藤田保健衛生大学医学部 公衆衛生学 柿崎 真沙子

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藤田保健衛生大学医学部 公衆衛生学 柿崎 真沙子 2017年度日本疫学会スライドコンテスト受賞作品 基本的な統計 ー簡単な分析統計ー 藤田保健衛生大学医学部 公衆衛生学 柿崎 真沙子 製作者:柿崎真沙子

基本的な統計 分析統計とは 検定の流れ 検定の例 製作者:柿崎真沙子

分析統計 偶然なのかそうでないかを判断する 帰無仮説をたて、それが採択されるか棄却されるかを判断する 製作者:柿崎真沙子

検定の流れ   ① 設 問   ② 仮説の設定   ③ 統計手法の選択   ④ 統計量を求める   ⑤ 確率Pを求める   ⑥ 判 定 製作者:柿崎真沙子

例)2群の平均値の違いを求める チームAとチームBの平均年齢に違いはあるか? どうやって検討したらいいだろうか? 製作者:柿崎真沙子

検定の例(独立2群の差の検定) 例:チームAとチームBの年齢について、両群間に差があると考えて良いか。 (※架空のデータです) チームA 20 24 25 28 23 18 22 26 27 29 17 例:チームAとチームBの年齢について、両群間に差があると考えて良いか。 (※架空のデータです) 製作者:柿崎真沙子

検定の流れ   ① 設 問   ② 仮説の設定   ③ 統計手法の選択   ④ 統計量を求める   ⑤ 確率Pを求める   ⑥ 判 定 製作者:柿崎真沙子

①設問 チームAとチームBの年齢平均値に差がある これを検証したい仮説H1とする 製作者:柿崎真沙子

②帰無仮説の設定 帰無仮説(H0): 検討したい仮説(H1) : 帰無仮説(H0) : 「差がない」「効果がない」といった検討したい仮説(差がある、効果がある)と逆の仮説 この仮設を棄却する(=棄てる)ことで、「差がある」「効果がある」ということができる 検討したい仮説(H1) : チームAとチームBの年齢平均値に差がある(H1) 帰無仮説(H0) : 年齢平均値に差がないと仮定 製作者:柿崎真沙子

③統計手法の選択 帰無仮説(H0) :年齢平均値に差がない つまり2標本の平均値の差を検定する 年齢=正規分布 平均値の差 →統計手法は二標本t検定 製作者:柿崎真沙子

どのような統計手法を選択するか データの性質とデータの分布から統計手法を選択する データの性質 データの分布 カテゴリー変数(名義尺度、順序尺度) 連続変数(間隔尺度、比尺度) データの分布 パラメトリック:データの分布を仮定する ノンパラメトリック:分布を仮定しない 製作者:柿崎真沙子

データの種類と要約値の種類 意味 例 要約値 演算 カテゴリー変数 順序尺度 大小関係にのみ意味がある 順序にも意味がある 薬効 度数 最頻値 中央値 大小の比較 名義尺度 区別することに意味がある 疾患名 血液型 演算不可 連続変数 間隔尺度 数値の差のみに意味がある 温度 日付 平均値 加法 減法 比尺度 数値の差と比に意味がある 年齢 身長 乗法 除法 製作者:柿崎真沙子

データの分布と統計手法 パラメトリック検定: ノンパラメトリック検定: 統計学的パワーは高い(効率的) 分布などで適応と禁忌がある 計算可能ならデータ数は少なくてもよい ノンパラメトリック検定: 数値よりも順序・順位に基づくデータ処理 適応と禁忌はないに等しい パワーは弱まる(保守的) 検定可能な最小データ数が問題になる 製作者:柿崎真沙子

パラメトリック検定代表 t検定が使える条件 連続変量・数量によるデータであること 正規分布すること※(対数処理などによる正規化を含む) 等分散であること これらの条件を満たさなければ、 ノンパラメトリックな検定手法を 例)Mann-Whitney 検定:順位の群間差 ※正規性の検定には、D’Agostino & Pearson omnibus normality test Shapiro-Wilk normal test、Kolmogorov–Smirnov testなどがある。 製作者:柿崎真沙子

④統計量を求める 計算する統計量は、使用する統計方法によってすべて異なる t検定で必要な統計量tを求める t検定→t値 F検定→F値 カイ二乗検定→χ2値 Mann-Whitney U検定→U値 t検定で必要な統計量tを求める t検定の場合、平均値の差(x1-x2)に2群の差が要約されていると考える まずはデータを要約し、データ数と平均値、標準偏差、平均の差を出してみる 製作者:柿崎真沙子

④統計量を求める データの要約 A B データ数 平均値 分散 標準偏差 平均の差 チームA チームB 20 24 25 28 23 22 21 26 27 18 29 17 データの要約 A B データ数 15 平均値 22.4 24.7 分散 12.495 5.314 標準偏差 3.534 2.227 平均の差 2.31 (※架空のデータです) 製作者:柿崎真沙子

√ ④統計量を求める t検定で必要な統計量tを求める |2群の平均値の差| 統計量t= S√ 1 1 + n m n:Aのデータ数 m:Bのデータ数 S:両群の分散から求めた合成分散 S√ 1 n + 1 m √ 分散A(n-1)+分散B(m-1) S= (n-1)+(m-1) 製作者:柿崎真沙子

√ ④統計量を求める t検定で必要な統計量tを求める 12.495(15-1)+5.314(15-1) S= =2.984084768 15+15-2 |22.93-24.8| 統計量t= = 1.86667 =1.713114 S√ 2.98408×0.36515 1 15 + 1 15 製作者:柿崎真沙子

⑤確率P( P値、P value )を求める H0のもと、平均の差の生じる確率Pを求める 確率P(P値、P value) 通常この確率が5%未満 (P<0.05)であれば、帰無仮説(H0)は棄却され、対立仮説(H1)が採用される t検定における確率Pは、平均の差をその標準誤差で標準化すると、自由度n+m-2のt分布に従うことを利用して求める t値を自由度n+m-2としてt分布表で調べる 製作者:柿崎真沙子

⑤確率Pを求める 自由度=標本数ーパラメーター数 今回の場合自由度=標本数ーグループ数 =30ー2=28        =30ー2=28 使用する統計手法により参照する分布表は異なる F検定→F分布 カイ二乗検定→χ2分布 Mann-Whitney U検定→標準正規分布 製作者:柿崎真沙子

t分布表 P df 0.10 0.05 0.01 0.001 1 6.3138 12.706 63.657 636.62 15 1.7530 2.1315 2.9467 4.073 2 2.9200 4.3027 9.9248 31.598 16 1.7459 2.1199 2.9208 4.015 3 2.3534 3.1825 5.8409 12.941 17 1.7396 2.1098 2.8982 3.965 4 2.1318 2.7764 4.6041 8.610 18 1.7341 2.1009 2.8784 3.922 5 2.0150 2.5706 4.0321 6.859 19 1.7291 2.0930 2.8609 3.883 6 1.9432 2.4469 3.7074 5.959 20 1.7247 2.0860 2.8453 3.850 7 1.8946 2.3646 3.4995 5.405 21 1.7207 2.0796 2.8314 3.819 8 1.8595 2.3060 3.3554 5.041 22 1.7171 2.0739 2.8188 3.792 9 1.8331 2.2622 3.2498 4.781 23 1.7139 2.0687 2.8073 3.767 10 1.8125 2.2281 3.1693 4.587 24 1.7109 2.0639 2.7969 3.745 11 1.7959 2.2010 3.1058 4.437 25 1.7081 2.0595 2.7874 3.725 12 1.7823 2.1788 3.0545 4.318 26 1.7056 2.0555 2.7787 3.707 13 1.7709 2.1604 3.0123 4.221 27 1.7033 2.0518 2.7707 3.690 14 1.7613 2.1448 2.9768 4.140 28 1.7011 2.0484 2.7633 3.674 製作者:柿崎真沙子

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⑤確率Pを求める 有意水準0.05、自由度28の時のt値(t0.05)は 2.0484 有意水準0.10、自由度28の時のt値(t0.1)は  2.0484 有意水準0.10、自由度28の時のt値(t0.1)は  1.7011 今回求めたt値(t)は  1.713 つまり 0.05<P<0.10 DF/P 0.10 0.05 0.01 0.001 28 1.7011 2.0484 2.7633 3.674 製作者:柿崎真沙子

⑥判定 Pが有意水準αより大きい Pが有意水準αより小さい 今回の有意水準は0.05で、求めたP>0.05 帰無仮説を棄却できない H0を棄却し、H1を採用 今回の有意水準は0.05で、求めたP>0.05 つまり①帰無仮説を棄却できない 2群の平均年齢に差があるとは言えない 製作者:柿崎真沙子