財務サイクルと情報フロー                田宮治雄.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
長期借入金計画、債券の発行計 画及び償還計画(変更)につい て 平成 23 年7月 参考資料1. 長期借入金の推移について 1.
Advertisements

有形固定資産の取得原価 有形固定資産は、取得原価から原価売却累計額を 控除した金額で、バランスシートに計上。 取得原価は、取得の方法に応じて決定。 (購入 自家建設 現物出資 交換) 第8章 第2節第2節.
第8章 貯蓄,投資と金融システ ム 1.アメリカ経済における金融機関と市場 ( ↑ 日本経済でもほぼ同じ) 金融システムは、ある人の貯蓄と別の人の投資 を結びつける。投資の例として、 起業のための設備投資 住宅を購入する 金融システムは、金融市場と金融仲介機関の2 つのカテゴリーに分けられる 1 8.
キャッシュ・フロー計算書のあらまし 全国土地改良事業団体連合会 会計コース実践 編 キャッシュ・フロー計算 書 ver 1 1.
1 (第 14 週) 第5章 間接金融の仕組 み § 1 銀行の金融仲介機能 ( p.91 ~ 98 ) ① 仲介機能 ② 情報生産機能 ③ 資産転換(変換)機能 ④ 銀行貸付けにおける担保の役割 § 2 貸付債権の証券化とサブプライム問題 ( p.99 ~ 104 ) § 3 銀行以外の金融仲介機関.
第 13 章 キャッシュフロー経営 ケース/日産ゴーン革命 この章で学ぶこと: ①キャッシュフローとは? ②C / F計算書とは? ③CFOとは?
損益分岐点=固定費 ÷ 売上高 変動費 1-1- 固定比率= 株主資本 ( 自己資本 ) 固定資産 × 100 経常収支比率= 経常支出(営業支出+営業外支出) 経常収入(営業収入+営業外収入 ) × 100 売上債権回転率= 受取手形(割引手形含む)+売掛金 ( 期首と期末の平均) 売上高 売上債権回転月数(日数)=
金利、金融政策及び資金循環 金利の概念 金利体系 日本銀行の政策手段 資金循環. 金利の概念 金利とは:資金の貸借取引における資 金の価格である。 金利の機能:資金の配分や景気の調整。
資産運用の考え方 08bc172k 村杉な つみ. ポートフォリオのリスクと管 理 ポートフォリオ:個人や企業が保有する トータル の資産。中身は株式、 債券 投資信託、外貨金、 外国株式 など様々なもので 組み立てられている。 分散投資によって.
スライド 1 公民科「政治・経済」 〔授業支援スライド〕 1. 銀行と金融の役割 スライド 2 ~ 銀行の機能 スライド 12 ~ まとめ スライド 21 ~ 24.
QE 出口戦略 利上げ先行型. 前提 主張 1 超過準備対策として利上げは有効である 主張 主張 1 超過準備対策として利上げは有効である 主張 2 保有資産の売却は経済に悪影響を与える 主張 3 利上げは経済の安定に寄与する 以上三点により、 QE 出口戦略利上げ先行 型を主張します.
お金は天下の回りもの. 家計と国民経済 財布を出た金どこへ行く? 家 計 企 業 政 府 労働力 賃金 物資・サービス 代金 租税 公共事業.
第 5 章 総合的会計情報システムにおける 管理会計 1. ERP パッケージとは何か 2. ERP パッケージと管理会計 3. ERP パッケージ導入の効果.
金融経済論(小川英治) 1 企業の金融活動. 金融経済論(小川英治) 2 企業の意思決定 企業は、第一段階で投資額を決定する。 第二段階で、企業は、どのように資金 を調達するか、資金調達を決定する。
経営の科学 第 6 回 社会工学域 竹原 浩太. 今後の予定 10/22 企業金融とは何か(今回) 10/29 企業の資金調達の多様化 11/5 企業の最適資本構成 11/12 信用リスク 11/19 期末試験.
ミクロ経済学 (7) 企業と資金調達 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2015 年 6 月 29 日.
◇業界研究レポート 金融業界 SIGNAL.
総合的な学習の時間 [授業進行用スライド] スライド 1
不動産証券化とまちづくり 中前太佑.
個人および企業による リスク回避とリスクマネジメント
資金運用表の作成演習.
経営の科学 第6回 社会工学域 竹原 浩太.
会計取引の認識と測定に必要な 情報システム
平成21年11月26日 於:福井商工会議所 松岡会計事務所 坪田幸裕
第1節 純資産の構成 第2節 払込資本-資本金と資本剰余金 発表者: ゼン ミコ
市場経済 金融市場メリット 需要と供給 2つの金融 経済循環 証券取引所・証券会社 資本主義経済 銀行
(第7週)第2章(3) 前回のおさらいとキーワード: ■ システミック・リスク ■ セーフティー・ネット ・ 競争制限的規制
平成20年4月 株式会社 都市経営戦略研究所 Urban Management Strategy Institute
企業の仕組み 第11回 経営分析について.
金融法人分析 九州大学ビジネススクール 村藤 功 2014年10月22日.
藤女子大学人間生活学部 内田博 現代資本主義分析
マネーサプライを増やせ! 岩田・伊藤・浜田・若田部・勝間
ERPとして必要な統合管理機能を有し、内部統制等の様々なニーズに柔軟に対応
現代の金融入門   -第1章 金融取引- 08BA210Y  一二三 春菜.
マネーサプライを増やせ! 岩田・伊藤・浜田・若田部・勝間
コース 2: 財務予測 (明確な財務予測の作成) 提供: Microsoft Corporation
盛和塾ロサンゼルス 経営者のための 実践会計セミナー 第2回
消費者金融は日本で成立するか? ――肯定派――
第2章 銀行による貨幣の供給 前章の確認: ● マネーストックの区分 ● クレジットカードや電子マネーは貨幣か ● 日銀当座預金とはなにか
第5章 発展する金融市場と 新しい金融商品(前半)
第7章 どのように為替レートを 安定化させるのか
金 融 統 計 金融市場の基本概念 金融統計の体系 マネーサプライ統計 金利統計 資金循環分析 証券投資分析.
[第10週]第4章 直接金融の仕組み(1) §1 直接金融と間接金融(p.69~74) Q1) 企業の発行する短期証券とは
4 国際通貨 1 国際通貨の基礎理論 2 国際通貨の機能と選択 3 管理通貨制度下の国際通貨 国際金融2002(毛利良一)
国際経済学入門 10 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2013年12月23日
第一生命株式会社化の是非 否定派 新井 上原 山村 新井.
「経理・財務サービス スキルスタンダード研究開発事業」
財務諸表とは テキスト第3章 田宮治雄.
キャッシュマネジメント 桝 岡 源 一 郎.
ファイナンス入門で何を学んだか ファイナンス入門(試験対策版).
複式簿記とは テキスト第2章                田宮治雄.
証券化事例報告 『ハードからソフトへ』 -介護費用債権にかかる証券化-
お金を使う ③キャッシュレスってなに?.
「経理・財務サービス スキルスタンダード研究開発事業」
金融政策と貸出金利 講義⑮ 目次 設備投資の変化要因 「市場金利」って何?!?! 借入金利とリスクプレミアム 市場金利と短期金利
「経理・財務サービス スキルスタンダード研究開発事業」
金融論 2回目講義.
東京海上ホールディングス ケーススタディー(Cグループ)
岩本 康志 2013年5月25日 日本金融学会 中央銀行パネル
資金運用表作成手順 ファイナンス入門(試験対策版).
海運ソリューションセミナー 船主向け決算予測システム TRANS-Ownerのご紹介
「経理・財務サービス スキルスタンダード研究開発事業」
会計業務の概要 会計情報システムの対象業務.
大好きなアーティストから考える あなたと銀行の かかわり 授業2 直接金融と間接金融の しくみ.
「経理・財務サービス スキルスタンダード研究開発事業」
流動性制約リスク 京都大学工学研究科 関川 裕己.
「経理・財務サービス スキルスタンダード研究開発事業」
企業ファイナンス 2009年9月30日 ガイダンス: 企業ファイナンスとは? 名古屋市立大学 佐々木 隆文.
事例Ⅳ 企業価値計算 企業価値の評価方法 分類 概要 方法 詳細 インカム アプローチ
Group D.
Presentation transcript:

財務サイクルと情報フロー                田宮治雄

財務サイクルと情報フロー 業務サイクル 販売サイクル 購買サイクル 製造サイクル 財務サイクル 会計サイクル

財務サイクル

財務活動 「お金」の流れをスムーズにする 必要な資金を必要なタイミングで調達する 支払にあてる資金が不足しないように銀行口座の残高を管理する 一時的な資金余剰を有利に運用する

企業経営は資金の支出が先行する 販売サイクル 製造サイクル 購買サイクル 請求 手形回収 満期決済 出荷 製造着手 出庫 完成 資金調達が 必要な期間 入荷 支払準備 手形支払 満期決済

先行資金が必要なその他の理由 設備資金 創業時の運営資金 研究開発資金

資金計画

資金計画 事業計画を収入計画と支出計画に置き直す 資金不足に陥る時期、金額、理由を明確にする 調達する資金の質(運転資金・設備資金など)を把握し、適切な手段で資金調達を計画する 予算に資金的な裏付けを与える

資金計画に対応する情報システム 資金計画担当者が自分で使用しやすいように開発・運用する エンドユーザー・コンピューティングの典型 表計算ソフトウェアなどが有効 短期的な資金計画はキャッシュマネジメントシステムに組み込まれる

資金調達

資金調達 調達する資金の額と期間から最適な調達手段を選択する 資本市場で評価が高い企業は有利な条件で(低い金利で)調達できる 銀行借入 社債発行 増資 etc. 資本市場で評価が高い企業は有利な条件で(低い金利で)調達できる

資金調達に対応する情報システム エンドユーザー・コンピューティングの要素が大きなシステム 返済・利払い期限管理 借入枠(手形割引枠)管理 実質金利の計算 平均残高の計算 担保資産の管理

資金繰り

資金繰り 預金残高をマイナスにしないための管理 資金予算から乖離しそうな場合の迅速な対応 預金口座ごとの残高管理 当座借越限度額の管理 預金解約や有価証券の売却 経費などの支出減少 預金口座ごとの残高管理 預金の付け替え 当座借越限度額の管理

キャッシュ・マネジメント・システムの目的 キャッシュ・イン・フローとキャッシュ・アウト・フローとを管理し、最適な残高を追求する 流動性 現金、要求払預金 短期保有の有価証券 処理コスト・ 管理コスト の最少化 アイドル状態にある キャッシュの除去 キャッシュ・ マネジメント キャッシュ・アウト・フロー キャッシュ・イン・フロー 可能な限り早く 可能な限り遅く 処理コスト・ 管理コスト の最少化 流動性のバックアップ 短期借入金 コマーシャルペーパー

キャッシュ・マネジメント・システム 対象となる口座 企 業 内 部 集金用 預金口座 支 払 先 支払用 預金口座 得 意 先 集金用 預金口座 キャッシュ集中 銀行口座 集金用 預金口座 支払用 預金口座 集金用 預金口座

キャッシュ・マネジメント・システム グローバルCMS 運転資金の貸付 子会社間の債権債務の相殺 ドル口座 子会社 ユーロ口座 ドル 統括口座 円口座 財務統括組織 金融機関など 有利な調達 リスクの分散 ドル口座 ユーロ 統括口座 子会社 ユーロ口座 円口座 円 統括口座 ドル口座 子会社 ユーロ口座 余資の預入 円口座

資金繰りに対応する情報システム 販売サイクル、購買サイクルのシステムと連動し、最新の情報を提供する 資金繰り予定(例) 先1ヶ月(日ごと、収入、支出1件毎) 先3ヶ月(1週間ごと) 先12ヶ月(月ごと) 部門別資金予算実績対比(例外報告) 預金口座別残高予定

資金運用

資金運用 一時的な余剰資金の有利な運用 恒常的な余剰資金は、配当などを通じて本来は株主に返還すべき 運用期間にマッチし、利回りとリスクを考慮した手段を選択する ハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターン 運用資金全体が企業の運用方針に従うようにいくつかの運用手段を組み合わせる(ポートフォリオを組む)

資金運用に対応した情報システム 資金運用に関する予測モデルのシステム化 予測に必要なデータの購入 過去の運用実績の評価 外部からソフトウェアを購入 表計算ソフトなどで運用担当者が開発 予測に必要なデータの購入 経営環境にかかるマクロデータ 対象企業にかかるミクロデータ 過去の運用実績の評価 利回り実績評価