7: 新古典派マクロ経済学 生産要素の完全雇用 ケインズ経済学の中心的な考え方(需要サイド,4章と5章のIS/LMモデル) ↑ ↓

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1 「マクロ経済学Ⅰ」 蓮見 亮
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マクロ経済学 I 第 2 章 久松佳彰. GDP をどちらから見るか GDP は一国の総生産額(付加価値の合 計)でした。 – 生産(=供給)側から見る見方と – 需要側から見る見方がある。 二つの見方はともに大事。 三面等価の原則から言うと、「生産=付 加価値」の見方と、「支出=需要」の見 方。
終章 結論~迷走する経済学~ E班 堀口・石川・細野・武井・赤見・伊藤 デフレの原因はマネーサプライでもない!人工減少でもな い!ではデフレの正体は何か … この章ではその正体を含め、歴史的に見る経済低滞とデフレ の関係性、デフレの害悪、そして現在の経学の現状について も論じていく。 1.
『マクロ金融特論』 ( 2 ) 一橋大学大学院商学研究科 小川英治 マクロ金融特論
1 IV 長期における貨幣と価格. 第11章 貨幣システム 物々交換 欲望の二重の一致 1.貨幣の意味 貨幣の機能 – 交換手段 – 計算単位 – 価値貯蔵手段 富 流動性 貨幣の種類 – 商品貨幣 金本位制 – 不換紙幣.
貨幣の役割と貨幣市場 経済学B 第 9 回 畑農鋭矢 1. 貨幣の役割 価値尺度 財の価値を表す共通の尺度 交換手段 物々交換⇒欲望の二重の一致 貨幣によって交換が容易に 価値の保蔵手段 安全資産としての保蔵手段.
短期均衡 (2) IS-LM モデル 財市場 IS 曲線 – 財市場の均衡 – 政府支出の増加,減税 貨幣市場 LM 曲線 – 貨幣需要,貨幣市場の均衡 – マネーサプライの増加 IS-LM モデル – 財政政策の効果,金融政策の効果 – 流動性の罠 – 実質利子率と名目利子率の区別 貨幣供給.
貨幣について. 講義概要 貨幣の概念 名目と実質貨幣ストック 貨幣に対する需要 政府による金融政策.
IS-LM 分析 マクロ経済分析 畑農鋭矢. 貨幣の範囲 通貨対象 M1M2M3 広義流動性 現金通貨(日銀券 +補助通貨) 預金通貨 (普通預金・当座 預金など) 主要銀行・信 用金庫など ゆうちょ銀 行・信用組合 など 準通貨 (定期預金など) 主要銀行・信 金など ゆうちょ銀 行・信用組合 など.
陰関数定理と比較静学 モデルの連立方程式体系で表されるとき パラメータが変化したとき 如何に変数が変化するか 至るところに出てくる.
第6章 閉鎖経済における短期のマクロ経済理論
労働市場マクロ班.
入門 計量経済学 第02回 ―本日の講義― ・マクロ経済理論(消費関数を中心として) ・経済データの取得(分析準備) ・消費関数の推定
貨幣の役割と貨幣市場 経済学B 第11回 畑農鋭矢.
第11回講義 マクロ経済学初級I タイプIIクラス.
第16章 総需要に対する 金融・財政政策の影響 1.総需要曲線は三つの理由によって右下がりである 資産効果 利子率効果 為替相場効果
5: オープン・エコノミーのマクロ経済学 オープン・エコノミーのIS/LMモデル
<キーワード> 景気循環 総需要・総供給モデル
マクロ経済学 I 第3章 久松佳彰.
現代の経済学B 伊東光晴「ケインズ」第3回 一般理論の骨組み(ii) 現代資本主義とケインズ経済学 京大 経済学研究科 依田高典.
<キーワード> 生産関数、労働、資本 限界生産物
イントロダクション.
前回分(第1章 準備,1-1):キーワード ・ 生産,分配,消費 ・ 市場と組織 ・ 競争市場と均衡 ・ 市場の失敗と政府の介入
第8回講義 文、法 経済学 白井義昌.
IS-LM分析 経済学B 第10回 畑農鋭矢.
7: 新古典派マクロ経済学 合理的期待学派とリアル・ビジネス・サイクル理論
マクロ経済学 II 第9章 久松佳彰.
第7章 どのように為替レートを 安定化させるのか
6: 失業とインフレーション/デフレーション
(景気が良くなり)ハンバーガーの需要が拡大すると
第4章 IS-LMモデル 労働市場との関係 IS・LMの交点(Y0, i0)は財市場と貨幣市場において,それぞれ需給均衡が達成しているが,労働市場において需給均衡を保証していない。 例えば,賃金の硬直性などの理由により,非自発的失業者が存在する可能性は十分にある。 完全雇用GDPがYFであるとすると,この経済にはY0YFに相当する所得不足が存在することになる。この不足は有効需要の不足によって発生したものである。
短期均衡モデル(3) AD-ASモデル ケインジアン・モデルにおける物価水準の決定 AD曲線 AS曲線 AD-ASモデル
第10章 失業と自然失業率 失業率はマクロ経済学においてGDP(5章)、インフレ率(6章)と並び重要な指標 各国の失業率(2012年、%)
6: 失業とインフレーション/デフレーション
マクロ経済学 II 第5章 久松佳彰.
硬直価格マネタリー・アプローチ MBA国際金融2016.
第4章 貨幣数量説は正しいか リカードからクルーグマンまで
第4回講義 マクロ経済学初級I  白井義昌.
<キーワード> 景気循環 総需要・総供給モデル
マクロ経済学 II 第10章 久松佳彰.
マクロ経済学初級I 第4回.
マクロ経済学初級I 第5回講義.
© Yukiko Abe 2008 All rights reserved.
第4章 投資関数.
前期ゼミまとめ スラックス経済.
マクロ経済学初級I 第7回講義.
動学的一般均衡モデルについて 2012年11月9日 蓮見 亮.
デフレ・スパイラル 2009年以降の事例から 長谷川 正
第10回講義 文、法 経済学 白井義昌.
貨幣の流通速度 貨幣が平均して1年間にいくつの経済主体 の間を移動するのかを表わす MV=取引総額(年間) Vは流通速度あるいは平均回転率.
V. 開放経済のマクロ経済学.
VI 短期の経済変動.
V. 開放経済のマクロ経済学.
第8回講義 マクロ経済学初級I .
固定相場制のもとでの財政・金融政策の効果
マクロ経済学体系のフローチャート 財 市 場 (IS曲線) IS・LM モデル 総需要 曲 線 所 得 と 物価水準 の 決 定 インフレと
© Yukiko Abe 2014 All rights reserved
循環構造 民間部門経済循環の流れ circular flow 家 計 企 業 (価格メカニズム) 市場機構 が働く p p 消費財市場 y
第6章 IS-LMモデル.
第4章 貨幣数量説は正しいか リカードからクルーグマンまで
マクロ経済学初級I タイプIIクラス 白井義昌
古典派モデル(1) 基本モデル 生産要素市場の均衡(労働市場,資本市場) 生産関数 消費関数,投資関数 財市場の均衡 政策の効果
第9回講義 マクロ経済学初級I タイプIIクラス.
経済学(第7週) 前回のおさらい 前回学習したこと(テキストp.16,19) ◆ マクロ経済学における短期と長期 ◆ 完全雇用とはなにか ◆ 短期のマクロ経済モデルの背後にある考え方 (不況の経済学/有効需要原理) ◆ 民間部門はどのように消費や投資を決定するか ◆ ケインズ型消費関数とはなにか ◆
短期と長期.
マクロ経済学初級II タイプIIクラス 白井義昌
マクロ経済学初級I 第12回 今学期のまとめ.
12章 貨幣量の成長とインフレーション 1.インフレーションの古典派理論 物価水準と貨幣の価値は逆数の関係
経済学入門 ミクロ経済学とマクロ経済学 ケインズ経済学と古典派マクロ経済学 経済学の特徴 経済学の基礎概念 部分均衡分析の応用.
IV 長期における貨幣と価格.
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7: 新古典派マクロ経済学 生産要素の完全雇用 ケインズ経済学の中心的な考え方(需要サイド,4章と5章のIS/LMモデル) ↑ ↓ 新古典派経済学の中心的な考え方(供給サイド) 生産要素の完全雇用 IS/LMモデル ケインズ経済学の基本的な見方: 「需要不足」が原因 i Y IS LM IS/LMモデル Y* Y 労働供給 (労働力人口) Y=f(L) 生産関数 Y L L 求職をあきらめる Ls Y=f(L) 失業率 u u=(Ls-L)/Ls L*

7: 新古典派マクロ経済学 生産要素の完全雇用 新古典派経済学の見方: ケインズ経済学の基本的な見方: 市場は価格調整を通じて需要と供給の「均衡」へと導かれる。要素市場についても価格メカニズムが成立する。 労働市場の需要と供給は実質賃金(W/P)の調整を通じて均衡が達成する。均衡において,雇用量は L* で,失業は存在しない。 失業が生まれるのは (W/P)>(W/P)* からである。いずれ実質賃金が低下し,労働市場は均衡に到達する。 労働をはじめ全ての生産要素が完全雇用されていれば,生産関数を通して実質GDPも決まる。Y*は完全雇用GDPないし潜在GDPと呼ばれている。 Y=Y* を前提としている。 ケインズ経済学の基本的な見方: 「需要不足」が原因 労働市場 (W/P) Y 失業 D S (W/P)1 (W/P)* L* 生産関数 Y L Y=f(L) Y* L*

7: 新古典派マクロ経済学 生産要素の完全雇用 新古典派経済学の見方: ケインズ経済学の基本的な見方: 市場は価格調整を通じて需要と供給の「均衡」へと導かれる。要素市場についても価格メカニズムが成立する。 労働市場の需要と供給は実質賃金(W/P)の調整を通じて均衡が達成する。均衡において,雇用量は L* で,失業は存在しない。 失業が生まれるのは (W/P)>(W/P)* からである。いずれ実質賃金が低下し,労働市場は均衡に到達する。 労働をはじめ全ての生産要素が完全雇用されていれば,生産関数を通して実質GDPも決まる。Y*は完全雇用GDPないし潜在GDPと呼ばれている。 Y=Y* を前提としている。 ケインズ経済学の基本的な見方: 「需要不足」が原因 賃金は失業が存在しても(下方に)硬直的になる。 理由: ① 効率賃金(efficiency wage)仮説 ② 春闘による賃金の平準化で価格メカニズム機能が完全ではない。 ③ 同業他社あるいは他産業との相対賃金の影響で,労働者が名目賃金のカットに強く反対する。 結果: 「潜在GDP」Y*と現実のYの間にギャップ Y*-Y > 0 が存在するのが普通であると考えている。

7: 新古典派マクロ経済学 ISバランスと利子率の決定 新古典派経済学の見方: 閉鎖経済におけるISバランス式 S(Y*)=I(i)+G Yは「潜在GDP」Y*に等しい。Y*の下で生み出される貯蓄S(Y*)は既に決まっている。Gが外生変数として,この式より i が決まる。 新古典派理論では,ISバランス式によって Y ではなく利子率 i が決まる。 利子率 i は貨幣から独立な「実物的」な変数なので,財・サービスの需給均衡式(フロー)によって決まる。 「実質利子率」は「現在財」と「将来財」の相対価格(交換比率)である。 「将来財」の需給が一致するように決まる。「貯蓄」は「将来財」に対する需要であり,「投資」は「将来財」に対する供給である。 ケインズ経済学の基本的な見方: 閉鎖経済におけるISバランス式 S(Y)=I(i)+G i は貨幣市場で決定されるので,この式から,Y が決定される。 ケインズの流動性選好理論では,利子率 i 貨幣と債券の間の資産(ストック)選択を通して決まる。同時にマネーサプライMにより影響を受ける。 金融政策は利子率 i の変化を通じて実体経済に影響を与える。 + -

7: 新古典派マクロ経済学 財政政策の効果 新古典派経済学の見方: 閉鎖経済におけるISバランス式 S(Y*)=I(i)+G Yは生産要素の存在量と技術(生産関数)というサプライ・サイドで決まるので,GはYに影響を与えない。 Gの増大は100%の民間投資をクラウド・アウトする。 ケインズ経済学の基本的な見方: 閉鎖経済におけるISバランス式 S(Y)=I(i)+G 財政支出Gの増大は総需要を増やし,乗数過程を経てYを上昇させる。 + - S,I Y S(Y) i S, I S(Y*) i2 I(i)+G2 i1 I(i)+G1 I(i)+G2 I(i)+G1 Y1 Y2 政府支出はあくまでも民間では供給することのできない公共財の供給を目的とするべきで,景気を安定化するための財政政策を用いるべきではない。

7: 新古典派マクロ経済学 貨幣数量説 新古典派経済学の見方: ケインズ経済学の基本的な見方: 閉鎖経済におけるISバランス式 S(Y*)=I(i)+G 貨幣市場の均衡式 M/P=L(i, Y) Y=Y*,i はISバランス式から決まっている。したがって, L(i, Y)=L*(定数)となり, M=L*P となる。MとPは完全に比例する。 これがリカードによって最初に明確な形で述べられ,新古典派へ引き継がれた貨幣数量説(quantity theory of money)はかならない。つまり,物価の水準(変化率)を決めるのはマネーサプライ(の変化率)である,マネーサプライの変化は比例的に物価の変化をもたらす。 ケインズ経済学の基本的な見方: 閉鎖経済におけるISバランス式 S(Y)=I(i)+G 財政支出Gの増大は総需要を増やし,乗数過程を経てYを上昇させる。 マネーサプライMの変化は利子率i を変え,実体経済に影響を与えるとは考えている。

7: 新古典派マクロ経済学 貨幣数量説 新古典派経済学の見方: ケインズ経済学の基本的な見方: 閉鎖経済におけるISバランス式 S(Y*)=I(i)+G 貨幣市場の均衡式 M=L*P となる。MとPは完全に比例する。 経済の実体面はマネーサプライから独立に決まる。Mは名目物価(nominal price)を比例的に変化させるだけで,実物変数Y,i,I などに何の影響も与えない。これを,貨幣は実体経済に対して「中立的」であるという。 いわゆる,貨幣の中立性(neutrality money)である。これは新古典派理論の最も基本的な考え方である。 ケインズ経済学の基本的な見方: 閉鎖経済におけるISバランス式 S(Y)=I(i)+G 財政支出Gの増大は総需要を増やし,乗数過程を経てYを上昇させる。 マネーサプライMの変化は利子率 i を変え,実体経済に影響を与えるとは考えている。 ケインズ経済学においては,貨幣は中立的ではない。

7: 新古典派マクロ経済学 マネタリズム マネタリズム(monetarism)はミルトン・フリードマン(Milton Friedman)が新古典派理論の立場から積極的に主張した学説である。 フィリップス曲線: w=f(u) 「貨幣数量説」によれば,名目賃金の上昇率 w は,物価の上昇率と並んで長期的にはMの成長率によって決まる。 失業率 u は,Mとは全く関係のないように決まる自然失業率u*に等しくなる。 従って,長期的にはwとuの間には負の関係は存在しないはずだと考えている。 ここで,期待インフレーションw*を付け加えたフィリップス曲線を提唱した。 w-w*=f(u), f(u*)=0 - w u

7: 新古典派マクロ経済学 マネタリズム 期待インフレーションw*を付け加えたフィリップス曲線: w-w*=f(u), f(u*)=0 短期的には,w*は一定であるから,所与のw*も下で,wとuの間に負の関係がある。 「ジョブ・サーチ理論」 インフレーションが完全に予見されている状態では, w*=w ,u=u* になる。 ① w*=w1 だが,突然のインフレの加速で, 実際のインフレ=w2 ,w* < w2 のとき, 労働者は実質賃金が上昇したと錯覚し, 労働供給を増加し,uは低下する。 ② 時間経つにつれ,労働者は自分の錯覚を気づき,期待インフレを正確に修正すると, w*=w2 になる。 期待インフレ=実際インフレ ⇒ u=u* フィリップス曲線は上方シフトする。 - w u w2 w*=w2 w1 w*=w1 u2 u*

7: 新古典派マクロ経済学 マネタリズム 期待インフレーションw*を付け加えたフィリップス曲線: w-w*=f(u), f(u*)=0 短期的には,w*は一定であるから,所与のw*も下で,wとuの間に負の関係がある。 「ジョブ・サーチ理論」 インフレーションが完全に予見されている状態では, w*=w ,u=u* になる。 ③ w*=w2 だが,突然のインフレの減速で, 実際のインフレ=w3 ,w* > w3 のとき, 労働者は実質賃金が下落したと錯覚し, 労働供給を減少し,uは上昇する。 ④ 時間経つにつれ,労働者は自分の錯覚を気づき,期待インフレを正確に修正すると, w*=w3 になる。 期待インフレ=実際インフレ ⇒ u=u* フィリップス曲線は下方シフトする。 - w u w2 w3 w*=w2 w*=w3 w*=w1 u* u3

7: 新古典派マクロ経済学 マネタリズム 期待インフレーションw*を付け加えたフィリップス曲線: w-w*=f(u), f(u*)=0 短期的には,w*は一定であるから,所与のw*も下で,wとuの間に負の関係がある。 インフレーションが完全に予見されている状態では,それがどれほど高率のインフレであっても失業率に影響を受けず(u=u*)。 長期的には,インフレーションが予見されるので, u=u* になる。従って,長期フィリップス曲線は垂直線になる。 予期されないインフレーションは失業率に影響を与え,uはu*から乖離し,それに平行して実質GDPも「潜在成長率」から乖離して変動する。これが,マネタリストの景気循環論である。 - w u 長期のフィリップス曲線 w3 w*=w2 w*=w3 w*=w1 u*