2017. 5. 25 有機バイオ材料化学 5. カルボニルの反応 5-1 アルデヒド・ケトン.

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無機化学 II 坪村太郎. 無機化学 II 第1回第1回 4/7 無機化学Iの復習と無機化学IIで学ぶこととのかかわり 第2回第2回 4/14 無機化学と環境、資源 第3回第3回 4/21 産業と無機化合物のかかわり 第4回第4回 4/28 遷移金属元素 性質と資源 * 第5回第5回 5/12 遷移金属の化合物.
π電子自由自在 -C≡C- ポリジアセチレン ナノワイヤー FET素子 結晶工学 ナノ複合体 結晶内反応 イナミン化合物 環状化合物
第5章 無機化学 5・1 単体の構造と物性 5・1・1 典型元素
元素の周期表 教科書 p 元素を 原子番号 順に並べる 性質の良く似た元素がある周期で現れる 元素の周期律 周期表
医薬品素材学 I 3 熱力学 3-1 エネルギー 3-2 熱化学 3-3 エントロピー 3-4 ギブズエネルギー 平成28年5月13日.
光化学 6章 6.1.2 Ver. 1.0 FUT 原 道寛.
炭水化物 砂糖,デンプン,セルロースなど DNAの構成成分,膜にも存在(糖脂質) ストレプトマイシン,ビタミンC 主にC, H, Oからなる
銅の電気精錬 (1)陽極 Cu→Cu2++2e- (粗銅中の銅) (2)陰極 Cu2++2e-→Cu.
Alcian Blue  & PAS.
うめの躾はどのような時に使うの? オイルが汚れたら → オイル交換 油汚れには 質が良いオイルの補給 オーバーヒートの時は→ 冷却
アルドースの立体配置 C3 トリオース キラル中心1個 21= 2種類の光学異性体 D,L-グリセルアルデヒド
アルギン酸 アルギン酸とは‥ 化学構造 ・昆布、わかめに代表される褐藻類の細胞間物質の主成分
効率を改善 人工系に接続 CO2還元 ATP生成 低効率 高効率.
第6章 無機化学 6・1 単体の構造と物性 6・1・1 典型元素 [1族] どうしてHは分子性結晶で、Li、Na、・・・は金属結晶なの か?
有機化合物と無機化合物の特徴 無機化合物との見分け方: 加熱してみる。 有機化合物: 生物だけが作れるもの → 炭素原子を含んだ化合物
W e l c o m ! いい天気♪ W e l c o m ! 腹減った・・・ 暑い~ 夏だね Hey~!! 暇だ。 急げ~!!
薬品分析学3.
活性化エネルギー.
分散剤はどのような考えで設計されているか
HPLCにおける分離と特徴 ~逆相・順相について~ (主に逆相です)
1)解糖系はほとんどすべての生物に共通に存在する糖の代謝経路である。 2)反応は細胞質で行われる。
好気呼吸 解糖系 クエン酸回路 水素伝達系.
天然物薬品学 天然物質の取扱い.
代謝経路の有機化学 細胞内で行われている反応→代謝 大きな分子を小さな分子に分解→異化作用 第一段階 消化→加水分解
緩衝作用.
塩を溶かした水溶液の液性.
福井工業大学 工学部 環境生命化学科 原 道寛 名列____ 氏名________
ベルリン青染色 Berlin blue stain (Prussian blue stain)
洗浄・消毒剤の種類 薬品名 主剤 末端濃度 BOD COD 次亜塩素酸ナトリウム 次亜塩素酸ナトリウム 100〜1000 ppm
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サフラニンとメチレンブルーの 酸化還元反応を利用
光化学 6章 6.1.4 Ver. 1.0 FUT 原 道寛.
3)たんぱく質中に存在するアミノ酸のほとんどが(L-α-アミノ酸)である。
PHとは・・・ pHとは、水溶液の性質をあらわす単位にすぎません。ちょうど長さをあらわすのにm(メートル)という単位があるように、水溶液の性質を知るために必要な単位です。 では、pHは水溶液のどのような性質をあらわす単位なのでしょう。 水溶液の性質(酸と塩基) 1746年にW.Lewis(英)がまとめた考え。
セントラルドグマ 遺伝情報の流れ DNA→RNA→蛋白質→代謝などの生命活動 DNA→遺伝情報を記録した「設計図」 全部の「設計図」→ゲノム
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光化学 6章 6.1.4 FUT 原 道寛 名列__ 氏名_______.
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9 水環境(4)水質汚濁指標 ・人の健康の保護に関する環境基準 (健康26項目) 環境基本法 地下水を含む全公共用水域について適用
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アリールケトンからアルキルベンゼンへの変換 p.1033 アルキルベンゼンからの変換 p.1035
Introduction to Organic Compounds
平成30年度 教職員サマーセミナー  【教師も楽しむ理科実験】 酸性・アルカリ性.
中和反応 /16.
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ジフルオロアルケンの分子内ラジカル環化による 含フッ素環状化合物の合成
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2017. 5. 25 有機バイオ材料化学 5. カルボニルの反応 5-1 アルデヒド・ケトン

カルボニルとは カルボニル 求核付加反応 α水素での反応 その他の反応 −C(=O)− と表される2価の官能基の総称 カルボニル化合物の種類 アルデヒド (ホルミル基)     ケトン カルボン酸    エステル アミド 酸塩化物 酸無水物

アルデヒド・ケトンの求核付加反応 求核剤に対する反応性 カルボニル基の求電子性が高い = カルボニル基のδ+性が高い アルデヒド ケトン カルボニル基の求電子性が高い = カルボニル基のδ+性が高い アルデヒド   ケトン エステル アミド カルボン酸    > > > > 求核剤 塩基性が高いものがカルボキシル基と反応しやすい傾向にある 例) OH, CN, RLi, RMgX….

アルデヒド・ケトンの求核付加反応 その1 1.強い求核剤との反応(水を極力除去すること) アルデヒド・ケトンの求核付加反応 その1 1.強い求核剤との反応(水を極力除去すること) Grignard 反応(エーテル溶剤などが使用される) アルキルリチウム試薬( R-Li )との反応

アルデヒド・ケトンの求核付加反応 その2 ヒドリド還元(LiAlH4 や NaBH4との反応) アルデヒド・ケトンの求核付加反応 その2 ヒドリド還元(LiAlH4 や NaBH4との反応) ・ 基質がアルデヒドやケトンであれば、どちらもヒドリド還元が起こる。 ・ 基質がカルボン酸やエステル、アミドだと、LiAlH4 なら反応するが、   NaBH4 では反応が起こらない。 2.中程度の求核剤(弱酸条件下) シアン化水素の付加反応 シアノヒドリン

アルデヒド・ケトンの求核付加反応 その3 第一級アミンの付加反応 (酸触媒) 第二級アミンの付加反応 (酸触媒)

アルデヒド・ケトンの求核付加反応 その4 3.弱い求核剤との反応 ・水和反応(基本的に反応しない。強酸または強塩基条件のときのみ反応。 アルデヒド・ケトンの求核付加反応 その4 3.弱い求核剤との反応 ・水和反応(基本的に反応しない。強酸または強塩基条件のときのみ反応。 しかも、可逆反応。) 酸性条件下 塩基性条件下

アルデヒド・ケトンの求核付加反応 その5 ・アルコールの付加反応(可逆反応) 酸性条件下 アルデヒド → ヘミアセタール アルデヒド・ケトンの求核付加反応 その5 ・アルコールの付加反応(可逆反応) 酸性条件下 アルデヒド → ヘミアセタール ケトン    → ヘミケタール アルデヒド → アセタール ケトン    → ケタール 塩基性条件下

アルデヒド・ケトンのα水素での反応 その1 Aldol(アルドール)反応 ・酸性条件  ・塩基性条件

アルデヒド・ケトンのα水素での反応 その2 Michael付加(1.4-付加)反応 1 3 2 4 ・ α,β-不飽和カルボニル化合物に対してソフトな求核剤を用いた際に進行する ・ ハードな求核剤を用いた場合は1,2-付加が進行する ソフト求核剤 ハード求核剤 原子半径が大きい 塩基性でない(中性、酸性) 高エネルギーのHOMO LiCuR2X, RS-, PR3 原子半径が小さい 塩基性 低エネルギーのHOMO RMgX, LiR, NaNH2…. 立体障害など反応性に優位差がある場合は必ずしも、HSAB則に従わない

アルデヒド・ケトンのα水素での反応 その3 α 位のハロゲン化置換反応(酸性条件下 ハロゲンと反応) ハロホルム反応 α 位のハロゲン化置換反応(酸性条件下 ハロゲンと反応) ハロホルム反応 メチルケトンが脱離能高いヨードホルム( CHI3 )となり、カルボン酸へ変換 α 位のアルキル化反応(塩基性条件)