直流コロナ放電照射による水中のROS生成 2015年春季 第62回応用物理学会学術講演会 2015年3月11日(水) 東海大学 湘南キャンパス 8.7 プラズマ現象・新応用・融合分野 11p-A28-13 直流コロナ放電照射による水中のROS生成 Generation of ROS in water by DC corona discharge exposure ○杉山 豪 佐藤 孝紀 伊藤 秀範 川口 秀樹 (室蘭工業大学) Igor Timoshkin Martin Given Scott Macgregor (ストラスクライド大学) ○Tsuyoshi Sugiyama, Kohki Satoh, Hidenori Itoh and Hideki Kawaguchi (Muroran Institute of Technology) Igor Timoshkin, Martin Given and Scott MacGregor (Univ. of Strathclyde) MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY
放電プラズマを水に照射して生成されるプラズマ照射水が注目 背景 放電プラズマを水に照射して生成されるプラズマ照射水が注目 プラズマ照射水 [1] [2] Water 気相中で生成された活性な種が水中に存在[3] 活性酸素種 : O3,H2O2,OH,HO2 … 活性窒素種 : NO2,N2O3,HNO3 … 活性な種が水へ溶け込む際の反応 生体との相互作用 解明されていないことが極めて多い [1]長岡技術科学大学 : 研究室ガイドブック [2]東海大学 : 研究シーズ集 [3]浜口 : J. Plasma Fusion Res. 87, 10 (2011) 696 MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY
水上コロナ放電による活性な種の生成特性の調査 背景および目的 植物の生長促進 高木[1] ・・・ パルス放電を照射した水をコマツナに与えることで生長が促進 水中のNO3-が生長促進に寄与することを報告 殺菌・滅菌 佐藤ら[2] ・・・ アルゴンプラズマ流を照射した水に活性酸素が生成 照射水を大腸菌の不活化に応用できることを報告 プラズマ照射水に関する先行研究 活性な種の種類と濃度を適切にコントロールすることが求められる 水上コロナ放電による活性な種の生成特性の調査 目的 バックグラウンドガスの組成・混合割合による影響 MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY [1]高木 : J. HTSJ, 51, 216 (2012) 64 [2]佐藤ら : 日本機械学会熱工学コンファレンス 講演予稿集 NO. 09-33 (2009)
実験装置および実験条件 印加電圧 : 14.7 ~ 15.4 kV 放電電流 : 0.39 ~ 0.41 mA 注入電力 : 6 W 放電照射時間 : 15 min 15 mm aluminium foil Water CH1:印加電圧 CH2:放電電流 ガス混合比(流量比) : Ar/O2 = 40/60 , 60/40 , 80/20 N2/O2 = 40/60 , 60/40 ガス流量 : 2.0 L/min MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY
実験装置および実験条件 印加電圧 : 14.7 ~ 15.4 kV 放電電流 : 0.39 ~ 0.41 mA 注入電力 : 6 W 放電照射時間 : 15 min 1.6 mm 15 mm 43.6° 15 mm aluminium foil 櫛歯を4 mm間隔で13本 →2列配置してClusterを構成 4ヵ所に配置 Water Water Cluster 13本×2列 40 mm 20 mm ガス混合比(流量比) : Ar/O2 = 40/60 , 60/40 , 80/20 N2/O2 = 40/60 , 60/40 ガス流量 : 2.0 L/min MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY
実験装置および実験条件 印加電圧 : 14.7 ~ 15.4 kV 放電電流 : 0.39 ~ 0.41 mA 注入電力 : 6 W 放電照射時間 : 15 min ガス混合比(流量比) : Ar/O2 = 40/60 , 60/40 , 80/20 N2/O2 = 40/60 , 60/40 ガス流量 : 2.0 L/min MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY
実験装置および実験条件 印加電圧 : 14.7 ~ 15.4 kV 放電電流 : 0.39 ~ 0.41 mA 注入電力 : 6 W 放電照射時間 : 15 min ガス混合比(流量比) : Ar/O2 = 40/60 , 60/40 , 80/20 N2/O2 = 40/60 , 60/40 ガス流量 : 2.0 L/min MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY
照射水のクロマトグラム Ar-O2混合ガス中 H2O2のみ検出 N2-O2混合ガス中 H2O2,NO2-,NO3-が検出 MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY
生成物の濃度変化 H2O2,NO3- : 注入エネルギーの増加に伴い増加の傾向 NO2- : 極めて低濃度 H2O2 NO2- NO3- MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY
H2O2の生成過程 OHによって生成される MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY
H2O2の生成過程 ArおよびN2の混合割合増加 H2O2濃度増加 OHによって生成される MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY
H2O2の生成過程 ArおよびN2の混合割合増加 H2O2濃度増加 H2O2の生成 H2O + e(fast) → OH + H + e(slow) OH + OH → H2O2 O3 + H2O → H2O2 + O2 OHによって生成される MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY
H2O2の生成過程 ArおよびN2の混合割合増加 H2O2濃度増加 H2O2の生成 H2O + e(fast) → OH + H + e(slow) OH + OH → H2O2 O3 + H2O → H2O2 + O2 O3 OHによって生成される
H2O2の生成過程 ArおよびN2の混合割合増加 H2O2濃度増加 O3濃度は混合割合によらず同程度 OHによる生成が主 H2O2の生成 H2O + e(fast) → OH + H + e(slow) OH + OH → H2O2 O3 + H2O → H2O2 + O2 O3 O3濃度は混合割合によらず同程度 OHによって生成される OHによる生成が主
H2O2の生成過程 Ar:O2 N2:O2 60:40 40:60 80:20 OHによって生成される
H2O2の生成過程 Ar:O2 N2:O2 ArおよびN2の混合割合を増加 放電の広がりを確認 60:40 40:60 80:20 ArおよびN2の混合割合を増加 放電の広がりを確認 OHの生成が促進 H2O2濃度増加 H2O + e (fast) → OH + H + e(slow) OHによって生成される OH + OH → H2O2
H2O2の生成過程 Ar:O2 N2:O2 N2-O2混合ガス中 放電の発光が強い OHが多く生成されるはず 40:60 60:40 80:20 N2-O2混合ガス中 放電の発光が強い OHが多く生成されるはず OHによって生成される
H2O2の生成過程 Ar:O2 N2:O2 N2-O2混合ガス中 放電の発光が強い OHが多く生成されるはず 60:40 40:60 80:20 N2-O2混合ガス中 放電の発光が強い OHが多く生成されるはず H2O2濃度がAr-O2中のものより低下 NO3-が生成される過程でOHが消費 OHによって生成される NO2 + OH → HNO3
NO3-の生成過程 NO3- オフガスを分析した MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY
NO3-の生成過程 NO3- O3 H2O O3 水とオゾンがあった MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY
NO3-の生成過程 NO3- HNO3の生成 NO2 + OH → HNO3 NO + HO2 → HNO3 HNO3 → NO3- + H+ (in water) MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY
NO3-の生成過程 NO3- HNO3の生成 NO2 + OH → HNO3 NO + HO2 → HNO3 リファレンスを重ねるとこうなった,水のピークと重なっているため見えない HNO3 → NO3- + H+ (in water) MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY
NO3-の生成過程 NO3- HNO3の生成 NO2 + OH → HNO3 NO + HO2 → HNO3 拡大するとN2Oが6ppmあった HNO3 → NO3- + H+ (in water) MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY
NO3-の生成過程 NO3- HNO3の生成 NO2 + OH → HNO3 NO + HO2 → HNO3 6 ppm 拡大するとN2Oが6ppmあった HNO3 → NO3- + H+ (in water) MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY
NO3-の生成過程 NO3- HNO3の生成 N2Oの生成 NO2 + N → N2O + O N2 + O + M → N2O + M HNO + HNO → N2O + H2O NO2 + OH → HNO3 NO + HO2 → HNO3 N2O5 + H2O → 2HNO3 6 ppm HNO3 → NO3- + H+ (in water) MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY
NO3-の生成過程 NO3- HNO3の生成 NO2 + N → N2O + O N2 + O + M → N2O + M HNO + HNO → N2O + H2O N2Oの生成 NO2 + OH → HNO3 NO + HO2 → HNO3 N2O5 + H2O → 2HNO3 6 ppm HNO3 → NO3- + H+ (in water) MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY
NO3-の生成過程 NO2が気相中に存在し,NO3-の生成に寄与 NO3- HNO3の生成 NO2 + N → N2O + O N2 + O + M → N2O + M HNO + HNO → N2O + H2O N2Oの生成 NO2 + OH → HNO3 NO + HO2 → HNO3 N2O5 + H2O → 2HNO3 6 ppm HNO3 → NO3- + H+ (in water) NO2が気相中に存在し,NO3-の生成に寄与
まとめ 水上で直流コロナ放電を発生させ,水中のH2O2,NO2-およびNO3-濃度を測定し,これらの生成特性を調査した ArおよびN2の混合割合を増加させることで水面に対して放電が広がり,OHの生成が促進され,これによって水中のH2O2濃度が増加した N2-O2混合ガス中で放電を発生させると気相中にN2Oが生成されるため, NO2も存在し,NO3-の生成に寄与していると考えられる H2O2およびNO3-の生成過程の一部についてその可能性を検討した。今後, 定量性を考えながら生成過程を解明していく H2O + e(fast) → OH + H + e(slow) OH + OH → H2O2 NO2 + OH → HNO3 HNO3 → NO3- + H+ (in water) MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY
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HPLCおよびカラム HPLC カラム CH3COOH(3.0 mmol/L) 溶離液: + KOH(2.25 mmol/L) 溶離液: + KOH(2.25 mmol/L) pH = 5.0 検出器:UV(at 220 nm) Shodex IC NI – 424 構造:多孔性 形状:球 官能基:第四級アンモニウム基 MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY
生成効率 H2O2 NO2- NO3- MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY
生成効率 H2O2 NO2- NO3- 生成効率[μg/Wh] = 生成物の濃度[ppm]×水量[mL] 注入電力[W] ×3600[s] MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY
放電写真(負極性) Ar : O2 N2 : O2 40:60 40:60 60:40 60:40 各ガス組成において形状の変化は見られない MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY
生成物の濃度変化(負極性) 全てのガス組成において生成物の濃度が低下 H2O2 NO2- NO3- N2:O2 Ar:O2 MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY
O3濃度変化(負極性) Ar:O2 N2:O2 MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY
生成物の濃度変化(負極性) 全てのガス組成において生成効率が低下 H2O2 NO2- NO3- N2:O2 Ar:O2 MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY