「生きがいについて」 -H・R活動の中でのとりくみ-その2

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「生きがいについて」 -H・R活動の中でのとりくみ-その2 京都教育大学教育実践研究年報 第13号 1997 「生きがいについて」 -H・R活動の中でのとりくみ-その2 京都教育大学附属高校 川村康文 C114624 杉森 遥介

0.パワーポイントについて PCの画面上ではきれいに見えていても、スクリーンに 映したり印刷した際に見づらいことがある スクリーンに映す、または印刷して貼り出すようなものは PCの画面外でも見やすくなることを意識しましょう ①ポイント数は28以上が読みやすいです。24以下にしたい場合は太字にすると多少読みやすくなります。  28ポイント 24ポイント 24ポイント太字 ②文字の色を変更する場合、読みやすい色を選びましょう 黒 赤 黄色 青 緑 ③他サイトなどから画像などを転載する場合、必ず元サイト  のURLおよび名前を記載しましょう。(字は小さくてOKです)

Ⅰ.はじめに 約10年 「生きがいについて」-H・R活動の中での とりくみ-その1(川村、1988a) とりくみ-その2 調査および学習の結果

その1~その2の10年間の間で 社会の 急速な変化 “「この10年の間に教育はよくなった」と 自信をもって語れるものはいないのではなかろうか” 「いじめ」や「自殺」や「不登校」等いろいろな問題で混乱 「若者の科学離れ」が深刻で、物理選択者は明らかに減少 教育も変化に対応した形での実践へと変化が必要 生徒たちに変化はあったのだろうか 社会の   急速な変化

生徒は学習前から個々の考え方を構成しており、 その考え方を判断基準として次の学習を行っている 構成主義学習論 生徒は学習前から個々の考え方を構成しており、 その考え方を判断基準として次の学習を行っている 新しい学力観を実現しうる授業理論に構成主義学習論が 有用であるとした、理科の教授・学習過程に対する考察 (川村、1995) 構成主義学習論を授業理論と捉えて、 HR活動の中で「生きがい」についての学習 本研究はこの実践の内容についての報告

Ⅱ.「生きがい」について-H・R活動の中でのとりくみ- その1で明らかになったこと (1)1987年(昭和62年)当時の高校生の現状 分析的に述べれば これらは1995年9月に調査を行った際も変化がなく、 筆者が高校生であった1976年頃も同じような状況 「高校に入れたんだから、楽しく過ごしたい。けれど、日々の勉強とか、大学入試とかで不安だらけで、どうしていいのか悩んでしまう。」 自立ができていない 将来の展望がない 職業観がない テストでよい点を取ることだけに明け暮れするだけの毎日 生命保険をかけるかのように、時間を削って塾や予備校に通う

2つの観点 ・①なぜ学力が切り札か ・②どうすれば学力をつけさせる ことができるのか 生徒は教師の授業を評価して行動 (2)1987年(昭和62年)当時の高校生にとって必要だったもの  「高校生は学校社会で生活をする人間集団の一員で、彼らが学校 社会でのびのびと過ごすためには学力が要求される。」(川村、1988) ・①なぜ学力が切り札か ・②どうすれば学力をつけさせる ことができるのか 2つの観点 ① 学力不振から学校社会への帰属意識が希薄に 授業を理解でき、かつ 学習を継続できる学力が切り札となる ② 生徒は教師の授業を評価して行動 生徒が積極的に授業に参加しようと思う授業をする必要性

Ⅲ.「生きがい」についてのとりくみ →生徒の学校や家庭での学習実態の把握 生徒の「学習支援」を行い、 彼らの学力保障につなげようという願い (1)「生活時間割表」の利用  生活時間割表を通して   →生徒の学校や家庭での学習実態の把握     生徒の「学習支援」を行い、    彼らの学力保障につなげようという願い 

生徒との面談資料、保護者との 面談資料としての役割 平成5年度4月当初に「生活時間割表」を担当クラスの生 徒全員に作成させ、2部提出させる (以前の学年の指導の際に作成した冊子を見本とした) 生徒本人に返却し、自宅で彼らが利用するためのものとした 担任教師用の指導資料とし、担任教師が管理した 生徒との面談資料、保護者との        面談資料としての役割

平成6年度(1994年)のクラス 「特に何事もなく、健全なクラスと評価」 生徒達の自治能力を育てるのに効果的  「特に何事もなく、健全なクラスと評価」     生徒達の自治能力を育てるのに効果的 平成7年度(1995年)のクラス  理系大学への進学希望者で構成     学習時間や学習量に対して余裕がない 2学期に入り飲酒問題 学年およびクラスとしての立て直しの中で、クラスの生徒は初めて「生活時間割表」に出会うことに これを機に「生きがいさがし」や「自分さがし」により積極的な     指導を展開

(2)「生きがいさがし」のカリキュラム計画 担当学年が2年生の2学期の半ば以降、以下のテーマでHR 討議を行い、クラスの連帯と個人の自立を目指した。 第1回:「生きがい」についての調査(事前調査) 第2回:「生活時間割表」の作成 第3回:クラス討議「いまどきのまじめとは」 第4回:クラス討議「自分にとっての職業とは」 第5回:クラス討議「自分は大学で何をしたいのか」 第6回:クラス討議「死ぬときに自分は何を語るだろうか」 第7回:クラス討議「自分の子供にはどのような人生を           歩ませたいか」 第8回:クラス討議「自分の親を見て何を感じるか」 第9回:クラス討議「まわりの大人たちへの要望」 第10回:「生きがい」についての再調査(事後調査)

(3)「生きがい」についての調査(事前調査) ①調査の対象および時期 ②調査の内容と方法 調査対象:京都教育大学附属高校の2年生78名 (男子41名、女子37名) 調査時期:1995年9月19日~9月28日 調査方法:「「生きがいについて」-H・R活動の中でのとりくみ-その1」 を読んで        3つのテーマに対して自由記述        ①自分にとっての「生きがい」について述べよ        ②「高校生とは」について述べよ        ③「「生きがいについて」-H・R活動の中でのとりくみ -その1」 を読んでの雑感 実験群:男子20名、女子24名 計44名(1つのHRに所属)      理科系に進学希望、理科系物理の選択履修者 統制群:男子21名、女子13名  計34名(4つのHRに所属)      非理科系に進学希望 文科系進学用の物理履修者

③調査の結果と考察(事前調査) 項目 男・実 女・実 男・統 女・統 必要でない 必要であるがもっていない または、見つからないでいる 10.0(2) 12.5(3) 4.8(1) 0.0(0) 必要であるがもっていない または、見つからないでいる 15.0(3) 37.5(9) 47.6 (10) 46.2(6) 高校生活の中に見出している 8.3(2) 15.4(2) 高校生活以外の現在の生活の中に見出している 5.0(1) 自己実現の過程の中に見出している 40.0(8) 28.6(6) 将来の職業の中に見出している 25.0(6) わからない 4.2(1) 33.3(7) 自分と関連付けて答えていない または、避けている

いじめにあってきた生徒の事例 事例1:「生きがいとは、その人が生きていてよかった と思えるようなことだと思う」      「高校生とはある定義された年代の集まりである」 事例2:「はっきり言って分かりません」      「いろんな事を経験する時、その他いろいろ、      はめをはずすのは今のうちじゃないですか」 クラスリーダーや成績上位者と比較すると、      両者ともドライで情熱的な文章ではない ⇒ いじめられる生徒に対するフォローの手がかりは 「自己について表現したいという思いの強さにある?」

(4)クラス討議について 第3回:クラス討議「いまどきのまじめとは」 第4回:クラス討議「自分にとっての職業とは」 班分け:6班(7~8人)      班長:班討議の司会、クラスへの発表      書記:班討議の記録、クラスからのコメント           の整理等 班討議:15分 クラスへの発表:2分 フロアーからの意見:1~2分 第3回:クラス討議「いまどきのまじめとは」 第4回:クラス討議「自分にとっての職業とは」 第5回:クラス討議「自分は大学で何をしたいのか」 第6回:クラス討議「死ぬときに自分は何を             語るだろうか」

生きがいさがし第3回「いまどきのまじめとは」 (事例) 11月30日 木曜日 生きがいさがし第3回「いまどきのまじめとは」 ・自由討論 3つの観点 ① 授業態度について ② 生活態度について ③ 他人の振り見て我が振り直せ ・「一生懸命授業に臨む」、「遅刻をしない」 ・「授業をさぼらないだけがまじめじゃない」、  「先生のじゃまをしない」、「先生に好かれる」 ⇒教師・生徒間の関係を構築する取り組みの必要性

生きがいさがし第4回 「自分にとっての職業とは何か」 「生きがい」をテーマとして意識 1月25日 木曜日 ・「生きていく手段」 1月25日 木曜日 生きがいさがし第4回 「自分にとっての職業とは何か」 ・「生きていく手段」 ・「いやいややるんじゃなくって、自分の好きなことや他  の人に誇れることをしたい」 ・「自分の能力を生かす」 ・「個性を生かす」 ・「人生を決めるもの」 ・「どんなにお金があって一生働かないで暮らせるほど   裕福でも仕事はつきたい」 etc… 「生きがい」をテーマとして意識

生きがいさがし第5回 「死ぬときに自分は何を語るだろうか」 生物学的な生死の話にとどまり、「人として」の生死には意識が向かなかった 2月8日 木曜日 生きがいさがし第5回 「死ぬときに自分は何を語るだろうか」 ・死に方も含めた自分の死について ・「残った家族の健康を祈って死ぬ」 ・「遺産をきちんと分けるようにいう」 ・「事故死では語れない」 ・「ずっと愛していた・・・・・・」と言う ・「痛くなく死にたい」 ・「老衰で死にたい」 etc… 生物学的な生死の話にとどまり、「人として」の生死には意識が向かなかった

③調査の結果と考察(事後調査) 事前・事後、および実験群・統制群での 差をカイ二乗型要因分析によって確認 調査対象:事前調査と同じ 調査時期:1996年3月15日~3月18日 調査方法:自由記述        「これまでの生活を振り返って、自分にとっての 生きがいについて記述して下さい」        実験群 ・HRで3回「生きがい」についてクラス討議を行った 統制群 ・HRで「生きがい」について 討論等をしていない 事前・事後、および実験群・統制群での 差をカイ二乗型要因分析によって確認

⑤「生きがい」についての再調査(事後調査) 項目 男・実 女・実 男・統 女・統 必要でない 0.0(0) 4.8(1) 7.7(1) 必要であるがもっていない または、見つからないでいる 25.0(5) 25.0(6) 38.1(8) 15.4(2) 高校生活の中に見出している 5.0(1) 29.2(7) 23.1(3) 高校生活以外の現在の生活の中に見出している 4.2(1) 自己実現の過程の中に見出している 70.0(14) 54.2(13) 42.9(9) 69.2(9) 将来の職業の中に見出している 12.5(3) わからない 自分と関連付けて答えていない または、避けている 事前・事後、群間で有意差なし

Ⅳ.おわりに 教育も自然になすのが一番 自然とは ⇒放任でもなく管理も しない 自然農法の考え方だけではなく、教育や人生への考え方まで 自然農法わら一本の革命 (福岡正信、1983) http://www.amazon.co.jp/gp/product/images/4393741412/ref=dp_image_0?ie=UTF8&n=465392&s=books

今後の展望 ⇒ HR活動や道徳の授業においての アンケートやその集計など、 論文にあった具体的な手法について 今後参考にしていきたい