第1章 日本の統計制度 ー 経済統計 ー
この章の内容 統計の分類方法 日本の統計組織 統計の種類と統計法 統計法の改正と統計制度改革
Ⅰ 統計の分類方法 統計の分類方法には 作成者による分類 作成方法による分類 の2種類がある
<作成者による分類> 官庁統計(政府統計) - 国、地方公共団体などが作成 民間統計 - 民間企業などが作成 <作成方法による分類> 第一義統計(調査統計) - 統計を作成する目的で調査をおこない、得られる統計 第二義統計(業務統計) - 業務上の目的で得られたデータを転用したもの
第二義統計(業務統計)だからといって、第一義統計(調査統計)より重要でないというわけではないことに注意 分類を表にまとめると下のようになる。 第二義統計(業務統計)だからといって、第一義統計(調査統計)より重要でないというわけではないことに注意
Ⅱ 日本の統計組織 a) 統計機構の種類
総務省統計局および政策統括官(統計基準担当)*の役割 統計調査の総合調整(政策統括官(統計基準担当)) - 似たような統計がないかチェックする 複数の省庁にまたがる重要な調査の実施(統計局) - 国勢調査など → 回答者の負担を軽減することが目的 * 総務省統計局は平成17年8月15日の組織改変により、統計局と政策統括官(統計基準担当)に分けられた。 政策統括官といっても、特定の1人を指すのではなく、組織を指すことに注意。 なお、ホームページは同じhttp://www.stat.go.jpである。
統計調査は国から都道府県、市区町村を経ておこなわれる。 b) 統計調査の流れ 統計調査は国から都道府県、市区町村を経ておこなわれる。 直接調査をおこなうのは統計調査員であることが多い。 統計調査員とは? 総務大臣や都道府県知事から調査のたびに任命される臨時の公務員 守秘義務がある 普段は主婦や無職の人が多い
Ⅲ 統計の種類と統計法 統計法 - 統計調査の実施、公表などについて規定した法律 Ⅲ 統計の種類と統計法 統計法 - 統計調査の実施、公表などについて規定した法律 統計の真実性を確保し、統計調査の重複を除き、統計の体系を整備することを目的としている。 第二条 この法律において指定統計とは、政府若しくは地方公共団体が作成する統計又はその他のものに委託して作成する統計であって総務大臣が指定し、その旨を公示した統計をいう。
指定統計 - 国民生活に重要な役割を果たす統計 指定統計 - 国民生活に重要な役割を果たす統計 第五条 政府、地方公共団体の長又は教育委員会は、指定統計調査のため、人又は法人に対して申告を命ずることができる。 第十九条 次の各号の一に該当する者は、これを六箇月以下の懲役若しくは禁錮又は十万円以下の罰金に処する。 一 第五条の規定により申告を命ぜられた場合申告をせず、又は虚偽の申告をした者
第八条 指定統計調査以外の統計調査を行う場合には、調査実施者は、その調査に関し、前条第一項第一号に掲げる事項を総務大臣に届け出なければならない。ただし、統計報告調整法(昭和二十七年法律第百四十八号)の規定により総務大臣の承認を受けた場合は、この限りでない。 → 届出統計 統計報告調整法 第四条 統計報告の徴集を行おうとする行政機関の長は、次の各号の一に該当する場合を除くほか、当該統計報告の徴集について、あらかじめ、総務大臣の承認を受けなければならない。 → 承認統計
Ⅳ 統計法の改正と統計制度改革 ここ数年、統計制度改革の検討がなされていた。その中で統計法の全面改正が必要となり、2007(平成19)年5月23日に新統計法が公布された。(全面施行は2年以内) 新統計法の基本理念として 「行政のための統計」から「社会の情報基盤としての統計」へ がある。 そのポイントとして 公的統計の体系的・計画的整備の推進 統計データの有効利用の促進 統計調査の対象者の秘密保護の強化 統計整備の「司令塔」機能の強化 の4本の柱がある。
公的統計の体系的・計画的整備の推進 統計データの有効利用の促進 調査統計のみでなく、業務統計や加工統計を含めた公的統計全体の体系的整備を推進 調査統計のみでなく、業務統計や加工統計を含めた公的統計全体の体系的整備を推進 必要な統計を充実し、時代にそぐわない統計を廃止・縮小できるようにする。 統計データの有効利用の促進 統計を用いた分析をおこなう場合、公表されているデータのみでは、十分な結論が出せず、より詳しいデータが必要となることがある。 このようなニーズへの対応をすすめる。
統計調査の対象者の秘密保護の強化 統計整備の「司令塔」機能の強化 統計調査によって集められた情報などが、正しく保護されるよう、守秘義務規定違反したものに対する罰則を強化したり、いわゆる「かたり調査」の禁止などを盛り込んでいる。 統計整備の「司令塔」機能の強化 内閣府に統計委員会を設置し、基本計画の調査審議等により、公的統計の総合的・体系的整備の中核的な役割をになう。