Environmental Effect on Gaseous Disks of the Virgo Spirals

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Environmental Effect on Gaseous Disks of the Virgo Spirals 中西 裕之(東大天文センター) 共同研究者:久野(NRO)、祖父江・小野寺・ 江草(東大天文センター)、佐藤・徂徠(北大)、 塩谷(東北大)、濤崎(ぐんま天文台)、 廣田(東大理)、中井(筑波大)

CONTENTS はじめに: おとめ座銀河団について NRO45m CO観測 ガスディスクに見られる環境効果 はじめに: おとめ座銀河団について NRO45m CO観測 ガスディスクに見られる環境効果 ALMAへ向けて:銀河団研究への可能性 まとめ

はじめに

おとめ座銀河団の概要 距離16.1Mpc Ferrarese et al. 1996 最も近い銀河団 No. E/S0 66 No. S/Ir 91 σv = 715 km/s Rvir = 730 kpc Tully et al. 1996 約4°

ガスディスクの研究1 HI観測 Helou et al. 1981 @ Arecibo → 銀河団中心に近い   Warmels 1988 @ WSRT   Cayatte et al. 1990 @ VLA  → 銀河団中心に近い     ほどHIガスが少ない  logMHI (isolated) = 7.01 + 0.88logDHo   HI def = logMHI(isolated) – logMHI (actual) (Giovanelli & Haynes, 1983)

ガスの剥ぎ取り効果 Ram Pressure Stripping 銀河間には希薄な高温ガス ← X線による観測 ← X線による観測 Böhringer et al. 1994 η = fICM/fgrav = (nICM/nISM)(V/Vrot)2cosαsinα → η >1 → ram pressure stripping

ガスディスクの研究2 COガス観測 Kenney & Young 1988 @ FCRAO COガスディスクはあまり 影響を受けていない Nishiyama et al. 2000 @ NRO45m Sofue et al. 2003 @ NMA COガスディスクはあまり 影響を受けていない

分子ガス比fmol から探ってみる 未解決問題 ram圧はディスクの内側まで効いているのか? 観測事実  ・ディスク外縁部でHIガスは剥ぎ取られている  ・COガスはほとんど変化無い 解釈  1.ポテンシャルの浅いディスク外縁部だけガスが 剥ぎ取られた。内側は普通。   2.内側のディスクまでram圧が効いているが、     COガスにはram圧が効かない 分子ガス比fmol から探ってみる

分子ガス比 fmol Elmegreen 1993 Honma et al. 1995 Kuno et al. 1995   分子ガス比fmol=MH2/(MH2+MHI)  はガス密度ρ, 金属量Z, UV強   度Uの3パラメータで決まる Honma et al. 1995   Kuno et al. 1995  ・上のモデルを実際の銀河に応用  ・ある半径で分子ガス優勢から   HIガス優勢へ→ molecular front  ・フィールド銀河では   fmolはρの一価関数  M51 Model

おとめ座銀河団銀河へ応用 HIデータと比較可能なCOデータが必要 ・VLA C-array HIデータが現時点で高分解 仮説1.  ポテンシャルの浅いディスク外縁部だけガスが 剥ぎ取られ、内側は普通。 → Elmegreenモデルで再現できるはず 仮説2.  内側のディスクまでram圧が効いているが、  COガスにはram圧が効かない →  Elmegreenモデルで再現できず、異常に高い    fmolが見られるはず HIデータと比較可能なCOデータが必要  ・VLA C-array HIデータが現時点で高分解   能データ(20”前後)    → NRO45m@115GHz とちょうど良い  ・BEARSでマッピング観測    → 銀河ディスクの各点で比較可能

NRO45m BEARS  CO観測

観測の概要 装置: NRO45m+BEARS 分解能: 15”(1.2kpc @ Virgo) 視野: 4’x 4’ or 4’x 8’ 装置: NRO45m+BEARS 分解能: 15”(1.2kpc @ Virgo) 視野: 4’x 4’ or 4’x 8’ 観測天体: NGC 4192, 4212, 4254, 4402, 4419, 4535, 4536, 4569, 4579, 4654, 4689 観測期間:    2002年12月-2004年1月

結果/COデータ CO images CO atlas

H2 v.s. HI (N4254) HI&CO Σtot. Gas - fmol 普通のfmol曲線 fmolはΣtot. Gasの一価関数

H2 v.s. HI (N4569) HI&CO Σtot. Gas - fmol 異常fmol N4254におけるΣtot. Gas一fmolプロットを最小値として上方に分散

H2 v.s. HI (N4402) HI&CO Σtot. Gas - fmol 異常fmol

H2 v.s. HI (N4579) HI&CO Σtot. Gas - fmol 異常fmol

fmol異常の解釈 H2比の増加 ガスの圧縮 ガスの減少 H2比の減少 標準的なfmolを示す NGC4254 (HI stripping, 分子ガス生成) ガスの減少 ガスの圧縮 H2比の減少 (H2の解離) 標準的なfmolを示す NGC4254

fmol異常の解釈 これら異常fmolは 銀河中心の分子ガス 優勢領域で HIガスの剥ぎ取りが 起こっている証拠 N4402         N4569         N4579 これら異常fmolは 銀河中心の分子ガス 優勢領域で HIガスの剥ぎ取りが 起こっている証拠 N4254

ALMAへ向けて ALMAでのz=0.3以遠 の銀河団銀河 CO観測が重要 遠方銀河団における環境効果の観測的研究  ・z~0.3より遠方で青い銀河が多い(Butcher & Oemler 1978)    例外的にかみのけ座銀河団にもある(先週NMAにてCO(J=1-0)観測)   →ram圧による星形成の誘発の可能性(Bothun & Dressler 1986)  ・仮説「Ram圧 → ガス密度増大 → 星形成の誘発」の検証   明らかにすべきこと 星形成の直接原因=高密度分子ガスの存在の有無   Σgas - fmolプロットから ガス圧縮の有無(この場合HIも必要)   観測の要請   z=0.3以遠の銀河団CO観測を1kpc程度の分解能で観測   するためには、0.1”台の分解能が必要 ALMAでのz=0.3以遠 の銀河団銀河 CO観測が重要

まとめ NRO45mを用いておとめ座銀河団の11銀河をCO(J=1-0)観測を行った 4銀河についてHIデータと合わせ、Σgasーfmolプロ  ットを行い、異常fmolを示す銀河があることを示した 剥ぎ取り効果を受けない内側のCOディスクにおいてHIガスが剥ぎ取られている証拠をつかんだ ALMAを用いて遠方銀河団における環境効果について調べることが重要と考える