これが不足してしまうとイライラしやすくなったり、気持ちがモヤモヤしたり、不眠などの症状が出てきます ノルアドレナリン 神経を興奮させる神経伝達物質で、「やる気」や「意欲」を高める反面、「不安」「恐怖」「緊張」といった感情・精神状態とも深い関係があります。別名「怒りのホルモン」とも言われ、また、ストレスに反応することから、ストレスホルモンの一種でもあります ドーパミン アドレナリン・ノルアドレナリンの前駆体です。意欲を作るホルモン 向上心やモチベーション、記憶や学習能力、運動機能に関与 「快感や多幸感を得る」、「意欲を作ったり感じたりする」、「運動調節に関連する」といった機能を担う
代表的な睡眠障害について「不眠症」「過眠症」「概日リズム睡眠障害」「睡眠呼吸障害」「その他の睡眠障害」「身体疾患や精神疾患に合併した不眠」 「夜寝つきが悪い」「眠りを維持できない」というような不眠 過眠症 夜眠っているにもかかわらず、日中に強い眠気が生じ、起きているのが困難になる状態 概日リズム睡眠障害 昼夜のサイクルと体内時計のリズムが合わないために活動に困難をきたすような睡眠障害 睡眠呼吸障害 睡眠中に異常な呼吸を示す病態の総称 その他の睡眠障害 「むずむず脚症候群」「周期性四肢運動障害」「睡眠時随伴症」 身体疾患や精神疾患に合併した不眠 身体疾患や精神疾患に合併して不眠が起きる
1)身体的疾患に伴うもの(Physical ) 中枢神経系疾患、脳器質性疾患、循環器疾患、呼吸器疾患、 消化器疾患、皮膚疾患など 2)生理学的不眠(Physiologic) 時差ボケ、交代勤務、短期間の入院、不適切な睡眠衛生など 3)心理学的不眠(Psychologic) 精神的ストレス、喪失体験、恐怖体験など 4)精神疾患に伴うもの(Psychiatric) うつ病、統合失調症など 5)薬理学的不眠(Pharmacologic) アルコール、向精神薬、降圧薬、インターフェロンなど
症状から分類した不眠症の種類 入眠障害型 夜になってベッドに入っても,いつまでも睡眠が訪れてこない状態 中途覚醒型 寝付くことができても,真夜中に目が覚めて再び入眠できない状態 早朝覚醒型 寝付くことができても,朝早く目が覚めてしまい,再び入眠できない状 態 熟眠障害型 睡眠時間はとれているはずだが,十分に眠れたような気がしない状態
レム睡眠(身体の睡眠)REM:Rapid Eye Movement ノンレム睡眠(脳の睡眠) 急速眼球運動 筋緊張低下 90分周期で一夜のうち4~5回 自律神経機能の不安定化(脈拍、呼吸、血圧など) 夢を見る確率が高い ノンレム睡眠(脳の睡眠) (浅眠期) (軽睡眠期) (中等睡眠期) (深睡眠期) レム睡眠が浅い眠りであり、ノンレム睡眠が深い眠りである。 脳を休めるノンレム睡眠は初期に、体を休めるレム睡眠は後半に表れる
薬物療法 バルビツール酸系睡眠薬 非バルビツール酸系睡眠薬 ベンゾジアゼピン系睡眠薬 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬 非薬物療法 原因除去、睡眠衛生教育など
バルビツール系は過去に主流となっていた睡眠薬の種類です。 このバルビツール系睡眠薬は、睡眠に関する脳の部位に直接作用するという非常に強力な効果を有していました。しかし、効果があまりにも強いために、睡眠に関する部位だけでなく呼吸に関する部位を始めとした広い範囲へと影響し、抑制してしまうという危険性があります 現在主流となっている睡眠薬はベンゾジアゼピン系でバルビツール系のような強制的な睡眠とは違って、自然に眠りにつく状態に近いとされています。また、作用する部位も直接睡眠に関わる部位ではないため、さほど重大な副作用が起こる心配はありません 非BZ系とはBZ系と構造は異なるのですが作用する場所は同じ薬になりBZ系の副作用軽減と自然な眠りの獲得を目標に開発され現在は超短時間型睡眠薬であるマイスリー錠とアモバン錠が発売せれています。 よってマイスリー、アモバンは副作用である反跳性不眠、離脱症や依存性耐性(体が慣れて効果が出にくくなる、量が増える)を起こしにくいと言われています。
連続使用で依存症になりやすく、急に服用を中止すると退薬症状(禁断症状)を起こしやすいといった欠点があります。 バルビツール酸系 連続使用で依存症になりやすく、急に服用を中止すると退薬症状(禁断症状)を起こしやすいといった欠点があります。 感覚機能を抑制することで睡眠効果を発揮するもので、効き目が大きいという特徴があります。眠くなる量と致死量が比較的近いので、誤って使用すると死に至る場合があり、現在では睡眠薬としての使用頻度は少なくなっています。ただし、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬で効果のない不眠症状に対し使用されることもあるといわれています 急に服用を中止すると禁断症状が現れる可能性があります。その症状としては、頭痛、吐き気、不安、手の振戦(ふるえ)、幻覚などの意識障害、脱力感、痙攣などがあります。したがって、投与を中止する場合は、徐々に薬の量を減らしていくといった方法が採られます 一度に大量に服用すると、呼吸中枢が麻痺し生命を失う危険性があります
非バルビツール酸系はバルビツール酸系の睡眠薬の欠点を改善することを目的に開発され、登場した睡眠薬です 非バルビツール酸系 非バルビツール酸系はバルビツール酸系の睡眠薬の欠点を改善することを目的に開発され、登場した睡眠薬です バルビツール酸系と比べ睡眠作用が弱いという特徴があります。また、副作用として依存症の問題も出現したり、投与を中止したあとの禁断症状も相変わらず認められたため、現在では補助的な用途を除いては、ほとんど使用されてないようです
ベンゾジアゼピン系 脳は神経が興奮することによって情報が伝わっていきます。この時の神経興奮にはプラス(+)の電気が大きく関わっています.情報を伝えていくプラスの電気があるという事は、情報を抑制しようとするマイナス(-)の電気も存在することになります。このマイナスの電気としてCl-があります。Cl-が作用することにより、シグナル興奮が抑制的に働きます。このCl-の流入に関わる受容体としてGABA受容体があります。この部分にシグナルが結合することにより、Cl-が流入するようになります,GABA受容体が結合する部分にはベンゾジアゼピン受容体と呼ばれる部分も存在します。このベンゾジアゼピン受容体に作用することによっても、Cl-が流入してシグナル伝達を抑制します。脳内のベンゾジアゼピン受容体が活性化され、Cl-が流入するようになると脳のシグナル伝達が抑えられます。脳の活動が抑制されるため、眠たくなります。
1.超短時間作用型(超短時間型) 血中濃度が最大値になるまでの時間が1時間程度と短く、また作用時間が2~4時間ほどの睡眠薬,なかなか寝付くことができない入眠障害のある方に使われます 作用時間が短いため、翌朝、眠気やふらつきなど睡眠薬の作用(「持ち越し効果」といいます)が残ることがほとんどありません 「睡眠導入剤」とも呼ばれます
2.短時間作用型(短時間型) 効果が現れるまでの時間が短く、作用時間が5~10時間程度の睡眠薬です。入眠障害のある方、ならびに、一度は眠ったものの途中で目が覚めてしまう中途覚醒の症状がある方に用いられます。持ち越し効果があまり生じることがありません 3.中間作用型(中間型) 作用時間が約20時間ある睡眠薬です。明け方早くに目が覚めてしまう早朝覚醒の症状がある方に使われます。 日中も気持ちを落ち着ける作用が継続するため、不安感の強い人に使われます。作用時間が長いため、持ち越し効果が生じることも少なくありません。 4.長時間作用型(長時間型) 起床後もかなりの時間に渡って薬が作用するものです。日中、抗不安薬として作用するため、うつ病や統合失調症(精神分裂病)など、精神的な疾患があり、それが原因で不眠の症状がある方に用いられます
:入眠障害、一過性不眠、 短期不眠 :中途覚醒、早朝覚醒 :精神医学的疾患を 原疾患として有する場合 (超)短時間型 中間作用型 長時間作用型
睡眠薬の副作用 症状 持ち越し作用 記憶障害 早朝覚醒・日中不安 反跳性不眠・退薬症候 筋弛緩作用 奇異反応 日中の眠気、ふらつき、脱力・頭痛、倦怠感 前向性健忘(服用後から寝つくまで、睡眠中に起こされたとき、翌朝覚醒時などのできごとを覚えていない) 早朝に目覚める、連用時に日中不安が増強する 睡眠薬連用後、急激な中断で以前よりさらに強い不眠発現 不安・焦燥、振戦 ふらつき・転倒(特に高齢者にでやすい) 興奮・攻撃性の増加、錯乱状態 睡眠薬服用により興奮したり、感情的に不安定になる
ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、GABAが関係しています。GABA は脳の神経と神経の情報を伝える役割のある物質(神経伝達物質) で、神経細胞の活動を抑える働きがあります。 お薬がベンゾジアゼピン受容体と呼ばれる受け皿にくっつくと、この GABAの働きを強めてくれます。 ※サプリとしてGABAを服用しても、脳にとどくわけではありません。 ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、大脳辺縁系と呼ばれる脳の内側 に選択的に作用します。大脳辺縁系は記憶や情動などに関係して いて、この部分の働きが抑えられることで効果があらわれます。
お薬が作用するベンゾジアゼピン受容体には、おもにω1とω2の2種類があります。 •ω1受容体・・・催眠作用や抗けいれん作用 •ω2受容体・・・抗不安作用や筋弛緩作用 実のところ睡眠薬も、ベンゾジピン系のお薬が多く使われています。 •睡眠薬・・・ω1>ω2 •抗不安薬・・・ω1<ω2 催眠作用が強いものが睡眠薬、抗不安作用が強いのが抗不安薬になります。
抗不安薬の最大の特徴は、 •効性が期待できること 患者さんの苦しい症状をすぐにとってくれる可能性があるお薬です。 最近は依存性などが問題にされて悪い薬のようなイメージもあります が、正しく使えば非常に有用なお薬です。 抗不安薬は、以下のような目的で使われることが多いです。 •一時的な症状を落ちつけるため •楽になる実感をもってもらうため •急に症状をやり過ごすため そして抗不安薬は、頓服として使われることも多いです。頓服とは、 必要なときに服用するお薬です。抗不安薬は即効性があるので、 「このお薬があれば大丈夫」という安心感が持てることがあります。 コントロールできているという感覚は、こころの病気を治療していくの に非常に重要です。
抗不安薬には、様々な種類があります。これらを使い分けていくので すが、その際に考えることとして、2つのポイントがあります。 •作用時間・・・最高血中濃度到達時間・半減期 •4つの作用への強さ・・・抗不安・催眠・筋弛緩・抗けいれん
隔日法
中枢神経に作用し、抑えることのできない感情の高まりや行動を抑えます。通常、躁病や躁うつ病の躁状態に用いられます 気分安定薬 中枢神経に作用し、抑えることのできない感情の高まりや行動を抑えます。通常、躁病や躁うつ病の躁状態に用いられます 気分が良すぎたり、ハイになったり、興奮したり、調子が上がりすぎたり、時には怒りっぽく不機嫌になったりして、他人から普段のあなたとは違うと思われてしまう 自分が偉くなったように感じる いつもよりおしゃべりになる 色々な考えが次々と頭に浮かぶ 注意がそれやすい 活動性が高まり、ひどくなると全くじっとしていられなくなる 後で困ったことになるのが明らかなのに、つい自分が楽しいことに熱中してしまう
■手足の震え、嘔吐、意識がぼんやりして睡眠に近い状態【リチウム中毒】 ■動かずだまっている、筋肉のこわばり、急激な発熱、脈が早くなる【悪性症候群】 ■息切れ、めまい、疲れやすい【徐脈】 ■多飲・多尿、全身倦怠感、のどの渇き【腎性尿崩症】 ■意識がうすれる、考えがまとまらない、判断力が低下する【認知症様症状、意識障害】 .