G Knebel et al J. Phys,: Condens. Matter 16 (2004)

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G Knebel et al J. Phys,: Condens. Matter 16 (2004) 8905-8922 High-Pressure Phase Diagrams of CeRhIn5 and CeCoIn5 studied by AC Calorimetry G Knebel et al J. Phys,: Condens. Matter 16 (2004) 8905-8922

研究内容 目的 AC Calorimetry と AC Susceptibility による測定 結果は主に CeRhIn5 についてのもの AFM - SC 共存域での SC の出現 転移線の性質 (First or Second order) AFM 転移 (SC 転移) の Broadening について

CeRhIn5 CeCoIn5 について CeIn3 と TIn2 の層が c 軸方向に CeRhIn5 CeCoIn5 CeTIn5 CeRhIn5  TN = 3.8 K  SC は 1-8 GPa  Max TC ≈ 2.2 K ( P ≈ 2.5 GPa )  AFM ヘリカル構造 ○Ce CeCoIn5  TC = 2.3 K  CeIn3 と TIn2 の層が c 軸方向に 交互に重なった構造

実験方法 AC Calorimetry AC Susceptometer Demuer J. Low Temp. Phys. 120 245

CeRhIn5 の実験結果 1 TN は、P ≈ 0.6 GPa で最大 P = 1.85 GPa で、SC 転移による異常 ( Max TC ≈ 2.2 K ) TN : 最大値をとる温度   TC : 転移の Onset

CeRhIn5 の実験結果 2 1.5 GPa から SC 異常 ΔTC = 200 mK ( P = 1.5 GPa )   P = 2.55 GPa ( TC = 2.2 K )での    転移幅は CeCoIn5 とコンパラ  ΔTC = 200 mK TC C TC ρ > TC χ > TC C  は 不均質物質特有のもの

CeRhIn5 の Phase Diagram PC TN は PC で確かな値を持つが、 連続的に 0 へ抑圧されていない NQR と 比熱測定   P > PC で No AFM order   ( 基底状態は純粋な超伝導状態 ) PC TN は PC で確かな値を持つが、 連続的に 0 へ抑圧されていない     →   QCP の消失    ● ○ :  Specific heat C △ :  Susceptibility χ + :  Resistivity ( Llobet ) ρ 斜線 :  Pure state   Dotted Line : AFM と SC Bulk Phase との一次転移線 PC : AFM 転移線 TN (p) が SC 転移線 TC (p) と交わる点の圧力

AFM と SC の共存 P < PC の TC ρ 、 TC χ は バルク転移を反映していない 新たな転移線を期待    バルク転移を反映していない 新たな転移線を期待 PS- PC  direct AFM → SC transition  AFM と SC は一次相転移   PS-:SC が観測された最低の圧力 AFM PS- SC   PS- : SC が観測された最低の圧力 Llobet Phys. Rev. B 69 024403

Transition Broadening 幾つかの要因  ゆらぎからくる本質的なもの  物質の不均一さ、内部 (外部)応力、                圧力勾配 ΔTN 圧力の不均一が原因?  ルビースペクトルに異常なし  圧力勾配のみによるものなら 0.055 GPa      のオーダーの圧力差が必要    → 今回のセルでは 0.04 GPa 以下    ⇒ 圧力差のせいではない

First or Second ? 一次相転移は?? 二次相転移?? 二次相転移は 形がはっきりしている 異常の大きさだけが変わる  ∂T /∂P = ΔV /ΔS (Clapeyron の式)    |∂T /∂P | ( T →0 ) の急な傾き     ⇒ ΔS → 0 ( Nernst Principle )   ΔS は比熱異常に一致 比熱異常の劇的な消滅 ( PC → 0 )    ⇒ 理屈が通る! 二次相転移?? 二次相転移は  形がはっきりしている  異常の大きさだけが変わる ⇒ CeRhIn5 には当てはまらない

Calculation へ向けて 転移幅が∂T /∂P の強さと関係 していることを期待 不均質の主な原因は、物質自身の    していることを期待 不均質の主な原因は、物質自身の        内部圧力や歪みの勾配    欠陥 (Dislocations, Stacking faults) の近くでは内部歪み ( ∼ 0.1 Gpa ) サンプル内に幅ΔP という圧力   分布を仮定して計算した

Calculation (AFM transition) ΔP = 0.055 GPa 仮定  比熱異常の形状は変わらない  0.65 GPa を理想のカーブ (∂TN /∂P ≈ 0)  サンプル内ではガウス分布 結果  ∂TN /∂P が険しく転移幅が広がっていた             範囲がはっきり見えた    →  定性的には測定とあっている

Calculation (SC transition) ΔP = 0.055 GPa 仮定  C/T(P) = A(T/TC)α (SC)    これをコントロールするのは二つのパラメータ       TC (P) , P0 での比熱異常の大きさ(α)  ガウス分布 結果  転移幅の広がりを同じ圧力固定のガウス分布                   で理解できる TN と TC の圧力依存性の結果として、  ガウシアン圧力分布は観測された    転移幅の広がりを説明できる

CeCoIn5 常圧の CeCoIn5 は QCP の近くに 位置している   位置している Sidorov Phys. Rev.Lett. 89 157004

CeRhIn5 よりも圧力不均一の影響が重要 Calculation (CeCoIn5) CeRhIn5 と同様に計算   ΔP = 0.015 GPa ( 0 GPa ) から    ΔP = 0.15 GPa ( 2.9 GPa ) まで線形に増加 生の圧力勾配によるものではない ∂TC /∂σa> 0 , ∂TC /∂σc< 0   → 内部応力の存在を示す ⇒ ΔPの線形増加の源 CeCoIn5 は異方性が大きいので、 CeRhIn5 よりも圧力不均一の影響が重要

結論 CeRhIn5では、 PC 以下の AFM order から、P > 2 GPa の SC 基底状態への一次相転移が見られた PC 以下では、SC 比熱異常は全く観測されなかった   → ×AFM + SC ? PC 以上の非常にシャープな SC 比熱異常は、均一な バルク SC によるものである