広大院先端研A,広大総合科B,北大工C 小杉範仁A,松尾繁政B,A,金野幸吉C,畠中憲之B,A 減衰ラビ振動の理論 広大院先端研A,広大総合科B,北大工C 小杉範仁A,松尾繁政B,A,金野幸吉C,畠中憲之B,A 2006年 4月10日(月) 北海道大学
はじめに 目的 ①量子コンピュータの基礎知識をコンパクトにまとめる ②二準位系やラビ振動とその減衰過程の研究報告 1.量子コンピュータとは? 2.概要 3.リュービル方程式と厳密解 4.減衰ラビ振動解 5.内部・位相緩和定数の決定法 6.まとめ・今後の研究 本講演の目的は デコヒーレンス過程の理解のために 減衰ラビ振動する確率密度の運動方程式の厳密解を求め、 その解析解を用いて、内部・位相緩和定数の決定法を提案することにあります。 講演内容の順番は、 最初に研究の背景について説明し、 次に、我々が解析を行った、確率密度の運動方程式であるリュービル方程式とその厳密解について報告し、 そのあと、減衰ラビ振動の解析を行い、 それを用いて内部・位相緩和定数の決定法について提案します。 最後にまとめをお話します。
1.量子コンピュータとは? 重ね合わせ状態とエンタングルメント状態 を用いた超並列計算機 量子ビット 古典ビット 一回の操作で 一つの1か0を書き換える 一回の操作で 同時に1と0を書き換える
1.量子コンピュータとは? 重ね合わせ状態とエンタングルメント状態 を用いた超並列計算機 古典ビット 量子ビット 一回の操作で 一つの1か0を書き換える 一回の操作で 4古典ビットを書き換える
1.量子コンピュータとは? 重ね合わせ状態とエンタングルメント状態 を用いた超並列計算機 古典ビット 量子ビット 一回の操作で 一つの1か0を書き換える 一回の操作で 16古典ビットを書き換える
1.量子コンピュータとは? 重ね合わせ状態とエンタングルメント状態 を用いた超並列計算機 古典ビット 量子ビット 一回の操作で 一つの1か0を書き換える 一回の操作で 256古典ビットを書き換える
1.量子コンピュータとは? 重ね合わせ状態とエンタングルメント状態 を用いた超並列計算機 古典ビット 量子ビット 一回の操作で 一つの1か0を書き換える 一回の操作で 65536古典ビットを書き換える
1.量子コンピュータとは? 重ね合わせ状態とエンタングルメント状態 を用いた超並列計算機 古典ビット 量子ビット 一回の操作で 一つの1か0を書き換える 一回の操作で 約43億古典ビットを書き換える
1.量子コンピュータとは? 200ケタの整数の 素因数分解 古典コンピュータ:数十億年 現在の暗号システムの 量子コンピュータ:数分 安全性が保障される 古典コンピュータ:数十億年 量子コンピュータ:数分 1000量子ビット×1000ステップ データ検索 N個のランダムな標本 一つを抽出 1/2の確率で選ぶために 必要なステップ数 古典 約N/2回 量子コンピュータ 約 回
1量子ビットと2量子ビットを用いた論理ゲート 1.量子コンピュータとは? 1量子ビットと2量子ビットを用いた論理ゲート を組み合わせて作ることができる 制御ビット 標的ビット アダマールゲート 制御ノットゲート 1と0の 重ね合わせ状態を作る 左が1のとき、右が0なら1、1なら0に変える
1量子ビットと2量子ビットを用いた論理ゲート 1.量子コンピュータとは? 1量子ビットと2量子ビットを用いた論理ゲート を組み合わせて作られる 制御ノットゲート エンタングルメント状態を作る 制御ビット 標的ビット どちらかを測定して 0(1)なら、もう一方は 1(0)となる状態
量子力学的におもしろい、たくさんの現象・分野が絡み合う 1.量子コンピュータとは? 量子力学的におもしろい、たくさんの現象・分野が絡み合う デコヒーレンス 理学 工学 量子コンピュータ 重ね合わせ状態 エンタングルメント
2.概要 内部・位相緩和定数の測定 ・今回報告する解析法 位相量子ビット 減衰過程の解明 厳密解 量子ビット 内部緩和 重ね合わせ状態 ラビ振動 デコヒーレンス時間 位相緩和 減衰過程の解明 位相差 量子ビットは量子情報の基本単位である。 量子ビットは重ね合わせ状態により作られ、 二準位系に外場を入力し、ラビ振動を誘起することで実現する。 このような二準位系は、ジョセフソン接合において実現される。 ジョセフソン接合は、2つの超伝導体の間に絶縁体をはさんだ接合のことである。 一つの超伝導体に存在するクーパー対の位相はそろっている。 二つの超伝導体それぞれの位相をθ1、θ2とする。 この位相差は、ジョセフソン接合がつくるポテンシャルにおいて、 量子化されていることが知られている。 位相量子ビットはその名の通り、量子化された二準位を用いるものである。 (二つの超伝導体を横断する超伝導電流は、この位相差を変数としたサイン関数で書けることが知られている。 このためジョセフソン接合には電圧をかけなくても電流が流れる。この電流には臨界値があり、 これを超える外部電流を与えると、接合に電圧が発生する。 この電圧を受けて、ファラデーの電磁誘導のように位相差が変化する) 位相量子ビットなど現実の二準位系では、内部緩和や外部透過、そして位相緩和が存在するため、デコヒーレンス時間が有限である。 量子コンピュータが実用化されるためには、デコヒーレンス時間を長く保つ必要があり、 従って、デコヒーレンスの原因となる減衰過程の解明が不可欠である。 今回我々は、減衰過程のある一般的な二準位系において、減衰ラビ振動の時間発展を解析した。 方法として、確率密度の運動方程式を立て、その厳密解を求めた。 さらに、これを用い、実効的な減衰ラビ振動解を得た。 一方、減衰過程の解明に不可欠な内部・位相緩和定数の測定には、現在スピンエコー法やラムゼー干渉法がある。 今回、減衰ラビ振動の解析から行う内部・緩和定数の測定法について報告する。 スピンエコー法とラムゼー干渉法は、 パルス操作と遅延時間調節という多段階の操作を行う自由場における測定法である。 一方、今回報告する解析法は、強制外場(と自由場のもとで)のもとでの観測を用いて行う方法である。 これは、ただ一度の外場入力を与える二準位系において、ρ11の観測のみを用いる簡便な方法である。 減衰ラビ振動の時間発展 内部・位相緩和定数の測定 ・スピンエコー法 ・ラムゼー干渉法 ・今回報告する解析法 の運動方程式 厳密解 減衰ラビ振動解
2.概要 内部・位相緩和定数の測定 ・今回報告する解析法 ①強制外場の下での減衰 ②一度の外場入力 ①自由場の下での減衰 量子ビット 内部・位相緩和定数の測定 重ね合わせ状態 ・スピンエコー法 ・ラムゼー干渉法 ①自由場の下での減衰 ②パルス+遅延時間の操作 ラビ振動 デコヒーレンス時間 減衰過程の解明 ・今回報告する解析法 ①強制外場の下での減衰 ②一度の外場入力 量子ビットは量子情報の基本単位である。 量子ビットは重ね合わせ状態により作られ、 二準位系に外場を入力し、ラビ振動を誘起することで実現する。 このような二準位系は、ジョセフソン接合において実現される。 ジョセフソン接合は、2つの超伝導体の間に絶縁体をはさんだ接合のことである。 一つの超伝導体に存在するクーパー対の位相はそろっている。 二つの超伝導体それぞれの位相をθ1、θ2とする。 この位相差は、ジョセフソン接合がつくるポテンシャルにおいて、 量子化されていることが知られている。 位相量子ビットはその名の通り、量子化された二準位を用いるものである。 (二つの超伝導体を横断する超伝導電流は、この位相差を変数としたサイン関数で書けることが知られている。 このためジョセフソン接合には電圧をかけなくても電流が流れる。この電流には臨界値があり、 これを超える外部電流を与えると、接合に電圧が発生する。 この電圧を受けて、ファラデーの電磁誘導のように位相差が変化する) 位相量子ビットなど現実の二準位系では、内部緩和や外部透過、そして位相緩和が存在するため、デコヒーレンス時間が有限である。 量子コンピュータが実用化されるためには、デコヒーレンス時間を長く保つ必要があり、 従って、デコヒーレンスの原因となる減衰過程の解明が不可欠である。 今回我々は、減衰過程のある一般的な二準位系において、減衰ラビ振動の時間発展を解析した。 方法として、確率密度の運動方程式を立て、その厳密解を求めた。 さらに、これを用い、実効的な減衰ラビ振動解を得た。 一方、減衰過程の解明に不可欠な内部・位相緩和定数の測定には、現在スピンエコー法やラムゼー干渉法がある。 今回、減衰ラビ振動の解析から行う内部・緩和定数の測定法について報告する。 スピンエコー法とラムゼー干渉法は、 パルス操作と遅延時間調節という多段階の操作を行う自由場における測定法である。 一方、今回報告する解析法は、強制外場(と自由場のもとで)のもとでの観測を用いて行う方法である。 これは、ただ一度の外場入力を与える二準位系において、ρ11の観測のみを用いる簡便な方法である。 減衰ラビ振動の時間発展 の運動方程式 厳密解 減衰ラビ振動解
2.リュービル方程式と厳密解 今回用いた系 の運動方程式 リュービル方程式は確率密度の運動方程式である。 密度行列はこう定義した。 ρ00は基底準位の確率密度を表し、ρ11は励起準位の確率密度を表している。 減衰のないラビ振動を行う確率密度の運動方程式はこう書ける。 すなわち、ハミルトニアンはこう書け、対角項は各準位のエネルギーを、非対角項は入力外場を表している。 さらに、現象論的な減衰項を加え、これらの項はまず基底状態の減衰過程を表す。 この項は基底状態から外部への散逸と励起状態からの緩和からなる。 これは励起状態の減衰過程であり、外部への散逸と基底状態への緩和を含んでいる。 非対角項の減衰の割合はΓで与えられ、縦緩和と位相緩和からなる横緩和である。 この方法は、トーレイ法として知られており、トーレイの解析では、 外部散逸のない二準位系を用い、 我々が解析を行った二準位系は、外部散逸を含んでいる。 これにより、ブロッホベクトルは、u,v,w,Sの四つの式で与えられる。 外部散逸を取り入れたことで、密度行列の対角和は時間発展を行う。 ブロッホ方程式は、こう表される。Δはディチューニングを、Ω0は共鳴ラビ周波数を表す。 今回、このブロッホ方程式の厳密解を得た。それは、この式で表される。 この厳密解は、四つの項からなり、三種類の減衰定数を持つ。 前半二つの項は単調な減衰を、後半二つの項は振動を伴う減衰を表している。 さらにこれを用い、減衰ラビ振動の時間発展の解析を行うため、 励起状態の確率密度の、減衰ラビ振動の解析解を得た。
2.リュービル方程式と厳密解 ブロッホ方程式 今回用いた系 減衰ラビ振動解 厳密解 の運動方程式 ラプラス変換 ブロッホ・ベクトル リュービル方程式は確率密度の運動方程式である。 密度行列はこう定義した。 ρ00は基底準位の確率密度を表し、ρ11は励起準位の確率密度を表している。 減衰のないラビ振動を行う確率密度の運動方程式はこう書ける。 すなわち、ハミルトニアンはこう書け、対角項は各準位のエネルギーを、非対角項は入力外場を表している。 さらに、現象論的な減衰項を加え、これらの項はまず基底状態の減衰過程を表す。 この項は基底状態から外部への散逸と励起状態からの緩和からなる。 これは励起状態の減衰過程であり、外部への散逸と基底状態への緩和を含んでいる。 非対角項の減衰の割合はΓで与えられ、縦緩和と位相緩和からなる横緩和である。 この方法は、トーレイ法として知られており、トーレイの解析では、 外部散逸のない二準位系を用い、 我々が解析を行った二準位系は、外部散逸を含んでいる。 これにより、解析を行うために用いたブロッホベクトルは、u,v,w,Sの四つの式で与えられる。 外部散逸を取り入れたことで、密度行列の対角和は時間発展を行う。 ブロッホ方程式は、こう表される。Δはディチューニングを、Ω0は共鳴ラビ周波数を表す。 今回、このブロッホ方程式の厳密解を得た。それは、この式で表される。 この厳密解は、四つの項からなり、三種類の減衰定数を持つ。 前半二つの項は単調な減衰を、後半二つの項は振動を伴う減衰を表している。 さらにこれを用い、減衰ラビ振動の時間発展の解析を行うため、 励起状態の確率密度の、減衰ラビ振動の解析解を得た。 減衰ラビ振動解 厳密解
3.減衰ラビ振動解 S(t) の減衰 v(t) の減衰 w(t) の減衰 位相緩和 減衰ラビ振動解の表式は、この式で与えられる。減衰定数aとcはこう書ける。 どのような物理的過程によって減衰定数aとcが与えられているのか、見通しをよくするために、今回解析を行ったブロッホ方程式を用いる。 u,v,w,SとΓはこう定義した。減衰定数aは密度行列の対角和の減衰を表している。 これは、赤枠の行列要素と一致していることから理解できる。これは、各準位からの外部散逸を表している。 減衰定数cは二つの減衰過程からなる。 一つは密度行列の非対角要素の差の減衰である。 これは、緑枠の行列要素と一致していることから理解できる。これは、縦緩和と位相緩和からなる横緩和である。 もう一つは、密度行列の対角要素の差の減衰である。これは、橙色枠の行列要素と一致していることから理解できる。 これは、励起準位の外部散逸と基底準位への内部緩和と基底準位の外部散逸を表してる。 非対角要素の共鳴ラビ周波数によって、二つの減衰過程が混ぜ合わされ減衰定数cを与えている。 ここでは、a,c二つの異なる減衰過程が存在することを説明した。 次に減衰ラビ振動を観測することにより、a,cを独立に抽出する簡便な方法を示す。 この方法を用いて、内部・位相緩和定数を決定する方法を提案する。 位相緩和
a,c:異なる減衰過程 a,cを独立に抽出 3.減衰ラビ振動解 S(t) の減衰 v(t) の減衰 w(t) の減衰 u,v,w,SとΓはこう定義した。減衰定数aは密度行列の対角和の減衰を表している。 これは、赤枠の行列要素と一致していることから理解できる。これは、各準位からの外部散逸を表している。 減衰定数cは二つの減衰過程からなる。 一つは密度行列の非対角要素の差の減衰である。 これは、緑枠の行列要素と一致していることから理解できる。これは、縦緩和と位相緩和からなる横緩和である。 もう一つは、密度行列の対角要素の差の減衰である。これは、橙色枠の行列要素と一致していることから理解できる。 これは、励起準位の外部散逸と基底準位への内部緩和と基底準位の外部散逸を表してる。 非対角要素の共鳴ラビ周波数によって、二つの減衰過程が混ぜ合わされ減衰定数cを与えている。 ここでは、a,c二つの異なる減衰過程が存在することを説明した。 次に減衰ラビ振動を観測することにより、a,cを独立に抽出する簡便な方法を示す。 この方法を用いて、内部・位相緩和定数を決定する方法を提案する。 a,c:異なる減衰過程 a,cを独立に抽出
a,cを独立に抽出 g,hを独立に抽出 4.内部・位相緩和定数の決定法 + + - - - - + + このグラフはρ11の時間発展の様子を表している。上の包絡線は、こう書け、 下の包絡線はこう書ける。 つまり、赤青上下の包絡線はプラスマイナスで記述される。 これら上下包絡線の和からaを抽出することができ、 上下包絡線の差から別の減衰定数cを抽出することができる。 これで、a,cを独立に抽出することができた。 さらに、外場のない場合は、ハンらによって解析され、 そのρ11はこう書ける。 gはΓ0であるが、それはこのフィッティングから求められ、 hはΓ1と内部緩和γ10であるが、それはこのフィッティングから求められる。 これで、g,hを独立に抽出することができた。 これらの減衰定数から、内部緩和定数はこう与えられ、 位相緩和定数はこう与えられ、それぞれを決定することができる。 以上の解析法が、内部・位相緩和定数を決定する方法である。 内部・位相緩和定数の測定を行う従来のスピンエコー法とラムゼー干渉法は、 パルス操作と遅延時間調節という多段階の操作を行う、自由場における測定法である。 一方、今回報告した解析法は、強制外場と自由場のもとで測定を行うものである。 これは、ただ一度の外場入力を与え、ρ11の観測のみを用いる簡便な方法である。
a,cを独立に抽出 g,hを独立に抽出 4.内部・位相緩和定数の決定法 内部緩和定数 位相緩和定数 このグラフはρ11の時間発展の様子を表している。上の包絡線は、こう書け、 下の包絡線はこう書ける。 つまり、赤青上下の包絡線はプラスマイナスで記述される。 これら上下包絡線の和からaを抽出することができ、 上下包絡線の差から別の減衰定数cを抽出することができる。 これで、a,cを独立に抽出することができた。 さらに、外場のない場合は、ハンらによって解析され、 そのρ11はこう書ける。 gはΓ0であるが、それはこのフィッティングから求められ、 hはΓ1と内部緩和γ10であるが、それはこのフィッティングから求められる。 これで、g,hを独立に抽出することができた。 これらの減衰定数から、内部緩和定数はこう与えられ、 位相緩和定数はこう与えられ、それぞれを決定することができる。 以上の解析法が、内部・位相緩和定数を決定する方法である。 内部・位相緩和定数の測定を行う従来のスピンエコー法とラムゼー干渉法は、 パルス操作と遅延時間調節という多段階の操作を行う、自由場における測定法である。 一方、今回報告した解析法は、強制外場と自由場のもとで測定を行うものである。 これは、ただ一度の外場入力を与え、ρ11の観測のみを用いる簡便な方法である。 位相緩和定数
厳密解 内部・位相緩和定数の決定 5.まとめ・今後の研究 デコヒーレンス過程 減衰ラビ振動の時間発展 の運動方程式 外部散逸あり ラビ振動あり ラビ振動なし 減衰ラビ振動解 の包絡線 2つの減衰定数 量子コンピュータ実用化に向けて デコヒーレンス過程の解明が不可欠である。 これにあたり、減衰ラビ振動の時間発展を解析した。 方法として、確率密度の運動方程式を立て、その厳密解を求めた。 さらに、これを用い、減衰ラビ振動の解析を行った。 次に、減衰ラビ振動するρ11の包絡線から二つの減衰定数を抽出し、 また、外場のない場合のρ11の二段階減衰をフィッティングすることで二つの減衰定数を抽出した。 この四つの減衰定数から内部・位相緩和定数を決定する方法を提案した。 この解析法は、強制外場と自由場のもとで測定を行うものである。 これは、ただ一度の外場入力を与え、ρ11の観測のみを用いる簡便な方法である。 2つの減衰定数 内部・位相緩和定数の決定
5.まとめ・今後の研究 1.多qubit系への拡張 2.トポロジカル二準位系? 量子コンピュータ実用化に向けて デコヒーレンス過程の解明が不可欠である。 これにあたり、減衰ラビ振動の時間発展を解析した。 方法として、確率密度の運動方程式を立て、その厳密解を求めた。 さらに、これを用い、減衰ラビ振動の解析を行った。 次に、減衰ラビ振動するρ11の包絡線から二つの減衰定数を抽出し、 また、外場のない場合のρ11の二段階減衰をフィッティングすることで二つの減衰定数を抽出した。 この四つの減衰定数から内部・位相緩和定数を決定する方法を提案した。 この解析法は、強制外場と自由場のもとで測定を行うものである。 これは、ただ一度の外場入力を与え、ρ11の観測のみを用いる簡便な方法である。