鹿児島大学 新興感染症対策研究 プロジェクト

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事例研究の進め方. 事例研究の目的  研究会本来の目的であるテーマ研 究を行うための予備研究(演習)  テーマ研究をまとめるために必要 なデータやツールが何かを検討す る  検討したツールやデータの有用性 を検証する  視覚化.
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微生物が体内に侵入する などして、引き起こす病気 病原体 感染症とは 細菌・ウイルス・寄生虫 など 9.感染症とその予 防 インフルエンザウィルス 「福岡県保健環境研究所H P」 タミフル「中村内科日記」よ り 素材集-感染症.
97G19 感染症とその対応で正しい 組合せはどれか。 a コレラ 原則入院 b Hansen 病 強制入院 c マラリア 特定職業への 就業制 限 d 急性ウ イ ルス性肝炎 全数届出 e 腸チフス 定点観測.
主な感染症とその感染経路 長岡営業所 小林雅樹・倉井智.
いまなぜ感染症を勉強するのか? 1.新しい感染症の出現 2.再興感染症の出現
安全管理体制と リスクマネジメント.
仙台防災枠組の実施に向けて 海外の災害・東日本大震災から生まれた広域復興トークライブ 仙台防災未来フォーラム
平成17年度 大学教育の国際化推進 プログラム (戦略的国際連携支援)
リスク解析(Risk Analysis) リスク解析(Risk Analysis)とは、組織、体制あるいは集団が危害(hazard)に曝された時にその状況を制御する手順。リスク解析は、リスク査定(risk assessment)、リスク管理(Risk management)およびリスクの情報交換(risk.
8.地域保健・公衆衛生に関する法律(2) 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律 予防接種法 検疫法 健康増進法 担当 柳川洋
資料8-1 第11次大阪府鳥獣保護管理事業計画の概要
1.保健行政の役割としくみ 2.保健サービスの活用
-新たな飼養衛生管理基準の遵守のお願い-
広島県西部地域保健対策協議会 ●設置目的   広島西二次保健医療圏(大竹市・廿日市市)における住民の健康の保持・増進と福祉の向上に寄与するため,保健・医療・福祉に関する事項について調査・協議し,必要な事業を実施する。 ●設立年月日 平成 9 年11月27日 ●構成団体(大竹市・廿日市市域の22機関・団体)
検体採取等に関する 厚生労働省指定講習会(主催:日臨技) 実施要項①
緊急事態宣言 0 未発生期 1 海外発生期 2 国内発生期 (市内未発生期) 3 市内発生早期 4 市内感染期 5 小康期 1 2 3 4
リスト作成による効果を得るため付加・整理
3.さまざまな保健活動 母子保健活動 日本赤十字社の写真 素材集-保健活動 「室蘭市役所ホームページ」 UNICEFの写真 素材集-保健活動
子ども・子育て関連法における妊婦健診の位置付け
4 第3次障害者基本計画の特徴 障害者基本計画 経緯等 概要(特徴) 障害者基本法に基づき政府が策定する障害者施策に関する基本計画
1,709種類(ウイルス、細菌、真菌、原虫、寄生虫)
疫学概論 診療ガイドライン Lesson 22. 健康政策への応用 §B. 診療ガイドライン S.Harano, MD,PhD,MPH.
アジア恊働大学院(AUI)構想 AUI推進機構/設立趣意書
Zikaウイルス感染症 1947 年: 科学者がウガンダの Zika 森のアカゲザルから新たなウイルスを 特定し、ジカウイルスと命名。 1948 年: Zika森で捕獲したヒトスジシマカ( Aedes africanus )から分離。 フラビウイルス科ジカウイルス.
1) 入門編 感染症とは? 感染源と感染経路 輸入感染症と人類を脅かす感染症
パート2 ●  安全は、国民生活総体を見渡したものでなくてはならない。
資料3 地独法人 大阪健康安全基盤研究所 (平成26年4月設立予定) ➣公衆衛生領域における公的な科学的・技術的中核機関(地衛研)
黄熱(yellow fever)の要点 WHO Fact sheet December 2009
エイズとその予防.
ロータリアン行動グループ.
平成17年度 大学教育の国際化推進 プログラム (戦略的国際連携支援)
日本糖尿病学会のアクションプラン2010(DREAMS)
Lesson 22. 健康政策への応用 §C. リスク・マネージメント 疫学概論 リスク・マネージメント
生物由来製剤の 被害救済制度 鹿児島大学輸血部 古川良尚.
主催: 大分県獣医師会 後援: 大分合同新聞社
農家等への「家畜衛生情報」の発信、広報誌「通信衛星」の発行
地域ネットワークを構築 相談支援事業が核 甲賀地域障害児・者サービス調整会議(甲賀地域自立支援協議会)の運営 図3 約80機関で構成
腎症候性出血熱 Haemorrhagic Fever with Renal Syndrome (HFRS)
図3 地球環境変動の中核的課題と動向 自然圏(Natursphäre) 人類圏(Anthropophäre) 生物圏 大気圏 水文圏 土壌圏
医薬品の副作用等による被害を受けられた方を救済する公的な制度があります。
大阪府健康づくり推進条例の概要について (1) 条例制定の背景・必要性 (3) 条例案の概要 (2) 条例制定のポイント
輸入感染症例(平成18年) フィリピンで感染し、日本に帰国後発症死亡
「大阪の成長戦略」の実現による大阪経済の活性化
鳥インフルエンザ 2006.4.19.
新型感染症 2004.11.28.
鳥インフルエンザに関するリスク・コミュニケーション
血液事業と血液製剤 血液新法 鹿児島大学輸血部 古川良尚.
HACCP 2005/4/4.
平成30年度に新たに設置する精神医療懇話会について
生物多様性保全推進支援事業 1.地域における生物多様性の保全再生に資する活動への支援
スポーツ医科学に基づく「奈良メソッド」確立に向けたプログラムづくり
別紙1:政策学部のカリキュラム ■積み上げ型政策学教育 [基本教育] [導入教育] 大学院進学
フィランソロピー都市宣言について 資料3 フィランソロピー都市宣言(宣言文)
The way towards global control of Trans-boundary Animal Diseases
新興感染症の病原体 再興感染症の病原体 病原体の種類 病原体名 ウイルス ロタウイルス、エボラウイルス、T細胞性白血病ウイルス
地方公共団体オープンデータ推進ガイドラインの概要
松本市・企業・生産者・大学・NPO・こどもエコクラブの協働による環境教育プロジェクトです。
問13. デング熱 の地理的分布に関する最近の知見では、従来の生物地理区の説明とは違っているので、再確認する。
4) 上級編 ~新型インフルエンザに対する 公衆衛生対応について知る~
疫学概論 疫学研究の目的 Lesson 1. 疫学研究 §A. 疫学研究の目的 S.Harano,Md.PhD,MPH.
人類集団の歴史的変遷 出典:Mascie-Tailor CGN (1993) The Anthropology of Disease, Oxford Univ. Press.
議論の前提 ある人獣共通感染症は、野生動物が感染源となって直接又は媒介動物を通じて人に感染を起こす。
「投資」の新たな展開 -株式会社以外に…-
食品の機能性表示に取り組む事業者の方へ 食品の機能性表示制度とは 支援員の活動内容について 機能性表示のご相談について
調査項目:(事業環境/健康投資/品質評価から選択) コンソーシアム等名称:
目 次 第1章 大阪府保健医療計画について 1.医療計画とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
環境学 第9回目 (H ) 環境法と循環型社会 p.68~
○ 大阪府におけるHACCP普及について S 大阪版 評価制度を設ける 大阪府の現状 大阪府の今後の方向性 《従来型基準》
生物多様性保全推進支援事業 1.地域における生物多様性の保全再生に資する活動への支援
生物多様性保全推進支援事業 1.地域における生物多様性の保全再生に資する活動への支援
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鹿児島大学 新興感染症対策研究 プロジェクト 行政 医療 獣医療 農政 食品衛生 環境・自然保護 ・・・・・ 学会 医学会 農学会 獣医学会 食品衛生学会 公衆衛生学会 ・・・・・ 東北アジア 鹿児島大学 新興感染症対策研究 プロジェクト 中国 法人 医師会 獣医師会 食品衛生協会 NPO ・・・・・ 団体 生産団体 消費者団体 食品安全推進会議 環境・自然保護団体 ・・・・・ 東南アジア

対策研究プロジェクト 新興感染症 細菌部 会 動物の感染制御 動物部会 鹿児島大学 ウイルス部会 ヒトの感染制御 生態系保全 プリオン部会 産業動物・伴侶動物 動物部会 野生動物 対策研究プロジェクト 新興感染症 鹿児島大学 ウイルス部会 ヒトの感染制御 生態系保全 プリオン部会

感染症法において動物が占める位置(平成15年10月改正) 類型 動物由来感染症 保有動物 ヒト感染症 エボラ出血熱 クリミア・コンゴ出血熱 重症急性呼吸器症候群 ペスト マールブルグ病 ラッサ熱 サル 反芻動物、鳥類 ハクビシン げっ歯類 痘そう 1類 コレラ 急性灰白髄炎 ジフテリア 腸チフス パラチフス 2類 細菌性赤痢 サル 3類 腸管出血性大腸菌感染症 ウシ 黄熱、 Q熱 高病原性鳥インフルエンザ 狂犬病 サル 反芻動物、鳥類 鳥類 犬、猫、キツネ、 スカンク、アライグマ A型肝炎 E型肝炎 マラリア 4類  その他の既に知られている感染性の疾病であって、動物又はその死体、飲食物、衣類、寝具その他の物件を介して人に感染し、国民の健康に影響を与えるおそれがあるものとして政令で定めるもの

感染症法において動物が占める位置(続き) 類型 動物由来感染症 保有動物 ヒト感染症 ウエストナイル熱 エキノコックス症 オウム病 コクシジオイデス症 サル痘 腎症候性出血熱 炭疽 ツツガムシ病 ニパウイルス感染症 日本紅斑熱 日本脳炎 ハンタウイルス肺症候群 Bウイルス病 ブルセラ症 野兎病 ライム病 リッサウイルス感染症 レプトスピラ症 鳥類 キタキツネ、犬 反芻動物、鳥類 げっ歯類 サル ウシ、ウマ コウモリ、ブタ ブタ ブタ   コウモリ 各種動物 回帰熱 デング熱 発しんチフス ボツリヌス症 レジオネラ症 4類 インフルエンザ  (鳥インフルエンザ以外) ウイルス性肝炎  (E型、A型以外) 後天性免疫不全症候群 性器クラミジア感染症 梅毒 麻疹 MRSA感染症 5類 クリプトスポリジウム症 各種動物

危険性の査定 危険性の管理 危険性の情報交換 ( Risk Assessment) 1.危害の特定、2.危害の特性解明、 3.暴露査定、4.危険性の特性解明  各方面の専門家によって、実験や調査に基づく科学的根拠から当該物質によってヒトで起きる健康被害を予測し、100万人に1人程度の確率に抑え込むための管理措置と管理基準を策定する役割 危険性の管理 ( Risk Management) 1.危険性の評価、2.管理措置の査定、3.管理措置の実行、 4.監視と再吟味  生産者が査定で提起された管理措置と管理基準が実施可能なものであるか否かを検討し、可能となれば実行し定期点検等の監視体制をとる役割 危険性の情報交換 ( Risk Communication)  査定と管理の連携が円滑にいくようにする企画・立案、組織化、進行の調整、成果の評価を行う危険性解析における第三者的存在であり、生産者と消費者の情報交換も担う役割 危険性解析の構図(Structure of Risk Analysis)

鹿児島大学 新興感染症対策研究プロジェクト 鹿児島大学 新興感染症対策研究プロジェクト 設立構想  BSE対策研究プロジェクトが2001年10月に発足して以来、学内外における諸活動を続けてきたが、その間にもアジアでは、新型肺炎と高病原性鳥インフルエンザが発生し、世界的脅威となっている。このような新興感染症は動物に由来すること多く、豊かな自然が残され野生生物種の豊富なアジア・アフリカ・中南米の熱帯地域が発生源となることが多い。これらの地域の多くは援助を必要とする発展途上国であり、日本の科学技術力に期待が寄せられている。アジアに拓く鹿児島大学が総力を挙げて取り組むに相応しいテーマである。  2003年10月には感染症法が大幅に改正され、新たに多数の動物由来感染症が追加された。これまで医学・獣医学の分野で自主的に取組んできたこれらの感染症に法的拘束力が加わったことにより、関係者の責務が一層重くなった。新興感染症の発生には、野生動物を含む多種の生物が関わっており、発生機序や予防・制御法の解明には学際的協力を必要としている。総合大学としての力量を発揮するに値するテーマである。

設立趣旨 社会的関心がきわめて高い新興感染症の大半は、動物由来感染症である。これにどう対処するかは、獣医学を初め、医学・歯学・理学・工学・水産学などの自然科学分野のみならず、社会科学的判断も必要とされる。総合大学としての多彩な人材が集まることにより、他大学にない独創的な構想が生まれる。 2.感染症のリスク・アナリシスは、日本でも未発達な領域であり、社会生活実態を踏まえてこれに対処することは国民的課題となっている。総合大学としての特色を打ち出して地域の問題に取り組むことが、国内のみならず国際的諸問題解決に立ち向かうことにもなる。 3.ヒトが罹患する可能性がある種々の動物由来感染症は、生物としての進化速度が速い微生物界での出来事であり、予測できない未知の世界である。ただし、これまでの科学的知見を集約することで、緊急事態の発生に備えることできる。 4.発生時の現場対応は担当行政組織が当るが、それに必要とされる科学的知見を集積し、必要に応じて情報提供することは大学の責務である。また、行政組織が防圧措置を講じている間、リスク・コミュニケーションを担うことも大学の責務である。

設立呼びかけ BSE対策研究プロジェクトが発足して以降、アジアでは新型肺炎と高病原性鳥インフルエンザが発生し、世界的脅威となっている。このような新興感染症は動物に由来すること多く、野生生物種の豊富なアジア等の熱帯地域が発生源となってきた。これらの地域の多くは援助を必要とする発展途上国であり、日本の科学技術力に期待が寄せられている。アジアに拓く鹿児島大学が総力を挙げて取り組むに相応しいテーマである。 2.動物由来感染症であることから学際協力が必要とされるが、動物の疾病を専門とする獣医学が設置されている大学は少なく、「新興感染症対策研究プロジェクト」は、単一大学で学際協力を実施できる鹿児島大学の可能性を伸ばすものとなる。 3.「健康で長寿」、「少子化と超高齢化」が社会的重要課題となっているが、感染症の多くは高齢者と若齢者で重症化する傾向にある。ハイリスク集団が増加している現状では、新たに出現する新興感染症の病原性や感染力の強弱に関わらず、重大問題化する。高齢化の進行が早く、南方からの侵入門戸となりうる南日本で取り組むのに相応しいテーマである。 4.感染症法が昨年10月に改正されて、多くの動物由来感染症が4類に加えられた。これらに関する研究支援体制が組まれており、大型の公的資金を獲得する組織が必要となっている。