2017 現代文明論 8、9 近代の2つめの原理 科学革命
科学革命の背景 経済の動き 16世紀 拡大 17世紀 危機 18世紀 成長
17世紀 気候 小氷河期、寒冷化→疫病、凶作、人口の停滞 魔女裁判 1660年頃最盛期 混乱のなかで神に代わる自然法思想
近代科学以前 17世紀の近代科学以前は、イスラーム世界の方が科学技術は発展していた 科学革命は思考の枠組みが変わったことによる(パラダイムシフト) (村上陽一郎による)
「科学革命」Scientific Revolution バターフィールドが言い出した 科学と宗教が分離したわけではない
中世から近代へ (科学革命の新しさ) アリストテレス以来の運動の概念 「すべて運動するものはつねに何ものかによって運動させられている」 アリストテレス的自然観―目的論的(ドングリの実は樫の木に成長することによってその本来の目的を達成する) 中世 神・人間・自然の階層的秩序 近代 自然の機械論的非人間化(デカルト、大きさ、形、運動)と自然の操作的支配(ベイコン)
自然を人間中心に計測、加工可能な無生物、物理としてのみ扱うのが、機械論的自然観です。これは、とても近代的な考え方で、無神論と親和性を有していま す。この代表者がデカルト、ニュートン、スピノザです。エコロジーの世界では、この自然観は自然環境破壊を招いたものとして非難、断罪されることが多いで す。 それに対して、自然は自らのうちに目的を有していて、その目的を自己実現するために存在しているとみなすのが、目的論的自然観です。これは、中世的な世界 観であり、有神論と親和的(=なかよし)です。こちらの代表者は、アリストテレス(『形而上学』)、ライプニッツ(『モナドロジー』)です。(インターネットからコピペ)
科学革命キーワード コペルニクス、ガリレオ、ケプラー、ニュートンの科学者の系譜 デカルト、スピノザ、ホッブズ(哲学・社会理論の系譜) 発見、革新、証明、検証、創造性、発明
17世紀の科学革命 自然的世界の本性、研究方法、分析方法、表象の方法の変化(科学という用語は19世紀に出現、自然哲学が普通の使い方)-ジョン・ヘンリー『17世紀科学革命』岩波書店による 中心は17世紀、準備期間として16世紀、成果の整理と地固めの時代として18世紀 研究者によって見方は異なる
参考にした文献 ジョン・ヘンリー 『17世紀科学革命』、岩波書店 伊東俊太郎 『近代科学の源流』 「思想史のなかの科学」(いずれも中公文庫)
「新しい」を意識 ○フランシス・ベイコン(1561-1626)『ノヴム・オルガヌム』(1620)(アリストテレスのオルガノンの置き換え) ガリレオ(1564-1642)『新科学対話』(1638)(『天文対話』地動説、 ローマ教会が異端の判断を覆すのは、350年後の1992年) ヨハンネス・ケプラー(1571-1630)『新天文学』(1609) いずれの著作にも「新」ーここに注目、著者自身の革命意識
近代科学の特徴 運動の数学化(質の量化とグラフによる幾何学的表現) 運動量の概念(空間は均質で、場所による差異はなく、すべての運動には同一の法則が働いている) 慣性の原理 落体の法則 地動説 →力学、物理学、天文学 ↓(アリストテレス以来の)目的論的・生気論的自然観から機械論的自然観への転換)
科学研究の3つの方法 1)演繹法: 合理主義の思想を背景に持ち、仮説とモデル設定から数学的演繹によって真理に到達する(デカルト的な方法、デカルト1596-1650)
2)帰納法: 経験主義を基礎にし、実験と観察によって大量のデータを収集して統計分析により一般法則を導く(イギリスのフランシス・ベーコン1561-1626)
3)解釈法: 理念主義を背景とし、一回限りの事例を質的に深く研究することで、その奥にひそむ事象の本質を解明する
ひとつではなく、3つの方法を総動員することが理想
科学革命 ベーコン デカルト ニュートン(1642-1727)万有引力 ハーヴェイ(1578-1657)血液の循環(1628) 16世紀にヴェサリウス『人体の構造』1543(解剖学) 物理学、天文学、数学、化学、医学
ガリレイからデカルトへ ガリレオ:機械論(力学) 哲学的な根拠付けは、デカルト 心身二元論(現代において非難されるのは通俗化されたデカルト主義) 脱魔術化、呪術からの解放⇒合理化 精神と物質:分けることによって神の呪縛、魔術、錬金術から解放される
デカルトの学問の方法 (合理主義) 4つの方法の規則 1 明晰判明なもの以外は真として受け入れない 1 明晰判明なもの以外は真として受け入れない 2 問題を十分な数の小さな部分に分割する(分析) 3 最も単純なものから複雑なものに至る(総合) 4 何も見落としていないか枚挙と通覧を行なう
心身二元論 「自然を量化してとらえる、つまり物体化するには、自然を意識から、あるいは物体(物質)を精神から区別することが必要であった。(中村雄二郎) 自然学の基礎 心身の実在的区別から物質的事物の本質は延長。(モノを意識から分けて考えること)これによって自然現象一般を統一的、機械論的に説明可能→機械論的自然観の成立 (感覚的自明性として物体は長さ,広さ,深さに 広がっているものとみることができるが,物体のこのような空間上の広がりを延長という。『情念論』より) 『21世紀問題群』 「自然と意識、物体と精神のスコラ哲学的な区別」17ページ。
コギト・エルゴ・スム わたしは考える、したがってわたしは存在する
デカルトの機械論的自然観 「彼が思考を本質とする思惟実体と縦、横、高さの拡がりを本質とする延長実体とを峻別したとき、 それによって一方では、自然界の客体化と、 それに対する数学的合理性の全面的適用が可能になるとともに、 他方では、人間精神の主体性と自由が保証されたのである。」(中村雄二郎、『21世紀問題群』18ページ)
科学革命の8つの特質 (伊東俊太郎「思想史のなかの科学」による 1 アリストテレス的世界像の崩壊 2 科学的方法 3 科学が累積的知識となる 4 科学的知識の進歩の加速性 5 制度としての科学の成立 6 科学と技術の提携 7 科学の社会へのインパクト 8 実践的・合理的な知識人の登場
科学革命の3つの特徴 ジョン・ヘンリーによる 1 自然的世界の働きを理解するのに数学を用いること 2 真理発見のために観察と実験を行うこと 1 自然的世界の働きを理解するのに数学を用いること 2 真理発見のために観察と実験を行うこと 3 知識の有用性という考え方を自然的知識にまで拡げること
17世紀科学革命の新しさ(まとめ) ヨーロッパによる世界支配 1 数学的、機械論的自然観 2 実験・観察の手法(再現性、検証可能) 3 科学者の登場(実践的、合理的な知識人、知識の公開性、科学者同士の共同作業) →科学革命による技術革新→ヨーロッパの産業・軍事的優位→ヨーロッパによる世界支配