TFコイルの変形と強度計算 計算条件(前回までと異なる部分)

Slides:



Advertisements
Similar presentations
分散分析と誤差の制御 実験結果からできるだけ多くの情報を取り出すために 分散分析を利用する 主効果の大きさ 交互作用の大きさ 誤差の大きさ 採用した因子の効果の有無 の検定には,誤差の大きさ と比較するので誤差を小さ くできれば分散分析での検 出力が高まる どのようにしたら誤差を小さくできるか?
Advertisements

第 5 章 2 次元モデル Chapter 5 2-dimensional model. Contents 1.2 次元モデル 2-dimensional model 2. 弱形式 Weak form 3.FEM 近似 FEM approximation 4. まとめ Summary.
●母集団と標本 母集団 標本 母数 母平均、母分散 無作為抽出 標本データの分析(記述統計学) 母集団における状態の推測(推測統計学)
杭の破壊形態 現象・破壊場所 概念図 基礎式・対処法
藤井大地(リーダー) 榛葉 亮(設計担当) 原田卓哉(設計担当) 大年政弘(作成担当) 吉冨健志(作成担当)
第2章 機械の強度と材料 機械の必要条件 ★壊れない ★安全である ★正しく機能する そのためには・・・ ★適切な材料を使う
No.2 実用部材の疲労強度           に関する研究 鹿島 巌 酒井 徹.
円形管における3次元骨組解析への適用事例 平成16年9月17日 (株)アイエスシイ 犬飼隆義.
20. ショットの跳返りを利用した機械部品内面への ショットピーニング加工法の開発
SolidWorksとSolidWorks SolidWorks Simulationを使ったストラクチャの設計、テスト、構築
観測手法と望遠鏡の 仕様について 矢野太平(理研) ●大角度はなれた同時サーベイについて ●サーベイ方法について ●観測精度について
・力のモーメント ・角運動量 ・力のモーメントと角運動量の関係
数値気象モデルCReSSの計算結果と 観測結果の比較および検討
非線形光学効果 理論 1931年 Göppert-Mayer ラジオ波 1959年 Winter 可視光 1961年
初級ミクロ経済学 -生産者行動理論- 2014年10月20日 古川徹也 2014年10月20日 初級ミクロ経済学.
柱崩壊と梁崩壊 (塑性設計の話) 第3部 その2 塑性設計の注意点 第4回岐阜建築鉄骨技術交流会 (かんたん構造講義)
セグメント鏡の研削加工 所 仁志 株式会社ナノオプトニクス・エナジー
テフロンGEM 宇野 彰二 KEK 2015.12.05 MPGD研究会.
1次陽子ビームのエネルギーが ニュートリノ・フラックスおよび機器に 与える影響について
確率・統計Ⅱ 第7回.
次に 円筒座標系で、 速度ベクトルと加速度ベクトルを 求める.
トラス部材の変形シミュレーション ~フィンクトラスに対する変形シミュレーション~
3.8 m望遠鏡主鏡エッジセンサ 開発進捗 京都大学 理学研究科 M2 河端 洋人.
京大岡山3.8 m望遠鏡計画: 分割主鏡制御エッジセンサの開発
梁の曲げ 1.外力としてのSFDとBMDおよびそれらの関係 2.梁の曲げ応力 (外力により発生する内力) 3.梁のたわみの求め方
車両工学特論02 タイヤの力学.
前回の内容 結晶工学特論 第5回目 Braggの式とLaue関数 実格子と逆格子 回折(結晶による波の散乱) Ewald球
回帰モデル・クラス分類モデルを 評価・比較するための モデルの検証 Model validation
使用限界状態 コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
原子核物理学 第4講 原子核の液滴模型.
緩衝液-buffer solution-.
信号電荷の広がりとデータ処理パラメータの最適化
イオンスライサーの使用方法 2014/10/9.
合成伝達関数の求め方(1) 「直列結合 = 伝達関数の掛け算」, 「並列結合 = 伝達関数の足し算」であった。
ひび割れ面の摩擦接触を考慮した損傷モデル
結晶工学特論 第2回目 前回の内容 半導体デバイス LED, LD, HEMT 半導体デバイスと化合物半導体 種類の豊富さ、直接遷移型、
100万トン水チェレンコフ検出器の開発研究 東京大学宇宙線研究所 金行健治 要求額:査定額:0円.
PRISM-FFAGの開発(Ⅴ) ー 電磁石開発 ー
流体の粘性項を 気体分子運動論の助けを借りて、 直感的に理解する方法
ベクトル線図 周波数応答 G(jw) (– < w < ) を複素平面内に描いたものが、ベクトル線図である。
安東 正樹池本尚史,小林洸,坪野公夫 (東京大学 理学系研究科)
KEK 武藤 俊哉 設計指針 セラミックの設計 POISSONによる電界計算 GPTによる粒子トラッキング まとめ
応力図(断面力図).
集積回路中における 絶縁膜に加わる熱応力の緩和
H30.2.5破壊実験フィンクトラスの改良点 初代フィンクトラス 改良型フィンクトラス.
変換されても変換されない頑固ベクトル どうしたら頑固になれるか 頑固なベクトルは何に使える?
応力(stress, s, t ) 自由物体図(free-body diagram)において、外力として負荷荷重P が作用したとき、任意の切断面で力の釣り合いを考慮すると、面における単位面積あたりの内力が存在する、それを応力といい、単位は、Pa(N/m2) で表す。面に垂直に働く垂直応力、s と平行に働くせん断応力、
DPFのマスモジュールにおける残留ガス雑音の研究II
9. ナイキスト線図と安定余裕 教科書 7.2, 7.3.
流速ベクトル.
Theory of Liner motor car
円管の口絞り加工におけるカーリング現象の 有限要素シミュレーション
原子核物理学 第7講 殻模型.
Winston cone を用いた チェレンコフカウンター
実験結果速報 目的 装置性能の向上 RF入射実験結果 可動リミター挿入 RFパワー依存性 トロイダル磁場依存性 密度依存性
TOBAの現状と今後の計画 坪野研輪講 2012年2月22日 岡田健志.
ここでは、歪エネルギーを考察することにより、エネルギー原理を理解する。
(株)ナノオプトニクス・エナジー 高橋啓介 2/13 @(株)ナガセ インテグレックス
大型ホイールのディスク成形における 有限要素シミュレーション 有限要素 シミュレーション 工具と素材形状の最適化 材料の歩留り向上
超伝導磁気浮上を用いたねじれ振り子について
わかりやすいパターン認識 第6章 特徴空間の変換 6.5 KL展開の適用法 〔1〕 KL展開と線形判別法 〔2〕 KL展開と学習パターン数
コンクリート構造物の 力学を学ぶために コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
大阪市立大学 孝森 洋介 with 大川,諏訪,高本
0次元計算による定常高イオン温度STの可能性
自動車ホイールのディスク成形に おける肉厚分布を持つ円環の加工 加工能率低下 図 ディスク成形 塑性加工研究室 中川原 大助 スピニング
問題14(11.曲げモーメントを受ける部材):  次の図は,曲げモーメントを受ける鉄筋コンクリート断面(単鉄筋長方形断面)の仮定を示したものである.この図の記述について,間違っているものを解答群から一つ選べ. a. 図中のうち,Ⅰ:弾性解析(全断面有効)では,ひび割れ前の純弾性状態に対して,用いられる断面仮定であり, 
磁場マップstudy 1.
各種荷重を受ける 中空押出形成材の構造最適化
RCはりをU字型補強した連続繊維シートによる
Presentation transcript:

TFコイルの変形と強度計算 計算条件(前回までと異なる部分) TFコイル電流を25kA、OHコイル電流を25kAとし、他のコイルは考慮しない。 コイルのCS側は固定、外側赤道面は、下側コイルに対称性をもって固定される。 TFコイルの断面形状の変化(4種類)を考慮した。 今までは、TFコイル平面内で考えていたが3次元で変形を解いた。特にトロイダル方向(Y方向)の転倒力について検討する。 コイル支持要素として、R=0.28m(FRP接続部), R=0.8m(ABS+SUS円弧)を考慮し、それぞれを3次元のばねとした。

座標系と支持 ばね定数(の逆数) FRP円弧/TF接続部 (寄与の大きな部分) R方向:5x10-8 m/N (FRP) Z方向:2x10-6 m/N (FRP) Y方向:6x10-7 m/N (傘型SUS円筒) ABS/SUS円弧 R方向:1x10-7 m/N (SUS円弧) Z方向:4x10-6 m/N (ABS) Y方向:4x10-7 m/N (ABS) トロイダル方向をYとする。 FRP TF接続部 ABS SUS円弧 コイルに沿う座標をs 数字が大きいほどやわらかい。

トロイダルコイルの変形 CSに近い部分のコイル断面の形状を現実に近いものにした。その結果、この部分の変形が変わった。 0.5mm FRPとABSがコイルを支持するので、RZ平面内の変形は以前よりもやや複雑。 0.5mm Y[m] 前回より柔らかくなった。 Y方向(トロイダル方向)の転倒力をFRPとABSが支持する FRP部にかかる力 はTF1本につき約400N、一方ABS部にかかる力 は約200N。転倒力はこの2つとTFコイル自身で支持している。 前回より硬くなった。 Z[m] 2.5mm R [m]

モーメントと最大応力 左図はY軸周りの曲げモーメント、導体に平行な軸の周りのねじれモーメント、これらに垂直なモーメント(転倒力によるもの)。右図はこれらに対応する応力で、これと許容応力(ここでは引っ張り強度を用いる)の比が安全率となる。 赤道面。応力最大50MPa [Nm] [MPa] コイルが太くなっており、以前の計算にけらべて応力が小さくなった。 S [m] S [m] 30MPa この部分のコイルが細くなっており、応力が大きい。

計算結果のまとめ 支持部の効果を取り入れ3次元での計算をおこなった。 コイルの最大変位は赤道面の約2.5mm。 コイルにかかる最大応力は赤道面で50MPa。 転倒力(トロイダル方向の力)はコイル以外にFRP円弧とABSで支持され、全体のモーメントは、この3つで2:4:3の割合で分担される。FRP円弧、ABSに加わる力はそれぞれ、400N, 200N。(前回の安全率評価は400Nを900Nとしておこなった。) 転倒力による応力はコイルのジョイント(孫の手型)の細い部分で最大30MPaとなる。

計算の限界と今後の課題 支持部の条件を決める上で、遊び(たとえば、ねじの山と谷の隙間やワッシャーの凹凸)があると支持部への加重が小さくなり、コイルへの加重が大きくなる。転倒力に対しては0.1mm程度、フープ力(RZ平面内の力)に対してはさらに小さい量の遊びがあると計算値が変わってくる。 コイル断面の形状変化や力の空間変化のスケールは断面に対して十分長いと仮定した計算をしているので、CS付近は誤差が大きいと思われる。 支持部のばね定数は、各部材の定数を積算したもので、すべての要素が入っているわけではない。見落としている点がまったくないとはいえない。 支持部への力がわかったので、これの応力をもとめ、安全率を評価する。 どこが弱いかを判断して、補強策を検討する。

補強の指針 (結論はまだ) フープ力に対して 転倒力 補強の指針 (結論はまだ) フープ力に対して コイルの安全率としては、赤道面が一番危険。なんらかの補強が必要。それ以外の部分の補強は以下2つの理由で難しい。(1)モーメント、変形が激しく振動しているので、補強する位置を精度よく決めなければならない。(2)弱い力では変位を抑えられないので、硬い支持が必要。 コイルをもっと太いものにするのが確実な補強策。 転倒力 これは、コイル、FRP円弧、ABSで支持されるので、これらのバランスをどうするかが問題。3つのうちの1つを補強して、その結果それが硬くなると、分担すべき加重が増えるので、補強の効果が減少する。どれをどのように補強するかを検討しなければならない。 コイルとしては、TFのジョイント(孫の手)の応力が最大。これをもっと太いものにすれば、この部分の応力は改善されるが、コイル側で負担すべき加重はふえる。応力は局所的なので、最大応力(安全率)は改善されるだろう。 力の向きが決まっているので、FRP円弧、ABS以外の補強は単純で、有効。ただし、CSに近いところで補強する必要がある。

TFコイルの変形と強度計算 計算条件(前回と異なる部分) TFコイル電流を25kA、OHコイル電流を25kAとし、他のコイルは考慮しない。 今までは、TFコイル平面内で考えていたが3次元で変形を解いた。特にトロイダル方向(Y方向)の転倒力について検討する。 コイルのCS側は転倒力によるねじれのみ考慮、外側赤道面は、下側コイルに対称性をもって固定される。 コイル支持要素として、R=0.28m(FRP接続部), R=0.8m(ABS+SUS円弧)を考慮し、それぞれを3次元のばねとした。 CSの転倒力は傘型で支持される。

Structure of TF and its support TFinCS(Cu) TFJoint(Cu) TFOuter FRP Umbrella (SUS)

Electromagnetic Force to a TF coil TFJoint/FRP ABS/SUS Hoop force Toppling force Hoop force

Calculation of the displacement Coil elements are treated as a slender beam with rectangular cross sections Upper part is calculated (red part in the left figure) Fixed rigid boundary at the left bottom, symmetric connection to the lower part at the equator Spring connections at CS Top, TF joint/FRP and ABS/SUS. TF Joint/FRP Y:toroidal direction -kD ABS/SUS -kD -kD rigid s:along the coil Fz,Fy,My from lower part

Displacement of the coil Y方向(トロイダル方向)の転倒力をFRPとABSとCS上部(傘型)が支持する。 FRP部にかかる力 はTF1本につき約500N、一方ABS部にかかる力 は約150N。 CS上部(傘型)にかかる力は約1500N。 150N Y[m] 0.1mm 1500N 0.3mm Z[m] 4mm Y[m] R [m]

Moment and vending stress フープ力による応力が最大となるのは赤道面。転倒力によるモーメントが最大となるのは、Joint部分 転倒力によるZ軸周りのモーメントは3カ所で支えられている。 60MPa at the equator due to the hoop force. ABS/SUS [Nm] [MPa] TF joint/FRP CS Top S [m] S [m] 15MPa near the TF Joint due to the toppling force

Margin of safety ratio +2.4kNm Toppling 1.7 for SUS M8 Shear 1 for FRP Comp. TFinCS(Cu) TFJoint(Cu) TFOuter FRP Umbrella (SUS) 2kN/TF Hoop 40 for SUS M8 Tensile 15MPa Vending 13 for Joint +3.4kNm Toppling 6 for SUS Vending

対策案ほか PPPLのエンジニアなどの話 銅であれば150MPaまでOK。(徐々に変形はするが) 繰り返し負荷、絶縁の対策は難しい。  繰り返し負荷、絶縁の対策は難しい。  TST-2で音がするのは、おかしい。調べた方がよい。 強度計算の結果  上述のように銅の許容応力を認めれば、銅コイル自身は強度的に十分。転倒力による、CS上下端のボルト接続は強度に余裕がなく問題。 傘型への接続を緩くして、CS上下端が動くようにするとボルトへの応力は軽減される。TFJointをもっと太くすると、多少は軽減されるが、上記に比べれば効果は小さい。

今後の課題 PF1の効果の計算 振動検出の準備(レーザー距離センサー)  振動は多分、TFコイルの赤道面を押さえればよい? 補強?クッション? TFコイルのボルト接続の繰り返し荷重によるゆるみの検討、対策 TFコイル温度上昇によるひずみの検討 CS上下端のボルト接続の対策

TFコイルの変形と強度計算3 計算条件 TFコイル電流を25kA、OHコイル電流を下記の3つの場合を計算した。 OH(25kA) OH(25kA) +PF1(6x25kA) OH(25kA) +PF1(6x25kA) +PF2(6x4.2kA) 3番目のパターンは、Null点の面積がかなり広い場合。ただし、転倒力は2番目も3番目もほぼ同じなので、3番目の変位、強度計算は行わなかった。

Electromagnetic Force to a TF coil TFJoint/FRP 異なるコイルの組み合わせでの転倒力 ABS/SUS PF1により、CS側の転倒力はあまり変わらないが、CSからJointまでの転倒力が大きくなる。

Force to the coil 場所・通電 OH OH+PF1 CSトップ 1500N 800N TF Joint 480N 620N ABS 150N 120N R [m] Y[m] 0.1mm 150N 480N 1500N

Margin of safety ratio 2 for FRP Comp. 赤字:OH(以前) 青字:OH+PF1(今回) +1.2kNm Toppling 3.5 for SUS M8 Shear 4 for FRP Comp. +2.4kNm Toppling 1.7 for SUS M8 Shear 2 for FRP Comp. TFinCS(Cu) TFJoint(Cu) TFOuter FRP Umbrella (SUS) 2kN/TF Hoop 40 for SUS M8 Tensile 18MPa Vending 11 for Joint 22MPa Vending 9 for Joint +4.2kNm Toppling 5 for SUS Vending +3.4kNm Toppling 6 for SUS Vending

結論 PF1を通電することによりCS側の転倒力はほとんど変化しないが、外側の転倒力が増える。これらの転倒力は逆向きなので、コイルを通じてCS側の転倒力は支えられる。その結果、CS上下端のねじれ(トルク)は約半分になり、SUSのM8ボルト安全率が1.7から3.5になる。(前回FRPの圧壊の安全率を1と評価したが、圧縮強度は引っ張り強度の2倍なので、安全率は2倍になる。) 外側の転倒力が増えたので、FRP/Joint部への荷重が500Nから620Nへ増えた。そのため傘型のSUSの耳の安全率が6から5に減少する。 コイル(Joint)の曲げ応力が増し、安全率は、11から9に減る。

CSの補強策の検討 これまでの検討でもっとも安全率の低いところはCSの上下端のM8ボルトである。この安全率を高くするためにはCSの転倒力(トルク)を別に支持してやればよい。 そこで、下記の補強棒でFRP円板から支えてやることを考える。これにより中心のFRP円筒への荷重を減らすことができれば、SUSM8への剪断力を減らせると期待される。構造の堅さ(断面2次モーメント)はサイズの4乗に比例する。同程度の堅さを持つためには、棒の断面は40mm角程度でなければならない。このとき、FRP円筒と補強棒の負担すべき荷重は同程度になり、M8ボルトの安全率は2倍程度になる。一方TFコイルの間隔は、CSの接続部で25mm程度なので、十分な大きさの補強棒を入れることは難しいと思われる。また、もっとRの大きいところだと変位の向きが逆になり、補強にはならない。以上より、補強棒による補強は有効ではないと思われる。 TFinCS(Cu) TFJoint(Cu) TFOuter FRP Umbrella (SUS) 補強棒