TFコイルの変形と強度計算 計算条件(前回までと異なる部分) TFコイル電流を25kA、OHコイル電流を25kAとし、他のコイルは考慮しない。 コイルのCS側は固定、外側赤道面は、下側コイルに対称性をもって固定される。 TFコイルの断面形状の変化(4種類)を考慮した。 今までは、TFコイル平面内で考えていたが3次元で変形を解いた。特にトロイダル方向(Y方向)の転倒力について検討する。 コイル支持要素として、R=0.28m(FRP接続部), R=0.8m(ABS+SUS円弧)を考慮し、それぞれを3次元のばねとした。
座標系と支持 ばね定数(の逆数) FRP円弧/TF接続部 (寄与の大きな部分) R方向:5x10-8 m/N (FRP) Z方向:2x10-6 m/N (FRP) Y方向:6x10-7 m/N (傘型SUS円筒) ABS/SUS円弧 R方向:1x10-7 m/N (SUS円弧) Z方向:4x10-6 m/N (ABS) Y方向:4x10-7 m/N (ABS) トロイダル方向をYとする。 FRP TF接続部 ABS SUS円弧 コイルに沿う座標をs 数字が大きいほどやわらかい。
トロイダルコイルの変形 CSに近い部分のコイル断面の形状を現実に近いものにした。その結果、この部分の変形が変わった。 0.5mm FRPとABSがコイルを支持するので、RZ平面内の変形は以前よりもやや複雑。 0.5mm Y[m] 前回より柔らかくなった。 Y方向(トロイダル方向)の転倒力をFRPとABSが支持する FRP部にかかる力 はTF1本につき約400N、一方ABS部にかかる力 は約200N。転倒力はこの2つとTFコイル自身で支持している。 前回より硬くなった。 Z[m] 2.5mm R [m]
モーメントと最大応力 左図はY軸周りの曲げモーメント、導体に平行な軸の周りのねじれモーメント、これらに垂直なモーメント(転倒力によるもの)。右図はこれらに対応する応力で、これと許容応力(ここでは引っ張り強度を用いる)の比が安全率となる。 赤道面。応力最大50MPa [Nm] [MPa] コイルが太くなっており、以前の計算にけらべて応力が小さくなった。 S [m] S [m] 30MPa この部分のコイルが細くなっており、応力が大きい。
計算結果のまとめ 支持部の効果を取り入れ3次元での計算をおこなった。 コイルの最大変位は赤道面の約2.5mm。 コイルにかかる最大応力は赤道面で50MPa。 転倒力(トロイダル方向の力)はコイル以外にFRP円弧とABSで支持され、全体のモーメントは、この3つで2:4:3の割合で分担される。FRP円弧、ABSに加わる力はそれぞれ、400N, 200N。(前回の安全率評価は400Nを900Nとしておこなった。) 転倒力による応力はコイルのジョイント(孫の手型)の細い部分で最大30MPaとなる。
計算の限界と今後の課題 支持部の条件を決める上で、遊び(たとえば、ねじの山と谷の隙間やワッシャーの凹凸)があると支持部への加重が小さくなり、コイルへの加重が大きくなる。転倒力に対しては0.1mm程度、フープ力(RZ平面内の力)に対してはさらに小さい量の遊びがあると計算値が変わってくる。 コイル断面の形状変化や力の空間変化のスケールは断面に対して十分長いと仮定した計算をしているので、CS付近は誤差が大きいと思われる。 支持部のばね定数は、各部材の定数を積算したもので、すべての要素が入っているわけではない。見落としている点がまったくないとはいえない。 支持部への力がわかったので、これの応力をもとめ、安全率を評価する。 どこが弱いかを判断して、補強策を検討する。
補強の指針 (結論はまだ) フープ力に対して 転倒力 補強の指針 (結論はまだ) フープ力に対して コイルの安全率としては、赤道面が一番危険。なんらかの補強が必要。それ以外の部分の補強は以下2つの理由で難しい。(1)モーメント、変形が激しく振動しているので、補強する位置を精度よく決めなければならない。(2)弱い力では変位を抑えられないので、硬い支持が必要。 コイルをもっと太いものにするのが確実な補強策。 転倒力 これは、コイル、FRP円弧、ABSで支持されるので、これらのバランスをどうするかが問題。3つのうちの1つを補強して、その結果それが硬くなると、分担すべき加重が増えるので、補強の効果が減少する。どれをどのように補強するかを検討しなければならない。 コイルとしては、TFのジョイント(孫の手)の応力が最大。これをもっと太いものにすれば、この部分の応力は改善されるが、コイル側で負担すべき加重はふえる。応力は局所的なので、最大応力(安全率)は改善されるだろう。 力の向きが決まっているので、FRP円弧、ABS以外の補強は単純で、有効。ただし、CSに近いところで補強する必要がある。
TFコイルの変形と強度計算 計算条件(前回と異なる部分) TFコイル電流を25kA、OHコイル電流を25kAとし、他のコイルは考慮しない。 今までは、TFコイル平面内で考えていたが3次元で変形を解いた。特にトロイダル方向(Y方向)の転倒力について検討する。 コイルのCS側は転倒力によるねじれのみ考慮、外側赤道面は、下側コイルに対称性をもって固定される。 コイル支持要素として、R=0.28m(FRP接続部), R=0.8m(ABS+SUS円弧)を考慮し、それぞれを3次元のばねとした。 CSの転倒力は傘型で支持される。
Structure of TF and its support TFinCS(Cu) TFJoint(Cu) TFOuter FRP Umbrella (SUS)
Electromagnetic Force to a TF coil TFJoint/FRP ABS/SUS Hoop force Toppling force Hoop force
Calculation of the displacement Coil elements are treated as a slender beam with rectangular cross sections Upper part is calculated (red part in the left figure) Fixed rigid boundary at the left bottom, symmetric connection to the lower part at the equator Spring connections at CS Top, TF joint/FRP and ABS/SUS. TF Joint/FRP Y:toroidal direction -kD ABS/SUS -kD -kD rigid s:along the coil Fz,Fy,My from lower part
Displacement of the coil Y方向(トロイダル方向)の転倒力をFRPとABSとCS上部(傘型)が支持する。 FRP部にかかる力 はTF1本につき約500N、一方ABS部にかかる力 は約150N。 CS上部(傘型)にかかる力は約1500N。 150N Y[m] 0.1mm 1500N 0.3mm Z[m] 4mm Y[m] R [m]
Moment and vending stress フープ力による応力が最大となるのは赤道面。転倒力によるモーメントが最大となるのは、Joint部分 転倒力によるZ軸周りのモーメントは3カ所で支えられている。 60MPa at the equator due to the hoop force. ABS/SUS [Nm] [MPa] TF joint/FRP CS Top S [m] S [m] 15MPa near the TF Joint due to the toppling force
Margin of safety ratio +2.4kNm Toppling 1.7 for SUS M8 Shear 1 for FRP Comp. TFinCS(Cu) TFJoint(Cu) TFOuter FRP Umbrella (SUS) 2kN/TF Hoop 40 for SUS M8 Tensile 15MPa Vending 13 for Joint +3.4kNm Toppling 6 for SUS Vending
対策案ほか PPPLのエンジニアなどの話 銅であれば150MPaまでOK。(徐々に変形はするが) 繰り返し負荷、絶縁の対策は難しい。 繰り返し負荷、絶縁の対策は難しい。 TST-2で音がするのは、おかしい。調べた方がよい。 強度計算の結果 上述のように銅の許容応力を認めれば、銅コイル自身は強度的に十分。転倒力による、CS上下端のボルト接続は強度に余裕がなく問題。 傘型への接続を緩くして、CS上下端が動くようにするとボルトへの応力は軽減される。TFJointをもっと太くすると、多少は軽減されるが、上記に比べれば効果は小さい。
今後の課題 PF1の効果の計算 振動検出の準備(レーザー距離センサー) 振動は多分、TFコイルの赤道面を押さえればよい? 補強?クッション? TFコイルのボルト接続の繰り返し荷重によるゆるみの検討、対策 TFコイル温度上昇によるひずみの検討 CS上下端のボルト接続の対策
TFコイルの変形と強度計算3 計算条件 TFコイル電流を25kA、OHコイル電流を下記の3つの場合を計算した。 OH(25kA) OH(25kA) +PF1(6x25kA) OH(25kA) +PF1(6x25kA) +PF2(6x4.2kA) 3番目のパターンは、Null点の面積がかなり広い場合。ただし、転倒力は2番目も3番目もほぼ同じなので、3番目の変位、強度計算は行わなかった。
Electromagnetic Force to a TF coil TFJoint/FRP 異なるコイルの組み合わせでの転倒力 ABS/SUS PF1により、CS側の転倒力はあまり変わらないが、CSからJointまでの転倒力が大きくなる。
Force to the coil 場所・通電 OH OH+PF1 CSトップ 1500N 800N TF Joint 480N 620N ABS 150N 120N R [m] Y[m] 0.1mm 150N 480N 1500N
Margin of safety ratio 2 for FRP Comp. 赤字:OH(以前) 青字:OH+PF1(今回) +1.2kNm Toppling 3.5 for SUS M8 Shear 4 for FRP Comp. +2.4kNm Toppling 1.7 for SUS M8 Shear 2 for FRP Comp. TFinCS(Cu) TFJoint(Cu) TFOuter FRP Umbrella (SUS) 2kN/TF Hoop 40 for SUS M8 Tensile 18MPa Vending 11 for Joint 22MPa Vending 9 for Joint +4.2kNm Toppling 5 for SUS Vending +3.4kNm Toppling 6 for SUS Vending
結論 PF1を通電することによりCS側の転倒力はほとんど変化しないが、外側の転倒力が増える。これらの転倒力は逆向きなので、コイルを通じてCS側の転倒力は支えられる。その結果、CS上下端のねじれ(トルク)は約半分になり、SUSのM8ボルト安全率が1.7から3.5になる。(前回FRPの圧壊の安全率を1と評価したが、圧縮強度は引っ張り強度の2倍なので、安全率は2倍になる。) 外側の転倒力が増えたので、FRP/Joint部への荷重が500Nから620Nへ増えた。そのため傘型のSUSの耳の安全率が6から5に減少する。 コイル(Joint)の曲げ応力が増し、安全率は、11から9に減る。
CSの補強策の検討 これまでの検討でもっとも安全率の低いところはCSの上下端のM8ボルトである。この安全率を高くするためにはCSの転倒力(トルク)を別に支持してやればよい。 そこで、下記の補強棒でFRP円板から支えてやることを考える。これにより中心のFRP円筒への荷重を減らすことができれば、SUSM8への剪断力を減らせると期待される。構造の堅さ(断面2次モーメント)はサイズの4乗に比例する。同程度の堅さを持つためには、棒の断面は40mm角程度でなければならない。このとき、FRP円筒と補強棒の負担すべき荷重は同程度になり、M8ボルトの安全率は2倍程度になる。一方TFコイルの間隔は、CSの接続部で25mm程度なので、十分な大きさの補強棒を入れることは難しいと思われる。また、もっとRの大きいところだと変位の向きが逆になり、補強にはならない。以上より、補強棒による補強は有効ではないと思われる。 TFinCS(Cu) TFJoint(Cu) TFOuter FRP Umbrella (SUS) 補強棒